コナン錠5mgの添付文書
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効果・効能
高血圧症。
用法・用量
キナプリルとして5~20mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、重症高血圧症又は腎障害を伴う高血圧症の患者では5mgから投与を開始することが望ましい。
(用法・用量に関連する使用上の注意)
重篤な腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが30mL/分以下、又は血清クレアチニン値が3mg/dLを超える場合)では、本剤は腎排泄性であり、また腎機能を低下させることがあるので低用量(例えば2.5mg)から投与を開始するか、もしくは投与間隔をのばすなど、経過を十分に観察しながら慎重に投与する。
副作用
承認時までの調査(承認時):
総症例数605例中64例(10.58%)75件の副作用が報告されている。主な副作用は咳42例(6.94%)、悪心5例(0.83%)、頭痛3例(0.50%)等であった。臨床検査値異常はCK(CPK)の上昇1.59%(7例/439例)、LDHの上昇1.45%(8例/551例)、血清カリウム上昇1.27%(7例/552例)、ALT(GPT)の上昇1.09%(6例/552例)等がみられた。
市販後の使用成績調査(再審査終了時):
総症例数6,146例中、553例(9.00%)646件の副作用が報告された。主な副作用は咳405例(6.59%)、咽頭違和感22例(0.36%)、ふらつき20例(0.33%)、眩暈15例(0.24%)等であった。
重大な副作用
- 血管浮腫(頻度不明):呼吸困難を伴う顔面腫脹、舌腫脹、声門腫脹、喉頭腫脹を症状とする血管浮腫が現れることがあるので、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。また、腹痛を伴う腸管血管浮腫が現れることがあるので、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
- 急性腎不全(頻度不明):急性腎不全が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 高カリウム血症(頻度不明):重篤な高カリウム血症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行う。
- 膵炎(頻度不明):膵炎が現れることがあるので、血中アミラーゼ上昇、血中リパーゼ上昇等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
その他の副作用
- 腎臓:(0.1~5%未満)BUN上昇、血清クレアチニン上昇。
- 過敏症:(0.1%未満)発疹、そう痒、蕁麻疹[このような症状が現れた場合には投与を中止する]。
- 血液:(頻度不明)顆粒球減少、(0.1~5%未満)赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値減少、リンパ球減少、白血球増多。
- 精神神経系:(0.1~5%未満)頭痛、眩暈、ふらつき、耳鳴、立ちくらみ、もやもや感。
- 消化器:(頻度不明)下痢、口内炎、(0.1~5%未満)悪心、嘔吐、便秘、胸やけ、胃部不快感、腹痛、(0.1%未満)食欲不振。
- 循環器:(頻度不明)胸痛、(0.1~5%未満)動悸、(0.1%未満)過度の血圧低下。
- 肝臓:(頻度不明)γ-GTP上昇、(0.1~5%未満)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、LDH上昇。
- 呼吸器:(5%以上)咳、(頻度不明)痰、息苦しさ、咽頭炎、(0.1~5%未満)咽喉不快感、咽頭違和感。
- その他:(頻度不明)浮腫、味覚異常、尿酸上昇、発熱、低血糖、(0.1~5%未満)顔面潮紅、倦怠感、気分不良、冷汗、のどの渇き、しびれ、血清カリウム上昇、CK上昇(CPK上昇)。
使用上の注意
(禁忌)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
血管浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシン変換酵素阻害剤等の薬剤による血管浮腫、遺伝性血管浮腫、後天性血管浮腫、特発性血管浮腫等)[高度呼吸困難を伴う血管浮腫を発現することがある]。
デキストラン硫酸固定化セルロースを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中、トリプトファン固定化PVAを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中(PVA:ポリビニルアルコール)又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中の患者[ショックを起こすことがある]。
アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた血液透析施行中(AN69を用いた血液透析施行中)の患者[アナフィラキシーを発現することがある]。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。
アリスキレンフマル酸塩投与中の糖尿病患者(但し、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている]。
(慎重投与)
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者。
高カリウム血症の患者。
重篤な腎機能障害のある患者。
高齢者。
(重要な基本的注意)
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者においては、腎血流量の減少や糸球体濾過圧の低下により急速に腎機能悪化させる恐れがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避ける。
高カリウム血症の患者においては、高カリウム血症を増悪させる恐れがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避ける。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、高カリウム血症が発現する恐れがあるので、血清カリウム値に注意する。
アリスキレンフマル酸塩を併用する場合、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こす恐れがあるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。なお、eGFR(60mL/分/1.73㎡の腎障害でアリスキレンフマル酸塩併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避ける。
本剤の投与によって、特に次の患者では、初回投与後一過性の急激な血圧低下を起こす場合があるので、投与は少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行う:1)重症高血圧症患者、2)血液透析中の患者、3)利尿降圧剤投与中の患者(特に最近、利尿降圧剤投与を開始した患者)、4)厳重な減塩療法中の患者。
降圧作用に基づく眩暈、ふらつきが現れることがあるので、高所作業・自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させる。
手術前24時間は投与しないことが望ましい。
(相互作用)
併用禁忌:
- デキストラン硫酸固定化セルロースを用いた吸着器によるアフェレーシス施行、トリプトファン固定化PVAを用いた吸着器によるアフェレーシス施行(PVA:ポリビニルアルコール)又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシス施行(リポソーバー、イムソーバTR、セルソーバ)[ショックを起こすことがある(陰性に荷電したデキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートにより血中キニン系の代謝が亢進し、ブラジキニン産生が増大し、更に本剤がブラジキニンの代謝を抑制するため、ブラジキニンの血中濃度が上昇し、ショックを誘発すると考えられている)]。
- アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた透析(AN69)[アナフィラキシーを発現することがある(AN69膜という多価イオン体により血中キニン系の代謝が亢進しブラジキニン産生の増大をもたらし、更にACE阻害剤によりブラジキニン代謝が妨げられて、ブラジキニンの蓄積をもたらすと考えられているが、明らかではない)]。
併用注意:
- カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、トリアムテレン等)、カリウム製剤[高カリウム血症、不整脈が現れることがある(本剤はアンジオテンシン2生成抑制により、アルドステロン分泌を低下させ、Naイオンを排泄、Kイオンを保持する;特に腎機能障害のある患者では注意する)]。
- アリスキレンフマル酸塩[腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こす恐れがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察する(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)、なお、eGFRが60mL/min/1.73㎡未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避ける(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)]。
- アンジオテンシン2受容体拮抗剤[腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こす恐れがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察する(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)]。
- 利尿降圧剤(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等)[本剤初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こす恐れがあるので、投与は少量より開始する(利尿降圧剤によるナトリウム排泄によって、レニン-アンジオテンシン系が亢進されているため、本剤によりアンジオテンシン2の産生が抑制され、降圧作用が増強すると考えられている)]。
- 炭酸リチウム[外国において、他のACE阻害剤との併用によりリチウム中毒(他のACE阻害剤との併用で運動失調・振戦・下痢・脱水状態・低血圧・乏尿)(カプトプリル、エナラプリルマレイン酸塩、リシノプリル)が報告されているので、リチウムと併用する場合は、血中のリチウム濃度に注意する(機序は確立されていない)]。
- テトラサイクリン(経口)[テトラサイクリンの効果を減弱する(賦形剤として本剤に含有されている炭酸マグネシウムがテトラサイクリンと難溶性のキレートを形成することによってテトラサイクリンの吸収低下が起こると考えられる)]。
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤:
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン等)[降圧作用が減弱するとの報告がある(非ステロイド性消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、本剤の降圧作用を減弱させると考えられる)]。
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン等)[腎機能障害を引き起こす可能性があるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う(非ステロイド性消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる)]。
- カリジノゲナーゼ製剤[本剤との併用により過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある(本剤のキニン分解抑制作用とカリジノゲナーゼ製剤のキニン産生作用により、血中キニン濃度が増大し血管平滑筋の弛緩が増強される可能性がある)]。
(高齢者への投与)
本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続する恐れがあり、副作用が発現又は作用が増強しやすいこと及び一般的に高齢者では、過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こる恐れがある)ことから、高齢者に使用する場合は、低用量(例えば5mg/日)から投与を開始するなど、経過を十分に観察しながら慎重に投与する(なお、国内で実施された臨床試験において、65歳以上の高齢者での副作用は、135例中16例にみられ、このうち、75歳以上の高齢者に投与された例数は7例であり、副作用は1例に悪心がみられた)。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止する[妊娠中期及び末期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された高血圧症の患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢拘縮、頭蓋顔面変形等が現れたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある]。
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させる[ヒト母乳中へ移行することが報告されている]。
(小児等への投与)
小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
(適用上の注意)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
(その他の注意)
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより低血糖が起こりやすいとの報告がある。
(保管上の注意)
防湿。