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エムトリバカプセル200mg
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効果・効能

HIV-1感染症。

用法・用量

通常、成人にはエムトリシタビンとして1回200mgを1日1回経口投与する。なお、投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 本剤の有効成分であるエムトリシタビンを含む製剤と併用しないこと。
    1. 腎機能障害のある患者では本剤の血中濃度が上昇するので、腎機能の低下に応じて、次の投与方法を目安とする〔9.2.1、16.6.1参照〕[1)クレアチニンクリアランス(CLcr)50mL/min以上:本剤1カプセルを1日1回投与、2)クレアチニンクリアランス(CLcr)30~49mL/min:本剤1カプセルを2日間に1回投与、3)クレアチニンクリアランス(CLcr)15~29mL/min:本剤1カプセルを3日間に1回投与、4)クレアチニンクリアランス(CLcr)15mL/min未満:本剤1カプセルを4日間に1回投与、5)血液透析患者:本剤1カプセルを4日間に1回投与、透析日に投与する場合は、透析後投与]。
    1. 核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)3剤のみを用いる一部の治療は、NRTI2剤に非核酸系逆転写酵素阻害薬又はHIV-1プロテアーゼ阻害薬を併用する3剤併用療法と比べて、概して効果が低いことが報告されているので、NRTI3剤のみによる治療で効果が認められない場合には他の組み合わせを考慮すること。
    1. 本剤の薬剤耐性を含むウイルス学的特性はラミブジンと類似しているので、本剤とラミブジンを含む製剤を併用しないこと。また、ラミブジンを含む抗HIV療法においてウイルス学的効果が得られず、HIV-1逆転写酵素遺伝子のM184V/I変異が認められた場合、ラミブジンを本剤に変更することのみで効果の改善は期待できない。

副作用

次の副作用が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)(頻度不明):乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は肝細胞毒性が疑われる検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること(特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること)。本剤を含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)が、女性に多く報告されている。

    1. その他の副作用
    1. 代謝及び栄養障害:(2%以上)高脂血症(2.8%)、(2%未満)食欲減退、体脂肪再分布/体脂肪蓄積、高コレステロール血症、高血糖。
    2. 精神障害:(2%未満)神経過敏、不安、うつ病、リビドー減退、感情不安定。
    3. 神経系障害:(2%以上)浮動性めまい(9.3%)、頭痛(5.3%)、不眠症(5.0%)、異常な夢(3.1%)、錯感覚(2.2%)、(2%未満)前庭障害、ニューロパシー、傾眠、末梢性ニューロパシー、思考異常。
    4. 胃腸障害:(2%以上)下痢(10.7%)、悪心(8.1%)、腹痛(6.0%)、消化不良(2.9%)、嘔吐(2.2%)、(2%未満)鼓腸、便秘、胃炎、腹部膨満、口臭、口内乾燥、胃腸障害。
    5. 皮膚及び皮下組織障害:(2%以上)発疹(3.8%)、(2%未満)皮膚変色、皮膚そう痒症、皮膚乾燥、多汗症、脂漏、帯状疱疹。
    6. 筋骨格系及び結合組織障害:(2%未満)筋肉痛、関節痛、背部痛。
    7. 一般・全身障害及び投与部位の状態:(2%以上)無力症(4.8%)、疼痛(2.1%)、(頻度不明)倦怠感、発熱。
    8. 臨床検査:(2%以上)AST増加(3.1%)、ALT増加(2.9%)、血中アミラーゼ増加(2.4%)、CK増加(2.2%)、(2%未満)Al-P増加。
    9. その他:(2%以上)白血球減少症(3.6%)、(2%未満)血管拡張、感染、インフルエンザ症候群。

使用上の注意

(警告)

B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがあるので注意すること〔9.1.1参照〕。

(禁忌)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又はそれに代わる適切な者に次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
  1. 1.1. 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化についてはすべて担当医に報告すること。

  2. 1.2. 本剤の長期投与による影響については現在のところ不明であること。

    1. 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築炎症反応症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。
    1. アジア系人種における本剤の薬物動態は十分検討されていないが、少数例の健康成人及びB型慢性肝炎のアジア系人種において、Cmax上昇を示唆する成績が得られているので、HBV感染症合併患者を含め、副作用の発現に注意すること。
    1. エムトリシタビン製剤の臨床試験において皮膚変色が発現し、その発現頻度は有色人種で高いことが示唆されている。その原因は現在のところ不明である。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. B型肝炎ウイルス感染を合併している患者:本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがある〔1.警告の項参照〕。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 中等度腎機能障害及び重度腎機能障害のある患者:本剤の血中濃度が上昇する〔7.2、16.6.1参照〕。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

(授乳婦)

授乳を避けさせること(エムトリシタビンのヒト乳汁への移行が報告されており、また、女性のHIV感染症患者は、乳児のHIV感染を避けるため、乳児に母乳を与えないことが望ましい)。

(小児等)

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

(高齢者)

患者の肝、腎及び心機能の低下、合併症、併用薬等を十分に考慮すること。

(過量投与)

    1. 処置

    過量投与時、本剤は血液透析により一部除去される〔16.6.1参照〕。

(取扱い上の注意)

開栓後は、湿気を避けて保存すること。

(保管上の注意)

室温保存。