処方薬
アラノンジー静注用250mg
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アラノンジー静注用250mgの添付文書

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効果・効能

再発又は難治性の次記疾患:再発又は難治性のT細胞急性リンパ性白血病、再発又は難治性のT細胞リンパ芽球性リンパ腫。

用法・用量

通常、成人には、ネララビンとして1500mg/㎡(体表面積)を1日1回2時間以上かけて点滴静注する。これを1、3、5日目に投与し、その後16日間休薬する。21日間を1クールとして、繰り返す。

通常、小児には、ネララビンとして650mg/㎡(体表面積)を1日1回1時間以上かけて点滴静注する。これを5日間連日投与し、その後16日間休薬する。21日間を1クールとして、繰り返す。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 神経毒性は本剤の用量規制因子であり、本剤による治療を受けている患者においては神経系障害の徴候及び症状を注意深く観察し、なお、Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)*のグレード2以上に該当する神経系障害の徴候が認められた場合は、直ちに投与を中止すること〔1.2、11.1.1参照〕。
    1. 他の抗悪性腫瘍薬との併用に関する有効性及び安全性は確立していない。

    *)CTCAE ver.3.0に基づき評価する。ただし、「傾眠/意識レベルの低下」については、NCI-CTC ver.2.0の「意識レベル低下」に従う。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 神経系障害:傾眠(23%)、末梢性ニューロパシー(末梢性感覚性ニューロパシー及び末梢性運動性ニューロパシー)(21%)、感覚減退(17%)、錯感覚(15%)及びてんかん様発作(痙攣、大発作痙攣、てんかん重積状態を含む)(1%)があらわれることがある。また、脱髄、ギラン・バレー症候群に類似した上行性末梢性ニューロパシー、進行性多巣性白質脳症、あるいは致死的てんかん重積状態も報告されている〔1.2、7.1参照〕。

  2. 1.2. 血液障害:貧血(99%)、血小板減少症(86%)、好中球減少症(81%)、発熱性好中球減少症(12%)及び白血球減少症(3%)があらわれることがある[白血球減少症:小児を対象とした海外臨床試験において、10~50%未満に認められた有害事象]〔8.3参照〕。

  3. 1.3. 錯乱状態(8%)。

  4. 1.4. 感染症(39%):敗血症、菌血症、肺炎、真菌感染等の感染症があらわれることがある。本剤投与中に致死的日和見感染をおこすおそれがある。

  5. 1.5. 腫瘍崩壊症候群(1%):高尿酸血症等を伴うことがあるので、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、輸液投与や高尿酸血症治療剤の投与等の適切な処置を行うこと。

  6. 1.6. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。

  7. 1.7. 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(9%)、黄疸(頻度不明):劇症肝炎、AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある[肝機能障害:小児を対象とした海外臨床試験において、10~50%未満に認められた有害事象]〔8.4参照〕。

    1. その他の副作用
    1. 神経:(10~50%未満)めまい、頭痛、(1~10%未満)振戦、運動失調、健忘、味覚異常、平衡障害。
    2. :(1~10%未満)霧視。
    3. 呼吸器:(10~50%未満)胸水、呼吸困難、咳嗽、(1~10%未満)喘鳴。
    4. 消化器:(10~50%未満)下痢、悪心、嘔吐、便秘、(1~10%未満)食欲不振、口内炎、腹痛。
    5. 筋骨格:(10~50%未満)筋痛、(1~10%未満)筋力低下、関節痛、背部痛、四肢痛。
    6. 全身:(10~50%未満)浮腫、末梢性浮腫、疼痛、発熱、疲労、無力症、(1~10%未満)歩行異常。
    7. 皮膚:(1~10%未満)発疹、紅斑。
    8. その他:(1~10%未満)低カリウム血症[低カリウム血症:小児を対象とした海外臨床試験において、10~50%未満に認められた有害事象]、低血糖症[低血糖症:小児を対象とした海外臨床試験に基づく発現頻度]、低カルシウム血症、低マグネシウム血症、血中クレアチニン増加、低血圧、(頻度不明)心室頻拍。

      成人の海外臨床試験で認められた有害事象をもとに発現頻度を記載した。

使用上の注意

(警告)

    1. 本剤の投与は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して、十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
    1. 本剤投与後に、傾眠あるいはより重度の意識レベル変化、痙攣などの中枢神経障害、しびれ感、錯感覚、脱力及び麻痺などの末梢性ニューロパシー、脱髄、ギラン・バレー症候群に類似する上行性末梢性ニューロパシー等の重度神経系障害が報告されており、これらの症状は、本剤の投与を中止しても完全に回復しない場合があるので、神経系障害に対しては特に注意深く観察し、神経系障害の徴候が認められた場合には重篤化するおそれがあるので、直ちに投与を中止するなど、適切な対応を行うこと〔7.1、11.1.1参照〕。

(禁忌)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

(重要な基本的注意)

    1. 免疫機能が抑制された患者への生ワクチン接種により、ワクチン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、本剤投与中に生ワクチンを接種しないこと。
    1. 傾眠が発現することがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。
    1. 血液障害があらわれることがあるので、血小板を含む全血算を定期的にモニタリングすること〔11.1.2参照〕。
    1. 劇症肝炎、肝機能障害及び黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うこと〔11.1.7参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 髄腔内化学療法による治療歴のある患者又は現在髄腔内化学療法による治療中の患者:神経系障害のリスクが高まるおそれがある。

  2. 1.2. 全脳照射の施行歴・全脊髄照射の施行歴のある患者:神経系障害のリスクが高まるおそれがある。

(腎機能障害患者)

腎機能障害患者:本剤及び本剤の活性代謝物である9-β-D-アラビノフラノシルグアニン(ara-G)は一部腎から排泄されるため、腎機能障害のある患者では血中濃度が上昇するおそれがある〔16.5、16.6.3参照〕。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:本剤は主に肝臓で代謝されるため、肝機能障害のある患者では血中濃度が上昇するおそれがある。

(生殖能を有する者)

  1. 4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。

  2. 4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること(マウスリンパ腫細胞を用いたin vitro遺伝子突然変異試験において遺伝毒性が報告されている)。

  3. 4.3. 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること〔15.2.2参照〕。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(妊娠中に本剤を使用するか、本剤を使用中の患者が妊娠した場合は、胎児に異常が生じる可能性があることを患者に十分説明すること)。動物実験において、妊娠7~19日のウサギに本剤を8時間静脈内持続投与した結果、354mg/㎡/日(成人用量の約24%)以上の投与量において、胆嚢無発生、肺分葉異常、胸骨分節癒合又は胸骨分節過剰及び骨化遅延などの胎仔奇形及び胎仔変異の発現が対照群に比べて高い頻度で観察され、また、1180mg/㎡/日以上(成人用量の約79%)の投与量においては欠指(第1指)、3540mg/㎡/日(成人用量の約2倍)の投与量においては口蓋裂、母動物体重増加量減少及び胎仔体重低値がみられた〔9.4.1参照〕。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(本剤又は本剤の活性代謝物であるara-Gがヒトの乳汁中に移行するかどうかは不明である)。

(小児等)

低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

(高齢者)

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(十分な症例数ではないものの海外臨床試験での探索的な分析の結果、65歳以上で神経系障害の発現率が高い傾向がみられている)。

(相互作用)

本剤はアデノシンデアミナーゼによって活性代謝物であるara-Gに変換される。

    1. 併用注意

    アデノシンデアミナーゼ阻害剤(ペントスタチン)[本剤の作用が減弱するおそれがあり、なお、併用した場合の安全性は確認されていないので、アデノシンデアミナーゼ阻害剤との併用は避けることが望ましい(In vitroにおいて併用によりネララビンからara-Gへの変換が阻害されることが示されている)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与により麻痺、昏睡を含む重度神経系障害や骨髄抑制が発現し、場合によっては致死的結果をもたらすおそれもある。

(適用上の注意)

    1. 薬剤調製時の注意
  1. 1.1. 本剤は希釈せずに使用すること。

  2. 1.2. 本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚、眼、粘膜に薬液が付着した場合には、直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。

    1. 薬剤投与時の注意

    本剤は静脈内にのみ投与すること。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報

    類薬において二次性悪性腫瘍が発生したとの報告がある。

    1. 非臨床試験に基づく情報
  1. 2.1. 本剤のがん原性試験は実施していないが、L5178Y/TKマウスリンパ腫細胞を用いた検討において、代謝活性化の有無にかかわらず、遺伝子突然変異誘発作用を示すことが報告されている。

  2. 2.2. 本剤の性腺に対する影響については不明であるが、類薬では動物実験において精巣毒性が認められている〔9.4.3参照〕。

(保管上の注意)

室温保存。