処方薬
献血トロンビン経口・外用1万単位「JB」

献血トロンビン経口・外用1万単位「JB」の添付文書

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効果・効能

通常の結紮によって止血困難な小血管出血、毛細血管出血及び実質臓器出血(例えば外傷出血、手術中出血、骨性出血、膀胱出血、抜歯後出血、鼻出血及び上部消化管出血など)。

用法・用量

出血局所に、生理食塩液に溶かした溶液(トロンビンとして、50~1000単位/mL)を噴霧もしくは灌注するか、又は粉末のままで撒布する。上部消化管出血の場合には、適当な緩衝剤に溶かした溶液(トロンビンとして、200~400単位/mL)を経口投与する。なお、出血の部位及び程度により適宜増減する。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

トロンビンの至適pHは7付近であり、酸により酵素活性が低下するので、本剤を上部消化管出血に用いる場合には、事前に緩衝液等により胃酸を中和させる。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

  1. 重大な副作用

    ショック(頻度不明):ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、呼吸障害、胸部不快感、血圧降下、昏迷等の症状が現れた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行う。

  2. その他の副作用:次記のような症状が現れた場合には症状に応じて、適切な処置を行う。

    1. 過敏症:(頻度不明)発疹、発赤[このような場合には投与を中止する]。
    2. その他:(頻度不明)発熱、嘔気、嘔吐、頭痛。

使用上の注意

(警告)

本剤を注射しない[静脈内に誤って注入すると、血液を凝固させ致死的結果をまねく恐れがあり、また、アナフィラキシーを起こす恐れがあるので、静脈内はもちろん皮下・筋肉内にも注射しない]。

(禁忌)

凝血促進剤投与中(ヘモコアグラーゼ投与中)、抗プラスミン剤投与中(トラネキサム酸投与中)、アプロチニン製剤投与中の患者。

(慎重投与)

  1. 重篤な肝障害、汎発性血管内凝固症候群(DIC)等網内系活性低下が考えられる病態を有する患者[微量のトロンビンの血管内流入により、血管内血栓を形成する恐れがある]。

  2. 溶血性貧血・失血性貧血の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある)]。

  3. 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、持続性貧血を起こすことがある)]。

(重要な基本的注意)

患者への説明:本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを、患者に対して説明し、理解を得るよう努める。

  1. 本剤の原材料となる献血者の血液については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体、抗HTLV-1抗体陰性で、かつALT(GPT)値でスクリーニングを実施している。更に、HBV、HCV及びHIVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。本剤は、以上の検査に適合した血漿を原料として、陽イオン交換体処理により人トロンビンを濃縮・精製した製剤であり、ウイルス不活化・除去を目的として、製造工程においてリン酸トリ-n-ブチル(TNBP)/ポリソルベート80処理、ウイルス除去膜による濾過処理、凍結乾燥の後、60℃、72時間の加熱処理を施しているが、使用に際しては、次の点に十分注意する。
    1. 血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察する。
    2. 肝炎ウイルス感染等のウイルス感染のリスクについては完全には否定できないので、観察を十分に行い、症状が現れた場合には適切な処置を行う。
    3. 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与する。

(相互作用)

併用禁忌:

  1. ヘモコアグラーゼ(レプチラーゼ)、トラネキサム酸(トランサミン)[血栓形成傾向が現れる恐れがある(凝血促進剤、抗プラスミン剤及びトロンビンは血栓形成を促進する薬剤であり、併用により血栓形成傾向が相加的に増大する)]。

  2. アプロチニン(トラジロール)[血栓形成傾向が現れる恐れがある(アプロチニンは抗線溶作用を有するため、トロンビンとの併用により血栓形成傾向が増大する)]。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない;本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない(感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性を否定できない)]。

(小児等への投与)

小児等に対する安全性は確立していない。

(適用上の注意)

  1. 投与時

    1. 溶液として局所に使用する場合には、血管内に入らないように注意する(血液凝固させ、また、アナフィラキシーを起こす恐れがある)。
    2. 上部消化管出血に用いる場合には、事前に緩衝液等により胃酸を中和させる(例えば、本剤を経口投与する前にリン酸緩衝液(又は牛乳)を約50mL与え、5分後本剤10000~20000単位を約50mLのリン酸緩衝液(又は牛乳)に溶かして経口投与する)、なお、事前に緩衝液等により胃酸を中和させる場合、アジ化ナトリウム等の防腐剤を含有しているリン酸緩衝液は使用しない。
  2. 調製時

    1. 溶解後は速やかに使用する(やむを得ず保存する場合は冷蔵庫内で保存し、速やかに使用する)。
    2. 溶解時に微濁があっても酵素活性に差はない。
  3. その他:本剤の至適pHは7付近であり、強酸、強アルカリ、重金属塩及び熱により酵素活性が阻害されるので注意する。

(その他の注意)

  1. 外国において、ウシ由来トロンビン投与により後天性凝固因子阻害物質が産生され、凝固時間が延長されたとの報告がある。

  2. 本剤は、貴重な人血液を原料として製剤化したものである。原料となった血液を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程における一定の不活化・除去処理を実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、人血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめる。

(取扱い上の注意)

記録の保存:本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与した場合は、医薬品名(販売名)、その製造番号(ロット番号)、投与した日、投与を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存する。

(保管上の注意)

10℃以下。