処方薬
献血ノンスロン1500注射用

献血ノンスロン1500注射用の添付文書

添付文書PDFファイル

PDFファイルを開く

※添付文書のPDFファイルは随時更新しておりますが、常に最新であるとは限りません。予めご了承ください。

効果・効能

1.  先天性アンチトロンビン3欠乏に基づく血栓形成傾向。
1.  アンチトロンビン3低下を伴う汎発性血管内凝固症候群(DIC)。
1.  アンチトロンビン3低下を伴う門脈血栓症。

(効能又は効果に関連する注意)

    1. 〈アンチトロンビン3低下を伴う汎発性血管内凝固症候群(DIC)〉本剤を、緊急措置以外の治療に使用する場合にあたっては、患者のアンチトロンビン3値が正常の70%以下に低下している場合においても、本剤の投与が医療上必要であると判断されたときに使用すること。
    1. 〈アンチトロンビン3低下を伴う門脈血栓症〉完全閉塞した門脈血栓症、陳旧性門脈血栓症に対する本剤の有効性は期待できないので、他の治療法を考慮すること〔17.1.1参照〕。

用法・用量

〈効能共通〉

本剤を添付の注射用水で溶解し、緩徐に静注もしくは点滴静注する。

〈先天性アンチトロンビン3欠乏に基づく血栓形成傾向〉

本剤1日1000~3000国際単位(又は20~60国際単位/kg)を投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。

〈アンチトロンビン3低下を伴う汎発性血管内凝固症候群(DIC)〉

アンチトロンビン3が正常の70%以下に低下した場合、通常、成人に対し、ヘパリンの持続点滴静注のもとに、本剤1日1500国際単位(又は30国際単位/kg)を投与する。

ただし、産科的、外科的DICなどで緊急処置として本剤を使用する場合には、1日1回40~60国際単位/kgを投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

〈アンチトロンビン3低下を伴う門脈血栓症〉

アンチトロンビン3が正常の70%以下に低下した場合、通常、成人に対し、本剤1日1500国際単位(又は30国際単位/kg)を5日間投与する。本剤投与により血栓縮小傾向が認められた場合には、通常、成人に対し、本剤1日1500国際単位(又は30国際単位/kg)の5日間投与を最大2回まで追加で行うことができる。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 〈先天性アンチトロンビン3欠乏に基づく血栓形成傾向、アンチトロンビン3低下を伴う汎発性血管内凝固症候群(DIC)〉出血検査等出血管理を十分行いつつ使用すること。
    1. 〈先天性アンチトロンビン3欠乏に基づく血栓形成傾向、アンチトロンビン3低下を伴う汎発性血管内凝固症候群(DIC)〉ヘパリンの併用により出血を助長する危険性のある場合は本剤の単独投与を行うこと。
    1. 〈先天性アンチトロンビン3欠乏に基づく血栓形成傾向、アンチトロンビン3低下を伴う汎発性血管内凝固症候群(DIC)〉本剤の使用にあたっては、少なくとも2日以上使用してその効果を判定し、使用の継続を判断すること。
    1. 〈アンチトロンビン3低下を伴う汎発性血管内凝固症候群(DIC)〉ヘパリンの1日持続点滴は、通常10000単位が適当と考えられるが、臨床症状により適宜増減すること(ただし、ヘパリンの投与は1時間あたり500単位を超えないこと)。
    1. 〈アンチトロンビン3低下を伴う門脈血栓症〉追加投与は、本剤を5日間投与した後に経過を観察し、腹部超音波検査、CT検査等により効果の判定を行い、縮小傾向が認められたものの効果が不十分な場合に実施すること(本剤投与による効果が認められない場合は、追加投与はせずに、他の治療法を考慮すること)。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明):呼吸困難、喘鳴、胸内苦悶、血圧低下、チアノーゼ等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    1. その他の副作用
    1. 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、(頻度不明)じん麻疹等。
    2. 皮膚:(0.1~5%未満)注射部位皮膚炎、注射部位炎症。
    3. 肝臓:(頻度不明)AST上昇、ALT上昇等。
    4. 消化器:(0.1~5%未満)悪心、(頻度不明)嘔気、嘔吐。
    5. 血液:(0.1~5%未満)凝固因子異常、PT-INR(国際標準比)増加。
    6. その他:(0.1~5%未満)血尿、頭痛、発熱、好酸球数増加、(頻度不明)悪寒、胸部不快感。

使用上の注意

(注意)

本剤は、貴重なヒト血液を原料として製剤化したものである。原料となった血液を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程において一定の不活化・除去処理などを実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめること。

(禁忌)

本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤の投与にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、ヒト血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを、患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
    1. 本剤の原材料となる献血者の血液については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体及び抗HTLV-1抗体陰性で、かつALT値でスクリーニングを実施している。さらに、HBV、HCV及びHIVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。その後の製造工程である65℃、96時間の加熱処理及びウイルス除去膜によるろ過処理は、HIVをはじめとする各種ウイルスに対し、不活化・除去作用を有することが確認されているが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。
  1. 2.1. 血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること〔9.1.2、9.1.3、9.5妊婦の項参照〕。

  2. 2.2. 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。

  2. 1.2. 溶血性貧血・失血性貧血の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある)〔8.2.1参照〕。

  3. 1.3. 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、持続性貧血を起こすことがある)〔8.2.1参照〕。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない(感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある))〔8.2.1参照〕。

(小児等)

低出生体重児、新生児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

(高齢者)

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。

(相互作用)

    1. 併用注意

    抗凝固剤(トロンボモデュリンアルファ(遺伝子組換え)製剤、ワルファリンカリウム等)[本剤の作用が増強するおそれがある(併用により、抗凝固作用が相加的に作用する)]。

(適用上の注意)

    1. 薬剤調製時の注意
  1. 1.1. 「溶解方法」を参考に溶解すること。

  2. 1.2. 他剤との混合注射は避けることが望ましい。

  3. 1.3. 本剤は、溶解後ただちに使用すること。

  4. 1.4. 使用後の残液は、細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと(本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり、しかも保存剤が含有されていない)。

    1. 薬剤投与時の注意
  5. 2.1. 溶解時に著しい沈殿の認められるものは投与しないこと。

  6. 2.2. 溶解した液をシリコンオイルが塗布されているシリンジで採取した場合、浮遊物が発生することがあるため、投与前に薬液中に浮遊物がないか目視で確認し、浮遊物が認められた場合には投与しないこと。

(取扱い上の注意)

本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与した場合は、医薬品の名称(販売名)、製造番号、投与日、投与を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。

(溶解方法)

製品瓶内は陰圧になっているので、次記の手順に従って溶解する。

  1. 製品瓶、溶解液瓶のプラスチックキャップをはずし、ゴム栓表面を消毒する。

  2. 溶解移注針の保護キャップのついている側を上にし、針を溶解液瓶のゴム栓にまっすぐ垂直に深く刺し込む(必ず溶解液瓶に先に刺し込む(製品瓶に先に刺し込むと陰圧が破壊され、溶解液がうまく移行しなくなる))。

  3. 移注針保護キャップを外し溶解液瓶を移注針ごと逆さにし製品瓶ゴム栓にまっすぐ垂直に深く刺し込むと溶解液が製品瓶内に移行する(溶解液移行中に瓶が倒れると溶解液が製品瓶内に移行しないことがあるので注意する)(溶解移注針は移注針と表示)。

  4. 溶解液の移行が終了したら、溶解移注針を持って溶解液瓶と一緒に引き抜く(溶解移注針はディスポーザブルなので再使用しない)。

  5. 製品瓶を泡だてないようにゆるやかに揺り動かして、完全に溶解する。

  6. ラベル上部のアーチ部分を吊り具として使用する。

    注意

  7. 輸液セットを用いて点滴輸注をする場合には、その導入針(瓶針)及び通気針を溶解移注針を抜去したあとの穴に刺入すると液漏れがおこることがあるのでゴム栓中心部の別の場所に刺すこと。

  8. 点滴輸注する場合、吊りさげた後に通気針を刺して使用する。

  9. 溶解移注針を刺入したままで長時間放置しないこと。

  10. 溶解移注針はディスポーザブルなので、再使用しないこと。

(保管上の注意)

30℃以下。