処方薬
塩酸ジルチアゼム注射用250「日医工」
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塩酸ジルチアゼム注射用250「日医工」の添付文書

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効果・効能

  1. 高血圧性緊急症。

  2. 不安定狭心症。

用法・用量

本剤(ジルチアゼム塩酸塩として250mg)は、5mL以上の生理食塩液又はブドウ糖注射液に用時溶解し、次のごとく投与する。

  1. 高血圧性緊急症:1分間に体重kg当たりジルチアゼム塩酸塩として5~15μgを点滴静注する。目標値まで血圧を下げ、以後血圧をモニターしながら点滴速度を調節する。

  2. 不安定狭心症:1分間に体重kg当たりジルチアゼム塩酸塩として1~5μgを点滴静注する。投与量は低用量から開始し、患者の病態に応じて適宜増減するが、最高用量は1分間に体重kg当たり5μgまでとする。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. 完全房室ブロック、高度徐脈、心停止:完全房室ブロック、高度徐脈(初期症状:徐脈、眩暈、ふらつき等)等が現れることがあり、心停止に至る場合もあるので、これらに対処できる十分な準備を行い、投与し、また、このような異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、次記等の適切な処置を行う。
      1. 完全房室ブロック、高度徐脈:アトロピン硫酸塩水和物、イソプレナリン等の投与や必要に応じて心臓ペーシング等の適切な処置を行う。
      2. 心停止:心マッサージ、アドレナリン等のカテコールアミンの投与等蘇生処置を行う。
    2. うっ血性心不全:うっ血性心不全が現れることがあるので、このような症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。

    1. 循環器:(頻度不明)徐脈、房室ブロック、血圧低下、房室接合部調律、期外収縮、洞停止、顔面潮紅、洞房ブロック、脚ブロック、動悸、眩暈、一過性頻脈。
    2. 精神神経系:(頻度不明)頭痛、嘔気、嘔吐。
    3. 肝臓:(頻度不明)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、LDH上昇、Al-P上昇。
    4. 腎臓:(頻度不明)尿量減少、血清クレアチニン上昇、BUN上昇。
    5. 過敏症:(頻度不明)光線過敏症(内服剤による症例報告)、発疹、そう痒。
    6. その他:(頻度不明)静脈炎、注射部位の局所発赤。

使用上の注意

(禁忌)

  1. 重篤な低血圧あるいは心原性ショックのある患者[症状を悪化させる恐れがある]。

  2. 2度以上の房室ブロック、洞不全症候群(持続性洞性徐脈(50拍/分未満)、洞停止、洞房ブロック等)のある患者[本剤の心刺激生成抑制作用、心伝導抑制作用が過度に現れる恐れがある]。

  3. 重篤なうっ血性心不全の患者[心不全症状を悪化させる恐れがある]。

  4. 重篤な心筋症のある患者[心不全症状を悪化させる恐れがある]。

  5. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  6. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。

  7. アスナプレビル含有製剤投与中、イバブラジン塩酸塩投与中、ロミタピドメシル酸塩投与中の患者。

(慎重投与)

  1. うっ血性心不全の患者[心不全症状を悪化させる恐れがある]。

  2. 心筋症のある患者[心不全症状を悪化させる恐れがある]。

  3. 急性心筋梗塞のある患者[心不全症状を悪化させる恐れがある]。

  4. 徐脈、1度房室ブロックのある患者[本剤の心刺激生成抑制作用、心伝導抑制作用が過度に現れる恐れがある]。

  5. 低血圧のある患者[血圧を更に低下させる恐れがある]。

  6. WPW症候群を伴う心房細動、WPW症候群を伴う心房粗動、LGL症候群を伴う心房細動、LGL症候群を伴う心房粗動のある患者[低血圧を伴う心拍数増加、心室細動を来す恐れがある]。

  7. β遮断剤投与中の患者[徐脈、心伝導抑制作用が過度に現れる恐れがある]。

  8. 重篤な肝機能障害・重篤な腎機能障害のある患者[薬物の代謝、排泄が遅延し、作用が増強する恐れがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 心電図と血圧を連続的に監視する。

  2. 本剤の投与により完全房室ブロック、高度徐脈、更に心停止に至る場合があるので、次の点に十分注意する;1)治療上必要最小限の用量、また、点滴静注の場合は必要最小限の投与時間にとどめる、2)投与中及び投与後は患者の状態の観察を十分に行い、これらの症状の早期発見に留意する、3)投与に際してはこれらの症状に対処できる十分な準備を行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。

  3. テルフェナジンとの併用により他の抗不整脈薬(リン酸ジソピラミド)でQT延長、他の抗不整脈薬(リン酸ジソピラミド)で心室性不整脈を起こしたとの報告がある。

  4. 狭心症発作が15分以上持続するなど重度の発作に対しては、必要に応じて他の治療法(PTCA、CABG等)も検討する。

(相互作用)

本剤は主として代謝酵素チトクロームP450・3A4(CYP3A4)で代謝される。

  1. 併用禁忌

    1. アスナプレビル(スンベプラ)、ダクラタスビル塩酸塩/アスナプレビル/ベクラブビル塩酸塩(ジメンシー)[アスナプレビルの血中濃度が上昇し肝胆道系の副作用が発現しまた重症化する恐れがある(本剤がCYP3Aを阻害することにより、併用薬剤の代謝が阻害される)]。
    2. イバブラジン塩酸塩(コララン)[過度の徐脈が現れることがある(本剤がCYP3Aを阻害することにより、併用薬剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する;併用薬剤の心拍数減少作用を相加的に増強する)]。
    3. ロミタピドメシル酸塩(ジャクスタピッド)[ロミタピドメシル酸塩の血中濃度が著しく上昇する恐れがある(本剤がCYP3Aを阻害することにより、併用薬剤の代謝が阻害される)]。
  2. 併用注意

    1. 降圧作用を有する薬剤(降圧剤、硝酸剤等)[降圧作用が増強することがあるので、血圧を測定し、用量を調節する(相加的に作用(降圧作用)を増強させると考えられる)]。
    2. β遮断剤(ビソプロロールフマル酸塩、プロプラノロール塩酸塩、アテノロール等)[徐脈、房室ブロック、洞房ブロック等が現れることがあるので、心電図をモニターし、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用、陰性変力作用、降圧作用)を増強させると考えられ、特にジギタリス製剤との3剤併用時には注意を要する)]。
    3. ラウオルフィア製剤(レセルピン等)[徐脈、房室ブロック、洞房ブロック等が現れることがあるので、心電図をモニターし、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用、陰性変力作用、降圧作用)を増強させると考えられ、特にジギタリス製剤との3剤併用時には注意を要する)]。
    4. ジギタリス製剤(ジゴキシン、メチルジゴキシン)[徐脈、房室ブロック等が現れることがあり、また、これらの不整脈を含めジギタリス製剤の血中濃度上昇による中毒症状(悪心・嘔吐・頭痛・眩暈・視覚異常等)が現れることがあるので、心電図をモニターし、また、定期的にジギタリス中毒の有無を観察し、必要に応じてジギタリス製剤の血中濃度を測定し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用)を増強させると考えられ、特にβ遮断剤との3剤併用時には注意を要し、また、本剤はジギタリス製剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    5. 抗不整脈薬(アミオダロン塩酸塩、メキシレチン塩酸塩等)[徐脈、房室ブロック、洞停止等が現れることがあるので、心電図をモニターし、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用)を増強させると考えられる)]。
    6. フィンゴリモド塩酸塩[フィンゴリモド塩酸塩の投与開始時に併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある(共に徐脈や心ブロックを引き起こす恐れがある)]。
    7. アプリンジン塩酸塩[両剤の血中濃度上昇による症状(徐脈、房室ブロック、洞停止、振戦、眩暈、ふらつき等)が現れることがあるので、心電図をモニターし、また、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(共通の代謝酵素(チトクロームP450)に影響を及ぼし合い、両剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    8. ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤(ニフェジピン、アムロジピンベシル酸塩等)[ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤の血中濃度上昇による症状(降圧作用の増強等)が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    9. シンバスタチン[シンバスタチンの血中濃度上昇による横紋筋融解症やミオパシーが発現することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    10. トリアゾラム[トリアゾラムの血中濃度上昇による症状(睡眠時間の延長等)が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    11. ミダゾラム[ミダゾラムの血中濃度上昇による症状(鎮静・睡眠作用の増強等)が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    12. カルバマゼピン[カルバマゼピンの血中濃度上昇による症状(眠気・悪心・嘔吐・眩暈等)が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    13. セレギリン塩酸塩[セレギリン塩酸塩の作用・毒性が増強することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    14. テオフィリン[テオフィリンの血中濃度上昇による症状(悪心・嘔吐・頭痛・不眠等)が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    15. シロスタゾール[シロスタゾールの作用が増強することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    16. アピキサバン[アピキサバンの作用が増強することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    17. ビノレルビン酒石酸塩[ビノレルビン酒石酸塩の作用が増強することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    18. シクロスポリン[シクロスポリンの血中濃度上昇による症状(腎障害等)が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、また、シクロスポリンの血中濃度を測定し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    19. タクロリムス水和物[タクロリムスの血中濃度上昇による症状(腎障害等)が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、また、タクロリムスの血中濃度を測定し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    20. フェニトイン[フェニトインの血中濃度上昇による症状(運動失調・眩暈・眼振等)が現れることがあるので、定期的に臨床症状を観察し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止し、また、本剤の作用が低下することがある(フェニトインの代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、フェニトインの血中濃度を上昇させると考えられ、また、フェニトインが本剤の代謝を促進することにより、本剤の血中濃度を低下させると考えられる)]。
    21. シメチジン、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル、サキナビルメシル酸塩等)[本剤の血中濃度上昇による症状(降圧作用の増強・徐脈等)が現れることがあるので、血圧を測定し、また、心電図をモニターし、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(これらの薬剤が本剤の代謝酵素(チトクロームP450)を阻害することにより、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    22. リファンピシン[本剤の作用が低下することがあるので、定期的に臨床症状を観察し、また、可能であれば本剤の血中濃度を測定し、異常が認められた場合には、他剤への変更あるいは本剤を増量するなどの適切な処置を行う(リファンピシンが本剤の代謝酵素(チトクロームP450)を誘導することにより、本剤の血中濃度を低下させると考えられる)]。
    23. 麻酔剤(イソフルラン、エンフルラン、ハロタン等)[徐脈、房室ブロック、洞停止等が現れることがあるので、心電図をモニターし、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用)を増強させると考えられる)]。
    24. 筋弛緩剤(パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物等)[筋弛緩剤の作用が増強することがあるので、筋弛緩作用に注意し、異常が認められた場合には減量若しくは投与を中止する(本剤が神経筋接合部において、シナプス前からのアセチルコリン放出を抑制させると考えられる)]。

(高齢者への投与)

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、高齢者に使用する場合は、低用量から投与を開始するなど患者の状態を十分観察しながら慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない[動物実験で催奇形作用(マウス、ラット、ウサギ:骨格異常、外形異常)及び胎仔毒性(マウス、ラット、ウサギ:致死)が報告されている]。

  2. 授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせる[母乳中へ移行することが報告されている]。

(小児等への投与)

小児等に対する安全性は確立していない。

(過量投与)

  1. 症状:過量投与により、徐脈、完全房室ブロック、心不全、低血圧等が現れることがある。しかし、このような症状は副作用としても報告されている。

  2. 処置:過量投与の場合は、本剤の投与を中止し、次記等の適切な処置を行う。

    1. 過量投与による徐脈、完全房室ブロック:アトロピン硫酸塩水和物、イソプレナリン等の投与や心臓ペーシングを適用する。
    2. 過量投与による心不全、低血圧:強心剤、昇圧剤、輸液等の投与や補助循環を適用する。

(適用上の注意)

調製時:他剤との配合によりpHが8を超える場合には、ジルチアゼムが析出することがあるので注意する。

(取扱い上の注意)

安定性試験:本品につき加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)を行った結果、ジルチアゼム塩酸塩静注用250mg「日医工」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。