キンダリー透析剤AF4号の添付文書
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効果・効能
慢性腎不全における透析型人工腎臓の灌流液として用いる(無糖の透析液では血糖値管理の困難な患者及び他の重炭酸型透析液では高カリウム血症、高マグネシウム血症の改善が不十分な場合、又は高カルシウム血症を起こす恐れのある場合に用いる)。
(効能・効果に関連する使用上の注意)
適応となる透析患者の病態を把握のうえ本剤の特徴を考慮して使用する。
用法・用量
A液:B液:透析用希釈用水=1:1.26:32.74の希釈・調製比率の重炭酸型透析液供給装置を用いて血液透析を行う場合の灌流液として使用する。用量は透析時間により異なるが、灌流液として150~300Lを用いる。
副作用
承認時までのキンダリー透析剤4E(本剤と同一処方で剤形が異なる製剤である)の比較臨床試験においては70例全例で副作用は認めなかった。
透析療法により起こる恐れのある次記の症状に対してそれぞれ適切な処置を行う。
循環器:
- 循環血液量の急激な減少による血圧低下、ショック症状[透析を中止するか又は透析効率を下げ、輸液剤、昇圧剤の投与等]。
- 血圧上昇[降圧剤の投与等]。
カルシウム代謝異常:
- 低カルシウム血症による痙攣、気分不快等[カルシウム濃度の高い透析液への変更、又は活性型ビタミンD3製剤やカルシウム製剤の投与等]。
- 骨合併症(骨粗鬆症、骨軟化症、線維性骨炎等)[活性型ビタミンD3製剤の投与等]。
- 異所性石灰沈着症[リン吸着剤の投与により血清リン値を正常範囲内に維持する]。
血糖:
- 低血糖[ブドウ糖注射液の投与、糖分の補給等]。
- 高血糖[ブドウ糖を含まないあるいはブドウ糖濃度の低い透析液による透析等を行う]。
体重・血圧:体重増加、血圧上昇傾向(口渇感増強等による水分摂取増加)[限外濾過圧の調節により除水を行い、体重のコントロールを行う]。
不均衡症候群:頭痛、悪心、嘔吐、痙攣、意識混濁、不快感・倦怠感等[透析効率を下げる]。
使用上の注意
(慎重投与)
高度肝障害による酢酸代謝障害又は重症糖尿病による酢酸代謝障害等のある患者[酢酸が代謝されず、酢酸自体の作用(心機能抑制、末梢血管拡張)による血圧低下等の症状が現れる恐れがある]。
ジギタリス配糖体製剤投与中の患者[血清カリウム値低下によるジギタリス中毒発症の恐れがある]。
(重要な基本的注意)
本剤は慢性腎不全に対する通常の血液透析に使用するが、次の事項を考慮して使用する。
本剤はブドウ糖を含む製剤(使用時:125mg/dL)であるので、ブドウ糖を含まない透析液では、透析中血糖値の急激な低下等、良好な血糖コントロールの困難な場合に使用する。
本剤はカリウム、カルシウム、マグネシウム濃度の低い製剤であるので、次のような場合に使用する、1)カリウム、マグネシウム濃度の高い透析液では、高カリウム血症、高マグネシウム血症の改善が不十分な場合に使用する、2)活性型ビタミンD3製剤等の薬剤の使用中で血液透析による多量のカルシウム付加を必要とせず、カルシウム濃度の高い透析液では、高カルシウム血症を起こす恐れのある場合に使用する。
長期投与する場合には、骨代謝異常が現れることがあるので、定期的に臨床検査(生化学検査、X線検査など)を行い、活性型ビタミンD3製剤投与などの適切な処置を行う。
アルミニウム骨症の患者は、骨塩量が低下することがあるので、骨塩量を定期的に測定し、低下する場合はカルシウム濃度3.0mEq/L以上の透析液を用いる。
(高齢者への使用)
使用にあたっては、他の患者と同様に本剤の特性に十分に留意し、長期使用する場合には、骨合併症が現れることがあるので、定期的に臨床検査(生化学検査、X線検査など)を行い、活性型ビタミンD3製剤の投与などの適切な処置を行う。
また、アルミニウム骨症の高齢者は、骨塩量が低下することがあるので、骨塩量を定期的に測定し、低下する場合はカルシウム濃度3.0mEq/L以上の透析液を用いる。
(妊婦・産婦・授乳婦等への使用)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用する[妊娠中の使用に関する安全性は確立していない]。
(小児等への使用)
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
(適用上の注意)
透析用水:透析用水の水質は、(一社)日本透析医学会が定める最新の透析液水質基準を参照する。
調製時:
- A液(電解質・ブドウ糖溶液)、B液(炭酸水素ナトリウム溶液)は各々単独では使用しない。
- 両液の濃厚液は直接混合しない[A液に含まれる塩化カルシウム水和物、塩化マグネシウムとB液の炭酸水素ナトリウムが反応して沈殿を生成する]。
定められた希釈液として調製する。希釈濃度が不正確な場合は、次のような症状を起こすことがあるので注意する。
濃度が高すぎた場合:頭痛、心悸亢進、血圧上昇、意識障害。
濃度が低すぎた場合:四肢のしびれ感、全身倦怠、胸内苦悶、急激な血圧低下、意識障害。
使用前に透析液の電解質濃度を測定し、それらが適正であることを確認する。
透析液の浸透圧比が0.95~1.00の範囲にあることを確認する。浸透圧比は生理食塩液の浸透圧(286mOsm)に対する透析液の浸透圧測定値の比より求める。
透析液のpHは透析用水等の影響で若干の変動があり得るので、使用前にpH7.2~7.4の範囲内にあることを確認する。
本剤は用時調製用の製剤であり、希釈調製後の透析液はすみやかに使用する。
残液は使用しない。
使用時:
- 本剤は注射又は腹膜灌流に用いない。
- 透析患者の血清浸透圧は、高窒素血症のため高値を示すのが普通であるから、血液側の陽圧によって、透析液浸透圧とのバランスを保つ。
- 透析液中の沈殿の有無を透析器前の透析液回路で確認し、沈殿を生じた透析液は使用しない。
- 使用に際しては、体温程度に温める。
- 本剤の使用に際しては、定期的に血液検査(電解質、酸・塩基平衡、BUN、クレアチニン、尿酸、血糖等)を行うことが望ましい。
(取扱い上の注意)
内容液(A液)が着色しているものは使用しない。
安定性試験:直接容器包装を用いた長期保存試験(25℃、相対湿度60%、24カ月)の結果、試験項目はいずれも規格範囲内であった。