処方薬
スプレキュアMP皮下注用1.8
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スプレキュアMP皮下注用1.8の添付文書

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効果・効能

  1. 子宮内膜症。

  2. 子宮筋腫の縮小及び子宮筋腫に基づく次記諸症状の改善:過多月経、下腹痛、腰痛、貧血。

用法・用量

4週に1回ブセレリン酢酸塩として1.8mgを皮下に投与する。なお、初回投与は月経周期1~5日目に行う。

(用法及び用量に関連する使用上の注意)

本剤及び他のGnRH誘導体製剤の長期投与により骨塩量低下がみられることがあるので、GnRH誘導体製剤の6カ月を超える継続投与は原則として行わない。

副作用

承認時までの調査及び使用成績調査3,735例中、1,053例(28.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められ、主な副作用は、ほてり324件(8.7%)、不正出血239件(6.4%)、頭痛196件(5.2%)、肩こり191件(5.1%)、注射部位の疼痛・硬結・発赤・そう痒感112件(3.0%)であった(再審査終了時)。

  1. 重大な副作用

    1. ショック、アナフィラキシー様症状:ショック、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、熱感、全身紅潮、血圧低下等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    2. うつ症状:更年期障害様のうつ症状を起こすことが報告されているので、本剤の使用に際しては患者の状態等を十分に観察する。
    3. 脱毛:脱毛の報告があるので、患者の状態に注意し、症状が現れた場合には投与を中止する。
    4. 狭心症、心筋梗塞、脳梗塞:狭心症、心筋梗塞、及び脳梗塞の報告があるので、本剤の使用に際しては患者の状態に注意し、異常が認められた場合には投与を中止する。
    5. 血小板減少、白血球減少:血小板減少、白血球減少が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    6. 不正出血:大量の不正出血が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行う。
    7. 卵巣嚢胞破裂:卵巣嚢胞が破裂することがあるので、観察を十分に行い、膨満感、下腹部痛(下腹部圧痛等)等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    8. 肝機能障害、黄疸:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    9. 糖尿病の発症又は増悪:糖尿病の発症又は糖尿病増悪が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:次のような副作用が現れた場合には、症状に応じ適切な処置を行う。

    1. 低エストロゲン症状:(3%以上)ほてり、(頻度不明)外陰部そう痒感、リビドー減退、(0.1%未満)膣炎、性交痛、視力異常、眼精疲労、膣乾燥。
    2. 子宮・卵巣:(頻度不明)子宮萎縮、卵巣機能不全、(0.1~3%未満)帯下、卵巣嚢胞、(0.1%未満)卵巣過剰刺激症状。
    3. 乳房:(頻度不明)乳房緊満、乳房萎縮、乳房痛、乳汁分泌。
    4. 皮膚:(頻度不明)皮膚乾燥、多毛、(0.1%未満)爪のわれ、ざ瘡[このような症状、あるいは異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う]。
    5. 過敏症:(0.1~3%未満)発疹、(0.1%未満)湿疹、蕁麻疹、そう痒[このような症状、あるいは異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う]。
    6. 消化器:(頻度不明)食欲亢進、便秘、(0.1~3%未満)嘔気・嘔吐、腹痛、(0.1%未満)口内炎、口渇、下痢、食欲減退、腹部膨満感。
    7. 肝臓:(頻度不明)ビリルビン上昇、(0.1~3%未満)Al-P上昇、AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、LDH上昇、(0.1%未満)γ-GTP上昇[このような症状、あるいは異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う]。
    8. 筋骨格系:(3%以上)肩こり、(0.1~3%未満)関節痛、腰痛、(0.1%未満)筋肉痛、骨疼痛、頚部痛、胸痛、四肢疼痛等の疼痛、背部痛、痙攣。
    9. 精神神経系:(3%以上)頭痛、(頻度不明)嗄声、(0.1~3%未満)眩暈、しびれ感、不眠、傾眠、神経過敏、多汗、(0.1%未満)不安、昏迷、健忘、片頭痛。
    10. 循環器:(0.1~3%未満)浮腫、動悸、血圧上昇、(0.1%未満)四肢冷感、頻脈。
    11. 呼吸器:(頻度不明)鼻出血、咽頭痛、*喘息様症状[*:このような症状、あるいは異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う]、(0.1%未満)呼吸困難、鼻炎、息苦しさ。
    12. 血液:(0.1~3%未満)貧血。
    13. 投与部位:(3%以上)注射部位の疼痛・硬結・発赤・そう痒感。
    14. その他:(頻度不明)体重減少、咳、悪寒、味覚異常・嗅覚異常、難聴、下垂体腺腫、(0.1~3%未満)体重増加、発熱、トリグリセリド上昇、疲労、倦怠、コレステロール上昇、耳鳴、(0.1%未満)甲状腺腫大、脱力感、耐糖能悪化。

使用上の注意

(禁忌)

  1. 診断のつかない異常性器出血のある患者[類似疾患(悪性腫瘍など)の恐れがある]。

  2. 妊婦又は妊娠している可能性のある患者[妊娠状態の継続ができない恐れがある]。

  3. 授乳期の患者[動物実験で母乳への移行が認められている]。

  4. 本剤の成分又は他のGnRH誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者。

(慎重投与)

  1. 肝障害のある患者[肝機能が悪化する恐れがある]。

  2. うつ病又はうつ状態の患者並びにそれらの既往歴のある患者[更年期障害様のうつ症状が現れる恐れがある]。

  3. 粘膜下筋腫のある患者[出血症状の増悪、あるいは大量出血の恐れがある]。

  4. 高血圧症の患者[血圧を上昇させる恐れがあるので患者の血圧に注意する]。

  5. 糖尿病の患者[耐糖能が悪化する恐れがあるので患者の血糖値に注意する]。

  6. 脳血管障害、冠動脈疾患又はその既往歴のある患者[血管病変が進行し、これらの疾患が増悪することがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 治療に際しては妊娠していないことを確認し、必ず月経周期1~5日目より投与を開始する。また、治療期間中は避妊させる。

  2. 本剤は4週間持続の徐放性製剤であり、4週を超える間隔で投与すると下垂体-性腺系機能の回復がみられ、血清中エストロゲン濃度が再度上昇し、臨床所見が一過性に悪化する恐れがあるので、4週に1回の用法を遵守する。

  3. 本剤及び他のGnRH誘導体製剤の長期投与により、エストロゲン低下作用に基づく骨塩量低下がみられることがあるので、原則として治療前に骨に関する検査を行い、骨塩量低下がみられる患者には、骨塩量の変動に留意しながら慎重に投与する。また、6カ月を超える投与は原則として行わない(6カ月を超える投与の安全性は確立していない)。なお、やむを得ず長期にわたる投与や再投与が必要な場合には、可能な限り骨塩量の検査を行い慎重に投与する。

  4. 本剤の投与により更年期障害様のうつ症状を起こすことが報告されているので、本剤の使用に際しては患者の状態等を十分に観察する。

  5. 脱毛の報告があるので、患者の状態に注意し、症状が現れた場合には投与を中止する。

  6. 投与に際して、類似疾患(悪性腫瘍など)との鑑別に留意し、投与中腫瘤が増大したり臨床症状の改善がみられない場合は投与を中止する。

  7. 子宮筋腫の場合、手術が適応となる患者の手術までの保存療法としての適用を原則とする(なお、下腹痛、腰痛に対する効果は、投与初期には認められないので、その間は、適当な対症療法を考慮する)。

(相互作用)

併用注意:

  1. 性ホルモン製剤(エストラジオール誘導体、エストリオール誘導体、結合型エストロゲン製剤、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤、両性混合ホルモン剤等)[本剤の効果を減弱することがある(本剤は性ホルモンの分泌を低下させることにより薬効を示すので、性ホルモンの投与は本剤の治療効果を減弱する可能性がある)]。

  2. 糖尿病薬(インスリン製剤、トルブタミド、グリベンクラミド等)[糖尿病薬の作用を減弱する恐れがある(機序は不明であるが、本剤は耐糖能を悪化させることがある)]。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 他のGnRH誘導体による流産の報告があるので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない[妊娠状態の継続ができない恐れがある]。

  2. 授乳中の婦人には投与しない[動物実験で母乳への移行が認められている]。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していない[使用経験がない]。

(適用上の注意)

  1. 本剤はキット化した用時懸濁注射剤であるため、注射液の調製に当たっては、注射液調製方法説明書に従い行う。

  2. 注射針は23ゲージ又はそれよりも太いものを用いる。

  3. 皮下注射にあたっては次記の点に注意する。

    1. 注射部位は腹部の皮下とする。
    2. 注射部位は毎回変更し、同一部位への反復注射は行わない。
    3. 注射針が血管内に入っていないことを確認する。
    4. 注射部位をもまないように患者に指示する。
  4. 用時調製し、懸濁後は直ちに使用する(懸濁液の粒子が沈降している場合は、よく振り混ぜて均一な懸濁液とした後に使用する)。

  5. 本剤の使用は1回限りとし、使用後は廃棄する。

(その他の注意)

本剤をラットに6カ月間反復皮下投与した実験で、下垂体腺腫が認められた。

(スプレキュアMP皮下注用1.8の注射液調製方法)

  1. ダブルチャンバーシリンジ(以下DCS)先端の白い(A)(添付文書の図1)の部分を押さえて(B)(添付文書の図1)のタンパーエビデンスキャップ(封緘キャップ)をねじ切り、中のゴムキャップをはずし、市販の注射針(23ゲージ又は、それより太いもの)をしっかりと取り付ける。

  2. DCSを上向きにしてプランジャーを押上げながら、添付文書の図2の矢印の方向(右回り)に回転させていき、ゴム栓a(添付文書の図2)の下側がバイパスに接する所で止める(注射用水がゆっくり浸潤するように、プランジャーを押し上げる)。

  3. DCSを縦に持って、手のひらの上でたたきながら振動をあたえ、注射用水と薬剤を十分に懸濁させる(懸濁液は「ダマ」(十分に懸濁されていない粒子の固まり)がなくなるまで懸濁する。振動をあたえる際、注射針がはずれない様に注意する)。

  4. 注射針のキャップをはずし、プランジャーを押上げ、DCS内の空気を抜いてから、速やかに皮下投与する。