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ビラセプト錠250mg
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効果・効能

HIV感染症。

用法・用量

ネルフィナビルとして1回1250mgを1日2回、又は1回750mgを1日3回食後に経口投与する。なお、投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用する。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

  1. 本剤の使用法を必要以上に変更又は中止すると副作用の発現やHIVの耐性化を促進する恐れがある[プロテアーゼ阻害剤に対するHIVの交差耐性については十分な検討がなされていないので、本剤の投与中止後に投与されるプロテアーゼ阻害剤の活性に対してどのように影響するかは不明である]。

  2. ジダノシンは食間に投与されることとされているので、ジダノシンと本剤を併用する場合は、ジダノシンの投与と2時間以上の間隔を空けて投与する。

副作用

海外での臨床試験において、1,177例中965例(82%)に副作用が認められ、主なものは、下痢、嘔気、腹部膨満感、後天性リポジストロフィー、頭痛、脱力感、腹痛、発疹等であった。また、国内での臨床試験及び製造販売後調査において、総症例1,430例中831例(58%)に副作用が認められ、主なものは、下痢、発疹、高トリグリセリド血症、高脂血症等であった(再審査終了時の集計)。

  1. 重大な副作用

    1. 糖尿病、血糖値の上昇(1.6%):本剤の投与により、糖尿病、糖尿病悪化及び血糖値上昇が報告されており、その中には重篤な症例やケトアシドーシスを伴う症例も報告されているので、このような症状が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
    2. 出血傾向(1.3%):血友病患者において、本剤の投与による加療中に、脳内出血、縦隔内出血の発現が報告されており、また、関節内出血、皮下出血等の出血事象増加が報告されているので、このような症状が現れた場合には適切な処置を行う(また必要に応じて、血液凝固因子の投与などの処置を行う)。
  2. その他の副作用:次のような症状が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行う(次の頻度は海外の臨床試験、国内の臨床試験及び製造販売後調査等より算出した)。

    1. 全身:(2%以上)後天性リポジストロフィー(体脂肪再分布/体脂肪蓄積;胸部脂肪増加、体幹部脂肪増加、末梢部脂肪減少、野牛肩)(6.3%)、(2%未満)悪液質、疼痛、体重減少、体重増加、倦怠感、発熱、背部痛、胸部痛、悪寒、疲労感、頭痛、脱力感。
    2. 循環器:(2%未満)血管拡張、浮腫、頻脈、末梢性浮腫、動悸、(頻度不明)QT延長、Torsade de Pointes。
    3. 消化器:(2%以上)下痢(44.7%)、嘔気(8.1%)、腹部膨満感(5.2%)、腹痛(4.0%)、嘔吐(2.4%)、(2%未満)おくび、胃炎、嚥下障害、便秘、口渇、口内炎、直腸異常、食欲亢進、便異常、舌異常、排便障害、口腔内違和感、鼓腸、消化不良、食欲不振、膵炎。
    4. 血液、リンパ系:(2%未満)白血球減少、リンパ節腫脹、好中球減少、貧血、血小板減少症。
    5. 代謝、栄養系:(2%以上)高脂血症(5.0%)、高トリグリセリド血症(4.8%)、高尿酸血症(2.0%)、(2%未満)高コレステロール血症。
    6. 肝臓:(2%未満)ALT上昇(GPT上昇)、AST上昇(GOT上昇)、CK上昇(CPK上昇)、γ-GTP上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇、Al-P上昇、肝機能障害、肝炎。
    7. 筋骨格系:(2%未満)筋肉痛、関節痛、下肢痙攣。
    8. 精神神経系:(2%未満)抑うつ、傾眠、不眠、情緒不安、不安、異常思考、睡眠異常、健忘症、混乱、多動、眩暈。
    9. 呼吸器:(2%未満)咽頭炎、呼吸困難。
    10. 皮膚:(2%以上)発疹(7.0%)、(2%未満)斑丘疹、発汗、皮膚乾燥、皮膚異常、毛包炎、ざ瘡、蕁麻疹、皮膚そう痒感、(頻度不明)多形紅斑。
    11. 感覚器:(2%未満)味覚異常、視覚異常、眼異常、嗅覚異常、味覚喪失、感覚異常。
    12. 泌尿器:(2%未満)尿異常、頻尿、血尿、排尿障害。
    13. 生殖器:(2%未満)月経異常、インポテンス。

使用上の注意

(禁忌)

  1. 本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある患者。

  2. トリアゾラム投与中、ミダゾラム投与中、アルプラゾラム投与中、ピモジド投与中、バッカク誘導体投与中、アミオダロン塩酸塩投与中及びキニジン硫酸塩水和物投与中の患者。

  3. リファンピシン投与中の患者。

  4. エレトリプタン臭化水素酸塩投与中の患者。

  5. エプレレノン投与中の患者。

(慎重投与)

  1. 肝機能障害のある患者[代謝機能の低下により、高い血中濃度が持続する恐れがある]。

  2. 血友病患者及び著しい出血傾向を有する患者[血友病患者において、本剤投与による加療中に、脳内出血、縦隔内出血の発現が報告されており、また、関節内出血、皮下出血等の出血事象増加が報告されている]。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤の使用に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用する。

    1. 本剤はHIV感染症の根治療法薬でないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告する。
    2. 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明である。
    3. 本剤による治療が、性的接触又は血液汚染等による他者へのHIV感染の危険を減少させることは明らかではない。
    4. 本剤は必ず食後に服用する(空腹時に服用すると吸収が約50%減少する)。
    5. 本剤の抗ウイルス効果を最大にするために、医師への相談なしで、本剤の服用を変更したり、中止しない。
  2. 最も頻度の高い副作用は下痢であり、下痢の発現機序については本剤の腸管運動亢進作用が示唆されている(海外の二重盲検比較試験において下痢を発現した463症例のうち、195例(42%)にロペラミドが投与されており、また、国内の臨床試験において、ロペラミドやタンニン酸製剤などの投与により、下痢が改善若しくは消失したとの報告がある)。なお、下痢発現例と非発現例において、血中濃度に有意な差は認められておらず、本剤の有効性には影響は認められていない。

  3. 国内での臨床試験(38例)において、発疹が6例(15.8%)及び斑丘疹が3例(7.9%)発現している。これらの発現日は本剤の投与を開始してから、平均10日後(7~13日後及び9~10日後)である;本剤に起因すると考えられる発疹及び斑丘疹が発現した場合には、本剤の投与を中止し、他の適切な療法を行う(なお、やむを得ず本剤の投与を再開する場合には、発疹、斑丘疹が軽快したことを確認のうえ、慎重に投与する)。

  4. 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ぶどう膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮する)。

  5. 抗HIV薬の使用により、体脂肪再分布/体脂肪蓄積が現れることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行う。

(相互作用)

本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2C19で代謝され、また、CYP3A4の阻害作用を持つ。

  1. 併用禁忌

    1. トリアゾラム(ハルシオン等)、ミダゾラム(ドルミカム等)、アルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス等)、ピモジド(オーラップ)、バッカク誘導体、アミオダロン塩酸塩(アンカロン等)、キニジン硫酸塩水和物[本剤のチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合により、これら薬剤の代謝が抑制され、重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象(QT延長・Torsade de Pointes等の不整脈や持続的な鎮静)が起こる可能性がある]。
    2. リファンピシン(アプテシン、リファジン、リマクタン等)[本剤の血中濃度が20~30%に低下する(リファンピシンの投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおくことが望ましい)]。
    3. エレトリプタン臭化水素酸塩(レルパックス)[エレトリプタンの血中濃度が上昇する可能性がある]。
    4. エプレレノン(セララ)[エプレレノンの血中濃度が上昇する可能性がある]。
  2. 併用注意

    1. インジナビル硫酸塩エタノール付加物、サキナビルメシル酸塩[本剤及びこれら薬剤の血中濃度が上昇する(両剤の併用による安全性及び有効性は確立していない)]。
    2. リトナビル[本剤の血中濃度が上昇する(両剤の併用による安全性及び有効性は確立していない)]。
    3. ホスアンプレナビルカルシウム水和物[本剤の血中濃度が上昇しアンプレナビルの血中濃度が変動する(両剤の併用による安全性及び有効性は確立していない)]。
    4. デラビルジンメシル酸塩[本剤の血中濃度が約2倍に上昇しデラビルジンの血中濃度が約30%低下する]。
    5. リファブチン[本剤の血中濃度が低下しリファブチンの血中濃度が上昇するため、リファブチンの投与量を半量以下に減量する]。
    6. エチニルエストラジオール又はノルエチステロンを含む経口避妊薬[これら薬剤の血中濃度が低下するため、本剤投与中は他の避妊法の追加又は変更を行う]。
    7. フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン[本剤の血中濃度を低下させる恐れがあり、これら薬剤の血中濃度が変動する可能性がある]。
    8. シンバスタチン[シンバスタチンのAUCが約6倍に上昇するとの報告があり、横紋筋融解症、ミオパシー等の副作用が発現する恐れがあることから、本剤とシンバスタチンとの併用は避けることが望ましい]。
    9. アトルバスタチンカルシウム水和物[アトルバスタチンのAUCが約1.7倍に上昇するとの報告がある]。
    10. タクロリムス、シクロスポリン、エベロリムス[これら薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある]。
    11. セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する恐れがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意する]。
    12. アジスロマイシン水和物[アジスロマイシンの血中濃度が約2倍に上昇するとの報告がある]。
    13. ボリコナゾール[本剤及びボリコナゾールの血中濃度が上昇する恐れがある]。
    14. オメプラゾール[本剤の血中濃度が低下する恐れがある]。
    15. CYP3A4の基質となる薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、タダラフィル、フルチカゾンプロピオン酸エステル、トラゾドン塩酸塩等)[これら薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある]。

(高齢者への投与)

高齢者における安全性及び有効性は確立していない[一般に高齢者では生理機能が低下しているので、注意する]。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。

  2. 本剤服用中は授乳を中止させる[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている]。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

(過量投与)

本剤の過剰量をごく短時間に服用した症例の報告は殆どない。本剤の特別な解毒法はないので、過剰に投与した場合、吸収されていない薬剤は嘔吐、胃洗浄又は活性炭で除去する(本剤は蛋白結合率が高いため、血中からの除去法として透析は不適切である)。

(その他の注意)

  1. ラットを用いた癌原性試験(2年間)において、甲状腺濾胞上皮増殖性病変(甲状腺濾胞上皮過形成、甲状腺濾胞上皮腺腫、甲状腺濾胞上皮腺癌)が、300mg/kg投与の雄及び1000mg/kg投与の雌雄で発現したとの報告がある。

  2. 本剤投与中に、本剤の添加物に由来する青色の残渣が、便中に観察されることがある。

(保管上の注意)

本剤は吸湿しやすいので、開栓後防湿。