処方薬
ダントリウム静注用20mg
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ダントリウム静注用20mgの添付文書

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効果・効能

  1. 麻酔時における悪性高熱症。

  2. 悪性症候群。

用法・用量

  1. 麻酔時における悪性高熱症:ダントロレンナトリウム水和物として、初回量1mg/kgを静脈内投与し、症状の改善が認められない場合には、1mg/kgずつ静脈内に追加投与する。なお、症状により適宜増減できるが、投与総量は7mg/kgまでとする。

  2. 悪性症候群:ダントロレンナトリウム水和物として、初回量40mgを静脈内投与し、症状の改善が認められない場合には、20mgずつ追加投与する。年齢、症状により適宜増減するが、1日総投与量は200mgまでとする。悪性症候群の場合、7日以内の投与とする。

(溶液調製法)

1バイアルに日局注射用水60mLを加え、振り混ぜ、溶液が澄明になったことを確認の後、使用する。

副作用

悪性高熱症:承認時及び市販後の使用成績調査、計296例中、副作用発現症例(臨床検査値異常を含む)は35例(11.8%)、46件であった(再審査結果通知:1992年12月)。

悪性症候群:承認時及び市販後の使用成績調査、計1,100例(経口剤併用例を含む)中、副作用発現症例(臨床検査値異常を含む)は207例(18.8%)、340件であった(再審査結果通知:2008年2月)。

次の副作用は、前記の試験・調査あるいは自発報告等で認められたものである。

  1. 重大な副作用

    1. 呼吸不全(0.1~5%未満):呼吸不全が現れることがあるので、呼吸不全が疑われた場合には臨床症状及び血液ガス等のデータを参考に、呼吸管理を実施しながら本剤を投与する。
    2. ショック、アナフィラキシー(0.1~5%未満):ショック、アナフィラキシー(顔面蒼白、血圧低下、呼吸困難等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    3. イレウス(0.1~5%未満):イレウスが現れることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用

    1. 過敏症:(0.1~5%未満)発疹。
    2. 肝臓:(5%以上)肝機能障害(AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、LDH上昇等)。
    3. 血液:(0.1~5%未満)血小板減少。
    4. 精神神経系:(0.1~5%未満)強直性痙攣、眠気、頭痛。
    5. 消化器:(0.1~5%未満)食欲不振、悪心、嘔吐、消化管出血。
    6. 循環器:(0.1~5%未満)静脈炎、(0.1%未満)血圧低下。
    7. 呼吸器:(頻度不明)胸水貯留。
    8. その他:(0.1~5%未満)発熱、脱力感、(0.1%未満)悪寒。

使用上の注意

(慎重投与)

  1. 肺機能障害特に閉塞性肺疾患、及び心筋疾患による重篤な心機能障害の患者[本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化する恐れがある]。

  2. 筋無力症状のある患者[本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化する恐れがある]。

  3. 肝疾患のある患者[本剤投与により肝障害を増悪させることがある]。

  4. 高齢者。

  5. イレウスのある患者[本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化する恐れがある]。

(重要な基本的注意)

  1. 悪性症候群患者への投与にあたっては静脈内投与後、継続投与が必要でかつ経口投与が可能な場合には、ダントロレンナトリウム水和物カプセル剤を投与する。

  2. 悪性症候群患者への投与にあたっては過量にならないように注意する(2日目40mg投与で過量のために呼吸不全を生じたとの報告がある)。

  3. 副作用として呼吸不全を生じたとの報告があるので、呼吸不全が疑われた場合には臨床症状及び血液ガス等のデータを参考に、呼吸管理を実施しながら本剤を投与する。

  4. 投与開始後は肝機能検査(AST(GOT)、ALT(GPT)、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン等)を定期的に行う(なお、救命を最優先とすることから、肝機能異常がみられた場合には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ慎重に投与する)。

(相互作用)

併用注意:

  1. カルシウム拮抗剤(ベラパミル等)[高カリウム血症に伴う心室細動・循環虚脱等が現れることがある(高カリウム血症を来すと考えられる)]。

  2. 向精神薬[呼吸中枢抑制作用を増強する可能性がある(薬理学的(呼吸中枢抑制作用)な相加作用による)]。

(高齢者への投与)

高齢者では、患者の状態を観察しながら、慎重に投与する[一般に高齢者では、生理機能が低下している]。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。

  2. 授乳婦:授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせる[母乳中へ移行することが報告されている]。

(適用上の注意)

  1. 調製時:本剤の溶解に際しては、日局注射用水以外を使用しない、また、本剤使用に際しては、混注を避け、単独投与する。

  2. 投与時:本剤は、溶解時pHが高く(約9.5)、血管外に漏出した場合に壊死、腫脹、発赤等を起こす恐れがあるので、静脈内投与に際しては溶液が血管外の組織へ漏れないよう厳重に注意する。

  3. 保存時:溶解後の溶液を保存する場合は、直射日光を避け、5℃から30℃の温度条件にて保存し、6時間以内に使用する。

(その他の注意)

  1. ラットを用いた30カ月間長期がん原性試験及び18カ月間慢性毒性試験において、本剤のがん原性を示唆する所見が認められたとの報告がある。一方、マウスを用いた24カ月間長期がん原性試験では、本剤のがん原性を示唆する所見は認められなかった。

  2. 細菌を用いた復帰突然変異試験(Ames試験)及びほ乳類培養細胞を用いた染色体異常試験の結果は復帰突然変異試験(Ames試験)陽性及び染色体異常試験陽性であった。

(保管上の注意)

遮光。