処方薬
沈降インフルエンザワクチンH5N1「化血研」

沈降インフルエンザワクチンH5N1「化血研」の添付文書

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効果・効能

本剤は、新型インフルエンザ(H5N1)の予防に使用する。

用法・用量

  1. 5mLをおよそ3週間の間隔をおいて、筋肉内もしくは皮下に2回注射する。

副作用

筋肉内接種:第1相試験及び第2/3相試験において筋肉内2回接種による副反応は195例中131例(67.2%)480件であった。接種後の主な副反応は、疼痛、紅斑、熱感、腫脹、そう痒感などの注射部位の局所症状、倦怠感、頭痛、発熱であった。

皮下接種:第1相試験において皮下2回接種による副反応は20例中20例(100.0%)123件であった。接種後の主な副反応は、紅斑、疼痛、腫脹、そう痒感、熱感などの注射部位の局所症状、倦怠感、頭痛、下痢、悪寒であった。

  1. 重大な副反応(類薬):次は、インフルエンザHAワクチンの添付文書に記載されている重大な副反応情報である。

    1. ショック、アナフィラキシー(0.1%未満):ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等)が現れることがあるので、接種後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行う。
    2. 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(0.1%未満):急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が現れることがあり、通常、接種後数日から2週間以内に発熱、頭痛、痙攣、運動障害、意識障害等が現れるので、本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行う。
    3. 脳炎・脳症、脊髄炎、視神経炎(頻度不明):脳炎・脳症、脊髄炎、視神経炎が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行う。
    4. ギラン・バレー症候群(頻度不明):ギラン・バレー症候群が現れることがあるので、四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射減弱ないし腱反射消失等の症状が現れた場合には適切な処置を行う。
    5. 痙攣(頻度不明):痙攣(熱性痙攣を含む)が現れることがあるので、症状が現れた場合には適切な処置を行う。
    6. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、γ-GTP上昇、Al-P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行う。
    7. 喘息発作(頻度不明):喘息発作を誘発することがあるので、観察を十分に行い、症状が現れた場合には適切な処置を行う。
    8. 血小板減少性紫斑病、血小板減少(頻度不明):血小板減少性紫斑病、血小板減少が現れることがあるので、紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等の異常が認められた場合には、血液検査等を実施し、適切な処置を行う。
    9. 血管炎(IgA血管炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、白血球破砕性血管炎等)(頻度不明):血管炎(IgA血管炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、白血球破砕性血管炎等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行う。
    10. 間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎が現れることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状に注意し、異常が認められた場合には、胸部X線等の検査を実施し、適切な処置を行う。
    11. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明):皮膚粘膜眼症候群が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行う。
    12. ネフローゼ症候群(頻度不明):ネフローゼ症候群が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行う。
  2. その他の副反応

    1. 皮下接種で認められた副反応(第1相試験の全観察期間中)
      1. 【皮下接種】局所症状(注射部位):(5%以上)紅斑、疼痛、腫脹、そう痒感、熱感、硬結。
      2. 【皮下接種】皮膚:(5%以上)紅斑。
      3. 【皮下接種】精神神経系:(5%以上)頭痛、浮動性眩暈、感覚鈍麻。
      4. 【皮下接種】筋・骨格:(5%以上)関節痛、背部痛。
      5. 【皮下接種】呼吸器:(5%以上)咽喉頭疼痛、咳嗽。
      6. 【皮下接種】消化器:(5%以上)下痢、嘔吐。
      7. 【皮下接種】その他:(5%以上)倦怠感、悪寒、発熱。
    2. 筋肉内接種で認められた副反応(第1相試験及び第2/3相試験の全観察期間中)(1).【筋肉内接種】局所症状(注射部位):(5%以上)疼痛、紅斑、熱感、腫脹、そう痒感、(0.1%~5%未満)不快感、硬結。
      1. 【筋肉内接種】皮膚:(0.1%~5%未満)発疹、皮膚そう痒症。
      2. 【筋肉内接種】精神神経系:(5%以上)頭痛、(0.1%~5%未満)傾眠、浮動性眩暈。
      3. 【筋肉内接種】筋・骨格:(0.1%~5%未満)関節痛、筋痛。
      4. 【筋肉内接種】呼吸器:(0.1%~5%未満)咽喉頭疼痛、鼻漏、咳嗽、湿性咳嗽。
      5. 【筋肉内接種】肝臓:(0.1%~5%未満)AST増加(GOT増加)、ALT増加(GPT増加)、γ-GTP増加。
      6. 【筋肉内接種】消化器:(0.1%~5%未満)下痢、嘔吐、悪心、腹痛。
      7. 【筋肉内接種】血液:(0.1%~5%未満)白血球数増加。
      8. 【筋肉内接種】その他:(5%以上)倦怠感、発熱、(0.1%~5%未満)悪寒、リンパ節痛。

使用上の注意

(接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者))

被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、注意して接種する。

  1. 明らかな発熱を呈している者。

  2. 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者。

  3. 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者及び本剤の成分に対して、アレルギー又は鶏卵由来のものに対してアレルギー、鶏肉由来のものに対してアレルギー、その他鶏由来のものに対してアレルギー、ストレプトマイシン硫酸塩に対してアレルギー、ゲンタマイシンサルフェートに対してアレルギーを呈する恐れのある者。

  4. 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者。

  5. 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者。

  6. 過去に痙攣の既往のある者。

  7. 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者。

  8. 間質性肺炎、気管支喘息等の呼吸器系疾患を有する者。

  9. 血小板減少症、凝固障害のある者、抗凝固療法施行中の者[筋肉注射部位の出血の恐れがある]。

  10. 前記に掲げる者のほか、予防接種を行うに際し注意を要する状態にある者。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤は、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」上のプレパンデミックワクチンである。「新型インフルエンザ等対策ガイドライン(予防接種に関するガイドライン)」に準拠して使用する。

  2. 本剤は、免疫原性は確認されており、インフルエンザ(H5N1)に対する防御あるいは症状の低減が期待できるが、臨床的な有効性はまだ評価されていない。

  3. 小児では発熱の副反応発現率が高いことが報告されている。

  4. 被接種者又はその保護者に、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種する。

  5. 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べる。

  6. 本剤は添加物としてチメロサール(水銀化合物)を含有しており、チメロサール含有製剤の投与(接種)により、過敏症(発熱、発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒等)が現れたとの報告があるので、問診を十分に行い、接種後は観察を十分に行う。

  7. 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、更に高熱、痙攣等の異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせる。

(相互作用)

併用注意:免疫抑制剤(シクロスポリン製剤等)等との関係:免疫抑制的な作用を持つ製剤の投与中の者、特に免疫抑制的な作用を持つ製剤の長期投与中あるいは免疫抑制的な作用を持つ製剤の大量投与中の者は本剤の効果が得られない恐れがあるので、併用に注意する。

(高齢者への接種)

一般に高齢者では、生理機能が低下しているので、接種に当たっては、予診等を慎重に行い、被接種者の健康状態を十分に観察する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への接種)

妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には接種しないことを原則とし、予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種する。

(小児等への接種)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

(接種時の注意)

  1. 接種時

    1. 接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用いる。
    2. 容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒した後、注射針をさし込み、所要量を注射器内に吸引する。この操作に当たっては雑菌が迷入しないよう注意する。また、栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用してはならない。
    3. 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめる。
    4. 注射針及び注射筒は、被接種者ごとに取り替えなければならない。
  2. 接種部位

    1. 接種部位は、通常、上腕伸側とし、アルコールで消毒する。なお、同一接種部位に反復して接種することは避ける。
    2. 筋肉内注射に当たっては、組織・神経などへの影響を避けるため次記の点に注意する。
      1. 筋肉内注射時神経走行部位を避ける。
      2. 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位を変えて注射する。

(その他の注意)

本剤は、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」上のプレパンデミックワクチンである。

(取扱い上の注意)

  1. 保存時:誤って凍結させたものは、品質が変化している恐れがあるので、使用してはならない。

  2. 接種前:使用前には、必ず、異常な混濁、着色、異物の混入その他の異常がないかを確認する。

  3. 接種時

    1. 冷蔵庫から取り出し室温になってから、必ず振り混ぜ均等にして使用する。特に本剤は沈降しやすいので、吸引に際してはそのつどよく振り混ぜる。
    2. 一度針をさしたものは、貯法(遮光して、10℃以下に凍結を避けて保存)に従って保存し、当日中に使用する。

(保管上の注意)

遮光して、10℃以下に凍結を避けて保存。