アデール点滴静注用5mgの添付文書
添付文書PDFファイル
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効果・効能
急性心不全で他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合。
用法・用量
本剤は、用時生理食塩液等で溶解し、コルホルシンダロパート塩酸塩として1分間あたり0.5μg/kgを点滴静脈内投与する。なお、点滴投与量は、病態に応じて1分間あたり0.75μg/kgを上限として心血行動態、心電図をモニターしながら適宜増減する。
(用法・用量に関連する使用上の注意)
1. 本剤の投与により臨床症状が改善し、患者の状態が安定した場合(急性期を脱した場合)には、他の治療法に変更する。
1. 0.5μg/kg/分以上の投与量で3時間以上投与することにより、動悸・頻脈、不整脈等の副作用の発現頻度が高まるので、本剤を0.5μg/kg/分以上の投与量で3時間以上投与する場合には副作用発現に留意し、必要により減量又は投与を中止する。
1. 本剤は長時間投与の使用経験は少なく、長時間投与における安全性は確認されていないことから、原則として72時間を超える長時間投与は避ける(十分な効果が得られ、やむを得ず長時間投与が必要と判断される場合には、効果が認められた用量を長く維持することなく、血行動態等を観察しながら漸減する)。
副作用
(概要)総症例231例中86例(37.2%)に副作用が認められ、主な副作用は動悸・頻脈16.9%、心室性期外収縮10.8%、頭痛・頭重感5.6%、熱感5.2%等であった。また、臨床検査値異常は230例中54例(23.5%)に認められ、主な臨床検査値の異常はLDH上昇7.6%、尿蛋白増加5.1%、血小板減少5.1%等であった[承認時]。
使用成績調査548例における副作用及び臨床検査値異常の発現率は21.4%であり、主なものは心室性頻拍4.9%、LDH上昇3.5%、AST(GOT)上昇2.7%、心房細動2.0%等であった[再審査終了時]。
重大な副作用
心室性頻拍(3.0%)、心室細動(頻度不明):心室性頻拍、心室細動が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が発現した場合には減量又は投与を中止するなどの適切な処置を行う。
その他の副作用
- 循環器:(5%以上)動悸・頻脈(16.9%)、心室性期外収縮(10.8%)、(1~5%未満)上室性頻拍、心房細動、心房粗動、血圧低下[観察を十分に行い、異常が認められた場合は減量又は投与を中止するなど、適切な処置を行う]。
- 消化器:(1~5%未満)悪心・嘔吐。
- 肝臓:(5%以上)LDH上昇、(1~5%未満)直接ビリルビン上昇、総ビリルビン上昇、AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、γ-GTP上昇、Al-P上昇。
- 腎臓:(5%以上)尿蛋白増加、(1~5%未満)BUN上昇、血清クレアチニン上昇、尿酸上昇。
- 血液:(5%以上)血小板減少、(1~5%未満)赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値減少、白血球増加、リンパ球減少。
- その他:(5%以上)頭痛・頭重感、熱感、(1~5%未満)尿ウロビリノーゲン増加、総蛋白減少、CK上昇(CPK上昇)、尿糖増加、(1%未満)全身倦怠感、呼吸困難、血清K低下。
使用上の注意
(禁忌)
肥大型閉塞性心筋症のある患者[流出路閉塞が悪化する可能性がある]。
高度大動脈弁狭窄又は高度僧帽弁狭窄等のある患者[血圧低下又は肺動脈圧上昇、肺動脈楔入圧上昇により状態が悪化することがある]。
(慎重投与)
重篤な頻脈性不整脈のある患者[不整脈が悪化することがある]。
重篤な冠動脈疾患のある患者[高度動脈硬化病変を有している患者では本剤による冠血流量増加が期待できない可能性があり、更に本剤は陽性変力作用を有するため、急性心筋梗塞などの冠動脈疾患を増悪させる恐れがある]。
大動脈弁狭窄、僧帽弁狭窄等がある患者[血圧低下又は肺動脈圧上昇、肺動脈楔入圧上昇により状態が悪化することがある]。
腎機能障害のある患者[副作用(心室性頻拍、心房細動等)の発現率が高くなる]。
重篤な肝機能障害のある患者[血中濃度が高くなる恐れがあるので、投与量を減ずる]。
著しく血圧の低い患者[血圧が更に低下することがある]。
高齢者。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人。
(重要な基本的注意)
本剤は他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合に適用を考慮する。
本剤はアデニル酸シクラーゼに直接作用することにより作用発現をもたらすものであることから、アデニル酸シクラーゼの活性化に伴う各種ホルモン作用の発現に留意する。
本剤の投与前に体液減少及び電解質の是正、呼吸管理等の必要な処置を行う。
本剤の投与は、血圧、心拍数、心電図、尿量、体液及び電解質、また可能な限り肺動脈楔入圧、心拍出量及び血液ガス等患者の状態を観察しながら行う。
本剤の投与中に過度の心拍数増加、過度の血圧低下が現れた場合には、過量投与の可能性があるので、減量又は投与を中止するなどの適切な処置を行う。
本剤の投与によっても、期待された改善がみられない場合には投与を中止し、他剤に切り替えるなどの必要な処置を行う。
投与前に心房細動等の心電図異常のある患者では、動悸・頻脈、不整脈の発現が高まる可能性があるので注意する。
(相互作用)
本剤は主として肝代謝酵素CYP3Aで代謝される。
併用注意:
カテコラミン系の強心薬(ドパミン塩酸塩、ドブタミン塩酸塩等)、PDE阻害薬(ミルリノン、オルプリノン塩酸塩水和物等)、cAMP製剤(ブクラデシンナトリウム)[心室性期外収縮等の不整脈の発現を助長させる恐れがある(ともに強心作用を有する)]。
利尿薬(フロセミド等)[心室性期外収縮等の不整脈の発現を助長させる恐れがある(フロセミド等の利尿薬は電解質失調を引きおこし、不整脈を誘発する可能性がある)]。
(高齢者への投与)
一般に高齢者では、肝・腎機能が低下していることが多く、動悸・頻脈、不整脈等の副作用が発現しやすいと推定されるので、患者の状態を十分観察しながら、慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[動物実験(ラット)で出生仔体重減少が認められている]。
本剤投与中は授乳を避ける[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている]。
(小児等への投与)
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
(適用上の注意)
調製時:
- 調製後はすみやか(1日以内)に使用する。
- 配合変化:現在までに、次記の注射剤と配合変化を起こすことが確認されているので、混合しない:アミノフィリン水和物注、カンレノ酸カリウム注、アセタゾラミドナトリウム注(アルカリ性注射液と混合した場合、混濁・沈殿を生じることがあるので注意する)。
投与時:他の注射剤と混合せずに用いることが望ましい[患者の病態に応じて、本剤の点滴静脈内投与速度を調節する必要がある]。
(その他の注意)
本剤との因果関係は明らかでないが、本剤投与後に、AST異常増加(GOT異常増加)、ALT異常増加(GPT異常増加)等を呈し、劇症肝炎と診断され、血漿交換等の処置を実施した症例が1例報告されている。
(取扱い上の注意)
溶解後はできるだけすみやかに使用する。
(保管上の注意)
遮光。