亜硝酸アミル「第一三共」の添付文書
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効果・効能
狭心症。
シアン中毒及びシアン化合物による中毒。
用法・用量
狭心症:1回亜硝酸アミル0.25mLを、被覆を除かずそのまま打ち叩いて破砕し、内容を被覆に吸収させ、鼻孔に当てて吸入させる。
シアン及びシアン化合物による中毒:
- 直接吸入:直接吸入は、自発呼吸がある場合に実施する。1回亜硝酸アミル0.25mLを、被覆を除かずそのまま打ち叩いて破砕し、内容を被覆に吸収させ、鼻孔に当てて吸入させる。なお、症状により適宜増量する。
- 回路内への投入:バッグマスク等の呼吸器経路内に、1回亜硝酸アミル0.25mLを、被覆を除かずそのまま打ち叩いて破砕した亜硝酸アミルのアンプルを投入し内容を吸入させる。なお、症状により適宜増量する。
(用法・用量に関連する使用上の注意)
本剤の用法・用量は、患者の全身状態等に応じて決めるが、一般に次記の用法が標準的解毒方法として推奨される。
- [シアン及びシアン化合物による中毒]亜硝酸アミルの吸入(亜硝酸ナトリウム溶液の準備ができるまで、2分毎):アシドーシスが認められた場合、炭酸水素ナトリウムの静注により補正を行う。
- [シアン及びシアン化合物による中毒]亜硝酸ナトリウムの静注(3%亜硝酸ナトリウム溶液10mL[注射用水20mLに亜硝酸ナトリウム0.6gを溶解して製する]を3分間で静注):血圧低下を来した場合、ノルアドレナリン等の静注によりコントロールする。
- [シアン及びシアン化合物による中毒]チオ硫酸ナトリウム水和物の静注(25%チオ硫酸ナトリウム溶液50mL[注射用水100mLにチオ硫酸ナトリウム水和物12.5gを溶解して製し、市販の日局チオ硫酸ナトリウム注射液を用いる場合は125mLを投与する]を10分以上かけて静注)。
- [シアン及びシアン化合物による中毒]前記により効果がなければ亜硝酸ナトリウムの静注、チオ硫酸ナトリウム水和物の静注を初回の半量投与する。
ニトロプルシドナトリウム注射液の過量投与によるシアン中毒の治療には、日局チオ硫酸ナトリウム水和物の静脈内投与、本剤の吸入等が有効である。
副作用
(狭心症)
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
(シアン及びシアン化合物による中毒)
本剤は副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用(頻度不明)
- メトヘモグロビン血症:メトヘモグロビン血症が現れることがあるので、このような場合には投与を中止する。
- チアノーゼ:チアノーゼが現れることがある。
- 溶血性貧血:溶血性貧血が現れたとの報告がある。
その他の副作用(頻度不明)
- 循環器:脳貧血、眩暈、血圧低下、紅潮、動悸、頻脈、虚脱。
- 精神神経系:失神、頭痛。
- 消化器:悪心・嘔吐。
- その他:呼吸障害、発汗、尿失禁、便失禁。
使用上の注意
(禁忌)
[狭心症]心筋梗塞の急性期の患者[心筋梗塞の急性期では血圧低下がみられるので、本剤の投与により末梢血管が拡張され、更に血圧が低下し、心原性ショックを誘発する恐れがある]。
[狭心症]閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させる恐れがある]。
[狭心症]頭部外傷又は脳出血のある患者[頭蓋内圧を上昇させる恐れがある]。
[狭心症]高度貧血のある患者[血圧低下により貧血症状(眩暈、立ちくらみ等)を悪化させる恐れがある]。
[狭心症]硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
[狭心症]ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤投与中(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤投与中(リオシグアト)の患者。
(原則禁忌)
[シアン及びシアン化合物による中毒]心筋梗塞の急性期の患者[心筋梗塞の急性期では血圧低下がみられるので、本剤の投与により末梢血管が拡張され、更に血圧が低下し、心原性ショックを誘発する恐れがある]。
[シアン及びシアン化合物による中毒]閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させる恐れがある]。
[シアン及びシアン化合物による中毒]頭部外傷又は脳出血のある患者[頭蓋内圧を上昇させる恐れがある]。
[シアン及びシアン化合物による中毒]高度貧血のある患者[血圧低下により貧血症状(眩暈、立ちくらみ等)を悪化させる恐れがある]。
[シアン及びシアン化合物による中毒]硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
[シアン及びシアン化合物による中毒]ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤投与中(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤投与中(リオシグアト)の患者。
(慎重投与)
低血圧の患者[血圧を低下させる]。
原発性肺高血圧症の患者[心拍出量が低下しショックを起こす恐れがある]。
肥大型閉塞性心筋症の患者[心室内圧較差の増強をもたらし、症状を悪化させる恐れがある]。
[シアン及びシアン化合物による中毒]リスクベネフィットを考慮した上で、慎重に投与する。
(重要な基本的注意)
過度に使用した場合、急激な血圧低下による意識消失を起こすことがあるので、十分注意する(過度の血圧低下、意識消失が起こった場合には、下肢の挙上あるいは昇圧剤の投与等、適切な処置を行う)。
起立性低血圧を起こすことがあるので注意する。
本剤の投与開始時には、他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤と同様に血管拡張作用による頭痛等の副作用が起こりやすく、これらの副作用のために注意力、集中力、反射運動能力等の低下が起こることがあるので注意する。
本剤とホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)との併用又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を低下させることがあるので、本剤投与前にホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤を服用していないことを十分確認する。また、本剤投与中及び投与後においてホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤を服用しないよう十分注意する。
[シアン及びシアン化合物による中毒]血液ガス検査装置等で血中メトヘモグロビン濃度を適宜測定し、血中メトヘモグロビン濃度を20~25%以下にコントロールしながら、人工呼吸器等による酸素吸入を行う。
(相互作用)
併用禁忌:
- [狭心症]ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ)、バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)、タダラフィル(シアリス))[併用により、降圧作用を増強することがある(本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する)]。
- [狭心症]グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト(アデムパス))[併用により、降圧作用を増強することがある(本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する)]。
原則併用禁忌:
- [シアン及びシアン化合物による中毒]ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ)、バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)、タダラフィル(シアリス))[併用により、降圧作用を増強することがある(本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する)]。
- [シアン及びシアン化合物による中毒]グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト(アデムパス))[併用により、降圧作用を増強することがある(本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する)]。
併用注意:アルコール[血圧低下を起こすことがある(アルコールにより血管拡張作用が増強されるためと考えられている)]。
(高齢者への投与)
高齢者へ投与する場合には、注意する[起立性低血圧などが起こりやすい]。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
狭心症の妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
シアン及びシアン化合物による中毒の妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましいが、治療上やむを得ないと判断される場合はこの限りではない[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
(適用上の注意)
吸入後:起立性低血圧による眩暈、脱力、失神又はその他の一過性脳貧血症状が現れることがあるので、このような場合、頭を低くして寝かせ、深呼吸をさせ、四肢を動かせるなどの処置を行うことによって回復がはやまる。
(その他の注意)
本剤使用中に本剤又は他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し、耐薬性を生じ、作用が減弱することがある(なお、類似化合物(ニトログリセリン)の経皮吸収型製剤での労作狭心症に対するコントロールされた外国の臨床試験成績によると、休薬時間を置くことにより、耐薬性が軽減できたとの報告がある)。
(保管上の注意)
遮光、火気を避け、冷所保存。