処方薬
ミッドペリックL135腹膜透析液
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ミッドペリックL135腹膜透析液の添付文書

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効果・効能

慢性腎不全患者における腹膜透析(高マグネシウム血症や代謝性アシドーシスの改善が不十分で、かつ炭酸カルシウム製剤や活性型ビタミンD製剤の投与により高カルシウム血症を来す恐れのある場合に用いる)。

(効能又は効果に関連する使用上の注意)

  1. 本剤を使用中に活性型ビタミンD製剤又は炭酸カルシウム製剤の使用量を増加させた場合、血清カルシウム濃度が上昇し、場合によっては、正常域上限を超えることがあるため、併用に際しては血清カルシウム濃度に注意する。

  2. 高マグネシウム血症や代謝性アシドーシスの改善が不十分で、かつ炭酸カルシウム製剤や活性型ビタミンD製剤の投与により高カルシウム血症を来す恐れのある場合に使用する。

用法・用量

透析治療を目的とし、腹腔内に注入して使用する。1回1.5~2Lを腹腔内に注入し、4~8時間滞液し、効果期待後に排液除去する。以上の操作を1回とし、ミッドペリックL135腹膜透析液、ミッドペリックL250腹膜透析液及びミッドペリックL400腹膜透析液を適宜組み合せるか又は単独使用して、1日当たり4回の連続操作を継続して行う。なお、注入量、滞液時間、操作回数は、症状、血液生化学値及び体液の平衡異常、年齢、体重等により適宜増減する。注入及び排液速度は300mL/分以下とする。

(用法及び用量に関連する使用上の注意)

  1. 注入量及び交換回数:注入量(容量設定)は、次を目安とし、また交換回数は通常1日4回とする。

    体重50kg未満:1.5L容量を使用し、交換回数は通常1日4回とする。

    体重50kg以上:2L容量を使用し、交換回数は通常1日4回とする。

    なお、2L貯留を行っている患者で透析不足による尿毒症症状(全身倦怠感、食欲不振、不眠等)が認められる場合、又は1日5回以上の透析交換に不都合を感じている場合に、患者の腹腔内容積や肺活量に応じて(体重60kg以上を目安とする)2Lに代え2.5L容量を適用する。

  2. 組合せ処方:ミッドペリックL135腹膜透析液、ミッドペリックL250腹膜透析液及びミッドペリックL400腹膜透析液の1日の組合せ処方は、添付文書の推定除水量を参考とする。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、発現頻度については文献等を参考にした。

(参考)

ペリトリックL135、ペリトリックL250、ペリトリックL400(承認整理済)について慢性腎不全患者を対象とした治験80例のうち2例(2.5%)に血清アルカリホスファターゼの上昇が、1例(1.3%)に血清の副甲状腺ホルモンの上昇が認められた。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. 循環器障害:急激な除水による循環血液量減少、低血圧、ショック等が現れることがあるので、このような場合には投与を中止し、輸血、生理食塩液、昇圧剤投与等の適切な処置を行う。
    2. 高血糖:糖尿病患者では高血糖が現れることがあるので、インスリンの投与等適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。

    1. 精神神経系:(頻度不明)筋痙攣。
    2. 消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐、腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘。
    3. 内分泌系:(0.1~5%未満)副甲状腺ホルモン上昇。
    4. 肝臓:(0.1~5%未満)Al-P上昇。
    5. 代謝・栄養:(頻度不明)低カリウム血症、低カルシウム血症、低マグネシウム血症、高乳酸血症、代謝性アルカローシス、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症、食思不振。
    6. その他:(頻度不明)牽引痛、浮腫、発熱、排液困難、除水機能低下、腹水漏出、著しい蛋白喪失・著しいアミノ酸喪失・著しい水溶性ビタミン喪失。

使用上の注意

(禁忌)

  1. 横隔膜欠損のある患者[胸腔へ移行し呼吸困難が誘発される恐れがある]。

  2. 腹部挫滅傷又は腹部熱傷のある患者[挫滅傷又は熱傷の治癒を妨げる恐れがある]。

  3. 高度腹膜癒着のある患者[腹膜の透析効率が低下しているため]。

  4. 尿毒症に起因する以外の出血性素因のある患者[出血により蛋白喪失が亢進し全身状態が悪化する恐れがある]。

  5. 乳酸代謝障害の疑いのある患者[乳酸アシドーシスが誘発される恐れがある]。

(慎重投与)

  1. 腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患の疑いのある患者[腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患が悪化又は誘発される恐れがある]。

  2. 腹部手術直後の患者[手術部位の治癒を妨げる恐れがある]。

  3. 糖代謝障害の疑いのある患者[糖代謝異常が悪化又は誘発される恐れがある]。

  4. ジギタリス治療中の患者[ジギタリス中毒が誘発される恐れがある]。

  5. 食事摂取不良の患者[栄養状態が悪化する恐れがある]。

  6. 腹部ヘルニアのある患者[腹部ヘルニアが悪化する恐れがある]。

  7. 腰椎障害のある患者[腰椎障害が悪化する恐れがある]。

  8. 憩室炎のある患者[憩室炎が腹膜炎合併の原因となる恐れがある]。

  9. 人工肛門使用患者[細菌感染を起こす恐れがある]。

  10. 利尿剤投与中の患者[水及び電解質異常が誘発される恐れがある]。

  11. 高度換気障害のある患者[肺に水が貯留する恐れがある]。

  12. 高度脂質代謝異常のある患者[高コレステロール血症、高トリグリセリド血症が悪化する恐れがある]。

  13. 高度肥満がみられる患者[肥満を増長させる恐れがある]。

  14. 高度低蛋白血症のある患者[低蛋白血症が悪化する恐れがある]。

  15. ステロイド服用者、免疫不全患者、抗生物質アレルギー体質を持つ患者[感染症発生時に抗生物質が使用できない恐れがある]。

  16. 高齢者。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤の投与開始は、医療機関において医師により又は医師の直接の監督により実施する。通院、自己投与は、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を施した後、医師自らの管理指導の下に実施する。

  2. 腹膜炎を合併することがあるので、本剤の投与にあたっては特に清潔な環境下で無菌的操作により行うとともに次のことに注意する。

    1. 腹膜カテーテルの管理及び腹膜カテーテル出口部分の状態には十分注意する。
    2. 腹膜炎が発生すると排液が濁るので、その早期発見のために毎排液後、液の混濁状態を確認する。腹膜炎発生の有無の確認は、排液の澄明性を未使用の本剤と比較して行い、白濁している場合には、速やかな処置をとる。
  3. 長期の腹膜透析実施において被嚢性腹膜硬化症(EPS)を合併することがあるので、発症が疑われたら直ちにCAPDを中止し、血液透析に変更し、発症後は経静脈的高カロリー輸液を主体とした栄養補給を行い、腸管の安静を保つ(嘔吐がある場合は胃チューブにより胃液を持続吸引する)、本症は必ずイレウス症状を伴うが、診断には次の臨床症状、血液検査所見及び画像診断が参考になる[1)臨床症状:低栄養・るいそう・下痢・便秘・微熱・血性排液・局所性腹水貯留若しくはびまん性腹水貯留・腸管蠕動音低下・腹部における塊状物触知・除水能低下・腹膜透過性亢進、2)血液検査所見:末梢白血球数増加・CRP陽性・低アルブミン血症・エリスロポエチン抵抗性貧血・高エンドトキシン血症、3)画像診断:X線検査・超音波検査・CT検査]。

  4. 注入液、排液の出納に注意する。

  5. 定期的に血液生化学検査及び血液検査等を実施する。

(高齢者への投与)

一般に高齢者では生理機能が低下しているので患者の状態を観察し用量設定するなど注意する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊婦・授乳婦に対する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

(適用上の注意)

  1. 適用:本剤はカリウムを含まないため、血清カリウム値が正常あるいは血清カリウム値が低値の場合、またジギタリス治療中の患者では症状に応じて本剤中のカリウム濃度が1~4mEq/Lになるように補正して使用する。

  2. 調製時:本剤に他の薬剤を混注する際は、2液を混合した後行う。

  3. 使用時

    1. 下痢、腹痛、悪寒等の予防のため、本剤をあらかじめ体温程度に温めてから注入する。
    2. 隔壁を開通したものは、速やかに使用する。
  4. 投与経路:本剤は腹膜透析液であるため、静脈内には投与しない。

(取扱い上の注意)

  1. 使用前の注意

    1. 本剤は隔壁を開通し、大室液と小室液を混合した後、使用する。
    2. 包材に破れが認められる場合は、使用しない。
    3. 内容液が漏れている場合や、内容液に混濁・浮遊物等の異常が認められるときは使用しない。
    4. 隔壁に開通が認められる場合は、使用しない。
    5. 開通操作により液漏れが生じた場合は、使用しない(また、バッグを強くつかんで液が漏れた場合も使用しない)。
    6. 透析液の流路をふさぐ場合があるので、クリックチップは確実に切断する。
  2. 調製時の注意

    1. 本剤に他の薬剤を配合する際は、大室液と小室液を混合した後、混注口をシールしているフィルムをはがす。
    2. 薬剤の配合操作や排液のサンプリングを行う際は、注射針で混注口内面やバッグを傷つけないよう注意する。
    3. 薬剤を配合した際は、よく転倒混和し、配合変化に注意する。
  3. 在宅医療において本剤を使用する場合の患者への注意事項

    1. 在宅医療において本剤を使用する場合、バッグ交換操作は、マニュアルに従って行わせる。
    2. 非常事態の処置法は、次に従わせる。
      1. 在宅医療において本剤を使用時、隔壁を開通せずに使用した場合:直ちに排液を行い、医師又はスタッフに連絡し、指示を受ける。
      2. 在宅医療において本剤を使用時、包材の破れ、液漏れに気がつかずに使用した場合:直ちに医師又はスタッフに連絡し、指示を受ける。
      3. 在宅医療において本剤を使用時、ジョイント部の割れ等の器材破損:直ちにトランスファーチューブを3箇所しばり、医師又はスタッフに連絡し、指示を受ける。
  4. ソフトバッグ取扱い上の注意

    1. バッグは軟らかいプラスチック製なので、鋭利なもの等で傷つけない(液漏れの原因となる)。また、冬期等の低温下ではバッグが破損しやすくなるので注意する。
    2. 容器に強い衝撃を加えて、隔壁を開通させると、バッグが破損する場合があるので、取扱いに注意する。
    3. 排液が入ったバッグを高所から落とすと破損する場合があるので、取扱いに注意する。
  5. 安定性試験:長期保存試験(室温、37カ月)の結果、通常の市場流通下において3年間安定であることが確認された。

(操作方法)

  1. 開封:バッグを外袋より取り出す。

  2. 確認:隔壁に開通がないことを確認する。

  3. 開通:大室側を強くつかみ隔壁側へ押し出すように圧力をかけ、隔壁を開通する。

  4. 混合:両手で交互に押し、十分混合する。

(保管上の注意)

直射日光を避け、保存。