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ブレオ注射用15mg
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ブレオ注射用15mgの添付文書

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効果・効能

皮膚癌、頭頸部癌(上顎癌、舌癌、口唇癌、咽頭癌、喉頭癌、口腔癌等)、肺癌(特に原発性及び転移性肺扁平上皮癌)、食道癌、悪性リンパ腫、子宮頸癌、神経膠腫、甲状腺癌、胚細胞腫瘍(精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍)。

用法・用量

    1.  静脈内注射

        通常成人には、ブレオマイシン塩酸塩として15mg~30mg(力価)を生理食塩液又は、ブドウ糖液等の適当な静脈用注射液約5~20mLに溶解し、緩徐に静注する。

        発熱の著しい場合は1回量を5mg(力価)又はそれ以下とする。
    1.  筋肉内注射、皮下注射

        通常成人には、ブレオマイシン塩酸塩として15mg~30mg(力価)を生理食塩液等の適当な溶解液約5mLに溶解し、筋注又は皮下注する。患部の周辺に皮下注射する場合はブレオマイシン塩酸塩として1mg(力価)/1mL以下の濃度とする。
    1.  動脈注射

        通常成人には、ブレオマイシン塩酸塩として5mg~15mg(力価)を生理食塩液又はブドウ糖液等の適当な注射液に溶解し、シングルショット又は連続的に注射する。
    1.  注射の頻度

        1週2回を原則とし、症状に応じて1日1回(連日)ないし1週間1回に適宜増減する。
    1.  総投与量

        ブレオマイシン塩酸塩の総投与量は腫瘍の消失を目標とし、300mg(力価)以下とする。ただし、胚細胞腫瘍に対し、確立された標準的な他の抗癌剤との併用療法にあっては360mg(力価)以下とする。
    1.  小児への投与

        小児の胚細胞腫瘍、悪性リンパ腫に対しては、次記の用法・用量で投与する。

        ブレオマイシン塩酸塩として、1回10mg~20mg(力価)/㎡(体表面積)を1~4週間ごとに静脈内投与する。ただし、1回量として成人の最大用量(30mg)を超えないこと。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 〈効能共通〉本剤は副作用発現の個人差が著しく、比較的少量の投与でも副作用があらわれることがある(なお、投与にあたっては、患者の状態・症状に応じて低用量から開始すること)。
    1. 〈効能共通〉経路を重複して投与した場合、結果的に投与量が増加することに留意すること。

    再評価時の結果では、間質性肺炎又は肺線維症等の肺症状は、総投与量150mg(力価)以下6.5%、総投与量151~300mg(力価)10.2%、総投与量301mg(力価)以上18.8%と総投与量の増加に伴い発現率の増加が認められた。

    1. 〈効能共通〉ペプロマイシンを投与された患者に対するブレオマイシンの投与量は、原則として投与されたペプロマイシン量とブレオマイシン量の和でもって総投与量とすること。ペプロマイシンの投与を受けた患者及び他のブレオマイシン製剤の投与を受けた患者に本剤を投与した場合、毒性が相加することが考えられる。
    1. 〈胚細胞腫瘍〉胚細胞腫瘍に対し確立された標準的な他の抗癌剤との併用療法における本剤の投与頻度は、原則として週1回とすること。
    1. 〈胚細胞腫瘍〉胚細胞腫瘍に対し確立された標準的な他の抗癌剤との併用療法を適用することにより、やむを得ず300mg(力価)を超える場合には、間質性肺炎又は肺線維症等の肺症状の発現率が高まる可能性があるので注意すること〔11.1.1参照〕。
    1. 〈胚細胞腫瘍〉確立された標準的な他の抗癌剤との併用療法(BEP療法(ブレオマイシン塩酸塩、エトポシド、シスプラチン併用療法))においては、併用薬剤の電子添文も参照すること。
    1. 〈悪性リンパ腫〉悪性リンパ腫の患者に対する1~2回目の投与時にショックが発現することが多いので、初回及び2回目の投与量を5mg(力価)以下の量で開始し、急性反応が起こらないことを確かめた後に通常の用量に増量すること〔11.1.2参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 間質性肺炎・肺線維症(10%):肺機能検査で異常が認められた場合、あるいは咳嗽、労作性呼吸困難、捻髪音(ラ音)等の肺症状があらわれた場合は、直ちに投与を中止し、副腎皮質ホルモンの投与と適切な抗生物質等による治療を行うこと〔1.1、7.5、8.1-8.3参照〕。

  2. 1.2. ショック(0.1%未満)〔7.7参照〕。

  3. 1.3. 出血(2%):癌病巣の急速な壊死により、出血することがあるので注意すること。

    1. その他の副作用
    1. 過敏症:(1~10%未満*)発疹、蕁麻疹、発熱を伴う紅皮症。
    2. 皮膚:(10%以上*)脱毛、皮膚肥厚、皮膚色素沈着、爪変形・爪変色、(頻度不明)皮膚強皮症様変化、scratch dermatitis。
    3. 消化器:(10%以上*)食欲不振、悪心・嘔吐、口内炎、(1~10%未満*)口角炎、(1%未満*)下痢。
    4. 肝臓:(1%未満*)肝障害。
    5. 泌尿器:(1%未満*)乏尿、排尿痛、頻尿、残尿感。
    6. 血液:(10%以上*)貧血、血小板減少、(1%未満*)白血球減少。
    7. 精神神経系:(1~10%未満*)頭痛、(1%未満*)めまい。
    8. 投与部位

      ①. 静注:(1%未満*)静脈壁肥厚・静脈壁狭窄[このような場合は投与部位を変更するか、筋肉内注射すること]。

      ②. 筋注・局注:(1%未満*)硬結。

    9. その他:(10%以上*)発熱[発熱は投与後4~5時間あるいはさらに遅れて発現することがあり、発熱と1回投与量との間には用量反応性があるので、発熱が強い場合には投与量を減量し、投与間隔を短縮するか、本剤投与前後に抗ヒスタミン剤、解熱剤を投与するなど適切な処置を行うこと]、倦怠感、(1%未満*)腫瘍部位の疼痛。

      *)発現頻度は市販後調査を含む。

使用上の注意

(警告)

    1. 本剤の投与により間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を呈することがあり、ときに致命的経過をたどることがあるので、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与し、投与中及び投与終了後の一定期間(およそ2ヵ月位)は患者を医師の監督下におくこと。

    特に60歳以上の高齢者及び肺に基礎疾患を有する患者への投与に際しては、使用上の注意に十分留意すること。労作性呼吸困難、発熱、咳、捻髪音(ラ音)、胸部レントゲン異常陰影、A-aDO2異常・PaO2異常・DLCO異常などの初期症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.1-8.3、11.1.1参照〕。

    1. 本剤を含む抗癌剤併用療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、癌化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。

(禁忌)

    1. 重篤な肺機能障害、胸部レントゲン写真上びまん性の線維化病変及び胸部レントゲン写真上著明な病変を呈する患者[肺機能障害、線維化病変等が増悪することがある]〔9.1.1参照〕。
    1. 本剤の成分及び類似化合物(ペプロマイシン)に対する過敏症の既往歴のある患者。
    1. 重篤な腎機能障害のある患者〔9.2.1参照〕。
    1. 重篤な心疾患のある患者[循環機能が低下し、間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある]〔9.1.3参照〕。
    1. 胸部及びその周辺部への放射線照射を受けている患者〔10.1参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. 間質性肺炎又は肺線維症の発現は、肺に基礎疾患を有する患者や60歳以上の高齢者の場合には、総投与量150mg(力価)以下でも発現頻度が高いので十分な注意を要する〔1.1、9.1.1、9.8高齢者の項、11.1.1参照〕。
    1. 本剤の投与にあたっては、発熱、咳、労作性呼吸困難等の臨床症状の観察を十分に行い、胸部レントゲン検査異常及び捻髪音(ラ音)の有無を検討し、可能な施設においては肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、動脈血酸素分圧(PaO2)、一酸化炭素拡散能(DLCO)などの検査を行い、投与中及び投与後およそ2ヵ月位までについても検査を定期的に行うこと〔1.1、11.1.1参照〕。
    1. A-aDO2、PaO2などの検査は可能な限り1週に1度測定し、A-aDO2が2週連続して拡大、又はPaO2が2週連続して低下したときには投与を中止する。具体的にはA-aDO2が投与前値より10Torr以上悪化、PaO2が投与前値より10Torr以上悪化したときは、他の臨床症状とあわせて十分な観察を行い、副作用の疑いのある場合には、直ちに投与を中止し、ステロイド等の投与を開始し、また、DLCOの投与前値の15%以上の低下をみたときは同様の処置を行うこと。

    なお、投与前に肺機能検査値低下のみられる患者にやむを得ず投与を必要とする場合には、慎重に経過を観察するとともに、肺機能検査値低下がみられたときは直ちに本剤の投与を中止すること〔1.1、11.1.1参照〕。

    1. 使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。
    1. 感染症の発現又は感染症増悪・出血傾向の発現又は出血傾向増悪に十分注意すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 肺障害(重篤な肺障害・胸部レントゲン上びまん性線維化及び著明な病変除く)の既往歴又は合併症がある患者:間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある〔2.1、8.1参照〕。

  2. 1.2. 胸部に放射線照射を受けた患者:間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある。

  3. 1.3. 心疾患(重篤な心疾患を除く)のある患者:副作用が強くあらわれるおそれがある〔2.4参照〕。

  4. 1.4. 水痘患者:致命的全身障害を起こすおそれがある。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 重篤な腎機能障害患者:投与しないこと(排泄機能が低下し、間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある)〔2.3参照〕。

  2. 2.2. 腎機能障害(重篤な腎機能障害を除く)患者:副作用が強くあらわれるおそれがある。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:副作用が強くあらわれるおそれがある。

(生殖能を有する者)

小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい(動物実験(マウス、ラット)で催奇形性が報告されている)。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(ヒト乳汁中への移行は不明である)。

(小児等)

  1. 7.1. 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

  2. 7.2. 小児に投与する場合には、副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。

(高齢者)

60歳以上の高齢者では、間質性肺炎又は肺線維症が発現しやすい(間質性肺炎又は肺線維症等の重篤な肺症状の発現率は、50歳未満5.9%、50歳代8.1%、60歳代10.9%、70歳以上15.5%と年齢が高くなるに従い高かった)〔8.1参照〕。

(相互作用)

    1. 併用禁忌

    胸部及びその周辺部への放射線照射〔2.5参照〕[間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある(ともに間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を誘発する作用を有する)]。

    1. 併用注意
    1. 抗悪性腫瘍剤、放射線照射[間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状等を起こすことがある(ともに間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を誘発する作用を有する)]。
    2. 頭頸部放射線照射[口内炎・口角炎が増悪することがあり、また、咽喉頭粘膜に炎症を起こし嗄声があらわれることがある(ともに粘膜の炎症を誘発する作用を有する)]。

(適用上の注意)

    1. 薬剤投与時の注意
  1. 1.1. 静脈内投与時:血管内投与により血管痛を起こすことがあるので、注射濃度、注射速度に十分注意すること。静脈内に投与する場合には、できるだけ緩徐に投与すること。

  2. 1.2. 筋肉内投与時:筋肉内に投与する場合には、組織・神経などへの影響を避けるため次記の点に注意すること。

    ・ 筋肉内投与により、投与部位の硬結をきたすことがある。なお、特に筋肉内投与時同一部位への反復注射は行わないこと。また、新生児、低出生体重児、乳児、小児には特に注意すること。

    ・ 筋肉内投与時神経走行部位を避けるよう注意すること。

    ・ 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報

    外国で本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用により、心筋梗塞、脳梗塞等が発現したとの報告がある。

    1. 非臨床試験に基づく情報

    動物実験(ラット)の皮下投与において、線維肉腫・腎癌が認められたとの報告がある。

(保管上の注意)

2~8℃保存。