処方薬
カーミCA液

カーミCA液の添付文書

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効果・効能

輸血を必要とする手術施行予定患者の自己血貯血。

用法・用量

生物由来原料基準 第2血液製剤総則1(2)全血採血により採血バッグに採血し、血液と本品(CPDA液)をよく混和する。なお、採血量100mLに対して、本品14mLを用いる。

副作用

本品は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確になる調査を実施していない。

次記の副作用が現れることがあるので観察を十分行い、副作用が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。

  1. 短時間大量投与:(頻度不明)クエン酸による血中カルシウムイオン濃度低下。

  2. 腎臓:(頻度不明)軽度血尿(尿潜血反応)。

使用上の注意

(禁忌)

本剤に対し過敏症の既往歴のある患者。

(慎重投与)

  1. 痛風、尿路結石のある患者。

  2. 腎障害のある患者。

  3. ビリルビン値が高く黄疸のある患者。

  4. 感染症又はその疑いのある患者。

(重要な基本的注意)

  1. 血液製剤(血小板製剤、濃厚赤血球製剤)の輸血を行った際に、血圧低下、ショック等の重篤な症例が報告されている。使用に際しては、急激な血圧低下、ショック等の重篤な症状の発生時に備え、予め救急処置のとれるよう準備しておく。また、輸血中は、患者の状態をよく観察し、発熱、悪寒、頭痛、関節痛、蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下、ショック等の異常が認められた場合には、直ちに輸血を中止し適切な処置を行う。アレルギーや過敏症の既往歴のある患者への使用は特に注意が必要である。

  2. 本品は可塑剤であるフタル酸ジ2-エチルヘキシルが溶出する恐れがあるので、注意する。

  3. 使用中は本品の破損、接合部のゆるみ及び薬液漏れ等について、定期的に確認する。

  4. 脂肪乳剤を含む医薬品、ヒマシ油等の油性成分、界面活性剤又はアルコール等の溶解補助剤等を含む医薬品を投与する場合及びアルコールを含む消毒剤を使用する場合は、コネクターのひび割れについて注意する[薬液により延長チューブ等のコネクターにひび割れが生じ、血液及び薬液漏れ、空気混入の可能性がある、特に全身麻酔剤、昇圧剤、抗悪性腫瘍剤及び免疫抑制剤等の投与では、必要な投与量が確保されず患者への重篤な影響が生じる可能性がある。なお、ライン交換時の締め直し、過度な締め付け及び過度な増し締め等は、ひび割れの発生を助長する要因となる]。

  5. ひび割れが確認された場合は、直ちに新しい製品と交換する。

(高齢者への投与)

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

(適用上の注意)

カルシウム含有製剤と混和すると凝血をおこす恐れがあるため混合輸注はしない。

(その他の注意)

自己血輸血に関する注意

  1. 貯血式自己血輸血の対象:患者の術前状態が良好で緊急を要しない待機的手術や、特に稀な血液型や免疫抗体がある場合等を対象とし、なお、手術施行予定者を対象とする場合であっても、各医療施設の従来のMSBOS(最大手術血液準備量)等を参考として、輸血を行う可能性の低い患者は除外することが望ましい(また、血液希釈法はこの限りではない)。

  2. 患者への説明と患者からの採血の決定:採血に先立って、患者に自己血輸血の趣旨及び採血血液不使用の際の廃棄処分等を十分に説明し、同意を得た上で記録を残す。自己血輸血の利点、採血の安全性等の他、採血した患者の自己血液が不要となった場合は、同種血等に転用せず廃棄する旨を説明し、また採血を赤十字血液センターに依頼する場合はその旨記録する。当該患者からの採血の決定は、次に示す採血基準を参考として、その主治医又は主治医と密接に連絡をとった輸血に経験の深い医師、病院輸血部又は赤十字血液センターの専任医師等が行うことが望ましい[採血に伴う事故の防止に留意し、主治医との連絡を密にする]。

  3. 採血の基準

    1. 年齢:特に制限はない。10歳以下の小児、70歳以上の高齢者については慎重に判断する。
    2. 体重40kg以下は慎重に対処する。
    3. 血液検査所見:採血前に血色素量は11g/dL以上、ヘマトクリット値は33%以上あることが望ましい。
    4. 血圧:最高血圧は22.7kPa(170mmHg)以下、12.0kPa(90mmHg)以上を一応の基準とする。
    5. 全身所見:疾患の状況に伴う判断の他、採血により循環動態等に影響を与えぬよう注意する。循環器疾患の患者では、NYHA3度以上(New York Heart Association3度以上)、不安定狭心症、感染を伴う循環器疾患の場合は、原則として除外する。

      NYHAの分類

      1度:日常生活における身体活動では、疲れ、動悸、息切れ、狭心症状は起こらない。

      2度:日常生活における身体活動でも疲れ、動悸、息切れ、狭心症状の起こるもの。

      3度:軽い日常生活における身体活動でも疲れ、動悸、息切れ、狭心症状の起こるもの。

      4度:身体活動を制限して安静にしても心不全症状や狭心症が起こり、わずかな動作で訴えが増強するもの。

    6. 採血可能な静脈:上腕の緊縛により採血が可能な静脈であること。

    7. 血算(ヘモグロビン値及びヘマトクリット値、白血球数及び血小板数)、血液型と不規則抗体、ウイルス・マーカー等、必要諸検査を行う[献血者のHTLV-1、HIV抗体の検査はルーチンに行われるが、自己血採血に際してこれらの検査を行う場合には、誤解を招かぬよう注意が望ましい]。

  4. 採血場所:病院輸血部、病棟、診察室又は赤十字血液センター等、適当な温度で、十分な広さと明るさを持つ清潔な環境で、採血後約30分安静を保てる場所で行う。

  5. 採血時の注意

    1. 採血時に熱感、感冒様症状、下痢、頭痛等があり、気分がすぐれない場合には、原則として採血しない。
    2. 採血時における細菌汚染及び保存中における細菌の繁殖を防ぐため、採血する皮膚の消毒には特に注意し[採血の実際は、「血液製剤使用の適正化について第12版」の自己血輸血:採血及び保管管理マニュアルに準じ、採血部位の消毒は厳重に行う]、また閉鎖回路である本品を開放しないようにする。
    3. 皮膚病変部の穿刺や同一バッグでの再穿刺は行わない。
  6. 採血量:1回採血量は400mL又は循環血液量の10%以内を上限とする。患者の年齢、体重、採血時の血液検査所見及び血圧、脈拍数等を考慮して採血量を決定する。採血量100mLに対して、本品(CPDA液)14mLを用いる。低体重の患者に対しては次の数式が参考になる。

    採血量=400mL×患者体重/50kg。

  7. 採血日、採血間隔:血液の液状保存は35日と制限があるので、手術前5週以内に採血を開始する。採血間隔は、初回の採血後の患者血液所見の回復を参考に決定するが、1週間前後の間隔をおくことが望ましい。また最終採血は、血清蛋白量の回復を考慮し、手術前3日以内は避けることが望ましいが、麻酔導入後の術直前採血、血液希釈法はこの限りではない。

  8. 採血後の処置:採血後は健康な献血者以上に注意深く観察し、一定時間静臥させる。また循環血液量を可及的に採血前の状態に保つために、採血に引続き乳酸加リンゲル液等の電解質液の輸液を行うことが望ましいが、循環器疾患では輸液速度に注意する。初回採血の前から鉄剤を投与することが望ましい(成人100-200mg/日、小児3-6mg/kg/日)。

  9. 採血血液の取扱い:血液バッグのラベルには自己血であることを明示した上で患者の自筆又は保護者による署名を求め、血液型、採血日、自己血の使用予定日及び採血者名を記入する。同種血とは別個に保存することが望ましい。患者が感染症等、異常検査所見の場合には、血液バッグの取扱いに注意する。自己血を輸血する際、手術時には複数の医療従事者により患者本人の自己血であることを十分確認しなければならない。手術時以外に戻し輸血をする場合にも同様の確認を行った上、自筆で書かれた署名の確認を患者本人が行うことが望ましい。

  10. 調製血液の貯法及び有効期間:血液バッグは、2~6℃の冷蔵庫内に保存し、35日以内に使用する。

  11. 輸血前の注意

    1. 保存中にエルシニア菌等の好冷菌が増殖する危険性があるため、特に3週間以上経過した保存血液で黒変等、血液に変色が認められたものは使用しない。
    2. 保存期間中に凝集塊が形成されることがあるので、観察を十分行う。凝集塊の形成が認められた場合には、臨床現場の状況に応じ、投与の可否を判断する。
  12. 輸血時の注意:「JIS T 3212:滅菌済み輸血セット」又は、「滅菌済み輸血セット基準(平成10年12月11日 医薬発第1079号)」に適合する輸血用器具を使用し、輸血中は患者の観察を行い、異常が見られたら直ちに輸血を中止し、適切な処置を取る。他の薬剤は原則として混入しない。

    採血部位の消毒方法の例

  13. 穿刺部位を中心に70%イソプロパノール又は消毒用エタノールで皮膚の汚れをふき取り、鉗子(滅菌綿棒)を用いて10%ポビドンヨード液を浸した綿で穿刺部位から外側に向かって径10cm程度丸く円を描くように消毒し、十分乾燥させる。

  14. ヨード過敏症の人には、ポビドンヨードの代わりに0.5%グルコン酸クロルヘキシジンアルコールを用いる。

    消毒後は穿刺部位に絶対に触れない。血管を指で探りながら穿刺しなければならない場合には、滅菌手袋を着用する。

(取扱い上の注意)

  1. 本品は滅菌済みで、1回限りの使い捨てであり、再使用・再滅菌はしない。

  2. 使用期限内でも包装を開封したものは速やかに使用する。

  3. 塩化ビニル樹脂は、低温での物性が著しく低下し、破損する場合があるので低温及び凍結の状態での取扱いには十分注意する。

  4. 蒸気滅菌工程の水蒸気あるいはその後の熱処理のため、バッグが不透明になったり空袋やチューブ内に微量の水分が残留することがあるが、使用上問題はないが、著しい水濡れや内容液のリークが疑われる場合は使用しない。

  5. 万一、保存液漏れ、連通ピースの折れ、その他の異常が認められた場合は使用しない。

  6. 針キャップを開封する際は、キャップの根元を親指と人差指でしっかりつまんで回し、針先が針キャップに触れないように注意しながら、針キャップをまっすぐ引き抜く[針先が針キャップに触れると針先が変形し、穿刺しづらくなる場合がある]。

  7. 針キャップ開封後の採血針を取扱う際は、誤って手や指を針先で傷付けないように十分注意する。

  8. 連通ピースを開放する際は、一方向から折るだけでなく逆方向からも折り、完全に折れたことを確認する。

  9. 血液バッグを遠心する際、遠心カップ下部にチューブ・分岐管等を入れるとバッグを破損させることがあるので取扱いには十分注意する。

  10. 1~30℃の清潔な場所で保存する。また、直射日光や水漏れの恐れのある場所や湿度の高い場所での保存はさける。

  11. 本品はプラスチック製品であるから、運搬、操作時には振動や衝撃を加えないように十分注意する。

  12. 使用済みの本品を廃棄する場合には、周囲の環境を汚染しないように注意する。また、血液による感染を防ぐため、医療廃棄物として適正に処理する。

(製剤調製方法と調製時の注意)

  1. 製剤調製方法

    準備・採血

    1. 本品を滅菌袋から取り出す。
    2. メスコネクターは、輸液、輸血等に使用する。使用にあたっては無菌的に操作し、補液が採血バッグに入らないようにする。また、メスコネクターは、先端のキャップを外して使用する。
    3. 採血針キャップを外し、ドナーの静脈に穿刺する。
    4. 採血を開始したら採血バッグ内のCPDA液と血液を混和するために、市販の自動混合タイプ採血機の上に載せるか、又は手によって混和する。
    5. セットに表示されている量を採血したら、通常の方法で採血を終了する。
  2. 調製時の注意

    1. 使用前の注意
      1. 本品は医師の管理の下に使用する。
      2. 本品は血液製剤を調製することを目的とし、それ以外の目的には使用しない。
      3. チューブ及びバッグが破損していないか、採血針のキャップが外れていないか、滅菌袋が破損していないか、また保存液漏れがないか確認し、いずれの場合も異常が認められる場合には使用しない。
      4. 本品は清潔な場所で滅菌袋から使用直前に取り出し、直ちに使用する。
    2. 使用中の注意
      1. 採血中は患者の状態を観察し、異常が認められる場合は直ちに中止する。
      2. バッグ等を切り離す場合は、チューブの切断個所の両端をチューブシーラーで密封する。
      3. 本品の使用中に、血液漏れ等の異常が発見された場合は、細菌混入の恐れがあるので直ちに使用を中止する。
      4. チューブ内に残った血液の凝固を避けるため、チューブストリッパー(ローラーペンチ等)でチューブ内の血液を採血バッグに移し、血液保存液と混ぜ合わせた後、血液をチューブ内に戻す。
      5. 側管中には約1mLのエアーが存在するので、注意する。
      6. 採血後、本品を用いて調製したCPDA加人全血液製剤は、速やかに2~6℃にて保存する。なお、CPDA液を用いて調製した血液製剤は35日間保存できるが、細菌混入の恐れがある場合には使用しない。

(操作方法)

  1. 本品を滅菌袋から取り出す。

  2. 駆血帯を上腕にかけて、静脈穿刺位置を決める。

  3. 皮膚消毒を行う。

  4. 採血針の刺入と採血開始。

    1. 先端形状が採血針の場合:外気がバッグ内に入ることを防ぐために、分岐部と採血針間のクランプ(クランプA)を閉じ、採血針のキャップを外す。採血針を静脈に穿刺し、血液がチューブ内に入ったことを確認した後、分岐部と採血針間のクランプ(クランプA)を開き、採血を開始する。
    2. 先端形状が翼状針の場合:外気がバッグ内に入ることを防ぐために、分岐部と翼状針間のクランプ(クランプA)を閉じる。採血バッグと分岐部間チューブの連通ピース(連通ピースA)を折って開放し、針キャップを外す。翼状針を静脈に穿刺し、血液がチューブ内に入ったことを確認した後、分岐部と翼状針間のクランプ(クランプA)を開き、採血を開始する。
    3. 先端形状がオスコネクターの場合:外気がバッグ内に入ることを防ぐために、分岐部とオスコネクター間のクランプ(クランプA)を閉じ、採血バッグと分岐部間の連通ピース(連通ピースA)を折って開放する。翼状針又はプラスチックカニューレ針等を静脈に穿刺後、オスコネクター部のキャップをとり、清潔操作に留意し、オスコネクターを翼状針又はプラスチックカニューレ針等に接続する。接続不十分等による漏れがないことを確認してから、分岐部とオスコネクター間のクランプ(クランプA)を開放し採血を開始する。
  5. 採血

    1. 落差式採血の場合:穿刺部位から40~50cmの落差を設け、台秤等で重量を計りながら採血する。採血中はバッグを両手で持ち、バッグをゆっくりと上下に転倒することを頻繁に行い、血液と保存液を混和させる(採血開始時は特に頻繁に混和させる)。
    2. 重量式採血装置を使用する場合:装置の取扱い説明書に従って採血する。
  6. 採血量の確認:使用する採血バッグに応じた所定量を採血する。

    200mL採血用:血液重量として210g

    400mL採血用:血液重量として420g

  7. 採血終了と補液:採血が完了した後、直ちに採血針と側管分岐部間のクランプAを閉じる。

    1. 補液を行う場合:採血完了後に補液を行う場合は、次の(1)~(6)の手順で行う。
      1. 分岐部と採血バッグ間のチューブをクランプ(クランプB)もしくは鉗子にて閉じる。
      2. チューブシーラーを用いて分岐部と採血バッグの間のメインチューブをシールし、血液バッグを切離する。切離後、バッグを数回転倒し、血液と保存液を混和する。
      3. 採血針と側管分岐部間のクランプ(クランプA)を閉じる。側管の連通ピース(連通ピースB)を折って開放し、メスコネクターのキャップをはずす。
      4. 採血針と側管分岐部間のクランプ(クランプA)を開放する。メスコネクター部から逆血もしくはシリンジで側管内のエアを排出する。側管先端近くまで血液が充填されたら、採血針と側管分岐部間のクランプ(クランプA)を閉じる。
      5. プライミング済みの輸液セットの先端(オスコネクター)を側管のメスコネクターに接続する。
      6. 採血針と側管分岐部間のクランプ(クランプA)を開放し、補液を行う。補液完了後は、輸液セットのローラークランプを閉じ、抜針する。
    2. 補液を行わない場合:抜針した後、チューブシーラーを用いて分岐部と採血バッグの間のメインチューブをシールし、血液バッグを切離する。切離後、バッグを数回転倒し、血液と保存液を混和する。
    3. マスターガード(誤刺防止器具)付きの製品を用いた抜針:抜針の際にマスターガードを翼の下部に移動し、止血する側の手の中指を止血綿に、人差し指をマスターガードに引っ掛けた後、チューブを真っ直ぐに抜いて抜針する。抜針後に翼状針が誤刺防止器具内に収納され、翼が固定されたことを確認する。