シラザプリル錠0.5mg「トーワ」の添付文書
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効果・効能
高血圧症。
用法・用量
シラザプリル(無水物)として1日1回0.5mgより経口投与し漸次増量するが、最大1日1回2mgまでとする。但し、重症又は腎障害を伴う患者にはシラザプリル(無水物)として1日1回0.25mgから投与を開始する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
(用法・用量に関連する使用上の注意)
重篤な腎機能障害のある患者では、本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇し、過度の血圧低下、腎機能悪化を起こすことがあるので、血清クレアチニン値が3mg/dL以上の場合には、投与量を減らすか、又は投与間隔をのばすなど慎重に投与する。
副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用(頻度不明)
- 血管浮腫:呼吸困難を伴う顔面腫脹、舌腫脹、声門腫脹、喉頭腫脹を症状とする血管浮腫が現れることがあるので、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、アドレナリン注射、気道確保等の適切な処置を行う。他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤で、腸管血管浮腫(症状:腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等)が現れることが報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
- 急性腎障害:急性腎障害が現れることがあるので、特に腎障害、脱水症状等を有する患者に投与する場合には、定期的に検査を行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行う。
- 高カリウム血症:重篤な高カリウム血症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行う。
- 膵炎:膵炎が現れることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど、適切な処置を行う。
その他の副作用:次のような副作用が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行う。
- 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒[観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う]。
- 腎臓:(頻度不明)BUN上昇、クレアチニン上昇、蛋白尿。
- 血液:(頻度不明)白血球減少、貧血[観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う]。
- 精神神経系:(頻度不明)眩暈、頭痛、ふらつき、不眠、眠気、しびれ感、口内しびれ感、耳鳴。
- 循環器:(頻度不明)低血圧、動悸、心室性期外収縮。
- 消化器:(頻度不明)下痢、嘔気・嘔吐、食欲不振、心窩部痛、胸やけ。
- 肝臓:(頻度不明)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、LDH上昇。
- 呼吸器:(頻度不明)咳、咽頭痛、痰。
- その他:(頻度不明)低血糖、総コレステロール上昇、尿酸上昇、血清カリウム上昇、倦怠感、疲労、胸痛、口内異物感、味覚異常、ほてり、肩こり、浮腫、発赤。
使用上の注意
(禁忌)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
血管浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシン変換酵素阻害剤等の薬剤による血管浮腫、遺伝性血管浮腫、後天性血管浮腫、特発性血管浮腫等)[高度呼吸困難を伴う血管浮腫を発現することがある]。
デキストラン硫酸固定化セルロースを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中、トリプトファン固定化PVAを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中(PVA:ポリビニルアルコール)又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシス施行中の患者[ショックを起こすことがある]。
アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた血液透析施行中(AN69を用いた血液透析施行中)の患者[アナフィラキシーを発現することがある]。
腹水を伴う肝硬変のある患者[本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇し、重篤な低血圧を起こすことがある]。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性。
アリスキレン投与中の糖尿病患者(但し、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)[非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている]。
(慎重投与)
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者。
高カリウム血症の患者。
重篤な腎機能障害のある患者。
高齢者。
肝硬変のある患者[過度の血圧低下を起こすことがある]。
(重要な基本的注意)
両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者においては、腎血流量の減少や糸球体濾過圧の低下により急速に腎機能悪化させる恐れがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避ける。
高カリウム血症の患者においては、高カリウム血症を増悪させる恐れがあるので、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避ける。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、高カリウム血症が発現する恐れがあるので、血清カリウム値に注意する。
本剤の投与により、初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こす恐れがあるので、特に次の患者に投与する場合は、少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行う:1)重症高血圧症患者、2)血液透析中の患者、3)厳重な減塩療法中の患者、4)利尿降圧剤投与中の患者(特に最近利尿降圧剤投与を開始した患者)。
アリスキレンを併用する場合、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こす恐れがあるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。なお、eGFRが60mL/分/1.73㎡未満の腎機能障害でアリスキレンとの併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避ける。
降圧作用に基づく眩暈、ふらつきが現れることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させる。
手術前24時間は投与しないことが望ましい。
(相互作用)
併用禁忌:
- デキストラン硫酸固定化セルロースを用いた吸着器によるアフェレーシス施行、トリプトファン固定化PVAを用いた吸着器によるアフェレーシス施行(PVA:ポリビニルアルコール)又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシス施行(リポソーバー、イムソーバTR、セルソーバ等)[血圧低下、潮紅、嘔気、嘔吐、腹痛、しびれ、熱感、呼吸困難、頻脈等の症状が現れショックを起こすことがある(陰性に荷電したデキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートにより血中キニン系の代謝が亢進し、ブラジキニン産生が増大し、更に本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられ蓄積すると考えられている)]。
- アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた血液透析(AN69)の施行[アナフィラキシーを発現することがある(多価イオン体であるAN69により血中キニン系の代謝が亢進し、本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられ蓄積すると考えられている)]。
併用注意:
- カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、トリアムテレン等)、カリウム補給剤(塩化カリウム(補給剤)等)、トリメトプリム含有製剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)[血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム値に注意する(本剤は、アンジオテンシン2産生を抑制し、アルドステロンの分泌を低下させ、カリウム排泄を減少させるので、腎機能障害のある患者には特に注意する)]。
- シクロスポリン[血清カリウム値が上昇することがあるので、血清カリウム値に注意する(高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる)]。
- 利尿降圧剤(ヒドロクロロチアジド、フロセミド等)[初回投与後、一過性の急激な血圧低下を起こす場合があるので、少量より投与を開始する(利尿剤の長期投与により血漿レニン活性が上昇している状態では、本剤の投与により急激な血圧低下を起こす恐れがある)]。
- アリスキレン[腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こす恐れがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察する(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)、なお、eGFRが60mL/min/1.73㎡未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンとの併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避ける(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)]。
- アンジオテンシン2受容体拮抗剤[腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こす恐れがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察する(併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある)]。
- リチウム製剤(炭酸リチウム)[外国において、他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤との併用によりリチウム中毒(カプトプリル、エナラプリルマレイン酸塩、リシノプリル)が報告されているので血中のリチウム濃度に注意する(腎尿細管におけるリチウムの再吸収を促進する)]。
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤:
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン等)[降圧作用が減弱することがある(プロスタグランジンの合成阻害作用により、本剤の降圧効果を減弱させる)]。
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤(インドメタシン等)[腎機能を悪化させる恐れがある(プロスタグランジンの合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる)]。
- カリジノゲナーゼ製剤[本剤との併用により過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある(本剤のキニン分解抑制作用とカリジノゲナーゼ製剤のキニン産生作用により、血中キニン濃度が増大し血管平滑筋の弛緩が増強される可能性がある)]。
(高齢者への投与)
高齢者では低用量から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与する[非高齢者と比較して血漿濃度が高く、クリアランスの低下が認められており、高い血中濃度が持続する恐れがある。また、高齢者では一般に過度の降圧により脳梗塞等が起こる恐れがある]。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しない。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止する[妊娠中期及び末期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された高血圧症の患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢拘縮、頭蓋顔面変形等が現れたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある]。
授乳婦に投与する場合には、授乳を避けさせる[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている]。
(小児等への投与)
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
(適用上の注意)
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。
(その他の注意)
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより低血糖が起こりやすいとの報告がある。
外国において、他のアンジオテンシン変換酵素阻害剤(エナラプリルマレイン酸塩)服用中の患者が膜翅目毒(ハチ毒)による脱感作中にアナフィラキシーを発現したとの報告がある。
(取扱い上の注意)
安定性試験:最終包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6カ月)の結果、シラザプリル錠0.25mg「トーワ」、シラザプリル錠0.5mg「トーワ」及びシラザプリル錠1mg「トーワ」は通常の市場流通下においてそれぞれ3年間安定であることが推測された。
(保管上の注意)
開封後は湿気に注意。