処方薬
コアベータ静注用12.5mg
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コアベータ静注用12.5mgの添付文書

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効果・効能

コンピューター断層撮影による冠動脈造影における高心拍数時の冠動脈描出能の改善。

(効能又は効果に関連する注意)

    1. 本剤は、コンピューター断層撮影(CT)検査室の入室後に患者の心拍数を確認し、心拍数の減少が必要な場合に限り使用すること。
    1. 心拍数90回/分を超える患者における有効性及び安全性は確認されていない。
    1. 心房細動を有する患者における有効性及び安全性は確認されていない。

用法・用量

ランジオロール塩酸塩として、1回0.125mg/kgを1分間で静脈内投与する。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 本剤の静脈内投与終了の4~7分後を目安に冠動脈CTを開始すること。
    1. 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者では、α遮断剤で治療されていることを確認したうえで、本剤を投与すること〔2.6、9.1.7参照〕。
    1. 本剤投与に際しては、次記の体重別投与量を参考にすること。

    [本剤12.5mgを10mLに溶解した場合]

    1. 体重30kg:投与量3.0mL。
    2. 体重40kg:投与量4.0mL。
    3. 体重50kg:投与量5.0mL。
    4. 体重60kg:投与量6.0mL。
    5. 体重70kg:投与量7.0mL。
    6. 体重80kg:投与量8.0mL。
    7. 体重90kg:投与量9.0mL。
    8. 体重100kg:投与量10.0mL。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

    1. その他の副作用
    1. 皮膚:(1%未満)発疹、蕁麻疹。
    2. 循環器:(1%以上)血圧低下。
    3. 消化器:(1%未満)悪心。
    4. 呼吸器:(1%未満)鼻閉、くしゃみ。
    5. 肝臓:(1%未満)ALT上昇、AST上昇、ビリルビン上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇。
    6. 腎臓:(1%未満)クレアチニン上昇。
    7. その他:(1%未満)白血球増加、血小板減少、総蛋白減少、カリウム上昇。

      本剤と同じくランジオロール塩酸塩を有効成分とする「オノアクト点滴静注用50mg・150mg」の重大な副作用については、15.1.1参照。

使用上の注意

(禁忌)

    1. 心原性ショックの患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある]。
    1. 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある]。
    1. 房室ブロック(2度以上)、洞不全症候群など徐脈性不整脈患者[刺激伝導系に対し抑制的に作用し、悪化させるおそれがある]。
    1. 肺高血圧症による右心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある]。
    1. うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある]。
    1. 未治療の褐色細胞腫又は未治療のパラガングリオーマの患者〔7.2、9.1.7参照〕。
    1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤投与前には、過度の低血圧ではないことを確認すること〔9.1.4参照〕。
    1. 冠動脈CTの前に硝酸薬を投与する場合は、硝酸薬投与による一過性の循環動態の変動が安定化し、過度の血圧低下等がないことを確認したうえで、本剤を投与することが望ましい。
    1. 本剤投与時には、心拍数をモニタリングし、本剤投与中に過度の心拍数減少が生じた場合は、本剤の投与を中止すること。
    1. 本剤投与による過度の血圧低下に注意し、冠動脈CT撮像後は、過度の血圧低下がないことを確認すること〔13.1参照〕。
    1. 本剤使用下でアナフィラキシー様反応が生じた場合、通常用量のアドレナリンによる治療に抵抗性を示す可能性もあることにも留意して、適切な処置を行うこと〔15.1.2参照〕。
    1. 本剤の心拍数の減少効果は、投与終了後、速やかに減弱するものの、この効果の消失には投与終了後30分を要することに留意すること〔17.1.1、17.1.2参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 左室収縮機能障害のある患者:心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。

  2. 1.2. 気管支痙攣性疾患の患者:気管支筋収縮作用により、痙攣症状の誘発、悪化を起こすおそれがある(本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ2受容体遮断作用も有する)〔18.2.1参照〕。

  3. 1.3. コントロール不十分な糖尿病患者:低血糖症状としての頻脈等の交感神経系反応をマスクするおそれがある。

  4. 1.4. 低血圧症の患者:心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある〔8.1参照〕。

  5. 1.5. 重篤な血液障害のある患者:薬剤の代謝、排泄が影響を受けるおそれがある〔16.4参照〕。

  6. 1.6. 末梢循環障害のある患者(壊疽、レイノー症候群、間歇性跛行等):末梢血管の拡張を抑制し、症状が悪化するおそれがある(本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ2受容体遮断作用も有する)〔18.2.1参照〕。

  7. 1.7. 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者:本剤投与により急激に血圧が上昇するおそれがある〔2.6、7.2参照〕。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 重篤な腎機能障害患者:薬剤の排泄が影響を受けるおそれがある〔16.5参照〕。

(肝機能障害患者)

  1. 3.1. 重篤な肝機能障害患者:薬剤の代謝、排泄が影響を受けるおそれがある〔16.4、16.6.1参照〕。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

(小児等)

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

(高齢者)

十分に患者の状態を観察しながら投与すること。生理機能が低下していることが多く、本剤の作用が強く発現するおそれがある。

(相互作用)

  1. 2. 併用注意
    1. 交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤(レセルピン等)[交感神経系の過剰の抑制をきたすおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること(レセルピン等のカテコールアミン枯渇剤が投与されている時にβ遮断剤のカテコールアミン遮断作用が加わると交感神経活性が過度に低下するおそれがある)]。
    2. 血糖降下剤(インスリン等)[低血糖症状(頻脈等)をマスクすることがあるので、血糖値に注意すること(血糖値が低下するとカテコールアミンが副腎から分泌され、心拍数を増加させるが、心臓のβ1受容体が遮断されていると、心拍数の増加が起きず、頻脈のような低血糖症状がマスクされるおそれがある)]。
    3. カルシウム拮抗剤(ベラパミル、ジルチアゼム等)[相互に作用が増強されるおそれがあり、うっ血性心不全のおそれ・洞房ブロック・房室ブロックのある患者で重度低血圧、うっ血性心不全のおそれ・洞房ブロック・房室ブロックのある患者で徐脈、うっ血性心不全のおそれ・洞房ブロック・房室ブロックのある患者で心不全が発現するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること(カルシウム拮抗剤とβ遮断剤は共に心収縮力や刺激伝導系の抑制作用、血圧低下作用を有するため、これらの薬剤との併用により作用が増強するおそれがある)]。
    4. ジギタリス製剤[房室伝導時間が延長するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること(ジギタリス製剤とβ遮断剤は共に房室伝導時間の延長作用を有するため、これらの薬剤との併用により作用が増強するおそれがある)]。
    5. クラス1抗不整脈剤(ジソピラミド、プロカインアミド等)、クラス3抗不整脈剤(アミオダロン、ニフェカラント等)[過度の心機能抑制があらわれるおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること(クラス1抗不整脈剤及びクラス3抗不整脈剤は刺激伝導系に対する抑制作用を有するので、これらの薬剤との併用で過度の心機能抑制作用が起こるおそれがある)]。
    6. クロニジン[クロニジン投与中止後のリバウンド現象(血圧上昇)を増強する可能性があるので、冠動脈CT実施前の数日以内にクロニジンを投与中止した場合には、本剤の投与を慎重に行うこと(クロニジンを投与されている患者でクロニジンを中止すると、血中カテコールアミンが上昇し、血圧上昇をきたすが、β遮断剤を投与すると、カテコールアミンによるα刺激作用が優位になり、血管収縮がさらに増強されるおそれがある)]。
    7. 交感神経刺激剤(アドレナリン等)〔13.2参照〕[血管収縮により血圧上昇をきたすことがあるので注意すること(α、β刺激作用を有する薬剤の場合には、本剤により交感神経刺激剤のβ刺激作用が抑制され、α刺激作用が優位となり、血管収縮が起こるおそれがある)]。
    8. コリンエステラーゼ阻害剤(ネオスチグミン、ジスチグミン臭化物、エドロホニウム塩化物等)[本剤の代謝を阻害し作用が増強及び作用時間が延長するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること(本剤はエステラーゼで代謝されるため、これらの薬剤との併用により本剤の作用が増強及び作用時間が延長するおそれがある)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与時、過度の血圧低下又は過度の徐脈をきたす〔8.4参照〕。

    1. 処置

    過量投与時には、直ちに本剤の投与を中止すること。更に、必要に応じて次記等の適切な処置を行うこと〔10.2参照〕。

    過量投与時の血圧低下:輸液の投与等の処置を行い、更に、必要に応じて、昇圧剤を投与するが、交感神経刺激剤を用いる場合はα刺激作用が優位に発現することによる過度の昇圧に注意して投与すること。

    過量投与時の徐脈:アトロピンを投与し、更に必要に応じてβ1刺激薬(ドブタミン等)や輸液等を投与する。

(適用上の注意)

    1. 薬剤調製時の注意

    10mg/mLを超える濃度で投与すると、局所反応や皮膚壊死が発現するおそれがあるので、十分に注意すること。本剤は、1バイアル(ランジオロール塩酸塩12.5mg)を1.25mL以上の生理食塩液等で溶解すること。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報
  1. 1.1. 本剤と効能又は効果、用法及び用量が異なるが、同一の有効成分を含有する「オノアクト点滴静注用50mg・150mg」における重大な副作用として、ショック(過度の血圧低下)、心停止、完全房室ブロック、洞停止、高度徐脈、心不全が認められている。

  2. 1.2. β遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、アテノロール等)服用中の患者では、他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重篤になることがあり、また、通常用量のアドレナリンによる治療に抵抗するとの報告、並びにグルカゴン静注が有効であったとの報告がある〔8.5参照〕。

(保管上の注意)

室温保存。