処方薬
ボセルモン水懸注

ボセルモン水懸注の添付文書

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効果・効能

更年期障害。

用法・用量

1日1回又は隔日に1回1~2mLを筋肉内注射又は皮下注射する。なお、症状により適宜増減する。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない(再審査対象外)。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    血栓症:長期連用により血栓症が起こることが報告されているので、異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行う。

  2. その他の副作用(頻度不明)

    1. 過敏症:過敏症状[発現した場合には投与を中止する]。
    2. 肝臓:肝機能異常[観察を十分に行い、発現した場合には休薬等適切な処置を行う]。
    3. 電解質代謝:特に大量継続投与により、高カルシウム血症、ナトリウム貯留や体液貯留[観察を十分に行い、発現した場合には減量又は休薬等適切な処置を行う]。
    4. 内分泌
      1. 子宮:月経異常、消退出血、不正出血、経血量変化等[観察を十分に行い、発現した場合には投与を中止するなど適切な処置を行う]。
      2. 乳房:乳房痛、乳房緊満感、乳房腫脹等[観察を十分に行い、発現した場合には投与を中止するなど適切な処置を行う]。
      3. その他:回復しがたい嗄声・回復しがたい多毛、陰核肥大、性欲亢進[観察を十分に行い、発現した場合には投与を中止するなど適切な処置を行う]。
    5. 精神神経系:多幸感。
    6. 皮膚:ざ瘡、皮膚色素沈着、脱毛、皮膚色調変化(紅斑等)等。
    7. 投与部位:発赤、腫脹、疼痛。
    8. その他:頭痛。

使用上の注意

(禁忌)

  1. エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある]。

  2. 未治療の子宮内膜増殖症のある患者[子宮内膜増殖症は細胞異型を伴う場合があるため]。

  3. 乳癌の既往歴のある患者[乳癌が再発する恐れがある]。

  4. 血栓性静脈炎、肺塞栓症又はその既往歴のある患者[血液凝固能の亢進により、これらの症状が増悪することがある]。

  5. 動脈性血栓塞栓疾患(例えば、冠動脈性心疾患、脳卒中)又はその既往歴のある患者。

  6. 重篤な肝障害のある患者[代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがある]。

  7. 診断の確定していない異常性器出血のある患者[出血が子宮内膜癌による場合は、癌の悪化あるいは顕性化を促すことがある]。

  8. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性。

(慎重投与)

  1. 乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者[症状が増悪する恐れがある]。

  2. 術前又は長期臥床状態の患者[血液凝固能が亢進され、心血管系の副作用の危険性が高くなることがある]。

  3. 肝障害のある患者。

  4. 子宮筋腫のある患者[子宮筋腫の発育を促進する恐れがある]。

  5. 子宮内膜症のある患者[症状が増悪する恐れがある]。

  6. 心疾患、腎疾患又はその既往歴のある患者[ナトリウム貯留や体液貯留により、これらの症状が増悪する恐れがある]。

  7. 癌の骨転移のある患者[高カルシウム血症が現れる恐れがある]。

  8. てんかん患者[体液貯留により、症状が増悪する恐れがある]。

  9. 糖尿病患者[耐糖能が低下することがあるので、十分コントロールを行いながら投与する]。

  10. 全身性エリテマトーデスの患者[症状が増悪する恐れがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤は、男性に対する適応は認められていない。したがって、男性に対する注意は記載していない。

  2. 外国において、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を長期併用した女性では、乳癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなり、その危険性は併用期間が長期になるに従って高くなるとの報告があるので、本剤の投与にあたっては、患者に対し本剤のリスクとベネフィットについて十分な説明を行うとともに必要最小限の使用にとどめ、漫然と長期投与を行わない。

  3. 投与前に病歴、家族素因等の問診、乳房検診並びに婦人科検診(子宮を有する患者においては子宮内膜細胞診及び超音波検査による子宮内膜厚の測定を含む)を行い、投与開始後は定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行う。

  4. 投与する場合には、変声の可能性のあることを告げておき、投与に際しては観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止する。

(相互作用)

併用注意:血糖降下剤(インスリン製剤、スルホニル尿素系製剤、ビグアナイド系製剤等)[血糖降下剤の作用が減弱することがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、血糖降下剤の用量を調節するなど注意する(卵胞ホルモン剤の血糖上昇作用による)]。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しない[女性胎児の男性化を起こすことがある]。

(適用上の注意)

  1. 投与経路:本剤は静脈内には投与しない。

  2. 調製方法:本剤は用時振盪し、均一化させて使用する。

  3. 筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、次記の点に注意する。

    1. 筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ、必要最小限に行い、なお、特に筋肉内投与時同一部位への反復注射は行わない。
    2. 筋肉内投与時神経走行部位を避ける。
    3. 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射する。
  4. その他:本品はワンポイントカットアンプルであるが、アンプルのカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。

(その他の注意)

  1. ホルモン補充療法(HRT)と子宮内膜癌の危険性:卵胞ホルモン剤を長期間(約1年以上)使用した閉経期以降の女性では、子宮内膜癌になる危険性が対照群の女性と比較して高く、この危険性は、使用期間に相関して上昇し(1~5年間で2.8倍、10年以上で9.5倍)、黄体ホルモン剤の併用により抑えられる(対照群の女性と比較して0.8倍)との疫学調査の結果が報告されている。

  2. HRTと乳癌の危険性

    1. 米国における閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験[Women’s Health Initiative(WHI)試験]の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、乳癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.24)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、乳癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意差はない(ハザード比:0.80)との報告がある。
    2. 英国における疫学調査[Million Women Study(MWS)]の結果、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を併用している女性では、乳癌になる危険性が対照群と比較して有意に高くなり(2.00倍)、この危険性は、併用期間が長期になるに従って高くなる(1年未満:1.45倍、1~4年:1.74倍、5~9年:2.17倍、10年以上:2.31倍)との報告がある。
  3. HRTと冠動脈性心疾患の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して高い傾向にあり、特に服用開始1年後では有意に高くなる(ハザード比:1.81)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して有意差はない(ハザード比:0.91)との報告がある。

  4. HRTと脳卒中の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.31)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.37)との報告がある。

  5. HRTと認知症の危険性:米国における65歳以上の閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験[WHI Memory Study(WHIMS)]の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:2.05)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.49)との報告がある。

  6. HRTと卵巣癌の危険性

    1. 卵胞ホルモン剤を長期間使用した閉経期以降の女性では、卵巣癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなるとの疫学調査の結果が報告されている。
    2. 米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群において、卵巣癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.58)との報告がある。
  7. HRTと胆嚢疾患の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群において、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.59)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.67)との報告がある。

  8. 卵胞ホルモン剤を妊娠動物(マウス)に投与した場合、仔の成長後膣上皮の癌性変性及び仔の成長後子宮内膜の癌性変性を示唆する結果が報告されている。また、新生仔(マウス)に投与した場合、仔の成長後膣上皮の癌性変性を認めたとの報告がある。