シクロスポリンカプセル10mg「TC」 - 添付文書 | MEDLEY(メドレー)
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シクロスポリンカプセル10mg「TC」
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効果・効能

  1. 次記の臓器移植における拒絶反応の抑制:腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植。

  2. 骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制。

  3. ベーチェット病(眼症状のある場合)、及びその他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分であり、視力低下の恐れのある活動性中間部非感染性ぶどう膜炎又は活動性後部非感染性ぶどう膜炎に限る)。

  4. 尋常性乾癬(皮疹が全身の30%以上に及ぶもの)あるいは尋常性乾癬(難治性)の場合、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬。

  5. 再生不良性貧血、赤芽球癆。

  6. ネフローゼ症候群(頻回再発型)あるいはネフローゼ症候群(ステロイドに抵抗性を示す場合)。

  7. 全身型重症筋無力症:胸腺摘出後の治療において、ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場合。

  8. アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者)。

(効能・効果に関連する使用上の注意)

  1. ネフローゼ症候群患者に投与する場合には、副腎皮質ホルモン剤に反応はするものの頻回に再発を繰り返す患者、又は副腎皮質ホルモン剤治療に抵抗性を示す患者に限る。

  2. 再生不良性貧血患者に投与する場合には、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に投与する。また、再生不良性貧血患者の緩解例で本剤投与中止後に再燃したため再投与する場合の有効性及び安全性については、十分な評価が確立していないので、患者の状態をみながら治療上の有益性が優先すると判断される場合にのみ投与する。

  3. 全身型重症筋無力症では、本剤を単独で投与した際の有効性については使用経験がなく明らかでない。

  4. アトピー性皮膚炎患者については、ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の既存治療で十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が体表面積の30%以上に及ぶ患者を対象にする。

用法・用量

  1. 腎移植の場合:移植1日前からシクロスポリンとして1日量9~12mg/kgを1日2回に分けて経口投与し、以後1日2mg/kgずつ減量する。維持量は1日量4~6mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。

  2. 肝移植の場合:移植1日前からシクロスポリンとして1日量14~16mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。以後徐々に減量し、維持量は1日量5~10mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。

  3. 心移植、肺移植、膵移植の場合:移植1日前からシクロスポリンとして1日量10~15mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。以後徐々に減量し、維持量は1日量2~6mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。

  4. 小腸移植の場合:シクロスポリンとして1日量14~16mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。以後徐々に減量し、維持量は1日量5~10mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。但し、移植1日前からシクロスポリン注射剤で投与を開始し、内服可能となった後はできるだけ速やかに経口投与に切り替える。

  5. 骨髄移植の場合:移植1日前からシクロスポリンとして1日量6~12mg/kgを1日2回に分けて経口投与し、3~6カ月間継続し、その後徐々に減量し中止する。

  6. ベーチェット病及びその他の非感染性ぶどう膜炎の場合:シクロスポリンとして1日量5mg/kgを1日2回に分けて経口投与を開始し、以後1カ月毎に1日1~2mg/kgずつ減量又は増量する。維持量は1日量3~5mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。

  7. 乾癬の場合:1日量5mg/kgを2回に分けて経口投与する。効果がみられた場合は1カ月毎に1日1mg/kgずつ減量し、維持量は1日量3mg/kgを標準とする。なお、症状により適宜増減する。

  8. 再生不良性貧血の場合:シクロスポリンとして1日量6mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減する。

  9. ネフローゼ症候群の場合:シクロスポリンとして次記の用量を1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜増減する。

    1. 頻回再発型の症例:1日量1.5mg/kgを投与する。また、小児の場合には1日量2.5mg/kgを投与する。
    2. ステロイドに抵抗性を示す症例:1日量3mg/kgを投与する。また、小児の場合には1日量5mg/kgを投与する。
  10. 全身型重症筋無力症の場合:シクロスポリンとして1日量5mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。効果がみられた場合は徐々に減量し、維持量は3mg/kgを標準とする。なお、症状により適宜増減する。

  11. アトピー性皮膚炎の場合:シクロスポリンとして1日量3mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜増減するが1日量5mg/kgを超えない。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

  1. サンディミュンを服用している患者に本剤を切り替えて投与する場合は、原則として1:1の比(mg/kg/日)で切り替えて投与するが、シクロスポリンの血中濃度(AUC、Cmax)が上昇して副作用を発現する恐れがあるので、切り替え前後で血中濃度の測定及び臨床検査(血清クレアチニン、血圧等)を頻回に行うとともに患者の状態を十分観察し、必要に応じて投与量を調節する。但し、通常の開始用量(初めてサンディミュンを服用する時の投与量)より高い用量を服用している患者で、一時的に免疫抑制作用が不十分となっても病状が悪化して危険な状態に陥る可能性のない患者では、切り替え時の投与量は多くても通常の開始用量とし、血中濃度及び患者の状態に応じて投与量を調節する。

  2. 本剤の投与にあたっては血中トラフ値(trough level)を測定し、投与量を調節する。

    1. 臓器移植患者に投与する際には、過量投与による副作用の発現及び低用量投与による拒絶反応の発現等を防ぐため、血中濃度の測定を移植直後は頻回に行い、その後は1カ月に1回を目安に測定し、投与量を調節する。
    2. ベーチェット病及びその他の非感染性ぶどう膜炎、乾癬、再生不良性貧血、ネフローゼ症候群、全身型重症筋無力症、アトピー性皮膚炎患者に投与する際には、副作用の発現を防ぐため、1カ月に1回を目安に血中濃度を測定し、投与量を調節することが望ましい。
  3. 臓器移植において、3剤あるいは4剤の免疫抑制剤を組み合わせた多剤免疫抑制療法を行う場合には、本剤の初期投与量を低く設定することが可能な場合もあるが、移植患者の状態及び併用される他の免疫抑制剤の種類・投与量等を考慮して投与量を調節する。

  4. 再生不良性貧血患者に投与する際には、本剤の投与量及び投与期間について、診療ガイドライン等の最新の情報を参考とし、効果がみられない場合は他の適切な治療法を考慮する。

  5. ネフローゼ症候群に対する本剤の効果は、通常、1~3カ月で現れるが、3カ月以上継続投与しても効果が現れない場合には投与を中止することが望ましく、また、効果がみられた場合には、その効果が維持できる用量まで減量することが望ましい。

  6. ネフローゼ症候群患者に投与する際、本剤の使用前に副腎皮質ホルモン剤が維持投与されている場合は、その維持量に本剤を上乗せする(症状により、副腎皮質ホルモン剤は適宜減量するが、増量を行う場合には本剤の使用は一旦中止する)。

  7. アトピー性皮膚炎患者に投与する際には投与期間はできる限り短期間にとどめ、本剤の投与中は有効性及び安全性の評価を定期的に行い、8週間の投与でも改善がみられない場合には投与を中止する(なお、1回の治療期間は12週間以内を目安とする)。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. 腎障害:腎機能障害は本剤の副作用として高頻度にみられ、主な発現機序は用量依存的な腎血管収縮作用によると考えられ、通常、減量又は休薬により回復する[BUN上昇、クレアチニン上昇を示し腎血流量減少、糸球体濾過値低下がみられる。尿細管機能への影響としてカリウム排泄減少による高カリウム血症、尿酸排泄低下による高尿酸血症、マグネシウム再吸収低下による低マグネシウム血症がみられる]。また、器質的腎障害(尿細管萎縮、細動脈病変、間質線維化等)が現れることがある[移植後の大量投与や、腎疾患のある患者への使用あるいは腎毒性のある薬剤との併用により起こりやすい]。なお、腎移植後にクレアチニン、BUNの上昇がみられた場合は、本剤による腎障害か拒絶反応かを注意深く観察し、鑑別する必要がある。
    2. 肝障害、肝不全:肝機能障害、黄疸等の肝障害、肝不全が現れることがあるので、AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、LDH上昇、ビリルビン上昇等の異常が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行う。
    3. 可逆性後白質脳症症候群、高血圧性脳症等の中枢神経系障害:可逆性後白質脳症症候群、高血圧性脳症等の中枢神経系障害が現れることがあるので、全身痙攣、意識障害、失見当識、錯乱、運動麻痺、小脳性運動失調、視覚障害、視神経乳頭浮腫、不眠等の症状が現れた場合には、CT、MRIによる画像診断を行うとともに、本剤を減量又は中止し、血圧のコントロール、抗痙攣薬の投与等適切な処置を行う。
    4. 神経ベーチェット病症状:ベーチェット病患者において神経ベーチェット病症状(頭痛、発熱、情動失禁、運動失調、錐体外路症状、意識障害、髄液細胞増多等)が誘発又は神経ベーチェット病症状悪化(頭痛悪化、発熱悪化、情動失禁悪化、運動失調悪化、錐体外路症状悪化、意識障害悪化、髄液細胞増多悪化等)することがあるので、このような場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行う。
    5. 感染症:細菌、真菌あるいはウイルスによる重篤な感染症(肺炎、敗血症、尿路感染症、単純疱疹、帯状疱疹等)を併発することがあり、また、B型肝炎ウイルス再活性化による肝炎やC型肝炎悪化が現れることがあり、強力な免疫抑制下では急激に重症化することがあるので、本剤を投与する場合は観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
    6. 進行性多巣性白質脳症(PML):進行性多巣性白質脳症(PML)が現れることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状が現れた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行う。
    7. BKウイルス腎症:BKウイルス腎症が現れることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
    8. 急性膵炎:急性膵炎(初期症状:上腹部激痛、発熱、血糖上昇、アミラーゼ上昇等)が現れることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
    9. 血栓性微小血管障害:溶血性尿毒症症候群(HUS:血小板減少、溶血性貧血、腎不全を主徴とする)、血栓性血小板減少性紫斑病様症状(TTP様症状)(血小板減少、微小血管性溶血性貧血、腎機能障害、精神神経症状を主徴とする)等の血栓性微小血管障害が現れることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
    10. 溶血性貧血、血小板減少:溶血性貧血、血小板減少が現れることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
    11. 横紋筋融解症:筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症が現れることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行う。
    12. 悪性リンパ腫、リンパ増殖性疾患、悪性腫瘍(特に皮膚悪性腫瘍):他の免疫抑制剤と併用する場合に、過度の免疫抑制により発現の可能性が高まることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行う。
    13. クリーゼ:全身型重症筋無力症ではクリーゼを起こすことがあるので、使用に際しては患者の状態をよく観察し、このような症状が現れた場合には人工呼吸器等の適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:次のような副作用が現れた場合には、投与を中止するなど、適切な処置を行う。

    1. 過敏症:(頻度不明)発疹。
    2. 循環器:(頻度不明)血圧上昇。
    3. 血液:(頻度不明)貧血、白血球減少。
    4. 消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐、消化管潰瘍、腹痛、胃部不快感、食欲不振、下痢、腹部膨満感。
    5. 皮膚:(頻度不明)多毛、脱毛、ざ瘡。
    6. 精神神経系:(頻度不明)片頭痛、振戦、頭痛、しびれ、眩暈、眠気、異常感覚、末梢神経障害。
    7. 代謝異常:(頻度不明)糖尿・高血糖、高尿酸血症、高脂血症、高カリウム血症、低マグネシウム血症、体液貯留。
    8. 感覚器:(頻度不明)視力障害、耳鳴、難聴。
    9. 筋骨格系:(頻度不明)下肢痛、ミオパシー、筋痛、筋脱力、筋痙攣、関節痛。
    10. その他:(頻度不明)月経障害、良性頭蓋内圧亢進症、歯肉肥厚、出血傾向(鼻出血、皮下出血、消化管出血、血尿)、熱感、のぼせ、発熱、倦怠感、浮腫、体重増加、女性化乳房。

使用上の注意

(警告)

  1. 臓器移植における本剤の投与は、免疫抑制療法及び移植患者の管理に精通している医師又はその指導のもとで行う。

  2. アトピー性皮膚炎における本剤の投与は、アトピー性皮膚炎の治療に精通している医師のもとで、患者又はその家族に有効性及び危険性を予め十分説明し、理解したことを確認した上で投与を開始する。

  3. 本剤はサンディミュン(内用液又はカプセル)と生物学的に同等ではなく、バイオアベイラビリティが向上しているので、サンディミュンから本剤に切り替える際には、シクロスポリンの血中濃度(AUC、Cmax)の上昇による副作用の発現に注意する(特に、高用量での切り替え時には、サンディミュンの投与量を上回らないようにするなど、注意する)。なお、サンディミュンから本剤への切り替えは、十分なサンディミュン使用経験を持つ専門医のもとで行う。

    一方、本剤からサンディミュンへの切り替えについては、シクロスポリンの血中濃度が低下することがあるので、原則として切り替えを行わない(特に移植患者では、用量不足によって拒絶反応が発現する恐れがある)。

(禁忌)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  2. タクロリムス(外用剤を除く)投与中、ピタバスタチン投与中、ロスバスタチン投与中、ボセンタン投与中、アリスキレン投与中、アスナプレビル投与中、バニプレビル投与中、グラゾプレビル投与中、ペマフィブラート投与中の患者。

  3. 肝臓障害又は腎臓障害のある患者で、コルヒチンを服用中の患者。

(原則禁忌)

神経ベーチェット病の患者[神経ベーチェット病症状の悪化が報告されている]。

(慎重投与)

  1. サンディミュン内用液又はカプセルから切り替えて本剤を服用する患者[血中濃度が上昇して副作用が発現する恐れがある]。

  2. 腎機能障害のある患者[腎機能が悪化する恐れがある]。

  3. 肝機能障害のある患者[肝機能が悪化し、本剤の代謝あるいは胆汁中への排泄が遅延する恐れがある]。

  4. 膵機能障害のある患者[膵機能が悪化する恐れがある]。

  5. 高血圧症の患者[血圧の上昇及び症状の悪化が報告されている]。

  6. 感染症のある患者[免疫抑制により感染症が悪化する恐れがある]。

  7. 悪性腫瘍又はその既往歴のある患者[免疫抑制により進行又は再発する恐れがある]。

  8. PUVA療法中を含む紫外線療法中の患者。

  9. 高齢者。

  10. 低出生体重児(アトピー性皮膚炎の適応を除く)、新生児(アトピー性皮膚炎の適応を除く)又は乳児(アトピー性皮膚炎の適応を除く)。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤投与時のシクロスポリンの吸収は患者により個人差があるので、血中濃度の高い場合の副作用並びに血中濃度の低い場合の拒絶反応の発現等を防ぐため、患者の状況に応じて血中濃度を測定し、トラフ値を参考にして投与量を調節する。特に移植直後は頻回に血中濃度測定を行うことが望ましい。

  2. 本剤からサンディミュンへの切り替えは、本剤とサンディミュンが生物学的に同等ではないことからシクロスポリンの血中濃度が低下する恐れがあるため、このような切り替えは行わない(やむを得ず切り替える場合は、血中濃度の測定を頻回に行うとともに患者の状態を十分観察し、必要に応じて投与量を調節する)。

  3. 腎機能障害・肝機能障害・膵機能障害等の副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血球数算定、クレアチニン、BUN、ビリルビン、AST(GOT)、ALT(GPT)、アミラーゼ、尿検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行う。

  4. ネフローゼ症候群患者に投与する場合には、特に腎機能検査値(クレアチニン、BUN等)の変動に注意する。

  5. 感染症の発現又は感染症増悪に十分注意する。

  6. 免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルス再活性化による肝炎が現れることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルス再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎悪化がみられることがある。肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化やC型肝炎悪化の徴候や症状の発現に注意する。

  7. 他の免疫抑制剤と併用する場合は、過度の免疫抑制により感染に対する感受性の上昇、悪性リンパ腫発生の可能性があるので、十分注意する。

  8. 本剤の投与により副腎皮質ホルモン剤維持量の減量が可能であるが、副腎皮質ホルモン剤の副作用の発現についても引き続き観察を十分に行う。

  9. 血圧上昇が現れることがあり、可逆性後白質脳症症候群、高血圧性脳症に至ることがあるので、定期的に血圧測定を行い、血圧上昇が現れた場合には、降圧剤治療を行うなど適切な処置を行う。

  10. 低マグネシウム血症により中枢神経系障害が現れることがあるので、特に移植直後は血清マグネシウム値に注意し、マグネシウム低下がみられた場合にはマグネシウムを補給するなど、適切な処置を行う。

  11. ベーチェット病患者において、神経ベーチェット病症状(頭痛、発熱、情動失禁、運動失調、錐体外路症状、意識障害、髄液細胞増多等)の誘発又は神経ベーチェット病症状悪化(頭痛悪化、発熱悪化、情動失禁悪化、運動失調悪化、錐体外路症状悪化、意識障害悪化、髄液細胞増多悪化等)が報告されているので注意して使用し、経過を十分観察する。

  12. アトピー性皮膚炎患者においては、リンパ節腫脹を合併することがあるが、通常は自然に消失するか疾患の改善により消失する(患者の状態を定期的に観察し、本剤によってアトピー性皮膚炎が改善された後にリンパ節腫脹が持続している場合は、悪性リンパ腫の除外診断のため生検を実施することが望ましい)。

  13. アトピー性皮膚炎患者においては、活動性単純ヘルペス感染は、本剤投与前に治療しておくことが望ましい。また、アトピー性皮膚炎患者においては、本剤投与中に黄色ブドウ球菌による皮膚感染を合併した場合は、適切な抗菌剤によってコントロールする。

(相互作用)

多くの薬剤との相互作用が報告されているが、可能性のあるすべての組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤と併用したり、本剤又は併用薬を休薬する場合には注意する。本剤は代謝酵素チトクロームP450・3A4(CYP3A4)で代謝され、また、CYP3A4及びP糖蛋白の阻害作用を有するため、チトクロームP450・3A4(CYP3A4)酵素に影響する医薬品・チトクロームP450・3A4(CYP3A4)酵素に影響する食品、P糖蛋白に影響する医薬品・P糖蛋白に影響する食品と併用する場合には、可能な限り薬物血中濃度を測定するなど用量に留意して慎重に投与する。

  1. 併用禁忌

    1. 生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等)[免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症する恐れがあるので併用しない(免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性を現す可能性がある)]。
    2. タクロリムス(外用剤を除く)(プログラフ)[本剤の血中濃度が上昇することがあり、また、腎障害等の副作用が現れやすくなるので併用しない(本剤の代謝が阻害されること及び副作用が相互に増強されると考えられる)]。
    3. ピタバスタチン(リバロ)、ロスバスタチン(クレストール)[これらの薬剤の血中濃度が上昇し副作用の発現頻度が増加する恐れがあり、また、横紋筋融解症等の重篤な副作用が発現する恐れがある(本剤により、これらの薬剤の血漿中の濃度が上昇(ピタバスタチン:Cmax6.6倍、AUC4.6倍、ロスバスタチン:Cmax10.6倍、AUC7.1倍)する)]。
    4. ボセンタン
      1. ボセンタン(トラクリア)[ボセンタンの血中濃度が急激に上昇したとの報告があり副作用が発現する恐れがある(本剤が、ボセンタンのCYP3A4による代謝を阻害すること及び輸送蛋白質を阻害し肝細胞への取り込みを阻害することにより、ボセンタンの血中濃度が上昇すると考えられる)]。
      2. ボセンタン(トラクリア)[本剤の血中濃度が約50%低下したとの報告がある(ボセンタンはCYP3A4を誘導するため、本剤の代謝が促進され、血中濃度が低下すると考えられる)]。
    5. アリスキレン
      1. アリスキレン(ラジレス)[アリスキレンの血中濃度が上昇する恐れがある(本剤のP糖蛋白阻害によりアリスキレンのP糖蛋白を介した排出が抑制されると考えられる)]。
      2. アリスキレン(ラジレス)[空腹時の併用投与によりアリスキレンのCmaxが約2.5倍・AUCが約5倍に上昇した(本剤のP糖蛋白阻害によりアリスキレンのP糖蛋白を介した排出が抑制されると考えられる)]。
    6. アスナプレビル(スンベプラ)[アスナプレビルの治療効果が減少する恐れがある(本剤の有機アニオントランスポーター阻害により、これらの薬剤の肝取込みが抑制されると考えられる)]。
    7. バニプレビル(バニヘップ)、グラゾプレビル(グラジナ)[これらの薬剤の血中濃度が上昇する恐れがある(本剤の有機アニオントランスポーター阻害により、これらの薬剤の肝取込みが抑制されると考えられる)]。
    8. ペマフィブラート(パルモディア)[ペマフィブラートの血中濃度が上昇したとの報告がある(本剤の有機アニオントランスポーター及びCYP3A阻害により、ペマフィブラートの血中濃度が上昇すると考えられる)]。
  2. 併用注意

    1. PUVA療法を含む紫外線療法[PUVA療法を含む紫外線療法との併用は皮膚癌発現のリスクを高める危険性があるため、やむを得ず併用する場合は定期的に皮膚癌又は前癌病変の有無を観察する(PUVA療法により皮膚癌が発生したとの報告があり、本剤併用による免疫抑制下では皮膚癌の発現を促進する可能性がある)]。
    2. 免疫抑制剤(ムロモナブCD3(OKT3)、抗胸腺細胞免疫グロブリン(ATG)製剤等)[過度の免疫抑制が起こることがある(共に免疫抑制作用を有するため)]。
    3. ホスカルネット、アムホテリシンB、アミノ糖系抗生物質(ゲンタマイシン、トブラマイシン等)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、シプロフロキサシン、バンコマイシン、ガンシクロビル、フィブラート系薬剤(ベザフィブラート、フェノフィブラート等)[腎障害が現れやすくなるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察する(腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる)]。
    4. メルファラン注射剤[腎障害が現れやすくなるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察する(機序は不明である)]。
    5. 非ステロイド性消炎鎮痛剤
      1. 非ステロイド性消炎鎮痛剤(ジクロフェナク、ナプロキセン、スリンダク、インドメタシン等)[腎障害が現れやすくなるので、頻回に腎機能検査(クレアチニン、BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察する(腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる)]。
      2. 非ステロイド性消炎鎮痛剤(ジクロフェナク、ナプロキセン、スリンダク、インドメタシン等)[高カリウム血症が現れる恐れがあるので、血清カリウム値に注意する(高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる)]。
    6. アミオダロン、カルシウム拮抗剤(ジルチアゼム、ニカルジピン、ベラパミル)、マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、ジョサマイシン等)、キヌプリスチン・ダルホプリスチン、クロラムフェニコール、アゾール系抗真菌剤(フルコナゾール、イトラコナゾール等)、ノルフロキサシン、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル、サキナビル等)、コビシスタットを含有する製剤、卵胞・黄体ホルモン剤、ダナゾール、ブロモクリプチン、アロプリノール、フルボキサミン、イマチニブ、ダサチニブ、テラプレビル、シメプレビル、スチリペントール[本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節し、また、本剤の血中濃度が高い場合、腎障害等の副作用が現れやすくなるので、患者の状態を十分に観察する(代謝酵素の抑制又は競合により、本剤の代謝が阻害されると考えられる)]。
    7. メトクロプラミド[本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節し、また、本剤の血中濃度が高い場合、腎障害等の副作用が現れやすくなるので、患者の状態を十分に観察する(胃腸運動が亢進し、胃内容排出時間が短縮されるため、本剤の吸収が増加すると考えられる)]。
    8. アセタゾラミド、カルベジロール、ヒドロキシクロロキン、メトロニダゾール[本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節し、また、本剤の血中濃度が高い場合、腎障害等の副作用が現れやすくなるので、患者の状態を十分に観察する(機序は不明である)]。
    9. グレープフルーツジュース[本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤服用時は飲食を避けることが望ましい(グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる)]。
    10. リファンピシン、チクロピジン、抗てんかん剤(フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン)、モダフィニル、デフェラシロクス[本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節し、特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意する(これらの薬剤の代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる)]。
    11. オクトレオチド、ランレオチド、パシレオチド、プロブコール[本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節し、特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意する(これらの薬剤が本剤の吸収を阻害すると考えられる)]。
    12. テルビナフィン[本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節し、特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意する(機序は不明である)]。
    13. エトラビリン[本剤の血中濃度に影響を与える可能性があるため、注意して投与する(エトラビリンの代謝酵素誘導作用により、本剤の血中濃度に変化が起こることがある)]。
    14. セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する恐れがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意する(セイヨウオトギリソウにより誘導された代謝酵素が本剤の代謝を促進すると考えられる)]。
    15. 副腎皮質ホルモン剤[高用量メチルプレドニゾロンとの併用により本剤の血中濃度上昇及び痙攣の報告があり、また、プレドニゾロンのクリアランスを低下させるとの報告もある(相互に代謝を阻害すると考えられる)]。
    16. ドセタキセル、パクリタキセル[本剤又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節する(代謝酵素を競合することにより、本剤又はこれらの薬剤の代謝が阻害される可能性がある)]。
    17. レテルモビル[本剤又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節する(レテルモビルのCYP3A阻害により本剤の血中濃度が上昇する可能性があり、また、本剤の有機アニオントランスポーター阻害によりレテルモビルの血中濃度が上昇する可能性がある)]。
    18. エゼチミブ[本剤又はこれらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節する(機序は不明である)]。
    19. オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル[本剤又はパリタプレビルの血中濃度が上昇する可能性があるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節する(リトナビルのCYP3A4阻害及びパリタプレビルの有機アニオントランスポーター阻害により本剤の血中濃度が上昇すると考えられ、本剤の有機アニオントランスポーター、乳癌耐性蛋白及びP糖蛋白阻害により、パリタプレビルの血中濃度が上昇すると考えられる)]。
    20. コルヒチン
      1. コルヒチン[本剤の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には血中濃度を参考に投与量を調節する(機序は不明である)]。
      2. コルヒチン[コルヒチンの血中濃度が上昇し、コルヒチンの作用が増強する恐れがあるので、患者の状態を十分に観察する(本剤のP糖蛋白阻害によりコルヒチンの血中濃度が上昇することがある)。なお、肝臓又は腎臓に障害のある患者にはコルヒチンを投与しない(本剤のP糖蛋白阻害によりコルヒチンの血中濃度が上昇することがある)]。
    21. トルバプタン、チカグレロル、レンバチニブ[これらの薬剤の血中濃度が上昇し作用が増強する恐れがある(本剤のP糖蛋白阻害によりこれらの薬剤の血中濃度が上昇することがある)]。
    22. ダビガトラン、エドキサバン[これらの薬剤の血中濃度が上昇し抗凝固作用が増強する恐れがある(本剤のP糖蛋白阻害によりこれらの薬剤の血中濃度が上昇することがある)]。
    23. リファキシミン[リファキシミンの血中濃度が上昇し作用が増強する恐れがある(本剤のP糖蛋白、CYP3A4、有機アニオントランスポーター阻害によりリファキシミンの血中濃度が上昇することがある)]。
    24. リオシグアト[リオシグアトの血中濃度が上昇する恐れがある(P糖蛋白及び乳癌耐性蛋白阻害によりリオシグアトの血中濃度が上昇することがある)]。
    25. グレカプレビル・ピブレンタスビル[これらの薬剤の血中濃度が上昇したとの報告がある(本剤の有機アニオントランスポーター、P糖蛋白及び乳癌耐性蛋白阻害により、これらの薬剤の血中濃度が上昇すると考えられる)]。
    26. レパグリニド[レパグリニドの血中濃度が上昇し血糖降下作用が増強する恐れがある(本剤が、レパグリニドのCYP3A4による代謝を阻害すること及び輸送蛋白質を阻害し肝細胞への取り込みを阻害することにより、レパグリニドの血中濃度が上昇すると考えられる)]。
    27. カスポファンギン[カスポファンギンのAUCが増加したとの報告があり、また、併用により一過性のAST(GOT)及びALT(GPT)の増加が認められたとの報告があるので、本剤が投与されている患者へのカスポファンギンの投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとし、併用する場合は、肝酵素の綿密なモニタリングを考慮する(本剤がカスポファンギンの肝細胞への取り込みを抑制することによると考えられる)]。
    28. HMG-CoA還元酵素阻害剤(シンバスタチン、プラバスタチン等)[筋肉痛、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とした急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症が現れやすいので、患者の状態を十分に観察する(HMG-CoA還元酵素阻害剤の血中からの消失が遅延すると考えられる)]。
    29. ジゴキシン
      1. ジゴキシン[ジゴキシンの血中濃度が上昇することがあるので、ジゴキシンの血中濃度を参考に投与量を調節するなどジギタリス中毒に注意する(ジゴキシンの腎からの排泄を抑制すると考えられる)]。
      2. ジゴキシン[高カリウム血症が現れる恐れがあるので、血清カリウム値に注意する(高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる)]。
    30. アンブリセンタン[本剤との併用によりアンブリセンタンの血中濃度が上昇しAUCが約2倍になるとの報告がある(機序は不明である)]。
    31. テオフィリン[テオフィリンの血中濃度が上昇するとの報告があるので、テオフィリンの血中濃度を参考に投与量を調節する(機序は不明である)]。
    32. 不活化ワクチン(不活化インフルエンザワクチン等)[ワクチンの効果が得られない恐れがある(免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られない恐れがある)]。
    33. ニフェジピン[歯肉肥厚が現れやすい(歯肉肥厚の副作用が相互に増強されると考えられる)]。
    34. カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン等)、エプレレノン、カリウム製剤、ACE阻害剤、アンジオテンシン2受容体拮抗剤、β-遮断剤、ヘパリン[高カリウム血症が現れる恐れがあるので、血清カリウム値に注意する(高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる)]。
    35. 利尿剤(チアジド系利尿剤、フロセミド等)[高尿酸血症及びこれに伴う痛風が現れやすいので、血中尿酸値に注意する(高尿酸血症の副作用が相互に増強されると考えられる)]。
    36. ブロナンセリン、ナルフラフィン[これらの薬剤の血中濃度が上昇し作用が増強する恐れがある(代謝酵素の競合により、これらの薬剤の代謝が阻害されると考えられる)]。
    37. エベロリムス
      1. エベロリムス[エベロリムスのバイオアベイラビリティが有意に増加したとの報告があるので、本剤の用量を変更する際には、エベロリムスの用量調節も行う(代謝酵素の競合により、エベロリムスの代謝が阻害されると考えられる)]。
      2. エベロリムス[エベロリムスが本剤の腎毒性を増強する恐れがある(機序は不明である)]。
    38. ミコフェノール酸モフェチル[ミコフェノール酸モフェチルの血中濃度が低下したとの報告がある(ミコフェノール酸モフェチルの腸肝循環が阻害され血中濃度が低下すると考えられる)]。
    39. アメナメビル[アメナメビルの血中濃度が低下し作用が減弱する恐れがある(機序は不明である)]。
    40. 外用活性型ビタミンD3製剤(タカルシトール(外用)、カルシポトリオール(外用))[血清カルシウム値が上昇する可能性がある(本剤による腎機能低下が現れた場合に、活性型ビタミンD3による血清カルシウム値上昇がより現れやすくなると考えられる)]。
    41. エルトロンボパグ[エルトロンボパグの血中濃度が低下したとの報告及び血中濃度が高値を示したとの報告がある(機序は不明である)]。

(高齢者への投与)

高齢者では一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[動物実験(ラット)で催奇形作用、また、難産及び周産期死亡が報告されており、ヒトで胎盤を通過することが報告されている(妊娠中に本剤を投与された女性において、早産及び児への影響(低出生体重、先天奇形)の報告がある)]。

  2. 本剤投与中は授乳を避けさせる[母乳中へ移行するとの報告がある]。

(小児等への投与)

  1. アトピー性皮膚炎の低出生体重児、アトピー性皮膚炎の新生児、アトピー性皮膚炎の乳児、アトピー性皮膚炎の幼児又はアトピー性皮膚炎の小児に対する本剤の臨床試験は実施されておらず、用法・用量及び安全性は確立していない(使用経験がない)ので、これらの患者へは本剤投与による治療上の有益性が危険性を上回ると判断されない限り投与しない。なお、低出生体重児(アトピー性皮膚炎の適応を除く)、新生児(アトピー性皮膚炎の適応を除く)又は乳児(アトピー性皮膚炎の適応を除く)に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)ので、適応患者の選択を慎重に行い、投与する際には患者の状態を十分に観察する。

  2. 一般に小児での多毛の発現率は成人に比べ高い傾向がある。

  3. 一般に小児と成人の副作用の発現率は同程度であるが、ネフローゼ症候群に対する他社の臨床試験の結果では成人に比べ小児で発現率が高い傾向がみられ、特に小児での多毛、Al-P上昇の発現が成人に比べ高かったので、小児のネフローゼ症候群患者に投与する際には、これら副作用の発現に十分注意する。

(過量投与)

  1. 過量投与時の徴候、症状:悪心・嘔吐、傾眠、頭痛、頻脈、血圧上昇、腎機能低下等。

  2. 過量投与時の処置:服用後短時間であれば催吐、活性炭投与、胃洗浄が有効である(シクロスポリンの血中濃度と症状の程度に相関性がみられるので、血中濃度をモニターし、必要により対症療法を行うが、シクロスポリンは透析によりほとんど除去されない)。

(適用上の注意)

  1. 本剤とサンディミュン(内用液又はカプセル)を同時に用いることは避ける[本剤はサンディミュンと生物学的に同等ではなく、バイオアベイラビリティが向上しているので、シクロスポリン含有量が同じでも血中濃度に差があるため]。

  2. 薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

(その他の注意)

  1. 循環器障害:本剤との因果関係は確立されていないが、心不全等の重篤な循環器障害が現れたとの報告がある。

  2. 長期にわたりPUVA療法を受けていた乾癬又は長期にわたりPUVA療法を受けていたアトピー性皮膚炎患者に本剤を投与する場合、皮膚癌の発現リスクが増大する可能性があるので患者の皮膚の状態に注意する。

  3. 海外でネフローゼ症候群の患者において、クレアチニンの上昇を伴わない腎臓の組織変化が報告されているので、本剤を1年以上の長期にわたり使用する際には、腎臓の組織学的検査を行うことが望ましい。

  4. 血中濃度測定用採血:血中濃度測定のための血液採取は末梢血を用いる[骨髄移植で中心静脈カテーテルによるルート採血を行った場合、その全血中シクロスポリン濃度は、末梢血中の濃度に比べて高いとの報告がある]。

  5. ラットで、精細管障害を示す組織像(40mg/kg、経口投与)、精子運動能低下(20mg/kg、経口投与)、精子数減少、精子運動能及び妊孕性低下(1mg/kg、皮下投与)が認められたとの報告がある。

(取扱い上の注意)

安定性試験:PTP包装(PTPシートをアルミピロー包装)したものについて、室温の保存条件下で36カ月間保存したものは定量試験等いずれの試験項目においても規格に適合した。

(保管上の注意)

開封後防湿。