処方薬
プロギノン・デポー筋注10mg

プロギノン・デポー筋注10mgの添付文書

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効果・効能

無月経、月経周期異常(稀発月経・多発月経)、月経量異常(過少月経・過多月経)、月経困難症、機能性子宮出血、子宮発育不全症、卵巣欠落症状、更年期障害、不妊症。

(効能又は効果に関連する注意)

〈無月経〉続発性無月経の患者は少なくとも最終月経終了後8週間経過するまで投与しないこと。

用法・用量

エストラジオール吉草酸エステルとして、通常成人1回5~10mgを1~4週間毎に筋肉内注射する。なお、症状により適宜増減する。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 血栓症(頻度不明):長期連用により、血栓症が起こることが報告されている〔2.4、2.5、9.1.2参照〕。

    1. その他の副作用
    1. 過敏症:(頻度不明)過敏症状。
    2. 精神神経系:(頻度不明)精神障害再発。
    3. 電解質代謝:(頻度不明)高カルシウム血症、ナトリウム貯留・体液貯留。
    4. 子宮:(頻度不明)消退出血、不正出血、経血量変化。
    5. 乳房:(頻度不明)乳房痛、乳房緊満感。
    6. その他:(頻度不明)頭痛。

使用上の注意

(禁忌)

    1. エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある]〔8.2参照〕。
    1. 乳癌の既往歴のある患者[乳癌が再発するおそれがある]〔8.2参照〕。
    1. 未治療の子宮内膜増殖症のある患者[子宮内膜増殖症は細胞異型を伴う場合がある]〔8.2参照〕。
    1. 血栓性静脈炎や肺塞栓症の患者又はその既往歴のある患者[症状の悪化又は再発のおそれがある]〔11.1.1参照〕。
    1. 動脈性血栓塞栓疾患(例えば、冠動脈性心疾患、脳卒中)又はその既往歴のある患者〔11.1.1、15.1.3、15.1.4参照〕。
    1. 重篤な肝障害のある患者〔9.3.1参照〕。
    1. 診断の確定していない異常性器出血のある患者[出血が子宮内膜癌による場合は、癌の悪化あるいは顕性化を促すことがある]〔8.2参照〕。
    1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5.1参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. 外国において、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を長期併用した女性では、乳癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなり、その危険性は併用期間が長期になるに従って高くなるとの報告があるので、本剤の投与にあたっては、患者に対し本剤のリスクとベネフィットについて十分な説明を行うとともに必要最小限の使用にとどめ、漫然と長期投与を行わないこと〔15.1.2参照〕。
    1. 投与前に病歴、家族素因等の問診、乳房検診並びに婦人科検診(子宮を有する患者においては子宮内膜細胞診及び超音波検査による子宮内膜厚の測定を含む)を行い、投与開始後は定期的に乳房検診並びに婦人科検診を行うこと〔2.1-2.3、2.7、9.1.1、9.1.3、9.1.4参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者:症状を悪化させるおそれがある〔8.2参照〕。

  2. 1.2. 術前又は長期臥床状態の患者:血液凝固能が亢進され、心血管系の副作用の危険性が高くなることがある〔11.1.1参照〕。

  3. 1.3. 子宮筋腫のある患者:子宮筋腫の発育を促進するおそれがある〔8.2参照〕。

  4. 1.4. 子宮内膜症のある患者:症状が増悪するおそれがある〔8.2参照〕。

  5. 1.5. 心疾患のある患者又はその既往歴のある患者:ナトリウム貯留又は体液貯留があらわれることがある。

  6. 1.6. てんかん患者:症状を悪化させるおそれがある。

  7. 1.7. 糖尿病患者:十分コントロールを行いながら投与すること。

  8. 1.8. 全身性エリテマトーデスの患者:症状を悪化させるおそれがある。

  9. 1.9. 骨成長が終了していない可能性がある患者、思春期前の患者:骨端早期閉鎖、性的早熟をきたすおそれがある〔9.7小児等の項参照〕。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 腎疾患のある患者又はその既往歴のある患者:ナトリウム貯留又は体液貯留があらわれることがある。

(肝機能障害患者)

  1. 3.1. 重篤な肝障害のある患者:投与しないこと(代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがある)〔2.6参照〕。

  2. 3.2. 肝障害(重篤な肝障害を除く)のある患者:症状を悪化させるおそれがある。

(生殖能を有する者)

〈無月経、子宮発育不全症〉生殖能を有する者:無月経、子宮発育不全症の場合、投与中に妊娠することがあってはならないので、適切な非ホルモン法(クナウス-荻野によるリズム法と体温法を除く)による避妊を行うよう注意すること(また治療プランに基づいて(約28日という規則正しい間隔で)消退性出血が起こらない場合は、妊娠を考慮すべきであり、鑑別診断によって、状況が明らかになるまで、投与を中止すること)。

(妊婦)

  1. 5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(妊婦の投与を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない)〔2.8参照〕。

  2. 5.2. 卵胞ホルモン剤を妊娠動物(マウス)に投与した場合、仔の成長後腟上皮の癌性変性及び仔の成長後子宮内膜の癌性変性を示唆する結果が報告されている。また、新生仔(マウス)に投与した場合、仔の成長後腟上皮の癌性変性を認めたとの報告がある。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(健康女性で乳汁中へ移行することが認められている)。

(小児等)

〔9.1.9参照〕。

(相互作用)

    1. 併用注意

    血糖降下剤(インスリン製剤、スルフォニル尿素系製剤(トルブタミド等)、ビグアナイド系製剤(ブホルミン塩酸塩等))[血糖降下作用が減弱することがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、血糖降下剤の用量を調節するなど注意すること(卵胞ホルモンは耐糖能を変化させ血糖を上昇させる作用が認められている)]。

(適用上の注意)

    1. 薬剤投与時の注意
  1. 1.1. 筋肉内注射にのみ使用すること。

  2. 1.2. 生理的月経の発現に障害を及ぼすような投与を避けること。

  3. 1.3. 筋肉内注射にあたっては、組織、神経等への影響を避けるため次の点に注意すること。

    ・ 筋肉内投与はやむをえない場合にのみ、必要最小限に行うこと。なお、特に同一部位への反復注射は行わないこと。また、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には特に注意すること。

    ・ 神経走行部位を避けるよう注意すること。

    ・ 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報
  1. 1.1. ホルモン補充療法(HRT)と子宮内膜癌の危険性:卵胞ホルモン剤を長期間(約1年以上)使用した閉経期以降の女性では、子宮内膜癌になる危険性が対照群の女性と比較して高く、この危険性は、使用期間に相関して上昇し(1~5年間で2.8倍、10年以上で9.5倍)、黄体ホルモン剤の併用により抑えられる(対照群の女性と比較して0.8倍)との疫学調査の結果が報告されている。

  2. 1.2. HRTと乳癌の危険性 1. 米国における閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験(Women’s Health Initiative[WHI]試験)の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、乳癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.24)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、乳癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意差はない(ハザード比:0.80)との報告がある〔8.1参照〕。 1. 英国における疫学調査(Million Women Study[MWS])の結果、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を併用している女性では、乳癌になる危険性が対照群と比較して有意に高くなり(2.00倍)、この危険性は、併用期間が長期になるに従って高くなる(1年未満:1.45倍、1~4年:1.74倍、5~9年:2.17倍、10年以上:2.31倍)との報告がある〔8.1参照〕。

  3. 1.3. HRTと冠動脈性心疾患の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して高い傾向にあり、特に服用開始1年後では有意に高くなる(ハザード比:1.81)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して有意差はない(ハザード比:0.91)との報告がある〔2.5参照〕。

  4. 1.4. HRTと脳卒中の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.31)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.37)との報告がある〔2.5参照〕。

  5. 1.5. HRTと認知症の危険性:米国における65歳以上の閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験(WHI Memory Study[WHIMS])の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:2.05)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.49)との報告がある。

  6. 1.6. HRTと卵巣癌の危険性 1. 卵胞ホルモン剤を長期間使用した閉経期以降の女性では、卵巣癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなるとの疫学調査の結果が報告されている。 1. 米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群において、卵巣癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.58)との報告がある。

  7. 1.7. HRTと胆嚢疾患の危険性:米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群において、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.59)との報告がある。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.67)との報告がある。

(保管上の注意)

室温保存。