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インヴェガ錠3mg
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効果・効能

統合失調症。

用法・用量

通常、成人にはパリペリドンとして6mgを1日1回朝食後に経口投与する。なお、年齢、症状により1日12mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は5日間以上の間隔をあけて1日量として3mgずつ行うこと。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 軽度腎機能障害患者(クレアチニン・クリアランス50mL/分以上80mL/分未満)には、1日用量として3mgから開始し、1日用量は6mgを超えないこと〔9.2.2、9.8高齢者の項、16.6.1参照〕。
    1. 本剤はリスペリドンの活性代謝物であり、リスペリドンとの併用により作用が増強するおそれがあるため、本剤とリスペリドンを含有する経口製剤との併用は、避けること。
    1. 本剤の投与量は必要最低限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔8.1参照〕。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 悪性症候群(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある〔9.1.3、9.1.7参照〕。

  2. 1.2. 遅発性ジスキネジア(頻度不明):長期投与により、口周部不随意運動等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。

  3. 1.3. 麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用を有することから、悪心を不顕性化・嘔吐を不顕性化する可能性があるので注意すること。

  4. 1.4. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがある。

  5. 1.5. 肝機能障害(4.2%)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔9.3肝機能障害患者の項参照〕。

  6. 1.6. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。

  7. 1.7. 不整脈(0.6%):心房細動、心室性期外収縮等があらわれることがある。

  8. 1.8. 脳血管障害(頻度不明)。

  9. 1.9. 高血糖(1.3%)、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(頻度不明):高血糖悪化や糖尿病悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと〔8.4、8.6、9.1.6参照〕。

  10. 1.10. 低血糖(0.3%):脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと〔8.5、8.6参照〕。

  11. 1.11. 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.3%)。

  12. 1.12. 肺塞栓症、深部静脈血栓症(頻度不明):肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔9.1.8参照〕。

  13. 1.13. 持続勃起症(頻度不明):α交感神経遮断作用に基づく持続勃起症があらわれることがある。

    1. その他の副作用
    1. 感染症及び寄生虫症:(1~5%)鼻咽頭炎、(1%未満)咽頭炎、鼻炎、肺炎、腟感染、皮膚真菌感染、白癬感染、(頻度不明)気道感染。
    2. 良性、悪性及び詳細不明の新生物:(1%未満)脂肪腫。
    3. 血液及びリンパ系障害:(1~5%)白血球数増加、血小板数増加、好酸球数増加、好塩基球数増加、(1%未満)貧血、脾腫、ヘモグロビン減少、血中鉄減少、ヘマトクリット減少、好中球百分率増加、好酸球百分率増加、リンパ球数増加。
    4. 免疫系障害:(1%未満)季節性アレルギー、(頻度不明)アナフィラキシー反応、過敏症。
    5. 内分泌障害:(5%以上)血中プロラクチン増加(35.3%)、(1~5%)高プロラクチン血症。
    6. 代謝及び栄養障害:(5%以上)トリグリセリド増加、(1~5%)多飲症、過食、血中コレステロール増加、血中ブドウ糖増加、(1%未満)電解質失調、食欲亢進、食欲不振、食欲減退、高脂血症、高コレステロール血症、低蛋白血症、低ナトリウム血症、総蛋白減少、血中電解質異常、血中インスリン増加、インスリンCペプチド増加、(頻度不明)糖尿病。
    7. 精神障害:(5%以上)統合失調症の悪化、不眠症、(1%未満)精神症状、セルフケア障害、不安、激越、初期不眠症、睡眠障害、自傷行動、自殺企図、攻撃性、幻覚、抑うつ症状、落ち着きのなさ、リビドー減退、(頻度不明)悪夢、幻聴、妄想、自殺念慮、自殺既遂、被害妄想、身体妄想、睡眠時遊行症。
    8. 神経系障害:(5%以上)錐体外路障害、(1~5%)アカシジア、頭痛、パーキンソニズム、振戦、ジストニー、傾眠、浮動性めまい、体位性めまい、ジスキネジア、感覚鈍麻、(1%未満)運動緩慢、パーキンソン歩行、鎮静、構音障害、構語障害、痙攣、てんかん、健忘、精神的機能障害、末梢性ニューロパシー、(頻度不明)筋緊張亢進、大発作痙攣、失神、嗜眠、運動過多、後弓反張、会話障害(舌麻痺等)、頭部動揺。
    9. 眼障害:(1~5%)注視麻痺、(1%未満)眼部不快感、眼精疲労、結膜炎、(頻度不明)眼球回転運動、霧視。
    10. 耳及び迷路障害:(1%未満)回転性めまい、耳鳴、耳痛、耳管障害。
    11. 心臓障害:(1~5%)頻脈、心電図QT補正間隔延長、(1%未満)徐脈、洞性徐脈、洞性頻脈、動悸、心拍数増加、心電図QT延長、心電図異常、(頻度不明)房室ブロック、洞性不整脈、左脚ブロック、右脚ブロック、上室性期外収縮。
    12. 血管障害:(1~5%)高血圧、(頻度不明)起立性低血圧、虚血、低血圧。
    13. 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1%未満)誤嚥、嚥下性肺炎、間質性肺疾患、(頻度不明)咽喉頭疼痛、鼻閉、咳嗽、鼻出血。
    14. 胃腸障害:(5%以上)便秘、(1~5%)下痢、嘔吐、胃不快感、上腹部痛、流涎過多、(1%未満)腹痛、悪心、下腹部痛、胃炎、逆流性食道炎、胃腸障害、胃潰瘍、痔核、腸管虚血、齲歯、歯痛、歯肉炎、口唇炎、口内炎、舌痛、(頻度不明)口内乾燥、鼓腸、舌腫脹、嚥下障害、腹部不快感。
    15. 肝胆道系障害:(1~5%)ALP増加、ALT増加、AST増加、γ-GTP増加、肝機能検査異常、LDH増加、(1%未満)脂肪肝、血中ビリルビン増加。
    16. 皮膚及び皮下組織障害:(1~5%)湿疹、皮膚そう痒症、(1%未満)皮膚炎、脂漏性皮膚炎、皮膚乾燥、顔面感覚鈍麻、発疹、皮膚剥脱、ざ瘡、紅色汗疹、寝汗、逆むけ、全身性蕁麻疹、血管浮腫。
    17. 筋骨格系及び結合組織障害:(1~5%)筋骨格硬直、(1%未満)背部痛、四肢痛、関節痛、関節周囲炎、椎間板突出、筋痛、(頻度不明)筋痙縮、筋固縮、筋骨格痛、筋拘縮、斜頚、頚部痛。
    18. 腎及び尿路障害:(1~5%)排尿困難、蛋白尿、尿潜血、(1%未満)尿閉、(頻度不明)尿失禁、神経因性膀胱、頻尿。
    19. 生殖系及び乳房障害:(1%未満)無月経、不規則月経、月経困難症、乳房痛、乳汁漏出症、射精障害、前立腺炎、(頻度不明)女性化乳房、勃起不全、乳房分泌、性機能不全。
    20. 全身障害及び投与局所様態:(1~5%)口渇、倦怠感、発熱、(1%未満)易刺激性、胸部不快感、不快感、末梢性浮腫、低体温、薬剤離脱症候群、体温上昇、体温低下、(頻度不明)無力症、疲労、浮腫。
    21. 臨床検査:(5%以上)体重増加、CK増加、(1~5%)血圧上昇、体重減少、血中尿酸増加、尿糖陽性、(1%未満)血圧低下、血中尿素減少、血中クレアチニン増加、グリコヘモグロビン増加、尿中ウロビリン陽性。
    22. 傷害、中毒及び処置合併症:(1%未満)転倒。

使用上の注意

(禁忌)

    1. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある]。
    1. バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強されることがある]。
    1. アドレナリン投与中(アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く)の患者〔10.1参照〕。
    1. 本剤の成分に対し過敏症及びリスペリドンに対し過敏症の既往歴のある患者。
    1. 中等度から重度腎機能障害患者(クレアチニン・クリアランス50mL/分未満)〔9.2.1、16.6.1参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. 投与初期、再投与時、増量時にα交感神経遮断作用に基づく起立性低血圧があらわれることがあるので、低血圧があらわれた場合は減量等、適切な処置を行うこと〔11.副作用の項参照〕。
    1. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
    1. 興奮悪化、誇大性悪化、敵意悪化等の陽性症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
    1. 本剤の投与により、高血糖悪化や糖尿病悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、特に糖尿病又はその既往歴あるいは糖尿病の危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと〔8.6、9.1.6、11.1.9参照〕。
    1. 低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意するとともに、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと〔8.6、11.1.10参照〕。
    1. 本剤の投与に際し、あらかじめ高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡及び低血糖の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう指導すること〔8.4、8.5、9.1.6、11.1.9、11.1.10参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 心・血管系疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある患者:一過性血圧降下があらわれることがある。

  2. 1.2. 不整脈の既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者:QT延長する可能性がある。

  3. 1.3. パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者:悪性症候群が起こりやすくなり、また、錐体外路症状悪化に加えて、錯乱、意識レベル低下、転倒を伴う体位不安定等の症状が発現するおそれがある〔11.1.1参照〕。

  4. 1.4. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣閾値を低下させるおそれがある。

  5. 1.5. 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者:症状を悪化させるおそれがある。

  6. 1.6. 糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者:血糖値が上昇することがある〔8.4、8.6、11.1.9参照〕。

  7. 1.7. 脱水を伴う身体的疲弊・栄養不良状態を伴う身体的疲弊等のある患者:悪性症候群が起こりやすい〔11.1.1参照〕。

  8. 1.8. 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者:抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている〔11.1.12参照〕。

  9. 1.9. 高度消化管狭窄のある患者:本剤は消化管内でほとんど変形しない錠剤であり、他のOROS製剤の投与により、まれに消化管閉塞症状が報告されている〔14.3参照〕。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 中等度から重度腎機能障害患者:クレアチニン・クリアランス50mL/分未満の腎機能障害患者には投与しないこと(本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある)〔2.5、16.6.1参照〕。

  2. 2.2. 軽度腎機能障害患者:本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある〔7.1、16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:肝障害を悪化させるおそれがある〔11.1.5参照〕。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトで乳汁移行が認められている)。

(小児等)

12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

(高齢者)

1日量として3mgから開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に高齢者では腎機能が低下している可能性があり、また、腎機能障害を有する患者では最高血漿中濃度が上昇し、半減期が延長することがある)〔7.1、16.6.3参照〕。

(相互作用)

    1. 併用禁忌

    アドレナリン(アナフィラキシー救急治療・歯科浸潤又は伝達麻酔除く)(ボスミン)〔2.3参照〕[アドレナリンの作用を逆転させ血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される)]。

    1. 併用注意
    1. 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)[相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること(本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による)]。
    2. ドパミン作動薬[相互に作用を減弱することがある(本剤はドパミン遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において作用が拮抗する可能性がある)]。
    3. 降圧薬[降圧作用が増強することがある(本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による)]。
    4. アルコール[相互に作用を増強することがある(アルコールは中枢神経抑制作用を有する)]。
    5. カルバマゼピン〔16.7.1参照〕[本剤の血中濃度が低下することがある(本剤の排泄、代謝を促進し、吸収を低下させる可能性がある)]。
    6. バルプロ酸〔16.7.3参照〕[本剤の血中濃度が上昇することがある(機序不明)]。
    7. QT延長を起こすことが知られている薬剤[QT延長があらわれるおそれがある(QT延長作用が増強するおそれがある)]。
    8. アドレナリン含有歯科麻酔剤(リドカイン・アドレナリン歯科麻酔剤)[血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある)]。

(過量投与)

    1. 徴候、症状

    過量投与により起こる可能性がある徴候、症状は、本剤の作用が過剰に発現したものであり、傾眠、鎮静、頻脈、低血圧、QT延長、錐体外路症状等である。また、過量投与でトルサード・ド・ポアン、心室細動の報告もある。

    1. 処置

    過量投与患者の治療に際しては、パリペリドンが長期間かけて放出されることを考慮し、患者が回復するまで十分観察すること。

(適用上の注意)

    1. 薬剤交付時の注意
  1. 1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

  2. 1.2. 本剤は徐放性製剤であるため、噛んだり、割ったり、砕いたり、溶解したりしないよう指導すること。また、開封後は時間を置かずに必ず飲み物と一緒に服用するよう指導すること。

  3. 1.3. 製剤残渣:本剤の外皮は内部の不溶性の成分と一緒に糞便中に排泄されるが、正常なことであり心配する必要はないことを説明すること。

    1. 薬剤投与時の注意

    本剤は徐放性製剤であるため、分割して投与しないこと。

    1. 薬剤服用時の注意

    本剤が消化管内に滞留した可能性がある場合には、腹部デジタルX線において可視化できるので、必要に応じて滞留の有無を確認すること〔9.1.9参照〕。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報
  1. 1.1. 他の抗精神病薬による治療中、原因不明の突然死が報告されている。

  2. 1.2. 外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能又は効果)を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、類薬の非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告がある(なお、本剤との関連性については検討されておらず、明確ではない)、また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率上昇に関与するとの報告がある。

  3. 1.3. α1アドレナリン拮抗作用のある薬剤を投与された患者において、白内障手術中に術中虹彩緊張低下症候群が報告されている。術中・術後に、眼合併症を生じる可能性があるので、術前に眼科医に本剤投与歴について伝えるよう指導すること。

    1. 非臨床試験に基づく情報
  4. 2.1. 動物試験(イヌ)で制吐作用を有することが報告されていることから、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化する可能性がある。

  5. 2.2. パリペリドンはリスペリドンの主活性代謝物であり、リスペリドンでげっ歯類(マウス、ラット)に臨床常用量の4.7~75倍(0.63~10mg/kg/日)を18~25ヵ月間経口投与したがん原性試験において、0.63mg/kg/日以上で乳腺腫瘍(マウス、ラット)、2.5mg/kg/日以上で下垂体腫瘍(マウス)及び膵臓内分泌部腫瘍(ラット)の発生頻度の上昇が報告されている。これらの所見は、プロラクチンに関連した変化として、げっ歯類ではよく知られている。

(取扱い上の注意)

    1. 本剤は浸透圧による薬物放出制御システムを利用した製剤であり、吸湿により薬物放出挙動が影響を受ける可能性があるため、服用直前までPTPシートから取り出さないこと(本剤をPTPシートから取り出し一包化調剤することは避けること)。
    1. 小児の手の届かない所に保管すること。

(保管上の注意)

室温保存。