マキサカルシトール静注透析用2.5μg「テバ」の添付文書
添付文書PDFファイル
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効果・効能
維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症。
用法・用量
透析終了直前にマキサカルシトールとして、1回2.5~10μgを週3回、透析回路静脈側に注入(静注)する。なお、血清副甲状腺ホルモン(PTH)の改善効果が得られない場合は、高カルシウム血症の発現等に注意しながら、1回20μgを上限に慎重に漸増する。
(用法・用量に関連する使用上の注意)
初回は血清インタクト副甲状腺ホルモン(intact-PTH)が500pg/mL未満[あるいは血清高感度副甲状腺ホルモン(HS-PTH)が40000pg/mL未満]では、本剤を1回5μg、血清intact-PTHが500pg/mL以上(あるいはHS-PTHが40000pg/mL以上)では、1回10μgから開始する。
投与量については、血清PTHレベル、血清カルシウム及び血清無機リン値に注意しながら、減量・休薬を考慮する。
血清intact-PTHが150pg/mL以下に低下した場合は本剤の投与を中止する。
副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用(頻度不明)
高カルシウム血症(本剤には血清カルシウム上昇作用が認められる):血清カルシウム値を定期的に測定し、血清カルシウム値が11.5mg/dL(5.75mEq/L)を超えた場合には投与を中止(休薬)し、また、高カルシウム血症によることが考えられる臨床症状(そう痒感、いらいら感など)の出現に注意する(投与の再開については、血清カルシウム値が11.0mg/dL(5.5mEq/L)未満に回復したことを確認した後に投与量を減じて行うことが望ましい)。
その他の副作用:次のような副作用が認められた場合は、減量・休薬など適切な処置を行う。
- 皮膚:(頻度不明)皮膚そう痒症、発疹、脱毛症。
- 精神神経系:(頻度不明)いらいら感、不眠症、頭痛、不穏、興奮、焦燥感。
- 消化器:(頻度不明)胃部不快感・腹部不快感、食欲不振。
- 肝臓:(頻度不明)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)。
- 代謝異常:(頻度不明)CK上昇(CPK上昇)、血中リン増加、血中ミオグロビン上昇、LDH上昇、Al-P上昇、総蛋白減少、血中尿酸増加、血中アルミニウム上昇。
- 呼吸器:(頻度不明)胸部X線異常。
- 心・血管系:(頻度不明)高血圧。
- 血液:(頻度不明)白血球分画異常(リンパ球異常、好酸球異常等)、白血球減少。
- その他:(頻度不明)四肢不快感、倦怠感。
使用上の注意
(慎重投与)
高カルシウム血症の患者[本剤の投与により更に血清カルシウムを上昇させる恐れがある]。
高齢者。
(重要な基本的注意)
本剤は従来の経口活性型ビタミンD剤により効果が十分に得られない症例に対して経口活性型ビタミンD剤から切り替えて投与する(また、本剤により改善、維持された場合には、経口活性型ビタミンD剤への切り替えも考慮する)。
本剤は血清カルシウム上昇作用を有するので、本剤投与中、血清カルシウム値を定期的(少なくとも2週に1回)に測定し、血清カルシウム値が11.5mg/dL(5.75mEq/L)を超えないよう投与量を調節する。また、目安として血清カルシウム値が11.0mg/dLを超えたときには、更に測定頻度を高くし(週に1回以上)、減量あるいは中止する。低アルブミン血症(血清アルブミン量が4.0g/dL未満)の場合には補正値を指標に用いることが望ましい。
[補正カルシウム値算出方法:補正カルシウム値(mg/dL)=血清カルシウム値(mg/dL)-血清アルブミン値(g/dL)+4.0]
慢性腎不全における二次性副甲状腺機能亢進症においては、しばしば高度高リン血症を呈し、これが増悪因子のひとつとなることがあるので、定期的に血清無機リン値を測定し、そのコントロールを行う。
本剤の長期投与により血清カルシウム値上昇頻度が高くなることが認められており、これは、本剤の効果により血清PTHの低下に伴って骨代謝が正常化しやすくなることによると考えられる。
(相互作用)
併用注意:
アルファカルシドール、カルシトリオール[高カルシウム血症が現れる恐れがある(両剤ともに血清カルシウム値を上昇させる可能性がある)]。
PTH製剤(テリパラチド)[高カルシウム血症が現れる恐れがある(相加作用)]。
ジギタリス製剤(ジゴキシン等)[不整脈が現れる恐れがある(本剤により高カルシウム血症が発症した場合、ジギタリス製剤の作用が増強することが考えられる)]。
(高齢者への投与)
一般に高齢者では生理機能が低下しているので用量に注意する。
マキサカルシトールを65歳以上の高齢者に投与したとき、副作用発現による投与中止は、96例中12例(12.5%)であり、64歳以下の成人の場合は881例中83例(9.4%)であった。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人、産婦あるいは授乳婦等には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊婦、産婦、授乳婦等への投与に関する安全性は確立していない(マキサカルシトールの周産期及び授乳期の静脈内投与試験(ラット)で、1.1μg/kg/日投与で出生仔体重増加抑制がみられ、また、分娩後哺乳中のラットに静脈内投与したとき、乳汁中への移行を示唆する報告がある)]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
(適用上の注意)
調製時:
本剤を投与する場合は他剤との混注を行わない。
本剤はワンポイントカットアンプルを使用しているので、アンプル枝部のマークを上にして反対方向に折る。なお、アンプルカット時の異物混入を避けるため、カット部をエタノール綿等で清拭し、カットする。
アンプルカット後速やかに使用し、残液は廃棄する。
(その他の注意)
マキサカルシトールのがん原性について、ラット(F344/DuCrj)に週1回24カ月間静脈内投与した結果、副腎においてF344ラットに好発する良性褐色細胞腫の発現頻度が増加した。ラットでは血清カルシウム値の上昇に伴って発生が増加すると考えられている。マウスでは週1回18カ月間投与で発がん性は認められなかった。
マキサカルシトールで実施された承認時までの臨床試験において投与された維持透析患者977例中、34例(3.5%)、38件に心電図異常が認められ、その主なものは左室肥大15件、1度AV Block、T波異常の各6件、心室性期外収縮、心房細動の各3件であった、透析患者では心疾患の合併がみられることが多く、また、透析時には体外循環及び除水などによる心機能への影響が大きいことなどから、心電図異常を発現しやすいため、本剤の投与に際しては心電図検査等の観察を十分に行う。
(取扱い上の注意)
安定性試験:本品につき加速試験(25℃、6カ月)を行った結果、本品は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
(保管上の注意)
凍結を避け、10℃以下に遮光保存する。