処方薬
2%塩酸メピバカイン注「NM」

2%塩酸メピバカイン注「NM」の添付文書

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効果・効能

硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔。

用法・用量

硬膜外麻酔:(基準最高用量:1回500mg)メピバカイン塩酸塩として、通常成人200~400mgを使用する。

伝達麻酔:(基準最高用量:1回500mg)メピバカイン塩酸塩として、通常成人40~400mgを使用する。指趾神経遮断には80~160mgを使用する。

浸潤麻酔:(基準最高用量:1回500mg)メピバカイン塩酸塩として、通常成人40~400mgを使用する。

ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。

(用法及び用量に関連する注意)

麻酔方法別の用量は次のとおりである。 1. 硬膜外麻酔:200~400mg。 1. 伝達麻酔:40~400mg、指趾神経遮断には80~160mg。 1. 浸潤麻酔:40~400mg。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. ショック(頻度不明):徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告がある〔8.1、8.2参照〕。

  2. 1.2. 意識障害、振戦、痙攣(いずれも頻度不明):意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと〔13.過量投与の項参照〕。

  3. 1.3. 異常感覚、知覚・運動障害(いずれも頻度不明):注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔では神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある。

    1. その他の副作用
    1. 中枢神経:(頻度不明)眠気、不安、興奮、霧視、眩暈等[このような症状があらわれた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがある]。
    2. 消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐等[このような症状があらわれた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがある]。
    3. 過敏症:(頻度不明)蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等。

使用上の注意

(禁忌)

    1. 〈効能共通〉本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者。
    1. 〈硬膜外麻酔〉大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある]。
    1. 〈硬膜外麻酔〉注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある]。
    1. 〈硬膜外麻酔〉敗血症の患者[敗血症性髄膜炎を生じるおそれがある]。

(重要な基本的注意)

    1. 〈効能共通〉まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。なお、事前の静脈路確保が望ましい〔8.2、8.5、11.1.1参照〕。
    1. 〈効能共通〉本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に留意すること〔8.1、8.5、11.1.1参照〕。
  1. 2.1. 〈効能共通〉患者の全身状態の観察を十分に行うこと。

  2. 2.2. 〈効能共通〉できるだけ薄い濃度のものを用いること。

  3. 2.3. 〈効能共通〉できるだけ必要最少量にとどめること。

  4. 2.4. 〈効能共通〉必要に応じて血管収縮剤の併用を考慮すること。

  5. 2.5. 〈効能共通〉注射の速度はできるだけ遅くすること。

  6. 2.6. 〈効能共通〉注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。

  7. 2.7. 〈効能共通〉前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、鎮静薬、鎮痛薬等を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい(なお、高齢者、小児、全身状態不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと)〔9.1.1、9.7小児等、9.8高齢者の項参照〕。

    1. 〈効能共通〉注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。
    1. 〈硬膜外麻酔〉本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に留意すること。
  8. 4.1. 〈硬膜外麻酔〉硬膜外麻酔の場合、試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。

  9. 4.2. 〈硬膜外麻酔〉麻酔範囲が予期した以上に広がることにより、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制を来すことがあるので、麻酔範囲に注意すること。

    1. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に留意すること〔8.1、8.2参照〕。
  10. 5.1. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉血管の多い部位(頭部、顔面、扁桃等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。

    1. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時は次の点に留意すること。
  11. 6.1. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時は持続性眼筋運動障害が発現するおそれがあるので、できるだけ薄い濃度で、必要最少量を用いることとし、外眼筋内への注入は避けること(また、血管収縮剤は眼筋運動障害を悪化させることがあるので、必要な場合にのみ使用すること)。

  12. 6.2. 〈伝達麻酔・浸潤麻酔〉球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時は視神経鞘内への誤注入により、一過性失明、心肺停止を起こすことがあるので、注射針はできるだけ短く、先の鈍いものを使用することが望ましい。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 〈効能共通〉全身状態不良な患者:生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある〔8.2.7参照〕。

  2. 1.2. 〈効能共通〉心刺激伝導障害のある患者:症状を悪化させることがある。

  3. 1.3. 〈硬膜外麻酔〉中枢神経系疾患のある患者(髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄に腫瘍・脊椎に腫瘍又は脊髄に結核・脊椎に結核等のある患者):硬膜外麻酔により病状が悪化するおそれがある。

  4. 1.4. 〈硬膜外麻酔〉血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者:やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと(出血しやすいため、血腫形成や脊髄障害を起こすことがある)。

  5. 1.5. 〈硬膜外麻酔〉脊柱に著明な変形のある患者:やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと(脊髄損傷や神経根損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難である)。

  6. 1.6. 〈硬膜外麻酔〉腹部腫瘤のある患者:投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと(仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。

  7. 1.7. 〈硬膜外麻酔〉重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者:患者の全身状態の観察を十分に行うこと(血圧低下や病状の悪化が起こりやすい)。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 重篤な腎機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。

(肝機能障害患者)

  1. 3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。

(妊婦)

  1. 5.1. 〈効能共通〉妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  2. 5.2. 〈硬膜外麻酔〉妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること(妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。

  3. 5.3. 〈伝達麻酔〉傍頸管ブロックにより胎児の徐脈を起こすおそれがある。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

(小児等)

小児等を対象とした臨床試験は実施していない〔8.2.7参照〕。

(高齢者)

〈硬膜外麻酔〉投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること(一般に麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している)〔8.2.7参照〕。

(相互作用)

    1. 併用注意

    クラス3抗不整脈剤(アミオダロン等)[心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと(作用が増強することが考えられる)]。

(過量投与)

過量投与時、局所麻酔剤の血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に誤って血管内に投与した場合には、数分以内に発現することがあり、その症状は、主に中枢神経系症状及び心血管系症状としてあらわれる〔11.1.2参照〕。

    1. 症状
  1. 1.1. 中枢神経系症状:過量投与時、初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等があらわれる(症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがあり、より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある)。

  2. 1.2. 心血管系症状:過量投与時、血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。

    1. 処置

    過量投与時、振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。

(適用上の注意)

    1. 薬剤投与後の注意

    本剤は金属を侵す性質があるので、長時間金属器具(カニューレ、注射針等)に接触させないことが望ましい(なお、金属器具を使用した場合は、使用後十分に水洗すること)。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報
  1. 1.1. ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発するおそれがある。

  2. 1.2. 因果関係は明らかでないが、外国において術後に本剤を関節内(特に肩関節)に持続投与された患者で軟骨融解を発現したとの報告がある。

(保管上の注意)

室温保存。