処方薬
エレトリプタン錠20mg「トーワ」
後発

エレトリプタン錠20mg「トーワ」の添付文書

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効果・効能

片頭痛(家族性片麻痺性・孤発性片麻痺性・脳底型・眼筋麻痺性片頭痛を除く)。

(効能・効果に関連する使用上の注意)

  1. 本剤は国際頭痛学会による片頭痛診断基準により「前兆のない片頭痛」あるいは「前兆のある片頭痛」と確定診断が行われた場合にのみ投与する。特に次のような患者は、クモ膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので、本剤投与前に問診、診察、検査を十分に行い、頭痛の原因を確認してから投与する。

    1. 今までに片頭痛と診断が確定したことのない患者は、クモ膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので、本剤投与前に問診、診察、検査を十分に行い、頭痛の原因を確認してから投与する。
    2. 片頭痛と診断されたことはあるが、片頭痛の症状や経過とは異なる頭痛・随伴症状のある者はクモ膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので投与前に問診、診察、検査を十分に行い頭痛の原因を確認してから投与する。
  2. 家族性片麻痺性片頭痛、孤発性片麻痺性片頭痛、脳底型片頭痛あるいは眼筋麻痺性片頭痛の患者には投与しない。

用法・用量

エレトリプタンとして1回20mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与する。なお、効果が不十分な場合には、追加投与をすることができるが、前回の投与から2時間以上あける。また、20mgの経口投与で効果が不十分であった場合には、次回片頭痛発現時から40mgを経口投与することができる。但し、1日の総投与量を40mg以内とする。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

  1. 本剤は頭痛発現時にのみ使用し、予防的には使用しない。

  2. 本剤投与により全く効果が認められない場合は、その発作に対して追加投与をしない(このような場合は、再検査の上、頭痛の原因を確認する)。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. アナフィラキシーショック、アナフィラキシー:アナフィラキシーショック、アナフィラキシーが現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。
    2. 不整脈、狭心症あるいは心筋梗塞を含む虚血性心疾患様症状:不整脈、狭心症あるいは心筋梗塞を含む虚血性心疾患様症状をおこすことがまれにあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。
    3. てんかん様発作:てんかん様発作をおこすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。
    4. 頻脈(WPW症候群における):類薬(5-HT1B/1D受容体作動薬)でWPW症候群の典型的症状である重篤な発作性頻脈の報告がある。
    5. 薬剤の使用過多による頭痛:薬剤の使用過多による頭痛が現れることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:次のような副作用が認められた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。

    1. 神経系:(頻度不明)傾眠・眠気、浮動性眩暈、異常感覚、頭痛、感覚減退、回転性眩暈、筋緊張亢進。
    2. 心・血管系:(頻度不明)熱感、動悸、潮紅、頻脈、血圧上昇。
    3. 消化器系:(頻度不明)嘔気、口内乾燥、嘔吐、腹痛、消化不良。
    4. 皮膚:(頻度不明)発疹、皮膚そう痒症、蕁麻疹、血管浮腫。
    5. その他:(頻度不明)疲労、胸部絞扼感、咽喉絞扼感、無力症、胸痛、多汗、倦怠感、咽喉頭疼痛、疼痛、悪寒、筋痛、胸部圧迫感、背部痛、筋無力症[胸部絞扼感、咽喉絞扼感、胸痛、胸部圧迫感の症状は通常一過性であるが、ときに激しい場合があり、胸部、咽喉頭部を含む身体各部でおこる可能性がある]。

使用上の注意

(禁忌)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  2. 心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状が現れることがある]。

  3. 脳血管障害や一過性脳虚血発作の既往のある患者[脳血管障害や一過性脳虚血性発作が現れることがある]。

  4. 末梢血管障害を有する患者[症状を悪化させる可能性が考えられる]。

  5. コントロールされていない高血圧症の患者[一過性の血圧上昇を引き起こすことがある]。

  6. 重度肝機能障害を有する患者[本剤は主に肝臓で代謝されるので、重度の肝機能障害患者では血中濃度が上昇する恐れがある]。

  7. エルゴタミン投与中、エルゴタミン誘導体含有製剤投与中、他の5-HT1B/1D受容体作動薬投与中、HIVプロテアーゼ阻害薬投与中(リトナビル)、あるいはニルマトレルビル・リトナビル投与中の患者。

(慎重投与)

  1. 虚血性心疾患の可能性のある患者(例えば、虚血性心疾患を疑わせる重篤な不整脈のある患者、閉経後の女性、40歳以上の男性、冠動脈疾患の危険因子を有する患者)[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状が現れる恐れがある]。

  2. ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群(WPW症候群)又は他の心臓副伝導路と関連した不整脈のある患者[類薬(5-HT1B/1D受容体作動薬)でWPW症候群の典型的症状である重篤な発作性頻脈が発現したとの報告がある]。

  3. 高齢者。

  4. 脳血管障害の可能性のある患者[脳血管障害が現れる恐れがある]。

  5. てんかんを起こしやすい器質的脳疾患あるいは痙攣を起こしやすい器質的脳疾患のある患者[てんかん様発作がおこる恐れがある]。

  6. 肝機能障害を有する患者[本剤は主に肝臓で代謝されるので、血中濃度が上昇することがある]。

  7. コントロールされている高血圧症患者[一過性の血圧上昇や末梢血管抵抗の上昇を引き起こすことがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤投与後、一過性胸痛、一過性胸部圧迫感等の症状(強度で咽喉頭部に及ぶ場合がある)が現れることがあるので、このような症状が虚血性心疾患によると思われる場合には、以後の投与を中止し、虚血性心疾患の有無を調べるための適切な検査を行う。

  2. 心血管系の疾患が認められない患者においても、重篤な心疾患が極めてまれに発生することがあるので、このような場合は以後の投与を中止し、適切な処置を行う。

  3. 片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意する。

  4. 本剤を含むトリプタン系薬剤により、頭痛が悪化することがあるので、頭痛の改善を認めない場合には、「薬剤の使用過多による頭痛」の可能性を考慮し、投与を中止するなど、適切な処置を行う。

(相互作用)

本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450・3A4により代謝される。

  1. 併用禁忌

    1. エルゴタミン(エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン))、エルゴタミン誘導体含有製剤(ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩(ジヒデルゴット)、エルゴメトリンマレイン酸塩(エルゴメトリンF)、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(メテルギン))[血圧上昇又は血管攣縮が増強される恐れがあるので、本剤投与後にエルゴタミンあるいはエルゴタミン誘導体含有製剤を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以上の間隔をあけて投与する(5-HT1B/1D受容体作動薬との薬理的相加作用により、相互に作用(血管収縮作用)を増強させる)]。
    2. 5-HT1B/1D受容体作動薬(スマトリプタンコハク酸塩(イミグラン)、ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)、リザトリプタン安息香酸塩(マクサルト)、ナラトリプタン塩酸塩(アマージ))[血圧上昇又は血管攣縮が増強される恐れがあるので、本剤投与後に他の5-HT1B/1D受容体作動型の片頭痛薬を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以内に投与しない(併用により相互に作用を増強させる)]。
    3. HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル(ノービア))、ニルマトレルビル・リトナビル(パキロビッド)[本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する恐れがある(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450・3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
  2. 併用注意

    1. マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、ジョサマイシン、クラリスロマイシン)[エリスロマイシンとの併用により、本剤の最高血漿中濃度(Cmax)は2倍に増大、本剤の血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)は4倍に増大し、軽度に血圧が上昇した(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450・3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
    2. 抗真菌剤(イトラコナゾール)[イトラコナゾールとの併用により、本剤のCmax・AUCが増大し血圧が上昇する恐れがある(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450・3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
    3. カルシウム拮抗剤(ベラパミル)[ベラパミルとの併用により、本剤のCmax・AUCが増大した(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450・3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
    4. 飲食物(グレープフルーツジュース)[本剤の作用が増強する恐れがある(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450・3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
    5. 副腎皮質ホルモン剤(デキサメタゾン)、抗てんかん剤(カルバマゼピン)、抗結核薬(リファンピシン)[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する恐れがある(酵素誘導剤により本剤の代謝が促進される恐れがある)]。
    6. 飲食物(セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort))[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する恐れがある(セイヨウオトギリソウにより本剤の代謝が促進される恐れがある)]。
    7. 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルボキサミンマレイン酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、塩酸セルトラリン)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩)[セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、頻脈、発熱、反射亢進、協調運動障害、下痢等)が現れることがある(セロトニンの再取り込みを阻害し、セロトニン濃度を上昇させるため、本剤との併用により、セロトニン作用が増強する可能性が考えられる)]。

(高齢者への投与)

血圧上昇は、若年者よりも高齢者で大きいので慎重に投与する[高齢者と若年者における収縮期血圧の最大上昇の差:10.19mmHg、拡張期血圧の最大上昇の差:2.59mmHg]、臨床使用における高齢者に対する安全性が確立していない(使用経験が少ない)。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する(妊娠中の投与に関する安全性は確立していない)。

  2. 授乳中の女性には本剤投与中は授乳を避けさせる[本剤は投与後24時間までにヒト母乳中に約0.02%の移行が認められている]。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

(過量投与)

国内及び外国において、患者にエレトリプタン製剤40mgを超えて80mgまでを単回経口投与した際、エレトリプタン製剤20mg、40mg投与で報告されている以外の副作用はいずれも認められなかったが、副作用の発現頻度は用量とともに増加した。また、外国臨床試験において、重大な副作用としてエレトリプタン製剤80mgが投与された患者1例において狭心症が認められた。過量投与時には次の処置を考慮する。

過量投与時の処置:本剤の消失半減期は約4時間であり、少なくとも20時間、あるいは症状・徴候が持続する限り患者をモニターし、本剤に特異的な解毒薬はないので、重症中毒の場合、気道の確保・維持、適度の酸素負荷・換気、循環器系のモニタリング、対症療法を含む集中治療が望ましい(なお、血液透析・腹膜透析の効果は不明である)。

(適用上の注意)

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

(取扱い上の注意)

安定性試験:最終包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、エレトリプタン錠20mg「トーワ」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。

(参考)

(国際頭痛学会による片頭痛の分類*)

  1. 1:前兆のない片頭痛

  2. 2:前兆のある片頭痛

  3. 2.1:典型的前兆に片頭痛を伴うもの

  4. 2.2:典型的前兆に非片頭痛様の頭痛を伴うもの

  5. 2.3:典型的前兆のみで頭痛を伴わないもの

  6. 2.4:家族性片麻痺性片頭痛

  7. 2.5:孤発性片麻痺性片頭痛

  8. 2.6:脳底型片頭痛

  9. 3:小児周期性症候群(片頭痛に移行することが多いもの)

  10. 3.1:周期性嘔吐症

  11. 3.2:腹部片頭痛

  12. 3.3:小児良性発作性眩暈

  13. 4:網膜片頭痛

  14. 5:片頭痛の合併症

  15. 5.1:慢性片頭痛

  16. 5.2:片頭痛発作重積

  17. 5.3:遷延性前兆で脳梗塞を伴わないもの

  18. 5.4:片頭痛性脳梗塞

  19. 5.5:片頭痛により誘発される痙攣

  20. 6:片頭痛の疑い

  21. 6.1:前兆のない片頭痛の疑い

  22. 6.2:前兆のある片頭痛の疑い

  23. 6.5:慢性片頭痛の疑い

(国際頭痛学会による片頭痛診断基準*)

***(1.1:前兆のない片頭痛)*

  1. 2~4を満たす頭痛発作が5回以上ある。

  2. 頭痛の持続時間は4~72時間(未治療もしくは治療が無効の場合)。

  3. 頭痛は次の特徴の少なくとも2項目を満たす。

    1. 片側性
    2. 拍動性
    3. 中等度~重度の頭痛
    4. 日常的な動作(歩行や階段昇降などの)により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける。
  4. 頭痛発作中に少なくとも次の1項目を満たす。

    1. 悪心又は嘔吐(あるいはその両方)
    2. 光過敏及び音過敏
  5. その他の疾患によらない。

***(1.2:前兆のある片頭痛)*

  1. 2を満たす頭痛が2回以上ある。

  2. 片頭痛の前兆がサブフォーム1.2.1~1.2.6のいずれかの診断基準項目2)及び3)を満たす。

  3. その他の疾患によらない。

  4. 2.1:典型的前兆に片頭痛を伴うもの

    1. 2)~4)を満たす頭痛が2回以上ある。
    2. 少なくとも次の1項目を満たす前兆があるが、運動麻痺(脱力)は伴わない。
      1. 陽性徴候(例えばきらきらした光・点・線)及び・又は陰性徴候(視覚消失)を含む完全可逆性の視覚症状。
      2. 陽性徴候(チクチク感)及び・又は陰性徴候(感覚鈍麻)を含む完全可逆性の感覚症状。
      3. 完全可逆性の失語性言語障害。
    3. 少なくとも次の2項目を満たす。
      1. 同名性の視覚症状又は片側性の感覚症状(あるいはその両方)。
      2. 少なくとも1つの前兆は5分以上かけて徐々に進展するか及び・又は異なる複数の前兆が引き続き5分以上かけて進展する。
      3. それぞれの前兆の持続時間は5分以上60分以内。
    4. (1.1:前兆のない片頭痛)の診断基準2~4を満たす頭痛が、前兆の出現中もしくは前兆後60分以内に生じる。
    5. その他の疾患によらない。
  5. 2.2:典型的前兆に非片頭痛様の頭痛を伴うもの

    次記を除き1.2.1と同じ。

    1. (1.1:前兆のない片頭痛)の2~4を満たさない頭痛が、前兆の出現中もしくは前兆後60分以内に生じる。
  6. 2.3~1.2.6の診断基準については省略した。

    :国際頭痛分類 第2版(ICHD-2):日本頭痛学会(新国際分類普及委員会)・厚生労働科学研究(慢性頭痛の診療ガイドラインに関する研究班)共訳より抜粋。