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ジメンシー配合錠
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効果・効能

セログループ1のC型慢性肝炎又はセログループ1のC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善。セログループ1:ジェノタイプ1。

(効能又は効果に関連する使用上の注意)

本剤の使用に際しては、HCV RNAが陽性であることを確認する。また、肝予備能、臨床症状等により、非代償性肝硬変でないことを確認する。

用法・用量

1回2錠を1日2回食後に経口投与し、投与期間は12週間とする。

(用法及び用量に関連する使用上の注意)

  1. 投与開始後は、用量の変更及び投与の中断をしない。但し、副作用の発現により投与の継続が困難な場合には、本剤の投与中止を検討する(投与再開の可否は、リスクとベネフィットを考慮して慎重に判断する)。

  2. 本剤投与中は、血中HCV RNA量を測定し、ウイルス学的ブレイクスルー(投与中に血中HCV RNA量が最低値から1log10を超えて増加)が発現した場合は、本剤の投与中止を考慮する。

  3. 本剤の有効成分であるダクラタスビル塩酸塩を含む製剤又はアスナプレビルを含む製剤と併用しない。

副作用

国内臨床試験において、217例中123例(56.7%)に副作用が認められた。主な副作用は、ALT(GPT)増加50例(23.0%)、AST(GOT)増加42例(19.4%)、好酸球増加症37例(17.1%)、発熱36例(16.6%)、高ビリルビン血症32例(14.7%)等であった(承認時)。

  1. 重大な副作用

    1. 肝機能障害、肝不全:ALT増加(基準値上限5倍超)(GPT増加(基準値上限5倍超))(13.8%)、AST増加(基準値上限5倍超)(GOT増加(基準値上限5倍超))(9.2%)、高ビリルビン血症(基準値上限2.5倍超)(5.5%)、胆嚢障害(2.3%)、プロトロンビン時間延長、アルブミン低下等が現れ、黄疸、腹水、肝性脳症等を伴う肝不全(頻度不明)に至ることがあるので、発熱等の症状が認められた場合には、肝機能検査等を行うなど患者の状態を十分に観察し、肝機能の悪化が認められた場合には、より頻回に検査を行い、投与を中止するなど適切な処置を行う[プロトロンビン時間延長、アルブミン低下、黄疸、腹水、肝性脳症等を伴う肝不全:ダクラタスビル及びアスナプレビルの2剤併用療法で自発報告された副作用]。
    2. 多形紅斑(1.4%):多形紅斑が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
    3. 血小板減少(2.8%):血小板減少が現れることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
    4. 間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎が現れることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には、胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施し、間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、適切な処置を行う[ダクラタスビル及びアスナプレビルの2剤併用療法で自発報告された副作用]。
    5. 腎機能障害(頻度不明):急性腎障害等の腎機能障害が現れることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:次のような副作用が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。

    1. 皮膚:(5%以上10%未満)皮膚そう痒症、(5%未満)発疹。
    2. 血液:(10%以上)好酸球増加症(17.1%)、(5%以上10%未満)リンパ球減少症、(5%未満)貧血、好中球減少症。
    3. 全身:(10%以上)発熱(16.6%)、(5%以上10%未満)倦怠感、(5%未満)疲労。
    4. 精神神経系:(5%以上10%未満)頭痛。
    5. 消化器:(5%以上10%未満)食欲減退、下痢、(5%未満)上腹部痛、悪心、便秘、嘔吐、腹部不快感、消化不良。
    6. 腎臓:(5%未満)血中クレアチニン増加。
    7. 肝臓胆管系:(10%以上)ALT増加(GPT増加)(23.0%)、AST増加(GOT増加)(19.4%)、高ビリルビン血症(14.7%)、(5%未満)γ-GTP増加、血中Al-P増加、胆嚢炎。
    8. 筋骨格系:(5%未満)関節痛、筋肉痛。
    9. その他:(5%未満)血中アルブミン減少、CRP増加、血中尿酸増加、リパーゼ増加。

使用上の注意

(警告)

本剤は、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者に対してのみ投与する。

(禁忌)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  2. 中等度以上(Child-Pugh分類B又はC)の肝機能障害又は非代償性肝疾患のある患者[アスナプレビルの血中濃度が上昇する]。

  3. 次の薬剤を使用中の患者:イトラコナゾール使用中、フルコナゾール使用中、ホスフルコナゾール使用中、ボリコナゾール使用中、ミコナゾール(経口剤又は注射剤)使用中、クラリスロマイシン使用中、エリスロマイシン使用中、ジルチアゼム使用中、ベラパミル塩酸塩使用中、コビシスタット含有製剤使用中、テラプレビル使用中、リトナビル使用中、アタザナビル硫酸塩使用中、インジナビル硫酸塩エタノール付加物使用中、サキナビルメシル酸塩使用中、ダルナビルエタノール付加物使用中、ネルフィナビルメシル酸塩使用中、ホスアンプレナビルカルシウム水和物使用中、ロピナビル/リトナビル使用中、オムビタスビル水和物/パリタプレビル水和物/リトナビル使用中、リファンピシン使用中、リファブチン使用中、フェニトイン使用中、ホスフェニトインナトリウム水和物使用中、カルバマゼピン使用中、フェノバルビタール使用中、デキサメタゾン全身投与中、モダフィニル使用中、エファビレンツ使用中、エトラビリン使用中、ネビラピン使用中、ボセンタン水和物使用中、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品使用中(St.John’s Wort)、シクロスポリン使用中、フレカイニド使用中、プロパフェノン使用中。

  4. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。

(慎重投与)

  1. クレアチニンクリアランス50mL/min未満の腎機能障害患者[血液透析を行っていない場合、アスナプレビルの血中濃度が上昇する恐れがある]。

  2. B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者[再活性化する恐れがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 肝機能障害、肝予備能低下が現れ、肝不全に至ることがあるので、投与中は肝機能検査を毎週実施し、肝機能の悪化が認められた場合には、より頻回に検査を行い、投与を中止するなど適切な処置を行う。また、肝酵素上昇の有無にかかわらず、黄疸、腹水、肝性脳症等を伴う肝不全が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。総ビリルビン値が基準値上限5倍を超えて上昇又はALT値が基準値上限10倍を超えて上昇(GPT値が基準値上限10倍を超えて上昇)した場合、もしくは総ビリルビン及びALTが基準値上限の2倍及び5倍を超えて同時に上昇(総ビリルビン及びGPTが基準値上限の2倍及び5倍を超えて同時に上昇)した場合には、直ちに投与を中止し、再投与しない。

  2. 動物実験で、ダクラタスビルによる胚致死作用・胎仔致死作用及び催奇形性作用等、及びベクラブビルによる出生仔低体重が報告されており、胎児等への影響が疑われるので、妊娠する可能性のある婦人への投与に際しては、次の点に留意する[1)本剤の投与に際しては、妊娠検査を行い、妊娠していないことを確認する、2)患者には、本剤が胎児等に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し理解させ、本剤投与中及び投与終了後5週間は適切な避妊を徹底するよう指導する(なお、アスナプレビルは、エチニルエストラジオール含有製剤(経口避妊薬)の血中濃度を低下させる恐れがある)、3)本剤投与中に妊娠が確認された場合又は疑われた場合には、直ちに投与を中止する]。

  3. B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性)において、C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後、C型肝炎ウイルス量が低下する一方B型肝炎ウイルス再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認し、B型肝炎ウイルス感染の患者又は既往感染者に本剤を投与する場合は、HBV DNA量等のB型肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意する。

  4. 急性腎障害等の腎機能障害が現れることがあるので、定期的に腎機能検査を行うなど、観察を十分に行う。

(相互作用)

ダクラタスビル:CYP3A4及びP糖蛋白(P-gp)の基質である。また、P-gp、有機アニオントランスポーター(OATP)1B1、1B3及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の阻害作用を有する。

アスナプレビル:CYP3A、P-gp及びOATP1B1の基質である。また、CYP2D6、OATP1B1、1B3及びP-gpの阻害作用及びCYP3A4の誘導作用を有する。

ベクラブビル:CYP3A、P-gp及びBCRPの基質であり、P-gp、BCRP、OATP1B1及び1B3の阻害作用、CYP3A4の誘導作用を有する。

  1. 併用禁忌

    1. イトラコナゾール(イトリゾール)、フルコナゾール(ジフルカン)、ホスフルコナゾール(プロジフ)、ボリコナゾール(ブイフェンド)、ミコナゾール(経口剤又は注射剤)(フロリード)、クラリスロマイシン(クラリス)、エリスロマイシン(エリスロシン)、ジルチアゼム(ヘルベッサー)、ベラパミル塩酸塩(ワソラン)、コビシスタットを含有する製剤(スタリビルド、ゲンボイヤ)、テラプレビル(テラビック)[本剤の血中濃度が上昇し肝胆道系の副作用が発現しまた重症化する恐れがある(これらの薬剤のCYP3Aの阻害作用により、本剤の代謝が阻害される)]。
    2. リトナビル(ノービア)、アタザナビル硫酸塩(レイアタッツ)、インジナビル硫酸塩エタノール付加物(クリキシバン)、サキナビルメシル酸塩(インビラーゼ)、ダルナビルエタノール付加物(プリジスタ)、ネルフィナビルメシル酸塩(ビラセプト)、ホスアンプレナビルカルシウム水和物(レクシヴァ)、ロピナビル/リトナビル(カレトラ)、オムビタスビル水和物/パリタプレビル水和物/リトナビル(ヴィキラックス)[本剤の血中濃度が上昇し肝胆道系の副作用が増加しまた重症化する恐れがある(これらの薬剤のCYP3A及び/又はOATP1B1の阻害作用により、本剤の代謝及び/又は本剤の肝臓への取り込みが阻害される)]。
    3. リファンピシン(リファジン)、リファブチン(ミコブティン)、フェニトイン(アレビアチン)、ホスフェニトインナトリウム水和物(ホストイン)、カルバマゼピン(テグレトール)、フェノバルビタール(フェノバール)、デキサメタゾン全身投与(デカドロン)、モダフィニル(モディオダール)、エファビレンツ(ストックリン)、エトラビリン(インテレンス)、ネビラピン(ビラミューン)、ボセンタン水和物(トラクリア)、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)[本剤の血中濃度が低下し治療効果を減弱させる恐れがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進される)]。
    4. シクロスポリン(サンディミュン)[アスナプレビルの血中濃度が上昇する恐れがあり、アスナプレビルの肝臓への取り込みが減少し本剤の治療効果を減弱させる恐れがある(シクロスポリンのOATP1B1の阻害作用によりアスナプレビルの肝臓への取り込みが阻害される)]。
    5. フレカイニド(タンボコール)、プロパフェノン(プロノン)[これらの薬剤の血中濃度が上昇し不整脈が起こる恐れがある(アスナプレビルのCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤(治療域が狭いCYP2D6の基質)の代謝が阻害される)]。
  2. 併用注意

    1. ロスバスタチン[ロスバスタチンの血中濃度が上昇するので、併用する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する(本剤のOATP1B1及び1B3、BCRP阻害作用により、ロスバスタチンの肝臓への取り込み、肝臓及び腸からの排泄が阻害される)]。
    2. アトルバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン[これらの薬剤の血中濃度が上昇するので、注意する(本剤のOATP1B1及び1B3阻害作用により、これらの薬剤の肝臓への取り込みが阻害される)]。
    3. デキストロメトルファン臭化水素酸塩、メトプロロール[これらの薬剤の血中濃度が上昇するので、本剤とこれらの薬剤を併用する場合には、患者の状態を十分に観察し、必要に応じてこれらの薬剤の減量を考慮する(アスナプレビルのCYP2D6阻害作用により、これらの薬剤の代謝が阻害される)]。
    4. ジゴキシン[ジゴキシンの血中濃度が上昇するので、ジゴキシンを併用する場合には、ジゴキシンの血中濃度をモニタリングし、投与量を調節する(本剤のP-gp阻害作用により、ジゴキシンのバイオアベイラビリティが増加及び/又は排泄が阻害される)]。
    5. ミダゾラム[ミダゾラムの血中濃度が低下するので、注意する(本剤のCYP3A4誘導作用により、ミダゾラムの代謝が促進される)]。
    6. オメプラゾール、エスシタロプラム、セルトラリン[これらの薬剤の血中濃度が低下するので、注意する(本剤のCYP2C19誘導作用により、これらの薬剤の代謝が促進される可能性がある)]。
    7. エチニルエストラジオール含有製剤(エチニルエストラジオール含有経口避妊薬)[エチニルエストラジオールの血中濃度が低下する恐れがある(本剤のCYP3A4の誘導作用により、エチニルエストラジオールの代謝が促進される)]。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない(また、妊娠する可能性のある婦人に対しては、本剤投与中及び投与終了後5週間は適切な避妊を徹底するよう指導する)[動物実験(ラット及びウサギ)で、ダクラタスビルの臨床用量におけるヒト曝露量の25倍(ラット)及び72倍(ウサギ)に相当する曝露量で、胚致死作用・胎仔致死作用及び催奇形性が認められており、ヒト曝露量の4.6倍(ラット)及び16倍(ウサギ)に相当する曝露量では、胚・胎仔への影響は認められなかったが、ベクラブビルの臨床用量におけるヒト曝露量の85倍(ラット)及び29倍(ウサギ)に相当する曝露量で出生仔低体重が認められている。ヒト曝露量の13倍(ラット)及び12倍(ウサギ)に相当する曝露量では、出生仔への影響は認められなかった]。

  2. 授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させる[動物実験(ラット)で、乳汁中に移行することが報告されている]。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性及び有効性は確立していない[使用経験がない]。

(過量投与)

本剤の過量投与に対する解毒剤はないので、過量投与時の処置には、バイタルサインのモニタリングや臨床症状の観察等の一般的な支持療法を行う(本剤の成分はいずれも分子量が大きく血漿蛋白結合率が高いため、透析は本剤の血中濃度減少に有効ではない)。

(適用上の注意)

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。