ニフェジピンL錠10mg「ZE」の添付文書
添付文書PDFファイル
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効果・効能
本態性高血圧症、腎性高血圧症。
狭心症。
用法・用量
本態性高血圧症、腎性高血圧症の場合:ニフェジピンとして、1回10~20mgを1日2回経口投与する。症状に応じ適宜増減する。
狭心症の場合:ニフェジピンとして、1回20mgを1日2回経口投与する。症状に応じ適宜増減する。
副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用(頻度不明):次のような副作用が現れることがある。このような副作用が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 紅皮症(剥脱性皮膚炎)。
- 無顆粒球症、血小板減少。
- ショック:ショックをおこすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 意識障害:血圧低下に伴う一過性意識障害が現れることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 肝機能障害、黄疸:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
その他の副作用:次のような副作用が現れた場合には、症状に応じ適切な処置を行う。
- 肝臓:(頻度不明)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、黄疸[発現した場合には投与を中止する]。
- 腎臓:(頻度不明)BUN上昇、クレアチニン上昇[発現した場合には投与を中止する]。
- 循環器:(頻度不明)顔面潮紅、熱感、のぼせ、潮紅、動悸、血圧低下、起立性低血圧、浮腫(下肢浮腫、顔面浮腫等)、*胸部痛[*:発現した場合には投与を中止する]、頻脈、頻尿、発汗、悪寒。
- 精神神経系:(頻度不明)頭痛、眩暈、倦怠感、眠気、不眠、脱力感、筋痙攣、四肢しびれ感、異常感覚、振戦。
- 消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐、便秘、*上腹部痛[*:発現した場合には投与を中止する]、下痢、腹部不快感、口渇、胸やけ、食欲不振、鼓腸。
- 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒、光線過敏症、紫斑、血管浮腫[発現した場合には投与を中止する]。
- 口腔:(頻度不明)歯肉肥厚[発現した場合には投与を中止する]。
- 代謝異常:(頻度不明)高血糖[発現した場合には投与を中止する]。
- 血液:(頻度不明)血小板減少、貧血、白血球減少[発現した場合には投与を中止する]。
- 呼吸器:(頻度不明)呼吸困難[発現した場合には投与を中止する]、咳嗽、鼻出血、鼻閉。
- その他:(頻度不明)女性化乳房[発現した場合には投与を中止する]、視力異常(霧視等)、眼痛、筋肉痛、関節痛、関節腫脹、勃起不全。
使用上の注意
(禁忌)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
心原性ショックの患者[血圧低下により症状が悪化する恐れがある]。
(慎重投与)
大動脈弁狭窄、僧帽弁狭窄のある患者、肺高血圧のある患者[血管拡張作用により重篤な血行動態の悪化を招く恐れがある]。
過度に血圧の低い患者[更に血圧が低下する恐れがある]。
血液透析療法中の循環血液量減少を伴う高血圧患者[過度に血圧が低下する恐れがある]。
重篤な腎機能障害のある患者[急速な降圧等により腎機能が悪化する恐れがある]。
重篤な肝機能障害のある患者[血中濃度が上昇することがあり、また門脈圧が上昇する恐れがある]。
うっ血性心不全(特に高度左室収縮機能障害)のある患者[心不全が悪化する恐れがある]。
高齢者。
(重要な基本的注意)
カルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行う。また患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意する。
まれに過度の血圧低下をおこし、ショック症状や一過性意識障害、脳梗塞が現れることがあるので、そのような場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
降圧作用に基づく眩暈等が現れることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させる。
(相互作用)
本剤は主にチトクロームP-450・3A4(CYP3A4)により代謝される。
併用注意:
他の降圧剤(レセルピン、メチルドパ水和物、プラゾシン塩酸塩等)[相互に血圧低下作用を増強することがあるので、患者の状態を注意深く観察し、過度の血圧低下が認められた場合、本剤又は他の降圧剤を減量若しくは中止するなど適切な処置を行う(薬理学的な相加・相乗作用によるものと考えられている)]。
β遮断剤(アテノロール、アセブトロール塩酸塩、プロプラノロール塩酸塩等)[相互に作用を増強することがあるので、患者の状態を注意深く観察し、過度の血圧低下や心不全等の症状が認められた場合、本剤又はβ遮断剤を減量若しくは中止するなど適切な処置を行う(薬理学的な相加・相乗作用によるものと考えられている)]。
ジゴキシン[ジゴキシンの血中濃度が上昇することがあるので、ジゴキシン中毒症状(悪心・嘔吐・頭痛・視覚異常・不整脈等)が認められた場合、症状に応じジゴキシンの用量を調節又は本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う(機序は完全には解明されていないが、ジゴキシンの腎及び腎外クリアランスが減少するためと考えられている)]。
シメチジン[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強されることがあるので、患者の状態を注意深く観察し、過度の血圧低下や頻脈等の症状が認められた場合、本剤を減量又はシメチジンの投与を中止するなど適切な処置を行う(シメチジンが肝血流量を低下させ、本剤の肝ミクロソームでの酵素代謝を抑制する一方で、胃酸を低下させ、本剤の吸収を増加させるためと考えられている)]。
ジルチアゼム[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強されることがあるので、患者の状態を注意深く観察し、過度の血圧低下等の症状が認められた場合、本剤を減量又はジルチアゼムの投与を中止するなど適切な処置を行う(発現機序の詳細は不明であるが、ジルチアゼムが本剤の肝代謝(チトクロームP-450酵素系)反応を抑制し、クリアランスを低下させるためと考えられている)]。
トリアゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、フルコナゾール等)[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強されることがあるので、患者の状態を注意深く観察し、過度の血圧低下や浮腫等の症状が認められた場合、本剤を減量又はトリアゾール系抗真菌剤の投与を中止するなど適切な処置を行う(発現機序の詳細は不明であるが、トリアゾール系抗真菌剤が本剤の肝代謝(チトクロームP-450酵素系)反応を抑制し、クリアランスを低下させるためと考えられている)]。
リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン[本剤の有効血中濃度が得られず作用が減弱することがあるので、患者の状態を注意深く観察し、血圧上昇や狭心症発作の悪化等の症状が認められた場合、他剤への変更又はリファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピンの投与を中止するなど適切な処置を行う(リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピンにより誘導された肝薬物代謝酵素(チトクロームP-450)が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている)]。
タクロリムス[タクロリムスの血中濃度が上昇することがあるので、患者の状態を注意深く観察し、腎機能障害等の症状が認められた場合、タクロリムスの用量を調節又は本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う(発現機序の詳細は不明であるが、本剤がタクロリムスの肝代謝(チトクロームP-450酵素系)反応を抑制し、クリアランスを低下させるためと考えられている)]。
シクロスポリン[歯肉肥厚が現れやすいとの報告があるので、患者の状態を注意深く観察し、歯肉肥厚が認められた場合、本剤又はシクロスポリンの投与を中止するなど適切な処置を行う(発現機序の詳細は不明であるが、両剤の相加的な作用によるものと考えられている)]。
HIVプロテアーゼ阻害剤(サキナビル、リトナビル等)[本剤のAUCが上昇することが予想されるので、患者の状態を注意深く観察し、過度の血圧低下等の症状が認められた場合、本剤を減量するなど適切な処置を行う(発現機序の詳細は不明であるが、本剤とこれらの薬剤の肝代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、競合的に拮抗し、本剤の代謝が阻害される可能性があると考えられている)]。
キヌプリスチン・ダルホプリスチン[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強される恐れがあるので、患者の状態を注意深く観察し、過度の血圧低下等の症状が認められた場合、本剤を減量するなど適切な処置を行う(キヌプリスチン・ダルホプリスチンが、CYP3A4を阻害し、本剤のクリアランスを低下させるためと考えられている)]。
硫酸マグネシウム水和物(注射剤)[過度の血圧低下や神経筋伝達遮断の増強が現れることがある(併用により降圧作用や神経筋伝達遮断作用が増強されると考えられている)]。
グレープフルーツジュース[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強されることがあるので、患者の状態を注意深く観察し、過度の血圧低下等の症状が認められた場合、本剤を減量するなど適切な処置を行い、またグレープフルーツジュースとの同時服用をしないように注意する(グレープフルーツジュースに含まれる成分が、CYP3A4を阻害し、本剤のクリアランスを低下させるためと考えられている)]。
(高齢者への投与)
高齢者では低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する[一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等がおこる恐れがある)]。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[動物実験において催奇形性及び胎仔毒性が報告されている]、投与に際しては、最新の関連ガイドライン等を参照しつつ、急激かつ過度の血圧低下とならないよう、長時間作用型製剤の使用を基本とし、剤形毎の特徴を十分理解した上で投与する。また、母体や胎児及び新生児の状態を十分に観察し、過度の血圧低下や胎児胎盤循環低下等の異常が認められた場合には適切な処置を行う[妊婦への投与例において、過度の血圧低下等が報告されている]。
硫酸マグネシウム水和物の注射剤を併用する場合には、血圧等を注意深くモニタリングする[併用により、過度の血圧低下や神経筋伝達遮断増強が現れることがある]。
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させる[母乳中へ移行することが報告されている]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。
(過量投与)
徴候と症状:過量投与に関する情報は少ないが、主要な臨床症状として過度の血圧低下等が引きおこされる可能性がある。また過量投与の際に、肝機能障害があると症状が遷延することがある。
処置:本剤の過量投与時の急性中毒に対しては、通常、胃洗浄若しくは催吐、下剤及び活性炭の投与などの初期治療を行い、心電図や呼吸機能等のモニターを行いながら、下肢の挙上、また必要に応じて輸液、カルシウムの静注、昇圧剤の投与など積極的な支持・対症療法を行う(なお、蛋白結合率が高いので、強制利尿、血液透析等は本剤の除去にはそれほど有用ではないと考えられる)。
(適用上の注意)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
(取扱い上の注意)
安定性試験:最終包装製品を用いた長期保存試験(25℃、相対湿度60%、5年間)の結果、外観及び含量等は規格の範囲内であり、ニフェジピンL錠10mg「ZE」及び同錠20mg「ZE」は通常の市場流通下においていずれも5年間安定であることが確認された。
(保管上の注意)
遮光気密容器。