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ユニタルク胸膜腔内注入用懸濁剤4g
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ユニタルク胸膜腔内注入用懸濁剤4gの添付文書

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効果・効能

1.  悪性胸水の再貯留抑制。
1.  外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸。

(効能又は効果に関連する注意)

本剤は腹水の減少を目的として使用しないこと。

用法・用量

通常、成人には、本剤(4g/バイアル)を日局生理食塩液50mLで懸濁して、胸膜腔内に注入する。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 〈効能共通〉両側肺の胸膜腔内に本剤を同時投与した場合、また、片側胸膜腔内に本剤を投与した後、本剤を対側胸膜腔内に投与した場合の有効性及び安全性は確立していない。
    1. 〈効能共通〉本剤と他の胸膜癒着剤との併用投与に関する有効性及び安全性は確立していない。
    1. 〈悪性胸水の再貯留抑制〉同側肺の胸膜腔内に本剤を追加投与(ドレナージチューブ抜管前)又は再投与した場合の有効性及び安全性は確立していない。
    1. 〈外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸〉効果不十分と判断され、ドレナージチューブ抜管前に同側肺の胸膜腔内に本剤を追加投与する場合には、7日間以上の間隔をあけて1回4gを1回のみ追加注入すること。
    1. 〈外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸〉再発時に本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は確立していない。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 急性呼吸窮迫症候群(頻度不明):急速に進行する呼吸困難、低酸素症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には適切な処置を行うこと〔1.警告、8.重要な基本的注意の項、9.1.1、9.1.2参照〕。

  2. 1.2. 間質性肺疾患(頻度不明):咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること(間質性肺疾患が疑われた場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)〔9.1.2参照〕。

  3. 1.3. ショック、アナフィラキシー(頻度不明)。

    1. その他の副作用
    1. 感染症:(1~10%未満)肺炎、皮膚感染、感染、(頻度不明)創傷感染、敗血症。
    2. 新生物:(1~10%未満)癌疼痛。
    3. 代謝・栄養:(1~10%未満)食欲減退、低アルブミン血症。
    4. 精神・神経:(1~10%未満)頭痛、(頻度不明)錯乱状態。
    5. 心・血管:(1~10%未満)低血圧、潮紅、(頻度不明)うっ血性心不全、徐脈性不整脈。
    6. 呼吸器:(1~10%未満)呼吸困難、胸膜痛、低酸素症、口腔咽頭痛、(頻度不明)呼吸不全、呼吸抑制、肺水腫、膿胸、肺塞栓症、気胸。
    7. 消化器:(1~10%未満)便秘、下痢、痔核、悪心、嘔吐。
    8. 肝・胆道系:(1~10%未満)肝機能異常。
    9. 皮膚・皮下組織:(頻度不明)皮膚そう痒症、皮下気腫。
    10. 筋骨格:(1~10%未満)背部痛、筋骨格硬直。
    11. 全身・投与局所:(10%以上)発熱(37.9%)、疼痛、(1~10%未満)倦怠感、胸部不快感、胸痛、熱感、非心臓性胸痛、(頻度不明)異物肉芽腫。
    12. 臨床検査:(10%以上)CRP増加(46.6%)、(1~10%未満)ALT増加、AST増加、LDH増加、Al-P増加、アルブミン減少、カリウム増加、血小板数増加、カリウム減少、BUN増加、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、体重減少、白血球数増加。
    13. その他:(1~10%未満)ドレーン留置部位合併症。

使用上の注意

(警告)

本剤の投与により急性呼吸窮迫症候群があらわれ、死亡に至った例も報告されている(急速に進行する呼吸困難等の臨床症状に注意するとともに、胸部X線検査の実施等、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと)〔8.重要な基本的注意の項、9.1.1、9.1.2、11.1.1参照〕。

(禁忌)

本剤又はタルクに対し過敏症の既往歴のある患者。

(重要な基本的注意)

胸膜生検と同時又は直後に本剤を胸膜腔内に注入することは避けること(呼吸不全等が発現するおそれがある)〔1.警告の項、9.1.1、11.1.1参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 肺機能障害のある患者又は心機能障害のある患者:呼吸不全等が発現するおそれがある〔1.警告、8.重要な基本的注意の項、11.1.1参照〕。

  2. 1.2. 間質性肺疾患のある患者:間質性肺疾患が増悪するおそれがある。また、間質性肺疾患のある続発性難治性気胸患者では急性呼吸窮迫症候群が発現する可能性が高くなるおそれがある〔1.警告の項、11.1.1、11.1.2参照〕。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(ヒトでの乳汁中への移行は不明である)。

(小児等)

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

(過量投与)

    1. 症状

    10gを超えるタルクを投与した場合に、急性呼吸不全(急性呼吸窮迫症候群等)の発現率が高くなることが報告されている。

    1. 処置

    過量投与時、本剤は日局生理食塩液による洗浄によって部分的に除去することが可能である。

(適用上の注意)

    1. 薬剤調製時の注意

    本剤の使用にあたっては、「取扱い方法」を熟読すること。

    1. 薬剤投与時の注意
  1. 2.1. 注入前 1. 〈効能共通〉本剤は胸膜腔内注入のみに使用し、他のいかなる注射経路(静脈内、筋肉内、皮下、皮内等)にも投与しないこと。また、本剤を懸濁液としないで直接胸膜腔内に噴霧する方法では、使用しないこと。 1. 〈効能共通〉懸濁液の吸引及び注入には、添付の採液針及びシリンジを用いること。 1. 〈効能共通〉十分な胸水又は胸膜腔内の空気のドレナージを行い、十分な肺の再膨張を認めた後に本剤を胸膜腔内に注入すること。 1. 〈悪性胸水の再貯留抑制〉悪性胸水の再貯留抑制の場合、胸水のドレナージには、薬液注入用の側管付き胸部排液用カテーテルを用いること。 1. 〈外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸〉外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸の場合、排気のためのドレナージには、薬液注入用の側管付き胸部排気用カテーテルを用いること。

  2. 2.2. 注入時 1. 本剤の懸濁液は、注入直前によく振とうし、本剤の粒子を分散させること。 1. 懸濁液を胸膜腔内に緩徐に注入すること。

  3. 2.3. 注入後 1. 〈悪性胸水の再貯留抑制〉悪性胸水の再貯留抑制の場合、カテーテルの薬液注入用の側管より、懸濁液注入と同じ注入速度で、日局生理食塩液50mLを用いてフラッシュし、カテーテルをクランプすること。 1. 〈悪性胸水の再貯留抑制〉悪性胸水の再貯留抑制の場合、クランプ後、懸濁液を胸膜腔内に行き渡らせるように、可能な姿勢の範囲で15分毎に、クランプを外すまで患者の体位を変換することが望ましい。 1. 〈悪性胸水の再貯留抑制〉悪性胸水の再貯留抑制の場合、注入2時間後にクランプを開放し、低圧持続吸引器を用いて陰圧(目安:-10cmH2O)で胸水を持続吸引し、1日の排液量が150mL以下(目安)になったら抜管すること。 1. 〈外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸〉続発性難治性気胸の場合、カテーテルの薬液注入用の側管より、懸濁液注入と同じ注入速度で、日局生理食塩液50mLを用いてフラッシュする(低圧持続吸引器により懸濁液が排液されない程度に陰圧をかける)。 1. 〈外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸〉外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸の場合、懸濁液を胸膜腔内に行き渡らせるように、可能な姿勢の範囲で30分毎に体位を変換することが望ましい。 1. 〈外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸〉外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸の場合、注入2時間後に胸膜癒着療法終了とし、陰圧(目安:-20cmH2O)で排気のため持続吸引し、ドレーンから気漏の消失がみられたら抜管する。 1. 〈効能共通〉バイアルは1回限りの使用とし、使用後は廃棄すること。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報

    コルチコステロイドを全身投与されている患者では、胸膜癒着が起こりにくいことが報告されている。

(取扱い方法)

《包装》本剤には、懸濁液の吸引及び注入のために専用の採液針及び胸膜腔内注入専用(他の投与法禁止)の表示があるシリンジ(50mL、青色の押子)を添付している。

【本剤】

・ 製品名「ユニタルク胸膜腔内注入用懸濁剤4g」。

・ バイアル充填。

【採液針】

(ブリスター包装入り)

・ 包装が破損、汚染している場合や、採液針に破損等の異常が認められる場合は使用しないこと。

・ 開封後すぐに使用し、使用後は直ちに安全な方法で廃棄すること。

・ 再使用はしないこと。

(開封時)

・ 採液針を包装から取り出す時及びその後、採液針の注射筒接続口及びバイアル接続部分(特に、針)に触れないようにすること。

【シリンジ】

(ブリスター包装入り)

・ 包装が破損、汚染している場合や、シリンジに破損等の異常が認められる場合は使用しないこと。

・ 開封後すぐに使用し、使用後は直ちに安全な方法で廃棄すること。

・ 再使用はしないこと。

(開封時)

・ シリンジの包装に表示されている開口部側より開き、外筒・押子の方を持ち、包装から取り出すこと。

《懸濁液の調製から注入まで》

①. 本剤に日局生理食塩液50mLを注入して直ちに振とうして懸濁液を調製する。

注意:

・ 以後の操作(「⑤」及び「⑥」)には、注射針を使用しないこと。

・ 懸濁後は、直ちに使用すること。

②. 採液針を本剤の懸濁液が入ったバイアルのゴム栓の中央に、上からまっすぐに押し込み装着する。

注意:

・ 採液針の注射筒接続口及びバイアル接続部分(特に、針)に触れないように取り扱うこと。

③. 採液針にシリンジ(50mL、青色の押子)を装着(ロック接合)する。

注意:

・ シリンジの押子を引いた状態で、採液針とロック接合すること。

・ ロック接合部に緩みがないことを確認してから次の操作を行うこと。

④. バイアルをよく振とうして、本剤の粒子を分散させる。

⑤. バイアルを上下逆にして振とうさせ、ポンピングしながら、懸濁液をシリンジに吸引する。

⑥. シリンジを採液針から外し、薬液注入用の側管付き胸部排液用(又は排気用)カテーテルの側管に装着(ロック接合)後、懸濁液を胸膜腔内に緩徐に注入する。

注意:

・ 本剤の粒子が沈降している場合、シリンジを振とうして粒子を分散させながら注入すること。

・ シリンジを保持しながら、シリンジの押子を下に押すように、本剤の懸濁液を緩徐に注入すること。

⑦. 〈悪性胸水の再貯留抑制〉その後、同じ側管より、懸濁液注入と同じ注入速度で、日局生理食塩液50mLを用いてフラッシュし、カテーテルをクランプする。

〈外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸〉その後、同じ側管より、懸濁液注入と同じ注入速度で、日局生理食塩液50mLを用いてフラッシュする。低圧持続吸引器により懸濁液が排液されない程度に陰圧をかける。

(保管上の注意)

室温保存。