処方薬
ジソピラミド徐放錠150mg「テバ」
後発

ジソピラミド徐放錠150mg「テバ」の添付文書

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効果・効能

次記の状態で他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効の場合:頻脈性不整脈。

用法・用量

1回ジソピラミドとして150mg、1日2回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. 心停止、心室細動、心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、心室粗動、心房粗動、房室ブロック、洞停止、失神、心不全悪化等:これらの症状が現れることがあるので、定期的に心電図検査を行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
    2. 低血糖:低血糖(脱力感、倦怠感、高度空腹感、冷汗、嘔気、不安、意識障害(意識混濁、昏睡)等)が現れることがあるので、低血糖症が認められた場合にはブドウ糖を投与するなど適切な処置を行う(高齢者、糖尿病、肝障害、腎障害、栄養状態不良の患者に発現しやすいとの報告がある)。
    3. 無顆粒球症:無顆粒球症が現れることがあるので、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う。
    4. 肝機能障害、黄疸:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害や黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う。
    5. 麻痺性イレウス:麻痺性イレウスが現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う。
    6. 緑内障悪化:緑内障悪化が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う。
    7. 痙攣:痙攣が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。

    1. 循環器:(頻度不明)QT延長、徐脈、動悸、QRS幅増大、心胸比増大、血圧低下。
    2. 血液:(頻度不明)貧血、血小板減少。
    3. 消化器:(頻度不明)口渇、便秘、胃部不快感、嘔気、胸やけ、胃もたれ、腹痛、食欲不振、下痢、腹部膨満感、口内異常感、嘔吐。
    4. 肝臓:(頻度不明)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、ビリルビン上昇等[副作用が認められた場合には投与を中止する]。
    5. 腎臓:(頻度不明)腎機能障害[副作用が認められた場合には投与を中止する]。
    6. 泌尿器:(頻度不明)尿閉、排尿障害、排尿困難、頻尿、乏尿、排尿時間延長、夜尿、多尿、尿停滞感。
    7. 視覚器:(頻度不明)複視、霧視、黄視、視覚器の光に対する過敏症、視力障害。
    8. 精神神経系:(頻度不明)頭痛、眩暈、しびれ、眠気、不眠、しびれ感、感覚障害、振戦。
    9. 過敏症:(頻度不明)発疹等[副作用が認められた場合には投与を中止する]。
    10. その他:(頻度不明)全身倦怠感、胸部不快感、顔のほてり、鼻乾燥、呼吸困難、インポテンス、胸部圧迫感、胸痛、顔面灼熱感、浮腫、ほてり、嗄声、月経異常、女性型乳房。

使用上の注意

(禁忌)

  1. 高度房室ブロック、高度洞房ブロックのある患者[刺激伝導障害が悪化し、完全房室ブロック、心停止を起こす恐れがある]。

  2. うっ血性心不全のある患者[心収縮力低下により、心不全を悪化させる恐れがあり、また、催不整脈作用により心室頻拍、心室細動を起こしやすい]。

  3. 透析患者を含む重篤な腎機能障害のある患者[本剤は主に腎臓で排泄されるため、血中半減期が延長することがあるので、徐放性製剤の投与は適さない]。

  4. 高度肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中半減期が延長することがあるので、徐放性製剤の投与は適さない]。

  5. スパルフロキサシン投与中、モキシフロキサシン塩酸塩投与中、トレミフェンクエン酸塩投与中、バルデナフィル塩酸塩水和物投与中、アミオダロン塩酸塩(注射剤)投与中、エリグルスタット酒石酸塩投与中又はフィンゴリモド塩酸塩投与中の患者。

  6. 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。

  7. 尿貯留傾向のある患者[抗コリン作用により、尿閉を悪化させる恐れがある]。

  8. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

(慎重投与)

  1. 基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者[心不全を来す恐れがある]。

  2. 刺激伝導障害(房室ブロック、洞房ブロック、脚ブロック等)のある患者[刺激伝導障害が悪化する恐れがある]。

  3. 心房粗動のある患者[房室内伝導を促進することがある]。

  4. 腎機能障害のある患者。

  5. 肝機能障害のある患者[肝機能障害が悪化する恐れがある]。

  6. 治療中の糖尿病患者[低血糖を起こす恐れがある]。

  7. 重症筋無力症の患者[重症筋無力症を悪化させる恐れがある]。

  8. 血清カリウム低下のある患者[催不整脈作用の誘因となる恐れがある]。

  9. 開放隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。

  10. 高齢者。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤の投与に際しては、頻回に患者の状態を観察し、心電図、脈拍、血圧、心胸比、臨床検査値(肝機能、腎機能、電解質、血液等)を定期的に調べ、PQ延長、QRS幅増大、QT延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には直ちに減量又は投与中止する。特に次の患者又は場合には、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに頻回に心電図検査を実施する。

    1. 基礎心疾患があり心不全(心筋梗塞があり心不全、弁膜症があり心不全、心筋症があり心不全等)を来す恐れのある患者には、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに頻回に心電図検査を実施する[心室頻拍、心室細動等が発現する恐れが高いので、入院させて開始する]。
    2. 高齢者には、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに頻回に心電図検査を実施する。
    3. 他の抗不整脈薬との併用の場合には、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに頻回に心電図検査を実施する(有効性、安全性が確立していない)。
  2. 本剤の投与にあたっては用法及び用量に注意するとともに次の事項に留意する。

    1. 心房細動・粗動、発作性頻拍の除去を目的とする場合:投与を2、3日行い、効果が得られない場合は投与を中止する。
    2. 期外収縮の除去を目的とする場合:期外収縮の除去が循環動態の改善に役立つと考えられる場合に投与を考慮する。
  3. 腎機能障害のある患者では本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇する恐れがあるので、投与間隔をあけるなど患者の状態を観察しながら慎重に投与し、異常がみられた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行う。

  4. 本剤には陰性変力作用及びキニジン様作用があるので、十分注意して投与する。

  5. 高齢者、糖尿病、肝障害、腎障害、栄養状態不良の患者では重篤な低血糖が現れやすいので注意し、これらの患者に投与する場合は、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら慎重に投与する。また、低血糖の発現について患者に十分な説明を行う。

  6. 本剤には抗コリン作用があり、その作用に基づくと思われる排尿障害、口渇、複視等が現れることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止する。

  7. 患者の感受性の個体差に留意して初め少量の投薬試験を行うことが望ましい。

  8. 眩暈、低血糖等が現れることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させる。

(相互作用)

本剤は、主として肝薬物代謝酵素CYP3A4で代謝される。

  1. 併用禁忌

    1. スパルフロキサシン(スパラ)、モキシフロキサシン塩酸塩(アベロックス)、トレミフェンクエン酸塩(フェアストン)[心室性頻拍(Torsades de Pointesを含む)、QT延長を起こすことがある(併用によりQT延長作用が相加的に増強すると考えられる)]。
    2. バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ)[QT延長を起こすことがある(併用によりQT延長作用が相加的に増強すると考えられる)]。
    3. アミオダロン塩酸塩(注射剤)(アンカロン注)[Torsades de Pointesを起こすことがある(併用によりQT延長作用が相加的に増強すると考えられる)]。
    4. エリグルスタット酒石酸塩(サデルガ)[併用によりQT延長等を生じる恐れがある(併用によりQT延長作用が相加的に増強すると考えられる)]。
    5. フィンゴリモド塩酸塩(イムセラ、ジレニア)[併用によりTorsades de Pointes等の重篤な不整脈を起こす恐れがある(フィンゴリモド塩酸塩の投与により心拍数が低下するため、併用により不整脈を増強する恐れがある)]。
  2. 併用注意

    1. エリスロマイシン、クラリスロマイシン[本剤の作用を増強させることがある(エリスロマイシン、クラリスロマイシンは肝ミクロソームCYP3Aを阻害することが知られており、本剤はCYP3Aで代謝されるため、併用により本剤の代謝が抑制される)]。
    2. β-遮断剤
      1. β-遮断剤(アテノロール等)[過度の心機能抑制作用が現れることがある(両剤の陰性変力作用と変伝導作用により相互に心機能抑制作用を増強する恐れがある)]。
      2. β-遮断剤(アテノロール等)[過度の心機能抑制作用が現れることがある(アテノロールとの併用により本剤のクリアランスが減少すると考えられている)]。
    3. フェニトイン[本剤の作用を減弱させ代謝物による抗コリン作用が増強する恐れがある(フェニトインにより肝代謝酵素の産生が誘導され、本剤の代謝が促進すると考えられている)]。
    4. リファンピシン[本剤の作用を減弱させ代謝物による抗コリン作用が増強する恐れがある(リファンピシンにより肝代謝酵素の産生が誘導され、本剤の代謝が促進すると考えられている)]。
    5. 糖尿病用薬(インスリン、スルホニル尿素系薬剤等)[低血糖が現れる恐れがある(動物実験において本剤がインスリン分泌を促進するとの報告があり、併用によって血糖降下作用が増強される可能性がある)]。
    6. セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する恐れがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意する(セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている)]。

(高齢者への投与)

高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすいので用量並びに投与間隔に留意する必要があり、入院させるなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。また、男性の高齢者では、抗コリン作用による排尿障害が現れやすいので注意する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。

  2. 妊婦に投与した例において子宮収縮が起こったとの報告がある。

  3. 授乳中の婦人にやむを得ず投与する場合には、授乳を避けさせる[動物実験(ラット)において乳汁中への移行が報告されている]。

(小児等への投与)

小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。また、徐放性製剤のため投与量の調節が困難で過量投与の恐れがある。

(過量投与)

本剤の過量投与により、呼吸停止、失神、致死的不整脈が起こり死亡することがあるので、過度のQRS幅増大及び過度のQT延長、心不全悪化、低血圧、刺激伝導系障害、徐脈、不全収縮等の過量投与の徴候がみられた場合には適切な対症療法を行う。

(適用上の注意)

  1. 薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

  2. 服用時:本剤は徐放性製剤なので噛まずに服用するよう注意する。

  3. 製剤残渣:本剤のマトリックス基剤は成分放出後も体内で崩壊せずに排泄されるため、錠剤の形をした白い塊として糞便中に認められることがある。

(その他の注意)

本剤により心房細動・粗動から洞調律に回復したとき、塞栓を起こすことがあるので、その可能性が予測されるときにはヘパリンの併用が望ましい。

(取扱い上の注意)

安定性試験:最終包装製品を用いた長期保存試験(室温保存、3年3カ月)の結果、外観及び含量等は規格の範囲内であり、本剤は通常の市場流通下において3年間安定であることが確認された。