処方薬
オキサリプラチン点滴静注液200mg「テバ」
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オキサリプラチン点滴静注液200mg「テバ」の添付文書

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効果・効能

  1. 治癒切除不能な進行・再発の結腸癌、治癒切除不能な進行・再発の直腸癌。

  2. 結腸癌における術後補助化学療法。

  3. 治癒切除不能な膵癌。

  4. 胃癌。

  5. 小腸癌。

(効能・効果に関連する使用上の注意)

  1. 国内での結腸癌の術後補助化学療法に関する検討は行われていない。

  2. 結腸癌の術後補助化学療法においては、臨床試験の投与対象及び病期ごとの結果を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行う。

  3. 治癒切除不能な膵癌の場合、患者の病期、全身状態、UGT1A1(イリノテカン塩酸塩水和物の活性代謝物(SN-38)の主な代謝酵素の一分子種である)遺伝子多型等について、添付文書の【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行う。

  4. 治癒切除不能な膵癌に対して、本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。

用法・用量

治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌及び結腸癌における術後補助化学療法にはA法又はB法を、治癒切除不能な膵癌及び小腸癌にはA法を、胃癌にはB法を使用する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  1. A法:他の抗悪性腫瘍剤との併用において、オキサリプラチンとして85mg/㎡(体表面積)を1日1回静脈内に2時間で点滴投与し、少なくとも13日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。

  2. B法:他の抗悪性腫瘍剤との併用において、オキサリプラチンとして130mg/㎡(体表面積)を1日1回静脈内に2時間で点滴投与し、少なくとも20日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

  1. 本剤の用法・用量は、添付文書の【臨床成績】の項の内容を熟知した上で、本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤に応じて選択する。

  2. 結腸癌の術後補助化学療法において、レボホリナート及びフルオロウラシルの静脈内持続投与法との併用では投与期間が12サイクルを超えた場合、カペシタビンとの併用では投与期間が8サイクルを超えた場合の有効性及び安全性は確立していない(投与経験がない)。

  3. 胃癌の術後補助化学療法において、カペシタビンとの併用では8サイクルを超えた場合の有効性及び安全性は確立していない(投与経験がない)。

  4. 他社が実施した国内臨床第1相試験において、単剤では130mg/㎡(体表面積)の耐容性が認められているが、オキサリプラチンを単剤で用いた場合は、その有用性は確立していない。

  5. 他社が実施した国内臨床第1/2相試験において、オキサリプラチンは、レボホリナート及びフルオロウラシルの急速静脈内投与法での併用療法は、耐容性が認められているが、その有用性は確立していない。

  6. 本剤を5%ブドウ糖注射液に注入し、250~500mLとして、静脈内に点滴投与する。

  7. 本剤の調製に際しては、配合変化に注意する。

    1. 本剤は、錯化合物であるので、他の抗悪性腫瘍剤とは混合調製しない。
    2. 本剤は塩化物含有溶液により分解するため、生理食塩液等の塩化物を含む輸液との配合を避ける。
    3. 本剤は塩基性溶液により分解するため、塩基性溶液との混和あるいは同じ点滴ラインを用いた同時投与は行わない。
    4. 本剤のような白金化合物は、アルミニウムとの接触により分解することが報告されているため、本剤の調製時あるいは投与時にアルミニウムが用いられている機器(注射針等)は使用しない。
  8. 米国のオキサリプラチン製剤の添付文書中には、オキサリプラチンとホリナート及びフルオロウラシルの静脈内持続投与法との併用療法(国内において、ホリナート注射剤の「結腸・直腸癌に対するフルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強」に関する効能・効果は承認されていない)を行う場合、次のような投与スケジュール(FOLFOX4法)を2週毎に行うことが推奨されるとの記載がある。

    第1日目:別々のバッグから5%ブドウ糖注射液250~500mLに溶解した本剤85mg/㎡及び5%ブドウ糖注射液に溶解したホリナート200mg/㎡(レボホリナート100mg/㎡に相当する)を120分かけて同時に点滴静注する。その後フルオロウラシル400mg/㎡を2~4分間で急速静脈内投与し、引き続き5%ブドウ糖注射液500mL(推奨)に溶解したフルオロウラシル600mg/㎡を22時間かけて持続静注する。

    第2日目:ホリナート200mg/㎡(レボホリナート100mg/㎡に相当する)を120分かけて点滴静注し、その後フルオロウラシル400mg/㎡を2~4分間で急速静脈内投与、引き続き5%ブドウ糖注射液500mL(推奨)に溶解したフルオロウラシル600mg/㎡を22時間かけて持続静注する。

    また、米国のオキサリプラチン製剤の添付文書中には、次の投与可能条件、減量基準の記載がある。

    1. 2サイクル目以降の投与可能条件(投与予定日に確認し、当該条件を満たす状態へ回復するまで投与を延期する):好中球数1500/mm3以上、血小板数75000/mm3以上[米国の添付文書中の記載]。
    2. 減量基準(前回の投与後に発現した有害事象により判断する)
      1. 好中球数の最悪時の程度:好中球数500/mm3未満で治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の場合、次回投与量:本剤を65mg/㎡に減量、フルオロウラシルを20%減量(300mg/㎡の急速静脈内投与及び500mg/㎡の22時間持続静注)[米国の添付文書中の記載]。
      2. 好中球数の最悪時の程度:好中球数500/mm3未満で結腸癌における術後補助化学療法の場合、次回投与量:本剤を75mg/㎡に減量、フルオロウラシルを20%減量(300mg/㎡の急速静脈内投与及び500mg/㎡の22時間持続静注)[米国の添付文書中の記載]。
      3. 発熱性好中球減少症で治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の場合、次回投与量:本剤を65mg/㎡に減量、フルオロウラシルを20%減量(300mg/㎡の急速静脈内投与及び500mg/㎡の22時間持続静注)[米国の添付文書中の記載]。
      4. 発熱性好中球減少症で結腸癌における術後補助化学療法の場合、次回投与量:本剤を75mg/㎡に減量、フルオロウラシルを20%減量(300mg/㎡の急速静脈内投与及び500mg/㎡の22時間持続静注)[米国の添付文書中の記載]。
      5. 血小板数の最悪時の程度:血小板数50000/mm3未満で治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の場合、次回投与量:本剤を65mg/㎡に減量、フルオロウラシルを20%減量(300mg/㎡の急速静脈内投与及び500mg/㎡の22時間持続静注)[米国の添付文書中の記載]。
      6. 血小板数の最悪時の程度:血小板数50000/mm3未満で結腸癌における術後補助化学療法の場合、次回投与量:本剤を75mg/㎡に減量、フルオロウラシルを20%減量(300mg/㎡の急速静脈内投与及び500mg/㎡の22時間持続静注)[米国の添付文書中の記載]。
      7. Grade3以上の消化器系有害事象(予防的治療の施行にもかかわらず発現)で治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の場合(Grade3:NCI-CTC version2.0(1998年))、次回投与量:本剤を65mg/㎡に減量、フルオロウラシルを20%減量(300mg/㎡の急速静脈内投与及び500mg/㎡の22時間持続静注)[米国の添付文書中の記載]。
      8. Grade3以上の消化器系有害事象(予防的治療の施行にもかかわらず発現)で結腸癌における術後補助化学療法の場合(Grade3:NCI-CTC version1(1982年))、次回投与量:本剤を75mg/㎡に減量、フルオロウラシルを20%減量(300mg/㎡の急速静脈内投与及び500mg/㎡の22時間持続静注)[米国の添付文書中の記載]。
  9. カペシタビンとの併用療法(XELOX法)を行う場合には、次の投与可能条件及び減量基準を参考にする。

    1. XELOX法を行う場合の2サイクル目以降の投与可能条件(投与予定日に確認し、当該条件を満たす状態へ回復するまで投与を延期する):好中球数1500/mm3以上、血小板数75000/mm3以上。
    2. XELOX法を行う場合の減量基準:前回の投与後に発現したGrade3以上の有害事象(Grade3:CTCAE version3.0(2003年))、次回投与量:1回目発現時は本剤を100mg/㎡に減量、2回目発現時は本剤を85mg/㎡に減量。
  10. イリノテカン塩酸塩水和物、レボホリナート、フルオロウラシルとの併用療法(FOLFIRINOX法)を行う場合には、次の投与可能条件、減量基準及び減量時の投与量を参考にする。

    1. FOLFIRINOX法を行う場合の2サイクル目以降の投与可能条件(投与予定日に確認し、当該条件を満たす状態へ回復するまで投与を延期するとともに、「減量基準」及び「減量時の投与量」を参考に、投与再開時に減量する):好中球数1500/mm3以上、血小板数75000/mm3以上。
    2. FOLFIRINOX法を行う場合の減量基準:前回の投与後にいずれかの程度に該当する副作用が発現した場合は、該当する毎に、次の減量方法に従って、投与レベルを1レベル減量する(「減量時の投与量」を参考にする)、また、いずれかの程度に該当する好中球減少又は血小板減少が発現した場合は、以降のフルオロウラシル急速静脈内投与を中止する。

      1. 好中球減少

        次のいずれかの条件を満たす場合

        ①.FOLFIRINOX法を行う場合で2サイクル目以降の好中球数の投与可能条件を満たさず投与を延期した場合:イリノテカン塩酸塩水和物を優先的に減量する(但し、イリノテカン塩酸塩水和物の投与レベルが本剤より低い場合は、イリノテカン塩酸塩水和物と同じレベルになるまで本剤を減量する)。

        ②.FOLFIRINOX法を行う場合で好中球減少(500/mm3未満が7日以上持続)が発現した場合:イリノテカン塩酸塩水和物を優先的に減量する(但し、イリノテカン塩酸塩水和物の投与レベルが本剤より低い場合は、イリノテカン塩酸塩水和物と同じレベルになるまで本剤を減量する)。

        ③.FOLFIRINOX法を行う場合で感染症又は下痢を併発し、かつ好中球減少(1000/mm3未満)が発現した場合:イリノテカン塩酸塩水和物を優先的に減量する(但し、イリノテカン塩酸塩水和物の投与レベルが本剤より低い場合は、イリノテカン塩酸塩水和物と同じレベルになるまで本剤を減量する)。

        ④.FOLFIRINOX法を行う場合で発熱性好中球減少症が発現した場合:イリノテカン塩酸塩水和物を優先的に減量する(但し、イリノテカン塩酸塩水和物の投与レベルが本剤より低い場合は、イリノテカン塩酸塩水和物と同じレベルになるまで本剤を減量する)。

      2. 下痢

        ①.FOLFIRINOX法を行う場合で発熱(38℃以上)を伴う下痢が発現した場合:イリノテカン塩酸塩水和物を優先的に減量する(但し、イリノテカン塩酸塩水和物の投与レベルが本剤より低い場合は、イリノテカン塩酸塩水和物と同じレベルになるまで本剤を減量する)。

        ②.FOLFIRINOX法を行う場合で下痢(Grade3以上)が発現した場合:フルオロウラシル持続静注を減量する。

      3. 血小板減少

        次のいずれかの条件を満たす場合

        ①.FOLFIRINOX法を行う場合で2サイクル目以降の血小板数の投与可能条件を満たさず投与を延期した場合:本剤を優先的に減量する(但し、本剤の投与レベルがイリノテカン塩酸塩水和物より低い場合は、本剤と同じレベルになるまでイリノテカン塩酸塩水和物を減量する)。

        ②.FOLFIRINOX法を行う場合で血小板減少(50000/mm3未満)が発現した場合:本剤を優先的に減量する(但し、本剤の投与レベルがイリノテカン塩酸塩水和物より低い場合は、本剤と同じレベルになるまでイリノテカン塩酸塩水和物を減量する)。

      4. 総ビリルビン上昇

        ①.FOLFIRINOX法を行う場合で総ビリルビン上昇(2.0mg/dL超3.0mg/dL以下)が発現した場合:イリノテカン塩酸塩水和物を120mg/㎡に減量する。

        ②.FOLFIRINOX法を行う場合で総ビリルビン上昇(3.0mg/dL超)が発現した場合:イリノテカン塩酸塩水和物を90mg/㎡に減量する。

      5. FOLFIRINOX法を行う場合で粘膜炎(Grade3以上)が発現した場合:フルオロウラシル持続静注を減量する。

      6. FOLFIRINOX法を行う場合で手足症候群(Grade3以上)が発現した場合:フルオロウラシル持続静注を減量する。

        FOLFIRINOX法を行う場合の減量基準において、複数の副作用が発現した場合は、薬剤毎に減量が最大となる基準を適用する。

        Grade:CTCAE version4.0(2009年)。

    3. FOLFIRINOX法を行う場合の減量時の投与量(本剤85mg/㎡、イリノテカン塩酸塩水和物180mg/㎡、フルオロウラシル持続静注2400mg/㎡で投与を開始した場合)

      投与レベル-1:本剤65mg/㎡、イリノテカン塩酸塩水和物150mg/㎡、フルオロウラシル持続静注1800mg/㎡。

      投与レベル-2:本剤50mg/㎡、イリノテカン塩酸塩水和物120mg/㎡、フルオロウラシル持続静注1200mg/㎡。

      投与レベル-3:本剤中止、イリノテカン塩酸塩水和物中止、フルオロウラシル持続静注中止。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. 末梢神経症状:手感覚異常又は手知覚不全、足感覚異常又は足知覚不全や口唇周囲部感覚異常又は口唇周囲部知覚不全(末梢神経症状)、咽頭喉頭絞扼感(咽頭喉頭感覚異常)が現れるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行う。末梢神経症状の悪化や回復遅延が認められると、手しびれ、足しびれ等しびれて文字を書きにくい、ボタンをかけにくい、飲み込みにくい、歩きにくい等の感覚性機能障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、感覚性の機能障害が現れた場合には減量、休薬、中止等の適切な処置を行う。
    2. ショック、アナフィラキシー:発疹、そう痒、気管支痙攣、呼吸困難、血圧低下等を伴うショック、アナフィラキシーが現れることがあるので、観察を十分に行い、過敏症状(気管支痙攣、呼吸困難、血圧低下等)が認められた場合には、投与を直ちに中止し適切な処置を行う。
    3. 間質性肺炎、肺線維症:間質性肺炎、肺線維症が現れることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行う。
    4. 骨髄機能抑制:汎血球減少、血小板減少、白血球減少、好中球減少、発熱性好中球減少症、貧血が現れることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬、中止等の適切な処置を行う。
    5. 溶血性尿毒症症候群:血小板減少、溶血性貧血、腎不全を主徴とする溶血性尿毒症症候群が現れることがあるので、定期的に血液検査及び腎機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    6. 薬剤誘発性血小板減少症:免疫学的機序を介した血小板減少症が現れることがあるので、紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等の症状を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    7. 溶血性貧血:免疫学的機序を介したクームス試験陽性の溶血性貧血が現れることがあるので、黄疸等の症状を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    8. 視野欠損、視野障害、視神経炎、視力低下:視野欠損、視野障害、視神経炎、視力低下等の視覚障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    9. 血栓塞栓症:血栓塞栓症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    10. 心室性不整脈、心筋梗塞:心室性不整脈、心筋梗塞が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    11. 肝静脈閉塞症:肝静脈閉塞症(VOD)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。また、肝静脈閉塞症等の肝障害による門脈圧亢進、食道胃静脈瘤、脾腫、血小板減少症の発症に注意する。
    12. 急性腎障害:間質性腎炎、尿細管壊死等により、急性腎障害等の重篤な腎障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、腎機能検査値異常(BUN値異常、血清クレアチニン値異常等)が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    13. 白質脳症(可逆性後白質脳症症候群を含む):白質脳症(可逆性後白質脳症症候群を含む)が現れることがあるので、歩行時のふらつき、舌のもつれ、痙攣、頭痛、錯乱、視覚障害等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    14. 高アンモニア血症:意識障害を伴う高アンモニア血症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    15. 横紋筋融解症:横紋筋融解症が現れることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意する。
    16. 難聴:難聴、耳鳴等が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。
    17. 感染症:肺炎、敗血症等の感染症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。
    18. 肝機能障害:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬、中止等の適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:次の副作用が現れることがあるので、異常が認められた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。

    1. 精神神経系:(頻度不明)味覚異常、頭痛、眩暈、不眠、神経痛、頭重感、浮動性眩暈、コリン作動性症候群、振戦、回転性眩暈、傾眠、うつ病、こわばり、硬直、失神、不安、構語障害、筋骨格硬直、記憶障害、筋骨格系胸痛、深部腱反射欠損、不全失語症、失調、神経過敏、レルミット徴候、脳神経麻痺、線維束攣縮、不随意性筋収縮、脳神経障害。
    2. 消化器:(頻度不明)*悪心[*:処置として制吐剤等の投与を行う]、下痢、*嘔吐[*:処置として制吐剤等の投与を行う]、食欲不振、口内炎、便秘、しゃっくり、腹痛、胃部不快感、歯肉炎、腸閉塞、上腹部痛、メレナ、胃痛、腹部膨満感、下腹部痛、腹部不快感、大腸炎、歯周病、胃炎、歯肉出血、粘膜炎症、歯痛、心窩部不快感、口内乾燥、腹水、う歯、胃腸障害、肛門周囲痛、鼓腸、膵炎、胃食道逆流性疾患、胃腸音異常、痔核、下部消化管出血、口腔内痛、食道炎、直腸炎、しぶり腹、消化不良、歯異常、腸内ガス、胃重圧感、腸壁気腫症、門脈ガス血症、消化管壊死。
    3. 腎臓:(頻度不明)クレアチニン上昇、蛋白尿、BUN上昇、血尿、尿糖、尿沈渣異常、尿ウロビリノーゲン異常、頻尿、腎機能障害、膀胱炎、側腹部痛、排尿困難、尿失禁、尿量減少。
    4. 肝臓:(頻度不明)Al-P上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇。
    5. 血液:(頻度不明)白血球増加、プロトロンビン時間延長、白血球分画変動、血小板増加。
    6. 循環器:(頻度不明)高血圧、低血圧、動悸、ほてり、頻脈、血管障害、上室性不整脈、アダムス・ストークス症候群。
    7. 呼吸器:(頻度不明)呼吸困難、鼻出血、咳嗽、鼻咽頭炎、上気道感染、発声障害、咽頭炎、嗄声、鼻粘膜障害、低酸素症、息切れ、喀血、肺障害。
    8. 電解質:(頻度不明)血清カリウム異常、血清ナトリウム異常、血清カルシウム異常、血清クロル異常、血中リン減少。
    9. :(頻度不明)流涙、視覚障害、結膜炎、眼球周囲痛、眼そう痒感、眼乾燥、眼瞼下垂、涙器障害、眼異常感、涙道閉塞、白内障。
    10. 皮膚:(頻度不明)脱毛、手足症候群、皮膚色素沈着、潮紅、顔面潮紅、多汗、皮膚乾燥、皮膚剥脱、口唇炎、爪障害、顔面ほてり、爪囲炎、皮膚障害、皮下出血、寝汗、ざ瘡様皮膚炎、ヘルペス性皮膚炎、皮膚色素変化、紫斑。
    11. 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒症、蕁麻疹、薬物過敏症、紅斑、アレルギー性鼻炎、気管支痙攣、鼻炎、紅斑性皮疹、血管浮腫。
    12. 投与部位:(頻度不明)注射部位反応、血管痛、血管炎、注射部位血管外漏出。
    13. その他:(頻度不明)倦怠感、疲労、発熱、アルブミン減少、CRP上昇、浮腫、感染、体重減少、総蛋白減少、末梢性浮腫、高血糖、感冒、脱水、コレステロール上昇、関節痛、悪寒、胸部不快感、アミラーゼ上昇、背部痛、四肢痛、筋痛、鼻汁、出血、胸痛、尿路感染、腰痛、CK上昇(CPK上昇)、熱感、カテーテル関連感染、胸部圧迫感、臀部痛、疼痛、筋脱力、骨痛、代謝性アシドーシス、体重増加、乳汁漏出症、代謝障害、膣出血、下肢異常感、戦慄、多臓器不全、腫瘍穿孔。

使用上の注意

(警告)

  1. 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施する。適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の添付文書を参照して十分注意する。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与する。

  2. 本剤投与後数分以内の発疹、そう痒、気管支痙攣、呼吸困難、血圧低下等を伴うショック、アナフィラキシーが報告されているので、患者の状態を十分に観察し、過敏症状(気管支痙攣、呼吸困難、血圧低下等)が認められた場合には、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行う(また、回復後は本剤を再投与しない)。

  3. 本剤はレボホリナート及びフルオロウラシルの静脈内持続投与法等との併用の場合に有用性が認められており、用法・用量を遵守する。また、本併用療法において致死的転帰に至る重篤な副作用が現れることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には、速やかに適切な処置を行う。なお、本剤の使用にあたっては、添付文書を熟読のこと。

(禁忌)

  1. 機能障害を伴う重度の感覚異常又は機能障害を伴う重度の知覚不全のある患者[末梢神経症状が増悪する恐れがある]。

  2. 本剤の成分又は他の白金を含む薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。

  3. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性。

(慎重投与)

  1. 骨髄機能抑制のある患者[骨髄機能抑制が増悪する恐れがある]。

  2. 感覚異常又は知覚不全のある患者[末梢神経症状が増悪する恐れがある]。

  3. 重篤な腎機能障害のある患者[腎機能が低下しているので、副作用が強く現れる恐れがある]。

  4. 心疾患を有する患者[心疾患が増悪する恐れがある]。

  5. 感染症を合併している患者[本剤の骨髄機能抑制作用により、感染症が増悪する恐れがある]。

  6. 水痘患者[致命的全身障害が現れる恐れがある]。

  7. 高齢者。

  8. 小児。

(重要な基本的注意)

  1. 手感覚異常又は手知覚不全、足感覚異常又は足知覚不全や口唇周囲部感覚異常又は口唇周囲部知覚不全等(末梢神経症状)が、本剤の投与直後からほとんど全例に現れ、また、咽頭喉頭絞扼感(咽頭喉頭感覚異常)が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行う。患者に対しては、これらの末梢神経症状、咽頭喉頭感覚異常は、特に低温又は冷たいものへの曝露により誘発又は悪化すること、多くは本剤の投与毎に現れるが休薬により回復する場合が多いことを十分に説明するとともに、冷たい飲み物や氷の使用を避け、低温時には皮膚を露出しないよう指導する。

  2. 末梢神経症状の悪化や回復遅延が認められると、手しびれ、足しびれ等しびれて文字を書きにくい、ボタンをかけにくい、飲み込みにくい、歩きにくい等の感覚性機能障害(外国では累積投与量850mg/㎡で10%、1020mg/㎡で20%に認められたと報告されている)が現れることがあるので、患者の状態を十分に観察し、感覚性の機能障害が現れた場合には減量、休薬、中止等の適切な処置を行う。

  3. 骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的経過をたどることがあるので、定期的に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬、中止等の適切な処置を行う。

  4. 腎障害患者では、本剤の限外濾過血漿中白金のクリアランスが減少するが、限外濾過血漿中白金濃度と臨床における安全性及び有効性との薬力学的関係は明確ではないため、腎障害のある患者に本剤を投与する場合には、観察を十分に行い、発現する副作用に対して適切な処置を行う。

  5. 気管支痙攣、呼吸困難、血圧低下等の重篤な過敏症状が現れることがあり、重篤な過敏症状は本剤を複数回投与した後に発現する場合や、本剤の投与から数時間後に発現する場合があるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には直ちに中止し適切な処置を行う。

  6. 感染症の発現又は感染症増悪、出血傾向の発現又は出血傾向増悪に十分注意する。

  7. 悪心、嘔吐、食欲不振等の消化器症状がほとんど全例に起こるので、患者の状態を十分に観察し、適切な処置を行う。

  8. 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮する。

  9. 治癒切除不能な進行・再発の胃癌、小腸癌に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」等)を熟読する。

(相互作用)

併用注意:他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射[骨髄機能抑制等を増強することがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を十分に観察し、必要に応じて減量するか又は投与間隔を延長する(併用により殺細胞作用が増強される)]。

(高齢者への投与)

高齢者では、一般に生理機能(骨髄機能、肝機能、腎機能等)が低下しているので、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しない(また、妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導する)[動物実験(ラット)において着床期胚に対する致死作用及び胎仔発育遅滞が報告されている]。

  2. パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導する[細菌を用いた復帰突然変異試験、ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験及びマウス骨髄細胞を用いた小核試験において、遺伝毒性が報告されている]。

  3. 授乳婦に投与する場合には授乳を中止させる[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている]。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

(過量投与)

本剤の過量投与時の解毒剤は知られていない(過量投与時に予期される主な症状は、血小板減少等の骨髄機能抑制、末梢神経症状、悪心、嘔吐、下痢等であり、過量投与が行われた場合には症状に応じた支持療法を行う)。

(適用上の注意)

  1. 調製時

    1. 本剤は15℃以下で保存した場合、結晶を析出することがあるので、析出した場合は振盪するなどして、溶解させた後に使用する。
    2. 本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚、眼、粘膜に薬液が付着した場合には、直ちに多量の流水でよく洗い流す。
    3. 本剤は、錯化合物であるので、他の抗悪性腫瘍剤とは混合調製しない。
    4. 本剤を5%ブドウ糖注射液に注入し、250~500mLとする。
    5. 本剤は塩化物含有溶液により分解するため、生理食塩液等の塩化物を含む輸液との配合を避ける。
    6. 本剤は塩基性溶液により分解するため、塩基性溶液との混和あるいは同じ点滴ラインを用いた同時投与は行わない。
    7. 本剤のような白金化合物は、アルミニウムとの接触により分解することが報告されているため、本剤の調製時あるいは投与時にアルミニウムが用いられている機器(注射針等)は使用しない。
  2. 投与経路:本剤は必ず希釈した後、点滴静脈内投与とし、皮下、筋肉内には投与しない。

  3. 投与時

    1. 本剤は希釈後、できるだけ速やかに投与する。
    2. 静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に硬結・壊死を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないように慎重に投与する。

(その他の注意)

  1. 本剤のがん原性試験は実施していないが、細菌を用いた復帰突然変異試験陽性、ほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験陽性及びマウス骨髄細胞を用いた小核試験陽性の結果が報告されており、がん原性を有する可能性がある。

  2. 本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用により、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、神経内分泌癌等の二次性悪性腫瘍が発生したとの報告がある。

  3. 単回静脈内投与によるサル安全性薬理試験並びに毒性試験において、9.1mg/kg以上の用量で、投与後QTc延長や心筋壊死が観察されたとの報告がある。

  4. 欧州などで実施された原発巣治癒切除後のStage2又は3の結腸癌を対象とした第3相臨床試験において、肝酵素上昇がオキサリプラチンとホリナート及びフルオロウラシルの静脈内持続投与法との併用療法(FOLFOX4法)の投与群で57%(629/1,108例)、ホリナート及びフルオロウラシルの静脈内持続投与法(LV5FU2法)の投与群で34%(379/1,111例)、アルカリホスファターゼ上昇がFOLFOX4投与群で42%(467/1,108例)、LV5FU2投与群で20%(222/1,111例)と、いずれもFOLFOX4投与群で高頻度に発現することが報告されている。

(取扱い上の注意)

  1. 薬液が皮膚に付着した場合には、直ちに石鹸及び多量の流水で洗い流す。

  2. 包装開封後もバイアルを箱に入れて保存する。

  3. 15℃以下での保存は推奨されない。

  4. 安定性試験結果の概要:長期保存試験(25℃、相対湿度60%、2年)の結果、オキサリプラチン点滴静注液200mg「NIG」は通常の市場流通下において2年間安定であることが確認された。