処方薬
5-FU錠50協和
先発

5-FU錠50協和の添付文書

添付文書PDFファイル

PDFファイルを開く

※添付文書のPDFファイルは随時更新しておりますが、常に最新であるとは限りません。予めご了承ください。

効果・効能

次記諸疾患の自覚的及び他覚的症状の緩解:消化器癌(胃癌、結腸癌・直腸癌)、乳癌、子宮頚癌。

用法・用量

1日量フルオロウラシルとして200~300mgを1~3回に分けて連日経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

副作用

承認時及び使用成績調査において、7,302例中、副作用及び臨床検査値異常の発現例は2,401例(発現率32.9%)で、5,050件であった。主な副作用は食欲不振972件(13.3%)、白血球減少702件(9.6%)、嘔気605件(8.3%)、貧血361件(4.9%)、嘔吐291件(4.0%)、血小板減少290件(4.0%)、下痢269件(3.7%)、口内炎169件(2.3%)等であった(再審査終了時)。

  1. 重大な副作用

    1. 激しい下痢が現れ、脱水症状まで至ることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止し、補液等の適切な処置を行う。
    2. 出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎が現れることがあるので、観察を十分に行い、激しい腹痛・激しい下痢等の症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    3. 汎血球減少、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少等の骨髄機能抑制が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行う。
    4. 白質脳症(初期症状:歩行時のふらつき、四肢末端のしびれ感、舌のもつれ等)、また、錐体外路症状、顔面麻痺、言語障害、運動失調、眼振、譫妄、意識障害、見当識障害、記憶力低下、自発性低下、歩行時のふらつき、四肢末端のしびれ感、尿失禁等の精神神経症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には投与を中止する。
    5. 間質性肺炎が現れることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状が現れた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行う。
    6. AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    7. 消化管潰瘍、重症口内炎が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    8. 嗅覚障害(長期投与症例に多い)が現れ、嗅覚脱失まで至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
    9. 注射剤の静脈内投与により、うっ血性心不全、心筋梗塞、安静狭心症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行う。
    10. 注射剤の静脈内投与により、急性腎障害等の重篤な腎障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う(なお、腎障害の知られている抗悪性腫瘍剤(シスプラチン、メトトレキサート等)との併用時には特に注意する)。
    11. 注射剤の静脈内投与により、急性膵炎が現れることがあるので、観察を十分に行い、腹痛、血清アミラーゼ上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    12. 類薬(テガフール製剤)で劇症肝炎等の重篤な肝障害、肝硬変、心室性頻拍、ネフローゼ症候群、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、溶血性貧血が現れることが報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:次記のような副作用が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行う。

    1. 消化器:(5%以上)食欲不振、悪心・嘔吐、(0.1~5%未満)腹部膨満感、下痢、腹痛、(0.1%未満)便秘、味覚異常、口角炎、口渇、胸やけ、(頻度不明)下血、舌炎[消化器潰瘍又は消化器出血が疑われる場合には投与を中止する]。
    2. 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、ビリルビン上昇等の肝機能検査値異常。
    3. 腎臓:(0.1~5%未満)蛋白尿、BUN上昇。
    4. 精神神経系:(0.1~5%未満)倦怠感、(0.1%未満)眩暈、(頻度不明)末梢神経障害(しびれ、知覚異常等)。
    5. 皮膚:(0.1~5%未満)脱毛、皮膚色素沈着、(0.1%未満)皮膚そう痒感、皮膚肥厚、(頻度不明)紅斑、皮膚浮腫、皮膚水疱、皮膚糜爛、手足症候群、爪異常、光線過敏症。
    6. 過敏症:(0.1~5%未満)発疹[投与を中止する]。
    7. 循環器:(0.1%未満)心電図異常(ST上昇、T逆転、不整脈等)、動悸、(頻度不明)胸痛、胸内苦悶。
    8. その他:(0.1~5%未満)発熱、糖尿、(0.1%未満)頭痛、流涙、(頻度不明)低カルシウム血症、耐糖能異常、大球性貧血。

使用上の注意

(警告)

テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤との併用により、重篤な血液障害等の副作用が発現する恐れがあるので、併用を行わない。

(禁忌)

  1. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。

  2. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及びテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中止後7日以内の患者。

(慎重投与)

  1. 骨髄機能抑制のある患者[骨髄機能をより強く抑制する恐れがある]。

  2. 肝障害又は腎障害のある患者[副作用が強く現れる恐れがある]。

  3. 感染症を合併している患者[骨髄機能抑制により感染症が悪化する恐れがある]。

  4. 心疾患又はその既往歴のある患者[症状が悪化する恐れがある]。

  5. 消化管潰瘍又は消化管出血のある患者[症状が悪化する恐れがある]。

  6. 水痘患者[致命的全身障害が現れる恐れがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、定期的(特に投与初期は頻回)に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行う。

  2. 重篤な腸炎等により脱水症状が現れた場合には、補液等の適切な処置を行う。

  3. 感染症の発現又は感染症悪化・出血傾向の発現又は出血傾向悪化に十分注意する。

  4. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中止後、本剤の投与を行う場合は、少なくとも7日以上の間隔をあける。

  5. 小児に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与する。

  6. 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮する。

(相互作用)

  1. 併用禁忌:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン)[早期に重篤な血液障害や下痢・口内炎等の消化管障害等が発現する恐れがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後少なくとも7日以内は本剤を投与しない(ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し、血中フルオロウラシル濃度が著しく上昇する)]。

  2. 併用注意

    1. フェニトイン[構音障害・運動失調・意識障害等のフェニトイン中毒が現れることがある(機序は不明であるが、フェニトインの血中濃度を上昇させる)]。
    2. ワルファリンカリウム[ワルファリンカリウムの作用を増強させることがあるので、凝固能の変動に注意する(機序は不明である)]。
    3. トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤[重篤な骨髄抑制等の副作用が発現する恐れがある(本剤との併用により、トリフルリジンのDNA取り込みが増加する可能性があり、チピラシル塩酸塩がチミジンホスホリラーゼを阻害することにより、本剤の代謝に影響を及ぼす可能性がある)]。
    4. 他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射[骨髄機能抑制・消化管障害等の副作用が増強することがある(副作用が相互に増強される)]。

(高齢者への投与)

高齢者では生理機能が低下していることが多く、特に骨髄機能抑制、消化器障害(激しい下痢、口内炎等)、皮膚障害、精神神経系副作用が現れやすいので、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい[動物実験(ラット、マウス)で口蓋裂、合指症等の催奇形作用が認められている]。

  2. 授乳婦に投与する場合には授乳を中止させる[授乳中の投与に関する安全性は確立していない]。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

(適用上の注意)

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

(その他の注意)

  1. フルオロウラシル系薬剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。

  2. フルオロウラシルの異化代謝酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ欠損(DPD欠損)等の患者がごくまれに存在し、このような患者にフルオロウラシル系薬剤を投与した場合、投与初期に重篤な副作用(口内炎、下痢、血液障害、神経障害等)が発現するとの報告がある。