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ヒュミラ皮下注80mgシリンジ0.8mL
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効果・効能

1.  中等症又は重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)。
1.  関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)。
1.  化膿性汗腺炎。
1.  壊疽性膿皮症。
1.  **既存治療で効果不十分な次記疾患**:①尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、②強直性脊椎炎、③腸管型ベーチェット病、④非感染性中間部ぶどう膜炎、非感染性後部ぶどう膜炎又は非感染性汎ぶどう膜炎。
1.  中等症又は重症の活動期にあるクローン病の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)。

(効能又は効果に関連する注意)

    1. 〈関節リウマチ〉本剤の適用は、原則として既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者に限定すること(ただし、関節の構造的損傷の進展が早いと予想される患者に対しては、抗リウマチ薬による治療歴がない場合でも使用できるが、最新のガイドライン等を参照した上で、患者の状態を評価し、本剤の使用の必要性を慎重に判断すること)〔1.4、1.6参照〕。
    1. 〈化膿性汗腺炎〉切開・排膿等の局所療法や、病変部に合併する感染症に対する抗菌薬投与が適用となる患者には、これらの治療を行っても臨床症状が残る場合に投与すること〔1.5参照〕。
    1. 〈化膿性汗腺炎〉本剤の軽度の化膿性汗腺炎患者における有効性及び安全性は確立していないため、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと〔1.4、17.1.6-17.1.8参照〕。
    1. 〈壊疽性膿皮症〉臨床試験に組み入れられた患者の選択基準、併用された薬剤等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと〔1.4、17.1.9参照〕。
    1. 〈尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬〉少なくとも1種類の既存の全身療法(紫外線療法を含む)で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積(BSA)の10%以上に及ぶ場合に投与すること〔1.4、1.5、1.7参照〕。
    1. 〈尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬〉難治性の皮疹、関節症状又は膿疱を有する場合に投与すること。
    1. 〈強直性脊椎炎〉過去の治療において、既存治療薬(非ステロイド性抗炎症薬等)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること〔1.4、1.5参照〕。
    1. 〈腸管型ベーチェット病〉過去の治療において、既存治療薬(ステロイド又は免疫調節剤等)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること〔1.4、1.5参照〕。
    1. 〈クローン病〉過去の治療において、栄養療法、他の薬物療法(5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド、アザチオプリン等)等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること(なお、寛解維持投与は漫然と行わず経過を観察しながら行うこと)〔1.4、1.5参照〕。
    1. 〈潰瘍性大腸炎〉過去の治療において、他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン等)等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること。ただし、成人の潰瘍性大腸炎においては、本剤よりも先に他の抗TNF製剤による治療を考慮すること(成人患者を対象とした国内臨床試験において主要評価項目の1つである投与8週時の寛解率ではプラセボ群との差は認められていない)〔1.4、1.5、17.1.21参照〕。
    1. 〈潰瘍性大腸炎〉維持投与は漫然と行わず経過を観察しながら行うこと。
    1. 〈非感染性の中間部・後部又は汎ぶどう膜炎〉過去の治療において、既存治療薬(ベーチェット病によるぶどう膜炎ではシクロスポリン等、その他の非感染性ぶどう膜炎では経口ステロイド剤等)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること〔1.4、1.5、1.8参照〕。

用法・用量

〈関節リウマチ〉

通常、成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として40mgを2週に1回、皮下注射する。なお、効果不十分な場合、1回80mgまで増量できる。

〈化膿性汗腺炎〉

通常、成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを、初回投与2週間後に80mgを皮下注射する。初回投与4週間後以降は、40mgを毎週1回又は80mgを2週に1回、皮下注射する。

〈壊疽性膿皮症〉

通常、成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを、初回投与2週間後に80mgを皮下注射する。初回投与4週間後以降は、40mgを毎週1回、皮下注射する。

〈尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬〉

通常、成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に80mgを皮下注射し、以後2週に1回、40mgを皮下注射する。なお、効果不十分な場合には1回80mgまで増量できる。

〈強直性脊椎炎〉

通常、成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として40mgを2週に1回、皮下注射する。なお、効果不十分な場合、1回80mgまで増量できる。

〈腸管型ベーチェット病〉

通常、成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを、初回投与2週間後に80mgを皮下注射する。初回投与4週間後以降は、40mgを2週に1回、皮下注射する。

〈クローン病〉

通常、成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを、初回投与2週間後に80mgを皮下注射する。初回投与4週間後以降は、40mgを2週に1回、皮下注射する。なお、効果が減弱した場合には1回80mgに増量できる。

〈潰瘍性大腸炎〉

成人:

通常、アダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを、初回投与2週間後に80mgを皮下注射する。初回投与4週間後以降は、40mgを2週に1回、皮下注射する。なお、初回投与4週間後以降は、患者の状態に応じて40mgを毎週1回又は80mgを2週に1回、皮下注射することもできる。

小児:

体重40kg以上の場合は、通常、アダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを、初回投与1週間後及び2週間後に80mgを皮下注射する。初回投与4週間後以降は、40mgを毎週1回又は80mgを2週に1回、皮下注射する。

体重25kg以上40kg未満の場合は、通常、アダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に80mgを、初回投与1週間後及び2週間後に40mgを皮下注射する。初回投与4週間後以降は、20mgを毎週1回又は40mgを2週に1回、皮下注射する。

体重15kg以上25kg未満の場合は、通常、アダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に40mgを、初回投与1週間後及び2週間後に20mgを皮下注射する。初回投与4週間後以降は、20mgを2週に1回、皮下注射する。

〈非感染性の中間部、後部又は汎ぶどう膜炎〉

通常、成人にはアダリムマブ(遺伝子組換え)として初回に80mgを、初回投与1週間後に40mgを皮下注射する。初回投与3週間後以降は、40mgを2週に1回、皮下注射する。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 〈効能共通〉メトトレキサート等の抗リウマチ薬と併用する場合は、80mg隔週投与への増量はしないこと。
    1. 〈効能共通〉本剤と他の生物製剤の併用について、有効性及び安全性が確立していないので併用を避けること。
    1. 〈関節リウマチ〉本剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用は行わないこと(海外で実施したプラセボを対照とした臨床試験において、本剤を含む抗TNF製剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用療法を受けた患者では併用による効果の増強は示されておらず、感染症及び重篤な感染症の発現率が本剤を含む抗TNF製剤のみによる治療を受けた患者での発現率と比べて高かった)。
    1. 〈関節リウマチ〉本剤による治療反応は、通常投与開始から12週以内に得られるため、12週以内に治療反応が得られない場合は、現在の治療計画の継続を慎重に再考すること。また、関節リウマチで増量を行っても効果が得られない場合、現在の治療計画の継続を慎重に再考すること。
    1. 〈化膿性汗腺炎〉臨床試験では、投与52週以前に本剤80mgの2週間に1回皮下注射に切り替えた際の有効性及び安全性は検討されていないことから、本剤80mgの2週間に1回皮下注射を開始する時期については、患者の状態を考慮し、慎重に判断すること〔17.1.6参照〕。
    1. 〈壊疽性膿皮症〉本剤による治療反応は、通常投与開始から26週以内に得られるため、26週以内に治療反応が得られない場合は、本剤の治療計画の継続を慎重に再考すること。
    1. 〈強直性脊椎炎〉本剤による治療反応は、通常投与開始から12週以内に得られるため、12週以内に治療反応が得られない場合は、現在の治療計画の継続を慎重に再考すること。また、強直性脊椎炎で増量を行っても効果が得られない場合、現在の治療計画の継続を慎重に再考すること。
    1. 〈尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬〉本剤による治療反応は、通常投与開始から16週以内に得られるため、16週以内に治療反応が得られない場合は、現在の治療計画の継続を慎重に再考すること。また、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬で増量を行っても効果が得られない場合、現在の治療計画の継続を慎重に再考すること。
    1. 〈腸管型ベーチェット病〉12週以内に臨床症状や内視鏡所見等による治療反応が得られない場合は、本剤の継続投与の必要性を慎重に再考すること。
    1. 〈クローン病〉本剤による治療反応は、通常投与開始から4週以内に得られるため、4週時点で臨床症状や内視鏡所見等による治療反応が得られない場合は、本剤の継続投与の必要性を検討し、他の治療法への切替えを考慮すること。また、クローン病の場合、80mgへの増量は、40mgによる治療で効果は認められたものの、維持療法中に効果が減弱した患者に対して行うこと。クローン病で80mgに増量しても効果が得られない場合、本剤の継続投与の必要性を慎重に再考すること。
    1. 〈潰瘍性大腸炎〉本剤による治療反応は、通常投与開始から8週以内に得られるため、8週時点で臨床症状や内視鏡所見等による明らかな改善効果が得られない場合は、本剤の投与を中止すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 重篤な感染症:敗血症(0.3%)、肺炎(2.6%)等の重篤な感染症(細菌、真菌(ニューモシスティス等)、ウイルス等の日和見感染によるもの)があらわれることがある。なお、感染症により死亡に至った症例が報告されている。投与中に重篤な感染症を発現した場合は、感染症がコントロールできるようになるまでは投与を中止すること〔1.1、1.2.1、2.1、8.1、9.1.1参照〕。

  2. 1.2. 結核(0.3%):結核(肺外結核(胸膜結核、リンパ節結核等)、播種性結核を含む)があらわれることがある。ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核があらわれることもある(また、肺外結核(胸膜結核、リンパ節結核等)もあらわれることがあることから、その可能性も十分考慮した観察を行うこと)〔1.1、1.2.2、2.2、8.3、9.1.2参照〕。

  3. 1.3. ループス様症候群(0.1%)〔8.7、15.1.3参照〕。

  4. 1.4. 脱髄疾患(頻度不明):脱髄疾患(多発性硬化症、視神経炎、横断性脊髄炎、ギラン・バレー症候群等)の新たな発生もしくは脱髄疾患悪化(多発性硬化症悪化、視神経炎悪化、横断性脊髄炎悪化、ギラン・バレー症候群悪化等)があらわれることがある〔1.1、1.3、2.4、9.1.4参照〕。

  5. 1.5. 重篤なアレルギー反応(頻度不明):アナフィラキシー等の重篤なアレルギー反応があらわれることがある〔2.3参照〕。

  6. 1.6. 重篤な血液障害(頻度不明):再生不良性貧血を含む汎血球減少症、血球減少症(血小板減少症、白血球減少症、顆粒球減少症等)があらわれることがある〔9.1.5参照〕。

  7. 1.7. 間質性肺炎(0.8%):肺線維症を含む間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部X線検査、速やかに胸部CT検査及び速やかに血液ガス検査等を実施し、本剤投与を中止するとともにニューモシスティス肺炎と鑑別診断(β-D-グルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと〔9.1.6参照〕。

  8. 1.8. 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全(頻度不明):劇症肝炎、著しいAST上昇、著しいALT上昇等を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがある。なお、これらの中にはB型肝炎ウイルス再活性化によるものが含まれていた〔8.4、9.1.3参照〕。

    1. その他の副作用
    1. 精神神経系:(5%以上)頭痛、(1~5%未満)不眠症、回転性めまい、浮動性めまい、感覚減退、(1%未満)脳出血、脳梗塞、味覚異常、ラクナ梗塞、神経痛、健忘、筋萎縮性側索硬化症、脳虚血、頚髄症、頭蓋内動脈瘤、頭蓋内圧上昇、片頭痛、腓骨神経麻痺、神経根障害、傾眠、くも膜下出血、振戦、三叉神経痛、迷走神経障害、不安障害、譫妄、摂食障害、神経症、良性神経鞘腫、意識消失、脳炎、錯覚、末梢性ニューロパチー、気分変化、体位性めまい、うつ病、感情障害、構音障害、(頻度不明)気分障害、神経過敏、激越、落ち着きのなさ、神経感覚障害(錯感覚を含む)、睡眠障害。
    2. 血液・リンパ:(5%以上)自己抗体陽性(抗DNA抗体陽性、抗核抗体陽性)(14.7%)、(1~5%未満)貧血、リンパ球数減少、好酸球数増加、白血球百分率数異常(白血球数増加を含む)、(1%未満)リンパ球形態異常、血小板数増加、リンパ節症、リンパ節炎、脾臓出血、脾臓梗塞、リンパ管炎、リウマトイド因子増加(RF増加)、血中β-D-グルカン増加、リンパ球百分率異常(リンパ球百分率増加を含む)、単球数異常(単球数百分率増加及び単球数百分率減少を含む)、大小不同赤血球陽性、赤血球連銭形成、赤血球数増加、好中球数増加、血中免疫グロブリンE増加、リンパ球数増加、トロンビン・アンチトロンビン3複合体増加、血中アミラーゼ増加、血中トリプシン増加、(頻度不明)特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、APTT延長。
    3. 代謝・栄養:(1~5%未満)血中トリグリセリド上昇、血中尿酸増加、血中コレステロール上昇、乳酸脱水素酵素上昇(LDH上昇)、体重増加、高血糖、CK上昇、CRP上昇、高脂血症、糖尿病、(1%未満)体重減少、血中リン減少、食欲不振、血中アルブミン減少、総蛋白増加、血中カリウム減少、血中カルシウム減少、血中カルシウム増加、血中クロール減少、血中コレステロール減少、血中ナトリウム減少、血中トリグリセリド減少、CK減少、総蛋白減少、脱水、高カリウム血症、痛風、食欲亢進、肥満、低血糖、血中マグネシウム増加、血中リン増加、グリコヘモグロビン増加。
    4. 感覚器:(1~5%未満)結膜炎、眼異常感、(1%未満)麦粒腫、難聴、中耳炎、耳鳴、眼瞼浮腫、外耳炎、白内障、耳不快感、耳出血、結膜出血、眼脂、乾性角結膜炎、乱視、眼瞼炎、霰粒腫、複視、角膜炎、角膜症、高眼圧症、光視症、網膜変性、網膜静脈閉塞、高血圧性網膜症、強膜出血、強膜炎、真珠腫、緑内障、耳痛、角膜損傷、耳垢栓塞、角膜びらん、眼出血、硝子体浮遊物、耳感染、聴覚刺激検査異常、流涙増加、霧視、一過性視力低下、網膜出血、眼圧上昇、(頻度不明)眼刺激又は眼炎症、視覚障害、眼球感覚障害、全眼球炎、虹彩炎、耳介腫脹、耳そう痒症。
    5. 循環器:(1~5%未満)高血圧、(1%未満)動悸、期外収縮、低血圧、心房細動、狭心症、心弁膜疾患、不整脈、心房頻脈、心不全、心タンポナーデ、心血管障害、冠動脈疾患、心室拡張、左房拡張、フィブリンDダイマー増加、頻脈、血栓性静脈炎、動脈硬化症、出血、ほてり、不安定血圧、末梢動脈瘤、静脈炎、壊死性血管炎、血管拡張、急性心筋梗塞、心電図異常、レイノー現象、(頻度不明)心停止、冠動脈不全、心嚢液貯留、血腫、血管閉塞、大動脈狭窄、大動脈瘤。
    6. 呼吸器:(5%以上)上気道感染(鼻咽頭炎等)(50.0%)、咳嗽、(1~5%未満)インフルエンザ、鼻炎、鼻漏、鼻閉、(1%未満)慢性気管支炎、喘息、気管支肺炎、喉頭気管気管支炎、インフルエンザ性肺炎、鼻出血、特発性器質化肺炎、発声障害、呼吸困難、中葉症候群、咽頭紅斑、くしゃみ、気管支狭窄、過換気、胸水、胸膜線維症、胸膜炎、気胸、喘鳴、声帯ポリープ、百日咳、喀血、下気道炎症、肺塞栓症、扁桃肥大、(頻度不明)肺水腫、咽頭浮腫。
    7. 消化器:(1~5%未満)下痢、腹痛、歯周病、便秘、悪心、口内炎、腸炎、齲歯、嘔吐、胃炎、口唇炎、腹部膨満、口腔ヘルペス、(1%未満)イレウス、胃不快感、ウイルス性胃腸炎、痔核、食道炎、歯痛(歯知覚過敏を含む)、胃潰瘍、口腔カンジダ症、口内乾燥、消化不良、歯肉腫脹、腹部不快感、腹部腫瘤、痔瘻、結腸ポリープ、腸憩室、十二指腸潰瘍、十二指腸炎、心窩部不快感、胃ポリープ、消化管アミロイドーシス、胃腸出血、歯肉形成不全、歯肉痛、舌痛、口の感覚鈍麻、過敏性腸症候群、食道潰瘍、腹膜炎、肛門周囲痛、顎下腺腫大、舌苔、歯の脱落、食道静脈瘤、腹部膿瘍、胃腸感染、ヘリコバクター感染、耳下腺炎、歯膿瘍、歯感染、血便、便通不規則、歯不快感、口唇乾燥、耳下腺腫大、舌腫脹、歯の障害、カンピロバクター腸感染、肛門周囲膿瘍、歯髄炎、膵臓良性新生物、腸管穿孔、肛門性器疣贅、肛門狭窄、横隔膜下膿瘍、瘢痕ヘルニア、鼡径ヘルニア、胃酸過多、膵腫大、急性膵炎、直腸腺腫、胃腸異形成、口唇痛、唾液腺炎、(頻度不明)憩室炎、口腔内潰瘍形成、直腸出血、大腸炎、小腸炎。
    8. 肝臓:(5%以上)肝酵素上昇、(1~5%未満)脂肪肝、血中ビリルビン増加、(1%未満)胆石症、アルコール性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変、胆嚢ポリープ、肝臓うっ血、肝機能検査値異常、ALP減少、胆嚢炎、胆管炎、(頻度不明)肝壊死、肝炎、B型肝炎再燃。
    9. 皮膚:(5%以上)発疹、皮膚そう痒症、湿疹、(1~5%未満)皮膚白癬感染、紅斑、蕁麻疹、毛包炎、皮膚炎(接触性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎を含む)、皮膚乳頭腫、帯状疱疹、ざ瘡、(1%未満)皮膚真菌感染、爪囲炎、皮下出血、脱毛症、皮膚潰瘍、皮膚乾燥、皮膚過角化、皮下組織膿瘍、紫斑、感染性表皮嚢胞、伝染性軟属腫、皮膚細菌感染、手足口病、膿痂疹、膿皮症、挫傷、結核菌皮膚テスト陽性、メラノサイト性母斑、脂漏性角化症、脂肪腫、黄色腫、紅色汗疹、ヘノッホ・シェンライン紫斑病、膿疱性乾癬、多汗症、嵌入爪、乾癬、皮膚水疱、褥瘡性潰瘍、皮膚嚢腫、発汗障害、皮膚疼痛、光線過敏性反応、脂漏、皮膚びらん、皮膚剥脱、皮膚硬結、顔面腫脹、乾皮症、黄色爪症候群、せつ、冷汗、面皰、皮膚エリテマトーデス、痂皮、皮膚小結節、肉芽腫、肥厚性瘢痕、多形紅斑、爪障害、口唇色素沈着、禿瘡、(頻度不明)血管浮腫、斑状出血、脂肪織炎、血管神経性浮腫、皮膚血管炎、苔癬様皮膚反応。
    10. 筋骨格系:(1~5%未満)背部痛、関節痛、(1%未満)骨折、四肢痛、筋痛、骨粗鬆症、滑液嚢腫、腱断裂、骨密度減少、筋骨格硬直、変形性脊椎炎、関節破壊、筋骨格系胸痛、筋骨格痛、環軸椎不安定、鼡径部腫瘤、椎間板突出、関節腫脹、四肢不快感、腰部脊柱管狭窄、筋痙縮、筋力低下、頚部痛、骨関節炎、肩回旋筋腱板症候群、筋肉減少症、関節炎、関節障害、四肢結節、脊椎すべり症、臀部痛、椎間板変性症、関節周囲炎、肩痛、椎間板炎、関節捻挫、頚部腫瘤、筋炎、手根管症候群、滑液包炎、ミオパチー、骨壊死、(頻度不明)横紋筋融解症。
    11. 内分泌系:(1%未満)甲状腺腫、甲状腺機能亢進症、血中ヒト絨毛性ゴナドトロピン増加、甲状腺機能低下症、副腎腺腫、クッシング様症状、(頻度不明)甲状腺障害。
    12. 泌尿器・生殖器:(1~5%未満)血尿、膀胱炎、女性生殖器系感染、蛋白尿、尿沈渣陽性、(1%未満)血中尿素増加、尿中白血球エステラーゼ陽性、尿中ブドウ糖陽性、尿中ケトン体陽性、尿中細菌検出、夜間頻尿、不正子宮出血、腎結石・尿路結石、腎膿瘍、血中クレアチニン増加、子宮平滑筋腫、腎機能障害、頻尿、慢性腎不全、水腎症、腎梗塞、腺筋症、性器出血、月経過多、前立腺炎、陰部そう痒症、腟分泌物、尿pH上昇、陰嚢水瘤、尖圭コンジローマ、淋疾、尿道炎、尿中結晶陽性、排尿困難、尿意切迫、腎血管障害、良性前立腺肥大症、精巣上体炎、腟腫脹、前立腺特異性抗原増加、緊張性膀胱、無月経、不規則月経、閉経期症状、(頻度不明)膀胱症状及び尿道症状、腎臓痛、月経周期障害。
    13. 全身症状:(5%以上)発熱、(1~5%未満)倦怠感、浮腫、胸痛、季節性アレルギー、単純ヘルペス感染、(1%未満)異常感、胸部不快感、ウイルス感染、悪寒、冷感、化膿、口渇、疲労、腫瘤、顔面浮腫、熱感、低体温、治癒不良、異物感、潰瘍、食物アレルギー、抗酸性桿菌感染、クリプトコッカス症、感染、転倒、背部損傷、創腐敗、CT異常、胸部X線異常、免疫学的検査異常、全身性エリテマトーデス、線維腺腫、乳房良性新生物、乳房痛、乳頭痛、側腹部痛、真菌感染、腋窩痛、細菌感染、疼痛、圧迫感、腫脹、金属アレルギー、大腸菌感染、無力症、成長遅延、(頻度不明)インフルエンザ様疾患、サルコイドーシス。
    14. 投与部位:(5%以上)注射部位反応(紅斑、そう痒感、発疹、出血、腫脹、硬結等)(23.7%)[注射部位反応は投与開始から1ヵ月の間に高頻度で発現し、その後減少している]。

使用上の注意

(警告)

    1. 〈効能共通〉本剤投与により、結核、肺炎、敗血症を含む重篤な感染症及び脱髄疾患の新たな発生もしくは脱髄疾患悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、重篤な感染症及び脱髄疾患の新たな発生もしくは悪化等が報告され、関連性は明らかではないが悪性腫瘍発現も報告されていることを患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤の投与において、重篤な副作用により、致命的な経過をたどることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師の管理指導のもとで使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること〔1.2、1.3、2.1、2.2、2.4、8.1-8.3、9.1.1、9.1.2、9.1.4、11.1.1、11.1.2、11.1.4、15.1.5参照〕。
    1. 〈効能共通〉感染症
  1. 2.1. 〈効能共通〉重篤な感染症:敗血症、肺炎、真菌感染症を含む日和見感染症等の致命的感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること〔1.1、2.1、8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。

  2. 2.2. 〈効能共通〉結核:播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(胸膜結核、リンパ節結核等)を含む結核が発症し、死亡例も認められている。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。また、結核の既感染者には、抗結核薬の投与をした上で、本剤を投与すること。ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告されている〔1.1、2.2、8.3、9.1.2、11.1.2参照〕。

    1. 〈効能共通〉脱髄疾患(多発性硬化症等)の臨床症状・画像診断上の新たな発生もしくは悪化が、本剤を含む抗TNF製剤でみられたとの報告があるので、脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者には投与しないこととし、脱髄疾患を疑う患者や家族歴を有する患者に投与する場合には、適宜画像診断等の検査を実施するなど、十分な観察を行うこと〔1.1、2.4、9.1.4、11.1.4参照〕。
    1. 〈効能共通〉本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験をもつ医師が使用すること〔5.1、5.3-5.5、5.7、5.9-5.11、5.13参照〕。
    1. 〈関節リウマチを除く効能〉本剤の治療を行う前に、適応疾患の既存治療を十分勘案すること〔5.2、5.5、5.7、5.9-5.11、5.13参照〕。
    1. 〈関節リウマチ〉本剤の治療を行う前に、少なくとも1剤の抗リウマチ薬等の使用を十分勘案すること〔5.1参照〕。
    1. 〈尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬〉本剤の副作用への対応について十分な知識を有する医師との連携のもと使用すること〔5.5参照〕。
    1. 〈非感染性の中間部・後部又は汎ぶどう膜炎〉本剤について十分な知識をもつ内科等の医師と診断及び治療に対して十分な連携をとり使用すること〔5.13参照〕。

(禁忌)

    1. 重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔1.1、1.2.1、8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
    1. 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔1.1、1.2.2、8.3、9.1.2、11.1.2参照〕。
    1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔11.1.5参照〕。
    1. 脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者[症状の再燃及び悪化のおそれがある]〔1.1、1.3、9.1.4、11.1.4参照〕。
    1. うっ血性心不全の患者〔15.1.4参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤は、細胞性免疫反応を調節するTNFα(腫瘍壊死因子α)の生理活性を抑制するので、感染症に対する宿主免疫能に影響を及ぼす可能性がある、そのため本剤の投与に際しては、十分な観察を行い、感染症の発現や感染症増悪に注意すること(他の生物製剤との切替えの際も注意すること)。また、患者に対しても、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること〔1.1、1.2.1、2.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
    1. 本剤を含む抗TNF製剤の臨床試験で、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍の発現頻度が対照群に比し、高かったとの報告がある。また、関節リウマチのような慢性炎症性疾患のある患者に免疫抑制剤を長期間投与した場合、感染症や悪性リンパ腫等のリスクが高まることが報告されている。また、抗TNF製剤を使用した小児や若年成人においても、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍が報告されている。本剤との因果関係は明確ではないが、悪性腫瘍等の発現には注意すること。全ての患者(特に、免疫抑制剤の長期間投与経験がある患者又はPUVA療法を行った経験のある乾癬患者)において、本剤投与に先立って非黒色腫皮膚癌の有無を検査し、投与中も監視を継続すること〔1.1、15.1.5参照〕。
    1. 結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤の投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。特に、重篤な疾患もしくは易感染状態の患者においては、ツベルクリン反応で偽陰性となる可能性があるので注意すること。また、本剤の適用にあたっては本剤投与のリスクベネフィットを慎重に検討すること。本剤投与前にツベルクリン反応等の検査が陰性の患者においても、投与後活動性結核があらわれることがあるため、本剤投与中は胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現に十分注意すること。患者に対し、結核の症状が疑われる場合(持続する咳、体重減少、発熱等)は速やかに主治医に連絡するよう説明すること〔1.1、1.2.2、2.2、9.1.2、11.1.2参照〕。
    1. 本剤を含む抗TNF製剤によるB型肝炎ウイルス再活性化が認められているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること〔9.1.3、11.1.8参照〕。
    1. 本剤投与において、生ワクチンの接種に起因する感染症を発現したとの報告はないが、感染症発現のリスクを否定できないので、生ワクチン接種は行わないこと〔9.5.2、9.7.1参照〕。
    1. 注射部位において紅斑、発赤、疼痛、腫脹、そう痒、出血等が多数認められているので、本剤を慎重に投与するとともに、発現に注意し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
    1. 本剤を含む抗TNF療法において、新たな自己抗体発現(抗核抗体発現)が報告されている〔11.1.3、15.1.3参照〕。
    1. 本剤を含む抗TNF療法において、既存の乾癬悪化もしくは新規乾癬発現(膿疱性乾癬を含む)が報告されており、これらの多くは、他の免疫抑制作用を有する薬剤を併用した患者において報告されている(多くの症例は抗TNF製剤の投与中止によって回復したが、他の抗TNF製剤の再投与によって再度発現した例もあるので、症状が重度の場合及び局所療法により改善しない場合は本剤の中止を考慮すること)。
    1. 本剤において、サルコイドーシス悪化(皮膚症状、肺症状又は眼症状)が報告されているので、サルコイドーシス患者に本剤を投与する場合には、十分な観察を行い、サルコイドーシスの悪化に注意すること。サルコイドーシス症状が悪化した場合には、適切な処置を行うこと。
    1. 本剤の投与により、本剤に対する抗体が産生されることがある(臨床試験における日本人での産生率は、関節リウマチ44.0%(メトトレキサート併用下では19.3%)、化膿性汗腺炎13.3%、壊疽性膿皮症0%、尋常性乾癬11.6%、膿疱性乾癬30.0%、強直性脊椎炎16.0%、若年性特発性関節炎20.0%(メトトレキサート併用下では15.0%)、腸管型ベーチェット病5.0%、クローン病6.1%及び非感染性ぶどう膜炎12.5%であった)、臨床試験において本剤に対する抗体の産生が確認された患者においては、本剤の血中濃度低下する傾向がみられた(血中濃度が低下した患者では効果減弱のおそれがある)。本剤の投与により、本剤に対する抗体が産生されることがある(臨床試験における日本人での産生率は、潰瘍性大腸炎3.7%であった)、臨床試験において本剤に対する抗体の産生が確認された患者においては、本剤の血中濃度低下する傾向がみられた(血中濃度が低下した患者では効果減弱のおそれがある)。
    1. 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、自己投与適用後、感染症等本剤による副作用が疑われる場合や、自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。シリンジの安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みのシリンジを廃棄する容器を提供すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 感染症(重篤な感染症を除く)の患者又は感染症が疑われる患者〔1.1、1.2.1、2.1、8.1、11.1.1参照〕。

  2. 1.2. 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部X線上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者。 1. 結核の既感染者では、結核を活動化させ、症状が顕在化するおそれがある〔1.1、1.2.2、2.2、8.3、11.1.2参照〕。 1. 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部X線上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる場合、結核の診療経験がある医師に相談すること。次のいずれかの患者には、原則として本剤の開始前に適切な抗結核薬を投与すること〔1.1、1.2.2、2.2、8.3、11.1.2参照〕[1)胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者、2)結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者、3)インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、結核既感染が強く疑われる患者、4)結核患者との濃厚接触歴を有する患者]。

  3. 1.3. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性):肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意すること(本剤を含む抗TNF製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの再活性化が認められ、致命的な例も報告されている)、なお、これらの報告の多くは、他の免疫抑制作用をもつ薬剤を併用投与したB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は免疫抑制作用をもつ薬剤を併用投与したB型肝炎既往感染者に起きている〔8.4、11.1.8参照〕。

  4. 1.4. 脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者及び家族歴のある患者。 1. 脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者については、神経学的評価や画像診断等の検査を行い、慎重に危険性と有益性を評価した上で本剤適用の妥当性を検討し、投与後は十分に観察を行うこと(脱髄疾患発現のおそれがある)〔1.1、1.3、2.4、11.1.4参照〕。 1. 脱髄疾患の家族歴のある患者は、適宜画像診断等の検査を実施し、十分注意すること(脱髄疾患発現のおそれがある)。

  5. 1.5. 重篤な血液疾患(汎血球減少、再生不良性貧血等)の患者又はその既往歴のある患者:血液疾患が悪化するおそれがある〔11.1.6参照〕。

  6. 1.6. 間質性肺炎の既往歴のある患者:定期的に問診を行うなど注意すること(間質性肺炎が増悪又は再発することがある)〔11.1.7参照〕。

(妊婦)

  1. 5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、使用上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  2. 5.2. 本剤の投与を受けた患者からの出生児に対して生ワクチンを投与する際には注意すること(本剤は胎盤通過性があるとの報告があるため、感染のリスクが高まるおそれがある)〔8.5参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(アダリムマブはヒト母乳中へ移行することが報告されている)〔16.8.1参照〕。

(小児等)

  1. 7.1. 〈効能共通〉本剤投与前に必要なワクチンを接種しておくことが望ましい〔8.5参照〕。

  2. 7.3. 〈潰瘍性大腸炎〉低出生体重児、新生児、乳児又は5歳未満の幼児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

  3. 7.4. 〈潰瘍性大腸炎以外〉小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

(高齢者)

十分な観察を行い、感染症等の副作用の発現に留意すること(重篤な有害事象の発現率の上昇が認められている、また、一般に高齢者では生理機能(免疫機能等)が低下している)。

(相互作用)

    1. 併用注意

    メトトレキサート[本剤のクリアランスが低下するおそれがある(機序不明)]。

(適用上の注意)

    1. 薬剤投与時の注意
  1. 1.1. 注射部位は大腿部、腹部又は上腕部を選び、順番に場所を変更し、短期間に同一部位へ繰り返し注射は行わない(新たな注射部位は、前回の注射部位から少なくとも3cm離す)。

  2. 1.2. 皮膚病変のある部位又は皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位(傷・発疹・発赤・硬結等の部位)には注射しないこと。

  3. 1.3. 他の薬剤と混合しないこと。

  4. 1.4. 本剤は1回で全量を使用する製剤であり、再使用しないこと。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報
  1. 1.1. 本剤の臨床試験は、国内で299週間まで、海外では13年間までの期間で実施されており、これらの期間を超えた本剤の長期投与時の安全性は確立されていない。

  2. 1.2. 尋常性乾癬、関節症性乾癬及び膿疱性乾癬患者において、本剤と紫外線療法又は既存の全身療法との併用について、有効性及び安全性は確立されていない。

  3. 1.3. 海外の臨床試験において、抗核抗体陽性化(ANA陽性化)が認められた本剤投与患者の割合は、プラセボ群と比較して増加した。これらの患者においてまれに、新たにループス様症候群を示唆する徴候が認められたが、投与中止後に改善した〔8.7、11.1.3参照〕。

  4. 1.4. 本剤はうっ血性心不全患者を対象とした臨床試験を実施していないが、本剤投与下でうっ血性心不全悪化が報告されている。また、他の抗TNF製剤におけるうっ血性心不全を対象とした臨床試験では、心不全症状悪化、死亡率上昇が報告されている〔2.5参照〕。

  5. 1.5. 海外における関節リウマチ、関節症性乾癬、強直性脊椎炎、クローン病、潰瘍性大腸炎及び尋常性乾癬を対象とした比較対照試験及びオープン試験(曝露期間中央値約0.6年、被験者数23036例、延べ投与34000人年以上)において、リンパ腫の発現は、約0.11/100人年であった。この発現率は、一般集団から推測される例数の3倍であった。関節リウマチ患者及び慢性炎症性疾患の患者(特に活動性の高い慢性炎症性疾患患者、免疫抑制剤治療の慢性曝露の慢性炎症性疾患患者)では、リンパ腫のリスクが高かった。非黒色腫皮膚癌については、約0.7/100人年であった。リンパ腫及び非黒色腫皮膚癌以外の悪性腫瘍としては、乳癌、大腸癌、前立腺癌、肺癌、黒色腫皮膚癌が多く報告されている。これらの発現率と癌種は、一般人口から予想されるものと類似していた〔1.1、8.2参照〕。

    1. 非臨床試験に基づく情報
  6. 2.1. 本剤は、マウス及びラット等げっ歯類に投与すると、中和抗体陽性化と薬理学的活性の消失が認められ、十分な曝露量が得られない。このため、がん原性試験は実施されていない。

(取扱い上の注意)

外箱開封後は遮光して保存すること。

(保管上の注意)

2~8℃で保存。