処方薬
オリベス点滴用1%
後発

オリベス点滴用1%の添付文書

添付文書PDFファイル

PDFファイルを開く

※添付文書のPDFファイルは随時更新しておりますが、常に最新であるとは限りません。予めご了承ください。

効果・効能

  1. 期外収縮(心室性)、発作性頻拍(心室性)、急性心筋梗塞時及び手術に伴う心室性不整脈の予防。

  2. 期外収縮(上室性)、発作性頻拍(上室性)。

用法・用量

点滴静脈内投与法:静脈内1回投与が有効で、効果の持続を期待する場合に、心電図の連続監視下に点滴静脈内注射を行う。リドカイン塩酸塩として、1分間に1~2mgの速度で静脈内注射する。必要な場合には投与速度を増してもよいが、1分間に4mg以上の速度では重篤な副作用が現れるので、4mgまでにとどめる。必要に応じて24時間あるいはそれ以上連続投与しても差し支えないが、過量投与を避けるため、心電図の連続監視と頻回の血圧測定が必要である。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. 刺激伝導系抑制、ショック:PQ間隔延長又はQRS幅増大等の刺激伝導系抑制、あるいは徐脈、血圧低下、ショック、意識障害等を生じ、心停止を来すことがある。また、アナフィラキシーショックを起こしたとの報告があるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には、適切な処置を行う。
    2. 意識障害、振戦、痙攣:意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
    3. 悪性高熱:原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋強直、血液暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱が現れることがあるので、本剤を投与中、悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は、直ちに投与を中止し、ダントロレンナトリウムの静注、全身冷却、純酸素による過換気、酸塩基平衡の是正等、適切な処置を行う(また、本症は腎不全を続発することがあるので、尿量の維持を図る)。
  2. その他の副作用(頻度不明)

    1. 中枢神経:譫妄、眩暈、眠気、不安、多幸感、しびれ感等[症状が現れた場合には、投与を中止又は減量し、必要に応じて適切な処置を行う]。
    2. 消化器:嘔吐等[症状が現れた場合には、投与を中止又は減量し、必要に応じて適切な処置を行う]。
    3. 過敏症:蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等。

使用上の注意

(禁忌)

  1. 重篤な刺激伝導障害(完全房室ブロック等)のある患者[心停止を起こす恐れがある]。

  2. 本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者。

(慎重投与)

  1. 著明な洞性徐脈、刺激伝導障害のある患者[症状を悪化させる恐れがある]。

  2. 循環血液量減少している患者、ショック状態にある患者、あるいは心不全のある患者[心停止を起こす恐れがある]。

  3. 重篤な肝機能障害又は重篤な腎機能障害のある患者[中毒症状が発現しやすくなる]。

  4. 高齢者。

(重要な基本的注意)

過量投与を避けるため、必ず頻回の血圧測定及び心電図の連続監視下で投与する。

(相互作用)

本剤は、主として肝代謝酵素CYP1A2及びCYP3A4で代謝される。

併用注意:

  1. シメチジン[リドカインの血中濃度が上昇したとの報告がある(シメチジンの肝代謝酵素阻害作用により、リドカインの代謝が抑制されると考えられる)]。

  2. メトプロロール、プロプラノロール、ナドロール[リドカインの血中濃度が上昇することがある(これらの薬剤の心拍出量、肝血流量減少作用により、リドカインの代謝が遅延すると考えられる)]。

  3. リトナビル、ホスアンプレナビルカルシウム水和物、アタザナビル硫酸塩[リドカインのAUCが上昇することが予想される(肝代謝酵素に対する競合的阻害作用により、リドカインの代謝が遅延すると考えられる)]。

  4. セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)[リドカインの代謝が促進され血中濃度が低下する恐れがあるので、リドカイン投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意する(肝代謝酵素誘導作用により、リドカインの代謝が促進され、血中濃度が低下すると考えられる)]。

  5. クラス3抗不整脈剤(アミオダロン等)[心機能抑制作用が増強する恐れがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行う(併用により血中濃度が上昇し、作用が増強することが考えられる)]。

(高齢者への投与)

本剤は主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため血中濃度が高くなりすぎ、振戦、痙攣等の中毒症状を起こす恐れがあるので、本剤を持続点滴で投与する場合には、用量に留意して慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。

(過量投与)

  1. 徴候、症状

    1. 過量投与時の中枢神経系症状:初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等が現れる(症状が進行すると意識消失、全身痙攣が現れ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じる恐れがあり、より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある)。
    2. 過量投与時の心血管系症状:血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等が現れる。
  2. 処置:過量投与時には呼吸を維持し、酸素を十分投与することが重要であり、必要に応じて人工呼吸を行う。過量投与による振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。過量投与による心機能抑制に対しては、カテコールアミン等の昇圧剤を投与する。過量投与により心停止を来した場合には直ちに心マッサージを開始する。

(適用上の注意)

  1. 投与経路:点滴静脈内投与にのみ使用する。

  2. 投与時:高度洞性徐脈、あるいは房室ブロック等の徐拍性不整脈とともに心室性不整脈(期外収縮、頻拍)が認められる場合には、人工ペースメーカーによって心拍数を増加させ、本剤を用いる。

  3. 調製時:本剤中のリドカインは塩酸塩であり、アルカリ性注射液(炭酸水素ナトリウム注射液等)との配合により、リドカインが析出するので配合しない。

(その他の注意)

  1. 本剤の投与により、新生児にメトヘモグロビン血症が現れたとの報告がある。

  2. ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発する恐れがある。

(取扱い上の注意)

安定性試験:リドカイン点滴静注液1%「タカタ」の旧包装製品(ガラス瓶)は、長期保存試験(室温、36カ月)の結果、3年間安定であることが確認されている。現包装製品(ポリエチレン製バッグ)は、旧包装製品(ガラス瓶)との相対比較試験(40℃、75%RH、3カ月)の結果、安定性に差は認められず、3年間安定であることが推測された。