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タンボコール錠100mg
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効果・効能

次記の状態で他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効の場合: 1. 成人:頻脈性不整脈(発作性心房細動・発作性心房粗動、頻脈性不整脈(心室性))。 1. 小児:頻脈性不整脈(発作性心房細動・発作性心房粗動、小児頻脈性不整脈(発作性上室性)、頻脈性不整脈(心室性))。

(効能又は効果に関連する注意)

    1. 本剤は他の抗不整脈薬が使用できないか又は無効の場合にのみ適用を考慮すること。
    1. 基礎心疾患のある心房粗動及び基礎心疾患のある心室頻拍では、有益性がリスクを上回ると判断される場合にのみ投与すること〔8.1参照〕。
    1. 小児等に本剤を使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること〔9.7.1参照〕。

用法・用量

成人 1. 頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動)

    通常、成人にはフレカイニド酢酸塩として1日100mgから投与を開始し、効果が不十分な場合は200mgまで増量し、1日2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
1.  頻脈性不整脈(心室性)

    通常、成人にはフレカイニド酢酸塩として1日100mgから投与を開始し、効果が不十分な場合は200mgまで増量し、1日2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

    小児

    頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動、発作性上室性、心室性)

    通常、6ヵ月以上の乳児、幼児及び小児にはフレカイニド酢酸塩として1日50~100mg/㎡(体表面積)を、1日2~3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日最高用量は200mg/㎡とする。

    通常、6ヵ月未満の乳児にはフレカイニド酢酸塩として1日50mg/㎡(体表面積)を、1日2~3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日最高用量は200mg/㎡とする。

(用法及び用量に関連する注意)

  1. 1. 重篤な腎障害(クレアチニンクリアランスが20mL/min以下)をともなう患者では、血漿中濃度が予測以上に上昇する可能性があるので、1日量として100mg(1回50mg、1日2回)を超えないことが望ましい〔9.2.1、16.5参照〕。

副作用

    1. 重大な副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

  1. 1.1. 心室頻拍(torsades de pointesを含む)(0.1~5%未満)、心室細動(0.1%未満)、心房粗動(0.1~5%未満)、高度房室ブロック(0.1~5%未満)、一過性心停止(0.1%未満)、洞停止(又は洞房ブロック)(0.1~5%未満)、心不全の悪化(0.1~5%未満)、Adams-Stokes発作(0.1%未満):心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、心房粗動、高度房室ブロック、一過性心停止、洞停止(又は洞房ブロック)、心不全悪化、Adams-Stokes発作があらわれることがあるので、このような場合には、本剤の投与を中止し、次の処置法を考慮すること〔8.1、13.2参照〕[(1)消化器から未吸収薬の除去、(2)ドパミン、ドブタミン、イソプレナリン等の強心薬投与、(3)IABP等の補助循環、(4)ペーシングや電気的除細動]。

  2. 1.2. 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。

    1. その他の副作用
    1. *循環器:(0.1~5%未満)PQ延長・QRS延長・QT延長、胸部不快感、動悸、その他の徐脈、心房細動、血圧上昇、浮腫、(0.1%未満)血圧低下、胸痛。
    2. 精神神経系:(0.1~5%未満)めまい、ふらつき、頭痛、頭重、振戦、眠気、手足のしびれ感、(0.1%未満)耳鳴。
    3. 消化器:(0.1~5%未満)悪心、嘔吐、腹痛、腹部膨満感、口渇、食欲不振、下痢、便秘、消化不良、(0.1%未満)口内炎。
    4. 呼吸器:(0.1~5%未満)呼吸困難。
    5. 視覚器:(0.1~5%未満)複視、羞明、視力異常、(0.1%未満)霧視。
    6. 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、LDH上昇、総ビリルビン値上昇等。
    7. 腎臓:(0.1~5%未満)BUN上昇、血清クレアチニン値上昇等。
    8. 過敏症:(0.1~5%未満)そう痒、発疹。
    9. 血液:(0.1~5%未満)白血球増多、ヘモグロビン値増加・ヘマトクリット値増加。
    10. その他:(0.1~5%未満)倦怠感、舌のしびれ感、苦味感・味覚異常、顔面潮紅、発汗、(0.1%未満)頻尿等の排尿障害。

      *)〔8.1参照〕。

      発現頻度は頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動)承認時までの臨床試験及び効能・効果追加に伴い実施した調査終了時、頻脈性不整脈(心室性)承認時までの臨床試験及び使用成績調査の結果をあわせて算出した。

使用上の注意

(禁忌)

    1. うっ血性心不全のある患者[本剤は陰性変力作用を有し、心不全症状を更に悪化させることがある]。
    1. 高度房室ブロック、高度洞房ブロックのある患者[本剤は房室伝導、洞房伝導を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある]〔9.1.2参照〕。
    1. 心筋梗塞後の無症候性心室性期外収縮あるいは心筋梗塞後の非持続型心室頻拍のある患者[突然死に関する臨床試験(CAST)の結果、このような患者では本剤投与により死亡率増加するとの報告がある]〔15.1参照〕。
    1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
    1. リトナビル投与中の患者〔10.1参照〕。
    1. ミラベグロン投与中の患者〔10.1参照〕。
    1. テラプレビル投与中の患者〔10.1参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. 〈効能共通〉本剤の投与に際しては、頻回に患者の状態を観察し、心電図、脈拍、血圧、心胸比を定期的に調べること(PQ延長、QRS幅増大、QT延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること)。なお、本剤の投与により、torsades de pointes、Adams-Stokes発作が認められている〔5.2、9.1.1、9.1.7、9.2腎機能障害患者、9.2.1、9.8高齢者の項、11.1.1、11.2参照〕。
    1. 〈効能共通〉1日用量200mgを超えて投与する場合、血漿中濃度が予測以上に上昇し副作用発現の可能性が増大するので注意すること。
    1. 〈効能共通〉本剤による催不整脈は投与初期や増量時にあらわれることが多いので、十分に注意すること。
    1. 〈効能共通〉本剤の投与中にめまい、ふらつき等の精神神経系症状が発現し、増悪する傾向にある場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。
    1. 〈効能共通〉本剤でBrugada症候群に特徴的な心電図変化が顕在化(右脚ブロック顕在化及び右側胸部誘導(V1~V3)のST上昇顕在化)したとの報告があるので、それに伴う心室細動、心室頻拍、心室性期外収縮等の発現に注意すること。
    1. 〈効能共通〉母乳及び乳製品の摂取により、本薬の吸収が抑制され有効性が低下するおそれがあるので、特に乳幼児に使用する場合には十分注意すること。また、母乳及び乳製品の摂取中止時には、本薬の血中濃度の上昇に十分注意すること〔9.7.2、16.1.2参照〕。
    1. 〈頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動)〉発作停止時に洞停止、洞不全症候群の誘発の危険性が高くなるので、十分に注意すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者:本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。特に、基礎心疾患があり心不全(心筋梗塞があり心不全、弁膜症があり心不全、心筋症があり心不全等)を来すおそれのある患者では少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。また、心室性不整脈患者に投与する場合には、心室頻拍、心室細動等が発現するおそれが高いため、開始後1~2週間は入院させること〔8.1参照〕。

  2. 1.2. 房室ブロック(高度を除く)、洞房ブロック(高度を除く)、脚ブロック等の刺激伝導障害(高度房室ブロック・高度洞房ブロックを除く)のある患者:本剤は房室伝導、洞房伝導等を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある〔2.2参照〕。

  3. 1.3. 著明な洞性徐脈のある患者:本剤は洞結節機能を抑制することがある。

  4. 1.4. うっ血性心不全の既往歴のある患者:本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。

  5. 1.5. 血清カリウム低下のある患者:催不整脈作用が生じやすく、高度の不整脈に発展するおそれがある。

  6. 1.6. 恒久的ペースメーカー使用中、あるいは一時的ペーシング中の患者:心臓ペーシング閾値を上昇させる可能性があるので、恒久的ペースメーカー使用中、あるいは一時的ペーシング中の患者に対しては十分注意して投与すること(また、ペースメーカー使用中の患者に投与する場合は適当な間隔でペーシング閾値を測定し、異常が認められた場合には直ちに減量又は投与を中止すること)。

  7. 1.7. 他の抗不整脈薬を併用している患者:少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること(有効性、安全性が確立していない)〔8.1参照〕。

(腎機能障害患者)

腎機能障害患者:少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること(本剤は腎臓からの排泄により体内から消失する薬剤であり、血中濃度が高くなりやすい)〔8.1、16.5参照〕。

  1. 2.1. 重篤な腎機能障害患者:血中濃度が高くなりやすい(本剤は腎臓から排泄されるため、過量投与になるおそれがある)〔7.1、8.1、16.5参照〕。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:本剤は肝臓で代謝されるため、過量投与になるおそれがある。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験(ラット)において催奇形性が認められている)〔2.4参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること(ヒトにおいて乳汁中へ移行することが報告されている)。

(小児等)

  1. 7.1. 小児等に本剤を使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること〔5.3参照〕。

  2. 7.2. 特に乳幼児に使用する場合には十分注意すること(母乳及び乳製品の摂取により、本薬の吸収が抑制され有効性が低下するおそれがある。また、母乳及び乳製品の摂取中止時には、本薬の血中濃度の上昇に十分注意すること)〔8.6、16.1.2参照〕。

(高齢者)

高齢者:少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。高齢者の心室性不整脈患者に投与する場合には、入院させて開始することが望ましい(肝・腎機能が低下していることが多く、また、体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい)〔8.1参照〕。

(相互作用)

本剤は、主として肝代謝酵素CYP2D6で代謝される〔16.4参照〕。

    1. 併用禁忌
    1. リトナビル(ノービア)〔2.5参照〕[不整脈・血液障害・痙攣等の重篤な副作用を起こすおそれがある(リトナビルのチトクロームP450に対する競合的阻害作用により、併用した場合、本剤の血中濃度が大幅に上昇することが予測される)]。
    2. ミラベグロン(ベタニス)〔2.6参照〕[QTが延長し、心室性不整脈(torsades de pointesを含む)等を起こすおそれがある(本剤並びにミラベグロンは催不整脈作用を有する、また、ミラベグロンのチトクロームP450(CYP2D6)阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。
    3. テラプレビル(テラビック)〔2.7参照〕[QTが延長し、心室性不整脈(torsades de pointesを含む)等を起こすおそれがある(本剤並びにテラプレビルはQT延長作用を有する)]。
    1. 併用注意
    1. ジギタリス配糖体(ジゴキシン、ジギトキシン、デスラノシド等)[相手薬剤の血中濃度が上昇することがある(機序は不明である)]。
    2. β遮断剤(プロプラノロール塩酸塩等)[心機能低下や房室ブロックがあらわれることがある(本剤並びにβ遮断剤(プロプラノロール等)は相互に陰性変力作用と房室伝導抑制作用を有する)。また、プロプラノロールとの併用においては、本剤並びにプロプラノロールの血中濃度が上昇することがある(本剤並びにプロプラノロールはともにCYP2D6の基質であるため、相手薬剤の代謝を競合的に阻害する)]。
    3. パロキセチン塩酸塩水和物[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある(相手薬剤が肝代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。
    4. シメチジン、キニジン硫酸塩水和物[本剤の血中濃度が上昇することがある(相手薬剤のチトクロームP450阻害作用に基づく)]。
    5. フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン[本剤の血中濃度が低下することがある(相手薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用に基づく)]。
    6. アミオダロン塩酸塩[本剤の血中濃度が1.5倍に上昇するとの報告があるので、本剤を2/3に減量すること(機序は不明である)]。
    7. Ca拮抗剤(ベラパミル塩酸塩等)[心機能低下や房室ブロックがあらわれることがある(本剤並びにCa拮抗剤(ベラパミル等)は相互に陰性変力作用と房室伝導抑制作用を有する)]。
    8. 塩酸リドカイン、プロカインアミド塩酸塩[実験的不整脈モデルにおいて抗不整脈活性あるいは毒性症状が増強するとの報告がある(機序は不明である)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与時に心電図諸計測値延長、心拍数減少や心収縮性減少、伝導障害、致死的不整脈、痙攣、低血圧、呼吸不全による死亡等の報告がある。

    1. 処置

    現状で本剤の過量投与に対する特別な処置法はない、なお、次の処置法を考慮すること〔11.1.1参照〕[(1)消化器から未吸収薬の除去、(2)ドパミン、ドブタミン、イソプレナリン等の強心薬投与、(3)IABP等の補助循環、(4)ペーシングや電気的除細動]本剤は半減期が長いので、前記の処置はできるだけ長時間持続する必要がある(なお、血液透析は無効である)。

(適用上の注意)

    1. 薬剤交付時の注意
  1. 1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報

    心筋梗塞後の無症候性心室性期外収縮あるいは心筋梗塞後の非持続型心室頻拍を対象として突然死に関する臨床試験(CAST)が実施された。その結果プラセボ投与群の死亡率に対し、本剤投与群の死亡率が高かったとの報告がある〔2.3参照〕。

(保管上の注意)

室温保存。