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アウドラザイム点滴静注液2.9mg
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アウドラザイム点滴静注液2.9mgの添付文書

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効果・効能

ムコ多糖症1型。

(効能又は効果に関連する注意)

中枢神経系症状に対する有効性は認められていない。

用法・用量

通常、ラロニダーゼ(遺伝子組換え)として、1回体重1kgあたり0.58mgを週1回、点滴静注する。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 日局生理食塩液で希釈した後に次を参考に投与すること。投与速度は初期値10μg/kg/時から開始し、患者の忍容性を十分確認しながら最初の1時間で15分ごとに段階的に上げ、200μg/kg/時以下で投与する。最大投与速度に達した後は、投与が完了するまでこの速度を維持し、2~3時間かけて投与すること〔8.1、8.2参照〕。

    [体重7kg未満の患者]

    投与総量=50mL。

    1. 1mL/時(約10μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
    2. 2mL/時(約20μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
    3. 4mL/時(約50μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
    4. 8mL/時(約100μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。
    5. 16mL/時(約200μg/kg/時)×3時間:投与終了までこの速度で投与する。

      [体重7kg以上20kg以下の患者]

      投与総量=100mL。

    6. 2mL/時(約10μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。

    7. 4mL/時(約20μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。

    8. 8mL/時(約50μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。

    9. 16mL/時(約100μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。

    10. 32mL/時(約200μg/kg/時)×3時間:投与終了までこの速度で投与する。

      [体重20kgを超える患者]

      投与総量=250mL。

    11. 5mL/時(約10μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。

    12. 10mL/時(約20μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。

    13. 20mL/時(約50μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。

    14. 40mL/時(約100μg/kg/時)×15分:バイタルサインを測定し、安定していれば次段階の速度にまで上げる。

    15. 80mL/時(約200μg/kg/時)×3時間:投与終了までこの速度で投与する。

    1. 本剤投与によりinfusion reaction(潮紅、発熱、頭痛、発疹等)が発現する可能性があり、これらの症状を軽減させるために、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤またはその両方を本剤投与開始の60分前に前投与することが望ましい〔8.2参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 重篤なinfusion reaction(頻度不明):重度アナフィラキシー(呼吸障害等)を投与中に起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤の投与及び気道確保等の適切な処置を行うこと〔1.警告の項、8.1、8.2参照〕。

    1. その他の副作用
    1. 一般的全身:(5%以上)疼痛、発熱、体温変動感、(5%未満)インフルエンザ様症候群、疲労、悪寒、浮腫、アナフィラキシー、蒼白。
    2. 中枢・末梢神経系:(5%以上)頭痛、(5%未満)浮動性めまい、反射亢進、歩行異常、錯感覚、片頭痛、異常感覚。
    3. 皮膚:(5%以上)発疹、皮膚そう痒症、(5%未満)皮膚障害、蕁麻疹、多汗、脱毛症、皮膚冷湿。
    4. 血管系:(5%以上)潮紅、(5%未満)静脈障害。
    5. 消化器系:(5%以上)悪心、腹痛、嘔吐、(5%未満)下痢、消化不良、口内乾燥、歯肉増生、変色歯。
    6. 筋骨格系:(5%以上)関節障害、関節痛、骨痛、(5%未満)筋力低下。
    7. 肝臓:(5%未満)ビリルビン血症、血清AST増加、血清ALT増加。
    8. 心血管系:(5%以上)低血圧、(5%未満)心雑音。
    9. 呼吸器系:(5%未満)咳嗽、呼吸困難、呼吸障害、低酸素症。
    10. 心拍数・心リズム:(5%未満)頻脈、(頻度不明)徐脈。
    11. 血液:(5%未満)紫斑、頚部リンパ節症。
    12. 適用部位:(5%以上)注射部位反応。
    13. 精神系:(5%未満)激越、錯乱。
    14. 代謝:(5%未満)体重増加、低カリウム血症、低マグネシウム血症。
    15. その他:(5%未満)溢血。

使用上の注意

(警告)

本剤の投与当日に本剤に関連する症状として発現するinfusion reactionのうち、アナフィラキシー反応があらわれる可能性があるので、本剤は、緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、投与終了後も十分な観察を行うこと。また、重篤なinfusion reactionが発現した場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.1、8.2、11.1.1参照〕。

(禁忌)

本剤の成分に対しアナフィラキシーショックの既往歴のある患者〔8.1、8.2参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤はたん白質製剤であり、アナフィラキシーショックが起こる可能性が否定できないため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置を取れる準備をしておくこと。ムコ多糖症1型患者では冠動脈疾患の罹患率が高いことから、エピネフリンの使用を検討している場合には注意が必要である〔1.警告、2.禁忌の項、7.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
    1. 本剤投与によりinfusion reaction(潮紅、発熱、頭痛、発疹等)が発現する可能性があるので、Infusion reactionが現れた場合には、投与速度を下げるか、一旦投与を中止し、適切な薬剤治療(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤又は抗炎症剤等)や緊急処置を行うこと〔1.警告、2.禁忌の項、7.1、7.2、9.1.1、11.1.1参照〕。
    1. ほとんどの患者にIgG抗体産生が予測されるため、定期的にラロニダーゼ(遺伝子組換え)に対するIgG抗体検査を行うことが望ましい。
    1. 本剤は、マスターセルバンク構築時にメキシコ産のウシ胎仔血清を使用しているが、製造工程においてウシ血清の除去処理を行っており、また、伝達性海綿状脳症(TSE)に関する理論的なリスク評価を行い、一定の安全性を確保する目安に達していることを確認している。しかしながら、TSEの潜在的伝播の危険性を完全に排除することはできないことから、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、本剤を投与すること。また、投与に先立ち患者への有用性と安全性の説明も考慮すること。なお、本剤投与によりTSEがヒトに伝播したとの報告はない。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者〔8.1、8.2参照〕。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 腎機能に高度障害のある患者:腎機能に障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

(肝機能障害患者)

  1. 3.1. 肝機能に高度障害のある患者:肝機能に障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある患者には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトで哺乳中の児における影響は不明である)。

(小児等)

〔17.1.3参照〕。

(高齢者)

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。

(適用上の注意)

    1. 薬剤調製時の注意
  1. 1.1. 調製方法 1. 患者の体重に基づいて本剤の投与量を算出し、投与に必要なバイアル数を決定する。冷蔵庫より投与に必要なバイアル数を取り出し、室温になるまで放置する(約20分間)。 1. 調製前に本剤の変色及びバイアル内に微粒子が含まれていないか各バイアルを目視検査すること(変色の見られるものまたは微粒子が混入しているものは使用しないこと)。 1. 本剤は日局生理食塩液で希釈した後に患者へ投与するため、薬液総量に相当する日局生理食塩液を準備する。患者の体重に基づいて投与する薬液総量を決定する。薬液総量は、体重7kg未満の患者には50mL、体重7kg以上20kg以下の患者には100mLとし、体重20kgを超える患者の場合には250mLとする。 1. (1)で算出した本剤の投与量の等量を(3)で決定した日局生理食塩液バッグより抜き取り廃棄する。 1. バイアルから必要量を抜き取り、日局生理食塩液バッグにゆっくり添加し、静かに混和する(急激な振盪溶解は避けること)。 1. 患者に投与する前に微粒子が混入してないか希釈液を目視検査する(肉眼で確認できる粒子のない無色澄明な液のみを使用すること)。

  2. 1.2. 希釈後は速やかに使用すること(希釈後直ちに使用できない場合は、希釈した本剤を2~8℃で保存し、24時間以内に使用すること)。

  3. 1.3. 他剤(日局生理食塩液を除く)との混注を行わないこと。

  4. 1.4. 各バイアルは一回限りの使用とすること。

  5. 1.5. 本剤は0.2μmのインラインフィルターを通して投与すること。

(取扱い上の注意)

凍結、振盪を避けること。

(保管上の注意)

凍結を避け、2~8℃で保存。