処方薬
メキシレチン塩酸塩カプセル100mg「トーワ」
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メキシレチン塩酸塩カプセル100mg「トーワ」の添付文書

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効果・効能

1.  頻脈性不整脈(心室性)。
1.  糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善。

用法・用量

〈頻脈性不整脈(心室性)〉

通常、成人にはメキシレチン塩酸塩として、1日300mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は450mgまで増量し、1日3回に分割し食後に経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

〈糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善〉

通常、成人にはメキシレチン塩酸塩として、1日300mgを1日3回に分割し食後に経口投与する。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 〈頻脈性不整脈(心室性)〉1日用量450mgを超えて投与する場合、副作用発現の可能性が増大するので注意すること〔13.過量投与の項参照〕。
    1. 〈糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善〉2週間投与しても効果が認められない場合には、投与を中止すること〔8.4.1、8.4.3参照〕。
    1. 〈糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善〉1日300mgの用量を超えて投与しないこと〔8.4.2参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)、紅皮症(0.3%未満)〔8.2参照〕。

  2. 1.2. 過敏症症候群(頻度不明):初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある(なお、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがある)。

    また、過敏症症候群に伴い、1型糖尿病を発症しケトアシドーシスに至った例も報告されている。

  3. 1.3. 心室頻拍、房室ブロック(いずれも頻度不明):心室頻拍(torsade de pointesを含む)、房室ブロックがあらわれることがある。

  4. 1.4. 腎不全(頻度不明)。

  5. 1.5. 幻覚、錯乱(いずれも頻度不明)。

  6. 1.6. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

  7. 1.7. 間質性肺炎、好酸球性肺炎(いずれも頻度不明):間質性肺炎、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

  8. 1.8. 心停止、心室細動、失神、洞房ブロック(いずれも頻度不明)、徐脈(0.1%)。

    1. その他の副作用
    1. 循環器:(1%未満)動悸、徐脈、(頻度不明)起立時めまい、QRS延長、血圧上昇、浮腫、胸部圧迫感、心房細動、低血圧。
    2. 消化器:(1~5%未満)食欲不振、消化不良、腹痛、(1%未満)胃部不快感・腹部不快感、便秘、下痢、腹部膨満感、(頻度不明)悪心・嘔吐、胸やけ、口渇。
    3. 精神神経系:(1~5%未満)振戦、めまい、(1%未満)頭痛、不眠、耳鳴、眼振、複視、(頻度不明)しびれ感、眠気、いらいら感、発汗、意識障害、痙攣、譫妄、構音障害。
    4. 過敏症:(1%未満)そう痒感、発熱、多形紅斑(多形滲出性紅斑)、(頻度不明)全身発疹、蕁麻疹、紅斑。
    5. 肝臓:(1%未満)尿ウロビリノゲン上昇。
    6. 腎臓:(1%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇、(頻度不明)腎機能障害。
    7. 血液:(1%未満)赤血球減少、ヘマトクリット減少、好酸球増加症、リンパ球減少、(頻度不明)白血球数異常、血色素量減少、血小板数異常、好中球増多、顆粒球減少。
    8. 泌尿器:(1%未満)排尿困難、尿失禁、(頻度不明)尿閉。
    9. その他:(1%未満)咳、血清カリウム上昇、総コレステロール上昇、ほてり、(頻度不明)咽頭異和感、にがみ、倦怠感、足のこわばり、脱力感、味覚異常。

使用上の注意

(禁忌)

    1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
    1. 重篤な刺激伝導障害(ペースメーカー未使用の2~3度房室ブロック等)のある患者[刺激伝導障害の悪化、心停止を来すことがある]。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤の投与に際しては、頻回に患者の状態を観察し、心電図、脈拍、血圧、心胸比を定期的に調べること(PQ延長、QRS幅増大、QT延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること)〔9.1.2-9.1.5、9.1.11、9.8高齢者の項参照〕。
    1. 紅斑、水疱・びらん、結膜炎、口内炎、発熱等があらわれた場合には中毒性表皮壊死症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、紅皮症の前駆症状である可能性があるため、紅斑、水疱・びらん、結膜炎、口内炎、発熱等があらわれた場合には投与を中止し、直ちに皮膚科専門医を受診させる等適切な処置を行うこと(TEN:Toxic Epidermal Necrolysis)〔11.1.1参照〕。
    1. 頭がボーとする、めまい、しびれ等の精神神経系症状が発現し、増悪する傾向がある場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。また、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
    1. 糖尿病性神経障害の患者に投与する場合
  1. 4.1. 糖尿病性神経障害の患者に投与する場合、本剤による治療は原因療法ではなく対症療法であるので、漫然と投与しないこと。

  2. 4.2. 糖尿病性神経障害の患者に対し1日300mgを超える投与での安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

  3. 4.3. 糖尿病性神経障害の患者に2週間投与しても症状の改善が認められない場合は投与を中止し、血糖コントロールや食事療法等の適切な治療を継続すること。

  4. 4.4. 糖尿病性神経障害の患者では、下肢の状態を十分に観察すること(本剤の投与により疼痛が緩解され、末梢血管障害性の下肢の潰瘍や壊疽の進行を看過するおそれがある)。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 〈糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善〉糖尿病性神経障害で重篤な心不全を合併している患者:自覚症状(自発痛、しびれ感)に対する本剤の有益性が危険性(心不全の悪化、不整脈の誘発等)を上回ると判断される場合にのみ投与すること(心不全を合併している糖尿病性神経障害患者に対する安全性は確立していない(使用経験がない))。

  2. 1.2. 〈効能共通〉基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者:心機能抑制や催不整脈作用が出現することがある。基礎心疾患があり心不全(心筋梗塞があり心不全、弁膜症があり心不全、心筋症があり心不全等)を来すおそれのある患者では、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施し、また、開始後1~2週間は入院させること(心室頻拍、心室細動等が出現するおそれが高い)〔8.1参照〕。

  3. 1.3. 〈効能共通〉軽度刺激伝導障害(不完全房室ブロック、脚ブロック等)のある患者:刺激伝導障害を悪化させることがある〔8.1参照〕。

  4. 1.4. 〈効能共通〉著明な洞性徐脈のある患者:徐脈を悪化させることがある〔8.1参照〕。

  5. 1.5. 〈効能共通〉心不全のある患者:心不全を悪化、不整脈を悪化・誘発させることがあり、また、本剤の血中濃度が上昇することがあるので、開始後1~2週間は入院させること(心室頻拍、心室細動が発現するおそれが高いので、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること)〔8.1参照〕。

  6. 1.6. 〈効能共通〉恒久的ペースメーカー使用中あるいは一時的ペーシング中の患者:適当な間隔でペーシング閾値を測定し、また、異常が認められた場合には直ちに減量又は投与を中止すること(本剤は心臓ペーシング閾値を上昇させる場合がある)。

  7. 1.7. 〈効能共通〉植え込み型除細動器(ICD)使用中の患者:本剤を追加投与した場合又は本剤の投与量の変更を行った場合には、十分に注意して経過観察を行うこと(ICDの除細動閾値を上昇させる場合がある)。

  8. 1.8. 〈効能共通〉低血圧の患者:循環状態を悪化させることがある。

  9. 1.9. 〈効能共通〉パーキンソン症候群の患者:振戦を増強させることがある。

  10. 1.10. 〈効能共通〉血清カリウム低下のある患者:不整脈を誘発させることがある。

  11. 1.11. 〈効能共通〉他の抗不整脈薬による治療中の患者:少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること(有効性、安全性が確立していない)〔8.1、10.2参照〕。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 重篤な腎機能障害のある患者:本剤の血中濃度が上昇することがある〔16.1.1参照〕。

(肝機能障害患者)

  1. 3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:本剤の血中濃度が上昇することがある。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(母乳中へ移行することが報告されている)。

(小児等)

小児等に対する臨床試験は実施していない。

(高齢者)

入院させて開始することが望ましく、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること(肝・腎機能が低下していることが多く、また、体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい)〔8.1参照〕。

(相互作用)

本薬は主に肝臓のチトクロームP-450のCYP2D6及びCYP1A2で代謝を受ける。

  1. 2. 併用注意
    1. リドカイン、プロカインアミド、キニジン、アプリンジン、カルシウム拮抗剤、β受容体遮断剤〔9.1.11参照〕[本剤の作用が増強することがある(両剤の陰性変力作用と変伝導作用が相加的又は相乗的に増強することがある)]。
    2. アミオダロン〔9.1.11参照〕[torsade de pointesを発現したとの報告がある(機序不明)]。
    3. 胃排出能を抑制する薬剤(モルヒネ等)[本剤の吸収が遅延することがある(モルヒネ等により胃の運動が低下し、胃内容排出時間が延長すると、本剤の吸収が遅延することがある)]。
    4. 肝薬物代謝酵素機能に影響を与える薬剤(特にチトクロームP-450系のCYP1A2及び2D6に影響を与える薬剤)[本剤の血中濃度に影響を与えるおそれがある(チトクロームP-450(CYP1A2、2D6)による本剤の代謝が影響を受けるおそれがある)]。
    5. シメチジン[本剤の血中濃度が上昇することがある(シメチジンによりチトクロームP-450の薬物代謝が阻害され本剤の血中濃度が上昇することがある)]。
    6. リファンピシン、フェニトイン[本剤の血中濃度が低下することがある(本剤の代謝が促進されることがある)]。
    7. テオフィリン[テオフィリンの血中濃度が上昇することがある(本剤はテオフィリンに比べ、チトクロームP-450への親和性が強く、テオフィリンの代謝が抑制される)]。
    8. 尿のpHをアルカリ化させる薬剤(炭酸水素ナトリウム等)[本剤の血中濃度が上昇することがある(アルカリ性尿は、本剤の腎排泄を抑制する)]。
    9. 尿のpHを酸性化させる薬剤(塩化アンモニウム等)[本剤の血中濃度が低下することがある(酸性尿は、本剤の腎排泄を促進する)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与時、悪心、眠気、徐脈、低血圧、痙攣、錯乱等の症状の他に、知覚異常及び心停止があらわれたとの報告がある。

    1. 処置方法
  1. 2.1. 過量投与時、重篤な徐脈、重篤な低血圧の場合、必要に応じてアトロピンを使用するなど適切な処置を行うこと。

  2. 2.2. 過量投与時、痙攣等があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、ベンゾジアゼピン系薬剤等の投与、人工呼吸、酸素吸入等必要に応じて適切な処置を行うこと。

(適用上の注意)

    1. 薬剤交付時の注意

    PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

    1. 薬剤服用時の注意

    食道に停留し、崩壊すると食道潰瘍を起こすことがあるので、多めの水で服用させ、特に就寝直前の服用等には注意すること。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報

    本剤とリドカインとの交叉過敏性(交叉アレルギー)についての証明はされていないが、本剤の投与により発現した副作用症状(過敏症状等)が、本剤の投与中止後、リドカイン投与により過敏症状が再発したとの報告がある。

(保管上の注意)

室温保存。