処方薬
クエチアピン錠100mg「MEEK」
後発

クエチアピン錠100mg「MEEK」の添付文書

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効果・効能

統合失調症。

用法・用量

クエチアピンとして1回25mg、1日2又は3回より投与を開始し、患者の状態に応じて徐々に増量する。1日投与量は150~600mgとし、2又は3回に分けて経口投与する。なお、投与量は年齢・症状により適宜増減する。但し、1日量として750mgを超えない。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡:高血糖が現れ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡から死亡に至るなどの致命的経過をたどることがあるので、血糖値の測定や、口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与を行うなど、適切な処置を行う。
    2. 低血糖:低血糖が現れることがあるので、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行う。
    3. 悪性症候群(Syndrome malin):悪性症候群が現れることがあるので、無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う(本症発症時には、白血球増加やCK上昇(CPK上昇)がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
    4. 横紋筋融解症:横紋筋融解症が現れることがあるので、筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意する。
    5. 痙攣:痙攣が現れることがあるので、このような症状が現れた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
    6. 無顆粒球症、白血球減少:無顆粒球症、白血球減少が現れることがあるので、血液検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
    7. 肝機能障害、黄疸:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、γ-GTP上昇、Al-P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
    8. 麻痺性イレウス:腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
    9. 遅発性ジスキネジー:口周部不随意運動等の不随意運動が現れ、投与中止後も持続することがある。
    10. 肺塞栓症、深部静脈血栓症:抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
    11. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑:中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用(頻度不明)

    1. 精神神経系:不眠、易刺激性、傾眠、不安、頭痛、眩暈、焦燥感、鎮静、幻覚の顕在化、健忘、攻撃的反応、意識レベル低下、昏迷、神経症、妄想の顕在化、リビドー亢進、感情不安定、激越、錯乱、思考異常、自殺企図、人格障害、躁病反応、多幸症、舞踏病様アテトーシス、片頭痛、悪夢、うつ病、独語、衝動行為、自動症、譫妄、敵意、統合失調性反応、協調不能、レストレスレッグス症候群、軽躁、注意力障害、過眠症、自殺念慮、自傷行動。
    2. 錐体外路症状:アカシジア、振戦、構音障害、筋強剛、流涎過多、運動緩慢、歩行障害、ジスキネジー、嚥下障害、ジストニア、眼球回転発作、パーキンソン症候群、構語障害、錐体外路障害。
    3. 血液:顆粒球減少、好酸球増加症、貧血、血小板減少、白血球数増加。
    4. 循環器系:頻脈、起立性低血圧、心悸亢進、心電図異常、低血圧、高血圧、徐脈、不整脈、失神、血管拡張、動悸、心電図QT延長。
    5. 肝臓:AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、LDH上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、ビリルビン血症、肝機能検査異常。
    6. 呼吸器系:去痰困難、鼻炎、咳増加、鼻閉。
    7. 消化器系:便秘、食欲減退、悪心、食欲亢進、嘔吐、腹痛、下痢、消化不良、胃炎、胃不快感、鼓腸放屁、消化管障害、吐血、直腸障害、過食、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、膵炎。
    8. :瞳孔反射障害、弱視、結膜炎。
    9. 代謝・内分泌:高プロラクチン血症、T4減少、高コレステロール血症、T3減少、月経異常、甲状腺疾患、高脂血症、高カリウム血症、肥満症、痛風、低ナトリウム血症、水中毒、多飲症、TSH減少、TSH上昇、高トリグリセリド血症、高尿酸血症、尿糖陽性、FT4減少、乳汁漏出症。
    10. 過敏症:発疹、血管浮腫、そう痒、湿疹。
    11. 泌尿器系:排尿障害、排尿困難、尿失禁、尿閉、BUN上昇、持続勃起、射精異常、インポテンス、頻尿、膀胱炎、尿蛋白陽性。
    12. その他:倦怠感、無力症、CK上昇(CPK上昇)、口内乾燥、体重増加、意欲低下、多汗、発熱、体重減少、胸痛、筋肉痛、舌麻痺、しびれ感、背部痛、浮腫、末梢性浮腫、ほてり、歯痛、関節痛、顔面浮腫、頚部硬直、腫瘤、過量投与、骨盤痛、歯牙障害、関節症、滑液包炎、筋無力症、痙縮、悪化反応、偶発外傷、耳障害、味覚倒錯、ざ瘡、脱毛症、薬剤離脱症候群(不眠、悪心、頭痛、下痢、嘔吐)、口渇、回転性眩暈、悪寒、靭帯捻挫。

使用上の注意

(警告)

  1. 著しい血糖値上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行う。

  2. 投与にあたっては、あらかじめ前記副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の異常に注意し、このような症状が現れた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導する。

(禁忌)

  1. 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させる恐れがある]。

  2. バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される]。

  3. アドレナリン投与中(アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)の患者。

  4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  5. 糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者。

(慎重投与)

  1. 肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓により代謝されるため、クリアランスが減少し、血漿中濃度が上昇することがあるので、少量(例えば1回25mg1日1回)から投与を開始し、1日増量幅を25~50mgにするなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する]。

  2. 心・血管疾患、脳血管障害、低血圧又はそれらの疑いのある患者[投与初期に一過性血圧降下が現れることがある]。

  3. てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者[痙攣閾値を低下させる恐れがある]。

  4. 不整脈又はその既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者、又はQT延長を起こすことが知られている薬剤投与中の患者[本剤の投与によりQT間隔延長する可能性がある]。

  5. 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者[症状を悪化させる恐れがある]。

  6. 高齢者。

  7. 糖尿病の家族歴、高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤の投与により、著しい血糖値上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の致命的経過をたどることがあるので、本剤投与中は、血糖値の測定や口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行う。特に、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者では、血糖値上昇し、代謝状態を急激に悪化させる恐れがある。

  2. 本剤の投与により、低血糖が現れることがあるので、本剤投与中は、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意するとともに、血糖値の測定等の観察を十分に行う。

  3. 本剤の投与に際し、あらかじめ著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡及び低血糖の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)に注意し、このような症状が現れた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導する。

  4. 本剤の投与により体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候が現れた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行う。

  5. 本剤は、特に治療開始初期に起立性低血圧を起こすことがあるので、立ちくらみ、眩暈等の低血圧症状が現れた場合には減量等、適切な処置を行う。

  6. 本剤は主として中枢神経系に作用するため、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意する。

  7. 前治療薬からの切り替えの際、精神症状が悪化する可能性があるので観察を十分行いながら前治療薬の用量を減らしつつ、本薬を徐々に増量することが望ましい。また、症状の悪化が認められた場合には、他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行う。

  8. 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、嘔吐等の離脱症状が現れることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行う。

  9. 抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意する。

(相互作用)

本剤は複数の経路で広範に代謝される。本剤の代謝に関与する主なP450酵素はCYP3A4である。

  1. 併用禁忌:アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)(ボスミン)[アドレナリンの作用を逆転させ重篤な血圧降下を起こすことがある(アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体の刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される)]。

  2. 併用注意

    1. 中枢神経抑制剤、アルコール[中枢神経抑制作用が増強することがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、慎重に投与する(薬力学的相互作用を起こすことがある)]。
    2. CYP3A4誘導作用を有する薬剤(フェニトイン、カルバマゼピン、バルビツール酸誘導体、リファンピシン等)[本剤の作用が減弱することがあるので、これらの薬剤を投与中止する場合には、本剤の減量を要することがある(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4の誘導により、本剤のクリアランスが増加することがあり、外国人におけるフェニトイン併用投与例において、クエチアピン製剤の経口クリアランスが約5倍に増加し、Cmax及びAUCはそれぞれ66%及び80%低下した)]。
    3. 強いCYP3A4阻害作用を有する薬剤(イトラコナゾール等)[本剤の作用を増強する恐れがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、本剤を減量するなどして慎重に投与する;併用により本剤の血漿中濃度が高値となりQT間隔が延長する恐れがある(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を強く阻害するため、血漿中濃度が上昇する可能性があり、外国人に強いCYP3A4阻害剤であるケトコナゾール(経口剤:国内未発売)を併用投与したとき、クエチアピンのCmax及びAUCはそれぞれ単独投与の3.35倍及び6.22倍であった)]。
    4. CYP3A4阻害作用を有する薬剤(エリスロマイシン等)[本剤の作用を増強する恐れがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、慎重に投与する(本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、血漿中濃度が上昇する可能性がある)]。

(高齢者への投与)

高齢者では少量(例えば1回25mg1日1回)から投与を開始し、1日増量幅を25~50mgにするなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する[高齢者では非高齢者に比べてクエチアピンの経口クリアランスが30~50%低く、AUCは約1.5倍であり、高い血漿中濃度が持続する傾向が認められており、また、海外臨床試験において非高齢者と比較し、起立性低血圧の発現頻度が増加する傾向が認められている]。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない、動物実験(ラット及びウサギ)で胎仔への移行が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状が現れたとの報告がある]。

  2. 授乳婦:授乳中の婦人に投与する場合には、授乳を中止させる[母乳中へ移行することが報告されている]。

(小児等への投与)

小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

(過量投与)

  1. 過量投与時の症状:主な症状は傾眠、鎮静、頻脈、低血圧等であり、まれに昏睡、死亡に至る症例が報告されている。

  2. 過量投与時の処置:本剤に特異的な解毒剤はないため維持療法を行う(早期の胃洗浄は有効である)。過量投与による呼吸抑制が現れた場合には気道の確保、人工呼吸等の適切な処置を行う。過量投与による低血圧が現れた場合には輸液、交感神経作動薬の投与等の適切な処置を行う(但し、アドレナリン、ドパミンは、本剤のα-受容体遮断作用により低血圧を悪化させる可能性があるので投与しない)。

(適用上の注意)

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

(その他の注意)

  1. クエチアピン製剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。

  2. 国内臨床試験において、クエチアピン製剤と因果関係が不明の心筋梗塞、出血性胃潰瘍が報告されている。また、外国長期投与試験において、急性腎障害が報告されている。

  3. 外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能・効果)を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、クエチアピン製剤を含む非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告があり、また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率上昇に関与するとの報告がある。

  4. イヌで長期大量(100mg/kg/日を6及び12カ月間)経口投与により、コレステロール合成阻害によると考えられる三角状後白内障が認められた。しかし、カニクイザル(最大225mg/kg/日を56週間)及びげっ歯類に投与しても白内障は認められなかった。また、臨床試験においても、クエチアピン製剤と関連した角膜混濁は認められなかった。

  5. ラットに24カ月間経口投与したがん原性試験において、20mg/kg/日以上の雌の投与群で乳腺腫瘍の発現頻度の上昇が報告されている。これらの腫瘍の所見は、げっ歯類においてプロラクチンと関連した所見として報告されているが、ヒトではプロラクチン濃度の上昇と腫瘍形成の関連性は明確にされていない。

(取扱い上の注意)

  1. 使用期限内であっても、開封後はなるべく速やかに使用する。

  2. 安定性試験:最終包装製品を用いた加速試験(40℃、75%RH、6カ月)の結果、クエチアピン錠12.5mg「MEEK」、クエチアピン錠25mg「MEEK」、クエチアピン錠50mg「MEEK」、クエチアピン錠100mg「MEEK」、クエチアピン錠200mg「MEEK」及びクエチアピン細粒50%「MEEK」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。

(保管上の注意)

気密容器。