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効果・効能

眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頚、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、重度の原発性腋窩多汗症、斜視、痙攣性発声障害、既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁、既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁。

(効能・効果に関連する使用上の注意)

  1. 本剤を上肢痙縮、下肢痙縮及び2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足に対して投与する場合は、次の点に注意する。

    1. 上肢痙縮、下肢痙縮及び2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足に対して投与する場合、本剤は理学療法、作業療法等の標準的治療の代替とはならないため、これらの治療と併用して使用する。
    2. 上肢痙縮、下肢痙縮及び2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足に対して投与する場合、本剤は非可逆的拘縮状態となった関節の可動域の改善に対しては効果を有しない。
    3. 上肢痙縮、下肢痙縮については、痙縮の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行う。
  2. 原発性腋窩多汗症及び痙攣性発声障害の診断並びに本剤による治療は、国内外のガイドライン等の情報を参考にして慎重に行う。

  3. 本剤を斜視に対して投与する場合は、次の点に注意する。

    1. 陳旧性麻痺性斜視(外科的手術の施行時に拮抗筋の拘縮を緩和する場合を除く)の改善に対しては効果を有しない。
    2. 50プリズムジオプトリーを超える斜視、拘束型斜視、外直筋弱化を伴うデュアン症候群、過去の後転術による過矯正から生じた二次性斜視に対する安全性及び有効性は確立されていないことから、これらの患者に本剤を使用する場合には、その必要性を慎重に検討する。
  4. 本剤を過活動膀胱に対して投与する場合は、次の点に注意する。

    1. 次に示す患者に本剤の投与を考慮する。
      1. 過活動膀胱に対して投与する場合、抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者に本剤の投与を考慮する。
      2. 過活動膀胱に対して投与する場合、抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬の投与が副作用の発現により困難な患者に本剤の投与を考慮する。
      3. 過活動膀胱に対して投与する場合、抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬の投与が禁忌とされる患者に本剤の投与を考慮する。
    2. 過活動膀胱に対して投与する場合、下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、下部尿路閉塞(前立腺の肥大等)の消失等、改善が十分に得られていることが確認されてもなお、過活動膀胱の症状が改善しない場合に、本剤の投与を考慮する。
  5. 本剤を神経因性膀胱に対して投与する場合は、次の点に注意する。

    1. 次に示す患者に本剤の投与を考慮する。
      1. 神経因性膀胱に対して投与する場合、抗コリン薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者に本剤の投与を考慮する。
      2. 神経因性膀胱に対して投与する場合、抗コリン薬の投与が副作用の発現により困難な患者に本剤の投与を考慮する。
      3. 神経因性膀胱に対して投与する場合、抗コリン薬の投与が禁忌とされる患者に本剤の投与を考慮する。
    2. 神経因性膀胱に対して投与する場合、下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、下部尿路閉塞疾患に対する治療を優先する。また、神経因性膀胱に対して投与する場合、下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、投与前の残尿量にも注意し、本剤投与の可否を慎重に判断する。

用法・用量

  1. 眼瞼痙攣:A型ボツリヌス毒素として初回1.25~2.5単位/部位を、1眼当たり眼輪筋6部位の筋肉内に注射する。また、眼輪筋切除術施行後の患者に投与する場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定する。効果は3~4カ月間持続するが、症状再発の場合には再投与する。但し、投与間隔は8週以上とする。また、再投与は初回投与量の2倍までの用量を用いることができるが、本剤の薬理作用である筋麻痺作用が予想以上に強く発現した結果と見られる閉瞼不全、眼瞼下垂等の副作用が現れた場合には、再投与時の用量を適宜減量する。また、1カ月間に累積で45単位を超える投与は避ける。注射部位は添付文書の図を参照。

  2. 片側顔面痙攣:A型ボツリヌス毒素として次の用量を痙攣筋(*)に筋肉内注射する。痙攣筋が複数ある場合は、分割して投与する。

    1. 初回投与の場合には合計で10単位を投与する。
    2. 初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、更に追加で合計20単位を上限として投与することができる。
    3. 症状再発の場合には、合計で30単位を上限として再投与することができる。但し、投与間隔は8週以上とする。

      (*)痙攣筋:眼輪筋、皺眉筋、前頭筋、口輪筋、大頬骨筋、小頬骨筋、笑筋、広頚筋、オトガイ筋等。

  3. 痙性斜頚:A型ボツリヌス毒素として次の用量を緊張筋(*)に筋肉内注射する。緊張筋が複数ある場合は、分割して投与する。

    1. 初回投与の場合には合計で30~60単位を投与する。
    2. 初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、更に追加で合計180単位を上限として投与することができる。
    3. 症状再発の場合には、合計で240単位を上限として再投与することができる。但し、投与間隔は8週以上とする。

      (*)緊張筋:胸鎖乳突筋、僧帽筋、板状筋、斜角筋、僧帽筋前縁、肩甲挙筋、傍脊柱筋、広頚筋等。

  4. 上肢痙縮:A型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋(*)に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とする。

    (*)緊張筋:上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋等。

  5. 下肢痙縮:A型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋(*)に合計300単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は300単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とする。

    (*)緊張筋:腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋等。

  6. 2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足:2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として4単位/kgを、罹患している腓腹筋の内側頭・外側頭の各々2ヵ所に筋肉内注射する。両下肢に投与する場合は、4単位/kgを両肢に分割して投与する。初回投与以後、効果不十分な場合にはヒラメ筋、後脛骨筋等へ投与することができる。なお、症状に応じて適宜増減することができる。但し、1回の総投与量は200単位を超えないこととし、再投与は前回の効果が消失した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とする。

  7. 重度の原発性腋窩多汗症:A型ボツリヌス毒素として片腋窩あたり50単位を、複数の部位(10~15ヵ所)に1~2cm間隔で皮内投与する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は16週以上とする。

  8. 斜視:成人及び12歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として次の用量を外眼筋に筋肉内注射する。

    1. 初回投与
      1. 上下斜視の場合:上直筋又は下直筋に1.25~2.5単位。
      2. 20プリズムジオプトリー未満の水平斜視の場合:内直筋又は外直筋に1.25~2.5単位。
      3. 20~50プリズムジオプトリーの水平斜視の場合:内直筋又は外直筋に2.5~5.0単位。
      4. 1カ月以上持続する外転神経麻痺の場合:内直筋に1.25~2.5単位。
    2. 初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、更に追加で初回投与量の2倍までの用量を上限として投与することができる。
    3. 前回の効果が減弱した場合には、過去に投与された1回投与量の2倍までの用量を上限として再投与することができる。但し、投与間隔は12週以上とする。
    4. 1回の投与における1つの筋あたりの投与量は10単位を超えない。
  9. 痙攣性発声障害:A型ボツリヌス毒素として次の用量を内喉頭筋に筋肉内注射する。

    1. 内転型痙攣性発声障害
      1. 初回投与:片側の甲状披裂筋に2.5単位を投与する。
      2. 再投与:前回の効果が減弱した場合には、片側又は両側の甲状披裂筋に再投与することができる。但し、投与間隔は12週以上とする。なお、症状に応じて投与量を適宜増減することができるが、片側あたり2.5単位を超えない。
    2. 外転型痙攣性発声障害
      1. 初回投与:片側の後輪状披裂筋に5.0単位を投与する。
      2. 再投与:前回の効果が減弱した場合には、片側の後輪状披裂筋に再投与することができる。但し、投与間隔は12週以上とする。なお、症状に応じて投与量を適宜増減することができるが、5.0単位を超えない。
  10. 既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁:A型ボツリヌス毒素として100単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とする。

  11. 既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁:A型ボツリヌス毒素として200単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とする。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

  1. 複数の適応に本剤を同時投与した場合の安全性は確立されていないため、複数の適応に本剤を同時に投与しないことが望ましいが、やむを得ず同時に投与する場合には、それぞれの効能・効果で規定されている投与量の上限及び投与間隔を厳守するとともに、12週間のA型ボツリヌス毒素の累積投与量として400単位を上限とする[海外臨床試験において、成人を対象に上肢痙縮及び下肢痙縮に合計400単位を同時に投与した経験はあるが、国内臨床試験では、複数の適応に本剤を同時投与した経験はない]。

  2. 本剤の力価(単位)は、A型ボツリヌス毒素製剤特有のもので、B型ボツリヌス毒素製剤とは異なること、また換算もできないことに留意し、必ず本剤の投与量を慎重に確認してから投与する。

  3. 本剤と他のボツリヌス毒素製剤の同時投与は原則として避ける[本剤と他のボツリヌス毒素製剤を同時投与した経験はなく、安全性及び有効性は確立していない、同時に投与した場合には、神経筋接合部麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現する恐れがある]。

  4. 他のボツリヌス毒素製剤を投与後に本剤を使用する場合には、少なくとも他のボツリヌス毒素製剤の用法・用量で規定されている投与間隔をあけるとともに、患者の症状を十分に観察した上で、効果が消失し、安全性上の問題がないと判断された場合にのみ投与する[他のボツリヌス毒素製剤投与後に本剤を投与した場合の安全性及び有効性は確立されていない、先に投与された他のボツリヌス毒素の効果が消失する前に本剤を投与した場合には、神経筋接合部麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現する恐れがある]。

  5. 眼瞼痙攣:眼瞼下垂が現れることがあるので、上眼瞼挙筋周囲への投与を避ける。

  6. 片側顔面痙攣

    1. 片側顔面痙攣で痙攣筋の同定が困難な場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定する。
    2. 片側顔面痙攣の患者には、筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、痙攣している筋肉内に注射する[臨床成績等から、次のような投与部位及び投与量が推奨されている]。

      1. 初回投与

        (投与筋)眼輪筋:1部位当たりの投与量(単位/部位)1.25、投与部位数(部位)4。

        (投与筋)その他の筋:痙攣筋に眼輪筋とあわせて合計10単位を分割投与。

      2. 初回投与後の追加投与及び再投与

        (投与筋)眼輪筋:1部位当たりの投与量(単位/部位)2.5[注1]、投与部位数(部位)4。

        (投与筋)皺眉筋:1部位当たりの投与量(単位/部位)2.5、投与部位数(部位)1。

        (投与筋)前頭筋:1部位当たりの投与量(単位/部位)2.5、投与部位数(部位)1。

        (投与筋)口輪筋:1部位当たりの投与量(単位/部位)2.5、投与部位数(部位)2。

        (投与筋)大頬骨筋:1部位当たりの投与量(単位/部位)5.0、投与部位数(部位)1。

        (投与筋)小頬骨筋:1部位当たりの投与量(単位/部位)5.0、投与部位数(部位)1。

        (投与筋)笑筋:1部位当たりの投与量(単位/部位)5.0、投与部位数(部位)1。

        (投与筋)オトガイ筋:1部位当たりの投与量(単位/部位)5.0、投与部位数(部位)1。

        (投与筋)広頚筋[注2]:1部位当たりの投与量(単位/部位)2.5、投与部位数(部位)上限4。

        [注1]臨床試験では、追加投与及び再投与時には眼輪筋に対して1部位当たり5単位まで投与された症例がある。なお、眼輪筋に対して2.5単位を超えて投与する場合には、特に副作用の発現に留意しながら慎重に投与する。

        [注2]広頚筋に対しては筋緊張によりスジ状として隆起している部位に投与する。なお、薄い皮筋であるため穿通しないよう注意する。

  7. 痙性斜頚

    1. 痙性斜頚で緊張筋が深部であるなど、触診で緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定する。
    2. 痙性斜頚で投与による効果が認められない場合は、用量及び投与部位について再検討した上で追加投与を行う。
    3. 痙性斜頚では、本剤注射により投与筋の筋緊張が低下したのち、その協働筋側の緊張が亢進し、異常姿勢を来すことがあるため、初回投与以降では緊張が亢進している筋を注意深く同定し、投与する。
    4. 痙性斜頚では、初回及び初回後の追加投与を含む240単位までの投与により全く効果が認められない場合は、より高頻度・高投与量で投与を行っても効果が期待できない場合があるため、本剤の投与中止を考慮する。
    5. 痙性斜頚の患者には、筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、注射する[臨床成績等から、次のような投与部位及び投与量が推奨されている]。

      (投与筋)胸鎖乳突筋[注1]:(初回投与量[注3]、投与部位数)15-50単位を2ヵ所以上に分割:(最高投与量[注4])100単位。

      (投与筋)僧帽筋:(初回投与量[注3]、投与部位数)30-60単位を2ヵ所以上に分割:(最高投与量[注4])100単位。

      (投与筋)板状筋:(初回投与量[注3]、投与部位数)25-50単位を2ヵ所以上に分割:(最高投与量[注4])100単位。

      (投与筋)斜角筋:(初回投与量[注3]、投与部位数)15-25単位:(最高投与量[注4])50単位。

      (投与筋)僧帽筋前縁:(初回投与量[注3]、投与部位数)15-30単位:(最高投与量[注4])100単位。

      (投与筋)肩甲挙筋[注2]:(初回投与量[注3]、投与部位数)20-30単位:(最高投与量[注4])80単位。

      (投与筋)傍脊柱筋:(初回投与量[注3]、投与部位数)20単位:(最高投与量[注4])50単位。

      (投与筋)広頚筋:(初回投与量[注3]、投与部位数)20-30単位:(最高投与量[注4])80単位。

      [注1]胸鎖乳突筋に投与する場合は、嚥下障害発現のリスクを軽減するため、両側への投与を避ける。

      [注2]肩甲挙筋へ投与する場合は、嚥下障害及び呼吸器感染のリスクが増大する可能性があるので注意する。

      [注3]各筋に対し、初めて投与する場合の投与量を示す。

      [注4]各投与部位への投与量は30単位を上限とする。

  8. 上肢痙縮

    1. 上肢痙縮で緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定する。
    2. 上肢痙縮患者には、筋ごとの適切な部位及び投与量に留意する[臨床成績等から、次のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている]。

      (投与筋)上腕二頭筋:投与量(単位/筋)70、投与部位数(部位/筋)2。

      (投与筋)上腕筋:投与量(単位/筋)45、投与部位数(部位/筋)1。

      (投与筋)腕橈骨筋:投与量(単位/筋)45、投与部位数(部位/筋)1。

      (投与筋)橈側手根屈筋:投与量(単位/筋)50、投与部位数(部位/筋)1。

      (投与筋)尺側手根屈筋:投与量(単位/筋)50、投与部位数(部位/筋)1。

      (投与筋)深指屈筋:投与量(単位/筋)50、投与部位数(部位/筋)1。

      (投与筋)浅指屈筋:投与量(単位/筋)50、投与部位数(部位/筋)1。

      (投与筋)長母指屈筋:投与量(単位/筋)20、投与部位数(部位/筋)1。

      (投与筋)母指内転筋:投与量(単位/筋)20、投与部位数(部位/筋)1。

  9. 下肢痙縮

    1. 下肢痙縮で緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定する。
    2. 下肢痙縮患者には、筋ごとの適切な部位及び投与量に留意する[臨床成績等から、次のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている]。

      (投与筋)腓腹筋(内側頭):投与量(単位/筋)75、投与部位数(部位/筋)3。

      (投与筋)腓腹筋(外側頭):投与量(単位/筋)75、投与部位数(部位/筋)3。

      (投与筋)ヒラメ筋:投与量(単位/筋)75、投与部位数(部位/筋)3。

      (投与筋)後脛骨筋:投与量(単位/筋)75、投与部位数(部位/筋)3。

  10. 2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足

    1. 小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足で緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定する。
    2. 小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足の患者には、筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、注射する。
  11. 重度の原発性腋窩多汗症

    1. 重度の原発性腋窩多汗症は投与前にMinor’sヨウ素デンプン反応等の染色法を使用して目標とする発汗部位を同定する。
    2. 原発性腋窩多汗症の患者には、注射針は針先端の斜め部分を上にして、皮膚表面に対し45°の角度で約2mmの深さへの皮内注射が推奨されており、また、効果のない部分を最小限にとどめるため、注射位置を添付文書の図のように等間隔でジグザグ状に配置することが推奨されている。
  12. 斜視

    1. 斜視で外眼筋に投与する際には、筋電計等の使用や外眼筋の外科的露出により、注意深く目標とする部位を同定する。
    2. 斜視患者には、本剤投与前に点眼麻酔薬の投与が推奨されている。
    3. 斜視で投与する際の薬液量は1つの筋あたり0.05~0.15mLが推奨されている。
    4. 斜視患者には、筋ごとの適切な部位及び投与量に留意する[臨床成績等から、初回投与では次のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている]。

      (投与筋)内直筋:初回投与量(単位/筋)1.25~2.5[注1]又は2.5~5.0[注2]、投与部位数(部位/筋)1。

      (投与筋)外直筋:初回投与量(単位/筋)1.25~2.5[注1]又は2.5~5.0[注2]、投与部位数(部位/筋)1。

      (投与筋)上直筋:初回投与量(単位/筋)1.25~2.5[注3]、投与部位数(部位/筋)1。

      (投与筋)下直筋:初回投与量(単位/筋)1.25~2.5[注3]、投与部位数(部位/筋)1。

      [注1]20プリズムジオプトリー未満の水平斜視。

      [注2]20~50プリズムジオプトリーの水平斜視。

      [注3]上下斜視。

  13. 痙攣性発声障害

    1. 痙攣性発声障害で内喉頭筋に投与する際には、筋電計を用いて注意深く目標とする筋を同定する。
    2. 痙攣性発声障害で投与する際の薬液量は片側あたり0.1mLが推奨されている。
    3. 内転型痙攣性発声障害の治療では、患者を背臥位とし、輪状軟骨上縁の正中より約5mm外側(投与側)に注射針を経皮的に刺入した後、輪状甲状間膜を貫通させて甲状披裂筋へと到達させる。内転型痙攣性発声障害の治療で両側投与を行った場合には嚥下障害等の有害事象がより長期間持続することがあるので、再投与時の両側投与の要否は、片側投与による治療効果と有害事象の発現状況を確認した後に慎重に検討する。
    4. 外転型痙攣性発声障害では、投与前の内視鏡検査により、左右の声帯の可動性及び声門間隙の大きさを確認し、通常、病的運動が強い側の後輪状披裂筋に投与する(注射の際には患者を背臥位とし、投与側の反対側へ頭部を回旋させた上で、輪状軟骨の後面に向けて外側方向から経皮的に注射針を刺入する)。外転型痙攣性発声障害では、投与側の声帯が動かなくなった場合に声門閉鎖又は声門狭窄による呼吸困難等が生じないよう、反対側の声帯が十分動く場合にのみ投与することとし、両側への投与は行わない。
    5. 混合型痙攣性発声障害における有効性及び安全性は確立していない。混合型痙攣性発声障害において甲状披裂筋及び後輪状披裂筋への同時投与後に重篤な呼吸困難が報告されていることから、甲状披裂筋及び後輪状披裂筋への同時投与は避ける。
  14. 過活動膀胱/神経因性膀胱

    1. 過活動膀胱及び神経因性膀胱で排尿筋に投与する際には、硬性膀胱鏡又は軟性膀胱鏡を用いて注意深く目標とする部位を同定する。
    2. 過活動膀胱及び神経因性膀胱患者には、本剤投与前には、必要に応じて局所麻酔薬の注入による膀胱粘膜麻酔や鎮静薬の投与を行う(局所麻酔薬を注入した場合は投与前に除去し、膀胱内を生理食塩液で洗浄する)。自律神経異常反射を来しやすい背景を有する神経因性膀胱患者では、全身麻酔等の適切な麻酔を行う。
    3. 過活動膀胱及び神経因性膀胱患者には、膀胱壁における注射部位を十分に確認するため、本剤の投与直前に膀胱内に生理食塩液を注入し、膀胱を適度に拡張する(その際、膀胱を拡張しすぎると、投与時に薄くなった膀胱壁を注射針で穿通する恐れがあるため、生理食塩液の過量注入に注意する)、投与終了後、自排尿不能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を直ちに除去し、自排尿可能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を自ら排出できることを確認する。
    4. 過活動膀胱及び神経因性膀胱患者には、本剤100単位を投与する際は薬液10mLを20ヵ所に、本剤200単位を投与する際は薬液30mLを30ヵ所に分割して注射することが推奨されており、各注射部位の間隔は約1cm、注射針の刺入深度は約2mmとし、膀胱三角部への注射は避ける。

副作用

眼瞼痙攣を対象とした使用成績調査6,445症例中、652例(10.12%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、眼瞼下垂141例(2.19%)、兎眼138例(2.14%)、流涙67例(1.04%)であった(再審査終了時)。

片側顔面痙攣を対象とした使用成績調査10,288症例中、725例(7.05%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、兎眼195例(1.90%)、顔面麻痺158例(1.54%)、流涙80例(0.78%)であった(再審査終了時)。

痙性斜頚を対象とした使用成績調査10,645症例中、508例(4.77%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、嚥下障害208例(1.95%)、局所性筋力低下89例(0.84%)、脱力(感)31例(0.29%)であった(再審査終了時)。なお、痙性斜頚の国内臨床試験において本剤との因果関係が完全には否定しきれない突然死が1例報告されている。

脳卒中後の上肢痙縮患者を対象とした主な国内臨床試験において、総症例106例中17例(16.04%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、脱力(感)3例(2.83%)、CK(CPK)上昇3例(2.83%)であった(承認時)。

脳卒中後の上肢痙縮患者に本剤400単位を投与した国内臨床試験において、総症例124例中2例(2%)に副作用が報告された。その内訳は筋力低下1例((1%)、注射部位腫脹1例((1%)であった(承認時)。

脳卒中後の下肢痙縮患者を対象とした主な国内臨床試験において、総症例115例中18例(15.65%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、注射部疼痛5例(4.35%)、筋痛3例(2.61%)、発疹2例(1.74%)であった(承認時)。

上肢痙縮及び下肢痙縮を対象とした特定使用成績調査995症例中、18例(1.81%)に副作用が報告された。その主なものは、筋力低下3例(0.30%)、複視、注射部位疼痛各2例(0.20%)であった(再審査終了時)。

2歳以上の尖足を有する小児脳性麻痺患者における下肢痙縮を対象とした海外臨床試験215例中、副作用発現率は67例(31%)であった。その主なものは転倒20例(9%)、下肢の疼痛5例(2%)、下肢の脱力5例(2%)、全身の脱力4例(2%)であった(承認時)。

原発性腋窩多汗症患者を対象とした国内臨床試験において、総症例144例中3例(2.08%)に副作用が報告された。その内訳は発汗3例(2.08%)、四肢痛1例(0.69%)であった(承認時)。

水平斜視患者を対象とした国内臨床試験において、総症例41例中11例(26.83%)に副作用が報告された。その主なものは眼瞼下垂7例(17.07%)、複視、斜視各2例(4.88%)であった(承認時)。

痙攣性発声障害患者を対象とした国内臨床試験において、内転型痙攣性発声障害患者では総症例22例中18例(81.8%)に副作用が報告され、その主なものは、発声障害17例(77.3%)、嚥下障害9例(40.9%)であった。外転型痙攣性発声障害患者では総症例2例中1例(50.0%)に発声障害が報告された(承認時)。

過活動膀胱患者を対象とした国内臨床試験において、総症例232例中59例(25%)に副作用が報告された。その主なものは、尿路感染17例(7%)、排尿困難14例(6%)、残尿量増加14例(6%)、尿閉12例(5%)であった(承認時)。

神経因性膀胱患者を対象とした国内臨床試験において、総症例21例中1例(5%)に尿閉の副作用が報告された(承認時)。

  1. 重大な副作用

    1. ショック、アナフィラキシー、血清病(0.01%):ショック、アナフィラキシー、血清病を起こす可能性があるので、本剤の投与に際しては、ショック、アナフィラキシー、血清病の発現に備える、また、本剤投与後、悪心等の体調の変化がないか、患者の状態を十分観察し、異常がないことを確認する。呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、発疹等の症状が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行う。
    2. 眼障害(0.33%):重篤な角膜露出、持続性上皮欠損、角膜潰瘍、角膜穿孔の報告があるので、兎眼、閉瞼不全等が現れた場合には、眼球の乾燥を避けるため人工涙液等の点眼剤を投与するなど適切な処置を行う。
    3. 嚥下障害(0.72%)、呼吸障害(0.03%):嚥下障害から嚥下性肺炎を来し、重篤な呼吸困難に至ったとする報告がある。また、本剤の投与により呼吸機能低下が現れることがある。初回及び2回目の投与後1、2週間は嚥下障害、声質の変化、呼吸困難等の発現に特に留意するとともに、嚥下障害や呼吸障害の発現が認められた場合には、適切な処置を行う。
    4. 痙攣発作(0.01%):痙攣発作あるいは痙攣発作再発が報告されているので、これらの症状が認められた場合には、適切な処置を行う(痙攣発作素因のある患者に投与する場合には特に注意する)、なお、小児では大部分が小児脳性麻痺患者からの報告であった。
    5. 尿閉(0.05%):尿閉が現れることがあるので、排尿困難等の症状が現れた場合には、必要に応じて導尿を実施する。
    6. 尿路感染(0.06%):尿路感染が現れることがあるので、混濁尿、頻尿、排尿痛、発熱、悪寒、血尿等の症状が現れた場合には、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用:このような症状が現れた場合には適切な処置を行う。

    1. 過剰な筋弛緩作用:(0.5~2%未満)兎眼、閉瞼不全、局所性筋力低下(頚部筋脱力、口角下垂等)、眼瞼下垂、顔面麻痺、(0.5%未満)眼瞼内反、筋力低下、(頻度不明)眼瞼外反。
    2. :(0.5~2%未満)流涙、(0.5%未満)眼乾燥感、複視、角膜糜爛、霧視(霧視感)、角膜炎、結膜炎、眼痛、視力低下、眼脂、羞明、斜視、眼運動障害、眼刺激、(頻度不明)眼球後出血、眼貫通性外傷、ホームズ・アディー瞳孔、硝子体出血。
    3. 皮膚:(0.5%未満)発疹、皮膚そう痒感、脱毛(睫毛眉毛脱落を含む)、皮膚炎、多形紅斑、(頻度不明)乾癬様皮疹、斑状出血、皮膚異臭、皮下結節。
    4. 注射部位:(0.5%未満)注射部出血斑[眼瞼痙攣患者において、眼瞼の軟部組織に斑状出血が起こる可能性があるため、注射直後に注射部位を軽く押さえることで斑状出血を軽減できる]、注射部腫脹、注射部疼痛、近隣筋疼痛及び近隣筋緊張亢進、注射部ひきつり感、注射部熱感、注射部不快感、注射部感染、注射部位過敏反応、(頻度不明)*気胸[*:投与手技に関連した気胸が報告されているので、肺に近い部位(特に肺尖部に近い部位)に投与する場合には注意する]。
    5. 血液:(0.5%未満)白血球減少、血小板減少。
    6. 呼吸器:(0.5%未満)肺炎、感冒様症状、呼吸不全、発声障害、咳嗽、誤嚥、(頻度不明)上気道性喘鳴。
    7. 消化器:(0.5~2%未満)嚥下障害、(0.5%未満)食欲不振、嘔気、嘔吐、口内乾燥、下痢、便秘、腹痛、(頻度不明)レッチング。
    8. 精神神経系:(0.5%未満)頭痛、感覚鈍麻、眩暈、失神、感覚異常、傾眠、神経根障害、不眠症、(頻度不明)不器用、運動低下。
    9. 筋骨格:(0.5%未満)筋緊張亢進、筋痛、四肢痛、筋痙縮、関節痛、(頻度不明)弾発指、滑液包炎。
    10. 泌尿器:(0.5%未満)排尿困難、残尿量増加、頻尿、(頻度不明)細菌尿、膀胱憩室、尿失禁。
    11. その他:(0.5%未満)肝機能検査値異常、倦怠(倦怠感)、脱力(脱力感)、CK上昇(CPK上昇)、発熱、*発汗[*:原発性腋窩多汗症患者において、腋窩部以外からの発汗が増加することがある]、耳鳴、構語障害、ほてり、転倒、挫傷、歩行障害、ウイルス感染、疼痛、関節脱臼、(頻度不明)聴力低下、耳感染、起立性低血圧、脱神経性萎縮/脱神経性筋肉萎縮、疲労。

使用上の注意

(警告)

  1. 本剤の有効成分は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素であるため、使用上の注意を熟読した上で、用法及び用量を厳守し、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頚、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、重度の原発性腋窩多汗症、斜視、痙攣性発声障害、過活動膀胱及び神経因性膀胱以外には使用しない[ミオクローヌス性ジストニーの患者で、本剤による治療中に因果関係を否定できない死亡例の報告がある]。

  2. 眼瞼痙攣、片側顔面痙攣及び重度の原発性腋窩多汗症に対する投与は、講習を受けた医師で、本剤の安全性及び有効性を十分理解し、本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が行う。

  3. 痙性斜頚、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者の下肢痙縮に伴う尖足、斜視、痙攣性発声障害に対する投与は、講習を受け本剤の安全性及び有効性を十分理解し高度な解剖学的知識、筋電図測定技術及び本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が行う[本剤による治療中に因果関係を完全に否定できない死亡例の報告があり、また、痙性斜頚、上肢痙縮及び痙攣性発声障害患者では、特に呼吸障害、嚥下障害等頚部関連筋に関する副作用が現れる恐れがある]。

  4. 過活動膀胱及び神経因性膀胱に対する投与は、講習を受けた医師で、本剤の安全性及び有効性を十分理解し、高度な解剖学的知識、膀胱鏡を用いた本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が行う。

  5. 頚部関連筋への投与により、呼吸困難が現れることがある[嚥下障害から嚥下性肺炎を引き起こし、また、投与部近位への拡散により呼吸機能低下に至ったとする報告がある]。

  6. 眼瞼痙攣患者に、1回投与量として100単位を投与し、投与筋以外の遠隔筋に対する影響と考えられる呼吸困難及び筋無力症が発現したという報告がある。

  7. 自律神経異常反射を来しやすい背景を有する神経因性膀胱患者には、緊急時に十分対応できる医療施設において、全身麻酔や血圧モニタリングを実施できる環境の下、本剤を投与する。

(禁忌)

  1. 全身性の神経筋接合部障害を持つ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症等)[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある]。

  2. 痙性斜頚においては、高度呼吸機能障害のある患者[本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある]。

  3. 過活動膀胱及び神経因性膀胱においては、尿路感染症を有する患者及び導尿を日常的に実施していない尿閉を有する患者[本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある]。

  4. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦[妊婦、授乳婦に対する安全性は確立していない]。

  5. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

(慎重投与)

  1. 筋弛緩剤投与中及び筋弛緩作用を有する薬剤投与中の患者[筋弛緩作用が増強されることが、また、嚥下障害の発現が高まる恐れがある]。

  2. 慢性呼吸器障害のある患者[本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある]。

  3. 重篤な筋力低下あるいは重篤な筋萎縮がある患者[本剤の投与により、症状を悪化させる可能性がある]。

  4. 閉塞隅角緑内障のある患者又は閉塞隅角緑内障素因(狭隅角等)のある患者[本剤はアセチルコリンの放出抑制作用を有するため、症状を悪化させる可能性がある]。

  5. 高齢者。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤は眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頚、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、重度原発性腋窩多汗症、斜視、痙攣性発声障害、過活動膀胱、神経因性膀胱の適応のみに使用する製剤のため、眉間又は目尻の表情皺に対しては、ボトックスビスタ注用50単位を用い添付文書を熟読して使用し、これらの適応以外には安全性が確立していないので絶対使用しない。

  2. 本剤の投与に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項について文書を用いてよく説明し、文書による同意を得た後、使用する。

    1. 本剤の有効成分は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素である。
    2. 本剤の投与は対症療法であり、その効果は通常、眼瞼・片側顔面痙攣、痙性斜頚、上下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺の下肢痙縮に伴う尖足、斜視、痙攣性発声障害は3~4カ月、重度原発性腋窩多汗症は4~9カ月、過活動膀胱は4~8カ月、神経因性膀胱は8~11カ月で消失し、投与を繰り返す必要がある。
    3. 本剤の投与を長期間繰り返した場合、中和抗体産生により、効果が認められなくなることがある。
    4. 日常生活を制限されていた患者は、本剤投与後、過度の筋収縮を伴う労作を避け、活動を徐々に再開する。
    5. 痙性斜頚及び痙攣性発声障害に対する本剤の、特に初回及び2回目の投与後1、2週間は、嚥下障害、声質の変化、息苦しい等の発現に留意するとともに、発現が認められた場合には、直ちに専門医の診療を受ける。
    6. 痙性斜頚に対する本剤投与後、姿勢の変化により今まで緊張していなかった筋が緊張することがある。
    7. 本剤投与後、3~4カ月の間に呼吸困難、脱力感等の体調の変化が現れた場合には、直ちに医師に申し出る。
    8. 妊娠する可能性のある婦人は、投与中及び最終投与後2回の月経を経るまでは避妊する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
    9. 男性は、投与中及び最終投与後少なくとも3カ月は避妊する[精子形成期間に投与されることを避けるため]。
    10. 上肢痙縮及び下肢痙縮患者においては、本剤投与に伴う活動性の上昇や筋力バランスの変化により、転倒等が起こりやすくなる可能性がある。
    11. 他の医療施設でボツリヌス毒素の投与を受けている場合には、治療対象疾患及び投与日を必ず申し出る。
    12. 過活動膀胱及び神経因性膀胱患者においては、本剤投与により、残尿量増加し導尿が必要になる場合があり、また、本剤投与により尿閉及び尿路感染が発現することがある。過活動膀胱及び神経因性膀胱患者においては、本剤投与後に排尿困難、混濁尿、頻尿、排尿痛、発熱、悪寒、血尿等の症状が現れた場合には、直ちに医師に申し出る。
    13. 脊髄損傷等を有する神経因性膀胱患者においては、本剤投与により筋力低下等が発現した場合、日常生活動作制限が増大する可能性がある。
  3. 本剤投与後、抗体が産生されることにより、耐性が生じる可能性があるので、効果の減弱がみられる場合には、抗体検査を実施する(抗体産生がみられない場合は、追加投与することができる)。抗体が産生された場合には、投与を中止する。

  4. 本剤を眼輪筋又は外眼筋へ投与する場合は、次の点に注意する。

    1. 本剤を眼輪筋又は外眼筋へ投与する場合は、投与時ごとに視力検査を実施することが望ましい。
    2. 本剤を眼輪筋又は外眼筋へ投与する場合は、眼科的観察を併せて実施し、特に眼球を傷害しないように眼球の保護に十分注意する(また、経過観察を十分に行い、眼科的異常が現れた場合には、直ちに精密検査を受けさせる)。
  5. 本剤の眼瞼深部への投与により、本剤が眼筋に作用することによって複視が現れることがあるので、投与部位に十分注意し、慎重に投与する。

  6. 本剤による斜視治療中に外眼筋への投与により、眼窩に針を刺入することによって球後出血が生じ、網膜循環障害を来す恐れがあるので、適切な検査や眼窩減圧の処置を行うことが望ましい(また、眼球を針で穿通した場合には、検眼鏡による診断を行う)。

  7. 本剤は、低用量でも閉瞼不全等の副作用発現がみられることがあるので、観察を十分に行いながら慎重に投与する。

  8. ボツリヌス毒素の投与により、投与部位以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用が現れることがあり、嚥下障害、肺炎、重度衰弱等に伴う死亡例も報告されており、神経学的障害のある患者(嚥下困難等を有する患者、脳性麻痺を有する小児等重度障害を有する小児患者、痙縮患者等)では、この副作用のリスクが増加するため特に注意する。

  9. 本剤投与後、脱力感、筋力低下、眩暈、視力低下が現れることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させる。

  10. 本剤はできるだけ少量(「用法・用量」の初回投与量又は承認用量の下限を参照)から投与を開始することが望ましい。なお、疾患の重症度に応じて高用量を投与しても、効果は期待できない場合がある。

  11. 抗血小板薬投与中の痙攣性発声障害及び抗凝固薬投与中の痙攣性発声障害患者においては、喉頭への注射によって出血や血腫が生じ、誤嚥や呼吸困難につながる恐れがあることから、本剤投与前に抗血小板薬及び抗凝固薬の休薬等を行う。

  12. 本剤を過活動膀胱及び神経因性膀胱患者に投与する場合は、尿路感染の発現に注意し、適切な感染対策を講じる。

  13. 抗血小板薬投与中の過活動膀胱及び抗血小板薬投与中の神経因性膀胱及び抗凝固薬投与中の過活動膀胱及び抗凝固薬投与中の神経因性膀胱患者においては、排尿筋への注射による出血のリスクが増大することから、本剤投与前に抗血小板薬及び抗凝固薬の休薬等を行う。

  14. 過活動膀胱及び神経因性膀胱患者においては、本剤の投与手技により血尿、排尿困難、膀胱痛等が発現する恐れがある。本剤投与後は患者の状態を十分に観察し、症状が現れた場合には適切に処置する。

  15. 自律神経異常反射を来しやすい背景を有する神経因性膀胱患者においては、本剤の投与手技に起因する自律神経異常反射を来す恐れがあることから、直ちに適切な処置を行えるようにしておく。

  16. 導尿を実施していない過活動膀胱及び導尿を実施していない神経因性膀胱患者においては、投与後2週間以内に残尿量を測定し、その後は必要に応じて投与後12週までを目安に残尿量測定を定期的に行う。

(相互作用)

併用注意:

  1. 筋弛緩剤(ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物、ダントロレンナトリウム水和物等)[閉瞼不全・頚部筋脱力等の過剰な筋弛緩が現れる恐れがあり、嚥下障害の発現が高まる恐れがある(筋弛緩作用が増強されることがあり、併用薬の抗コリン作用による口渇、嚥下困難等が出現するため、嚥下障害が増強されることがある)]。

  2. 筋弛緩作用を有する薬剤(スペクチノマイシン塩酸塩水和物、アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン硫酸塩、フラジオマイシン硫酸塩等)、ポリペプチド系抗生物質(ポリミキシンB硫酸塩等)、テトラサイクリン系抗生物質、リンコマイシン系抗生物質、抗痙縮剤(バクロフェン等)、抗コリン剤(ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等)、ベンゾジアゼピン系薬剤及び類薬(ジアゼパム、エチゾラム等)、ベンザミド系薬剤(チアプリド塩酸塩、スルピリド等))[閉瞼不全・頚部筋脱力等の過剰な筋弛緩が現れる恐れがあり、嚥下障害の発現が高まる恐れがある(筋弛緩作用が増強されることがあり、併用薬の抗コリン作用による口渇、嚥下困難等が出現するため、嚥下障害が増強されることがある)]。

  3. 他のボツリヌス毒素製剤[過剰な筋弛緩が現れることがあり、呼吸困難・嚥下障害等を発現するリスクが高まる恐れがあるため、本剤と他のボツリヌス毒素製剤の同時投与は原則として避ける(本剤及びこれらの薬剤は、ともに筋弛緩作用を有するため作用が増強される恐れがある)]。

(高齢者への投与)

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、少量(「用法・用量」の初回投与量又は承認用量の下限を参照)から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦には投与しない[外国において、本剤を投与された患者で胎児死亡が報告されており、また、本剤は動物実験で妊娠への影響及び胎仔への影響が認められている]。

(小児等への投与)

2歳以上の小児脳性麻痺患者の下肢痙縮に伴う尖足及び12歳以上の斜視患者以外の適応では小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

小児において本剤による治療中に死亡例が報告されており、その中には重度の神経筋疾患、嚥下困難、嚥下性肺炎、痙攣発作、心臓疾患等の危険因子を有する症例も認められたので、小児で四肢麻痺の患者、小児で経管栄養補給を受けている患者又は小児で嚥下性肺炎や小児で肺疾患の既往を有する患者等、重度障害を有する小児患者に投与する場合には、観察を十分に行う。

(過量投与)

  1. 過量投与により、投与部位及び周辺部位に過剰な薬理反応である脱力、筋肉麻痺等の局所性の副作用が現れることがあり、症状や兆候は投与直後に現れないこともあるので、このような症状が現れた場合は、観察を十分に行い、必要に応じて入院を考慮し適切な処置を行う。また、外国において、過量投与により、投与筋以外の遠隔筋に対する影響が疑われる眼瞼下垂、構音障害、嚥下障害、呼吸困難、筋無力症等が報告されているので、このような症状が現れた場合は、観察を十分に行い、必要に応じて入院を考慮し適切な処置を行う。また、過量投与による呼吸器症状においては、人工呼吸等の支持療法も考慮する。

  2. 過量投与において、投与直後の場合には抗毒素の投与を検討してもよいが、治療上の有益性と危険性を慎重に判断する。なお、過量投与において、既にボツリヌス中毒症状(全身性脱力及び筋肉麻痺など)が発現した時点での抗毒素投与は、無効である。

(適用上の注意)

  1. 投与部位:用法及び用量に示すとおり、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頚、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、斜視、痙攣性発声障害、過活動膀胱及び神経因性膀胱の適応で投与する場合は、適用部位の筋肉内にのみ注射する。特に、眼輪筋切除術施行後の患者に投与する場合は、より正確に目標とする部位を同定するため、必ず筋電計を用いて筋活動電位を確認する。また、重度の原発性腋窩多汗症の適応で投与する場合は、皮内にのみ注射する。

  2. 投与時期:全身麻酔の必要な手術を予定している痙攣性発声障害患者においては、本剤の作用による声帯の弛緩が周術期の誤嚥等のリスクを増加させる可能性があるため、手術が終了してから本剤を投与することが望ましい。

  3. 調製方法

    1. 本剤1バイアルは日局生理食塩液を用いて溶解する。

      溶解液の量(日局生理食塩液)1.0mL:溶解後のボツリヌス毒素濃度5.0単位/0.1mL。

      溶解液の量(日局生理食塩液)2.0mL:溶解後のボツリヌス毒素濃度2.5単位/0.1mL。

      溶解液の量(日局生理食塩液)4.0mL:溶解後のボツリヌス毒素濃度1.25単位/0.1mL。

      溶解液の量(日局生理食塩液)5.0mL:溶解後のボツリヌス毒素濃度1.0単位/0.1mL。

      神経因性膀胱への投与に際し、本剤200単位を30mLの薬液として調製する場合は、(1)100単位バイアル2本をそれぞれ6mLの日局生理食塩液で溶解し、(2)合計12mLの薬液を3本の10mLシリンジに4mLずつ吸引した後、(3)各シリンジに追加で6mLの日局生理食塩液を吸引する。3本のシリンジはそれぞれ薬液10mL(約67単位)を含有する。

    2. バイアルの陰圧が保たれていない場合は使用しない(そのバイアルに0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する)。

    3. 変性するので、泡立ちや激しい撹拌を避ける。

    4. 保存剤を含んでいないので、調製後は速やかに使用する。なお、調製後は冷凍しない。

  4. 廃棄時:処置後、残った薬液は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。また、薬液の触れた器具等は同様に0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。

  5. 汚染時

    1. 本剤が飛散した場合はすべて拭き取る。
      1. 溶解前に本剤が飛散した場合は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液をしみ込ませた吸収性素材で拭き、乾かす。
      2. 溶解後に本剤が飛散した場合は、吸収性素材で拭き取った後に、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液で拭き、乾かす。
    2. 本剤が皮膚に付着した場合は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液で洗い、水で洗い流す。
    3. 本剤が眼に入った場合は、水で洗い流す。

(その他の注意)

  1. 因果関係は不明であるが、本剤投与後不整脈、心筋梗塞等の心血管系障害が現れることがあり、致命的転帰に至る例も報告されている(これらの症例には、心臓疾患等の危険因子を有していた症例も多く含まれていた)。

  2. 外国において、因果関係が明らかでないものの、本剤による治療中に視神経萎縮が生じ、視力低下した症例の報告があるので、本剤投与時に視力検査を実施することが望ましい。

  3. 外国において、妊娠初期に本剤500単位を投与された患者で、胎児死亡が報告されている。

  4. ラットにおける交配前投与では、本剤の筋弛緩作用による後肢麻痺に伴う二次的な影響であると考えられる妊娠率低下、受胎率低下及び授胎率低下が、器官形成期投与では、胎仔体重減少がみられた。また、マウスにおける器官形成期の間欠投与による試験において、骨化数減少がみられた。

  5. 動物実験(ラット及びサル)により、本剤投与部位以外の遠隔の筋において、筋萎縮や筋重量減少等の障害が発生したとの報告がある。また、膀胱周囲臓器への誤投与による影響を検討したサルの毒性試験において、本剤を前立腺部尿道及び直腸並びに前立腺内*に投与した際に膀胱結石が用量依存的に認められた。

    :過活動膀胱及び神経因性膀胱に対して承認されている本剤の用法は「排尿筋に注射」である。

(ボトックス注用50単位の廃棄の方法)

残った薬液は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させる。失活後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。薬液の触れた器具等も同様に0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。

(保管上の注意)

  1. 5℃以下の冷所。

  2. 保存剤を含んでいないので、調製後は速やかに使用する。なお、調製後は冷凍しない。