処方薬
パロキセチン錠20mg「EE」
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パロキセチン錠20mg「EE」の添付文書

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効果・効能

  1. うつ病・うつ状態。

  2. パニック障害。

  3. 強迫性障害。

  4. 社会不安障害。

  5. 外傷後ストレス障害。

(効能・効果に関連する使用上の注意)

  1. 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮する。

  2. 社会不安障害及び外傷後ストレス障害の診断は、DSM*等の適切な診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与する。

    *DSM:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(精神疾患の診断・統計マニュアル)。

用法・用量

  1. うつ病・うつ状態:1日1回夕食後、パロキセチンとして20~40mgを経口投与する。投与は1回10~20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。

  2. パニック障害:1日1回夕食後、パロキセチンとして30mgを経口投与する。投与は1回10mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日30mgを超えない範囲で適宜増減する。

  3. 強迫性障害:1日1回夕食後、パロキセチンとして40mgを経口投与する。投与は1回20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日50mgを超えない範囲で適宜増減する。

  4. 社会不安障害:1日1回夕食後、パロキセチンとして20mgを経口投与する。投与は1回10mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。

  5. 外傷後ストレス障害:1日1回夕食後、パロキセチンとして20mgを経口投与する。投与は1回10~20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

  1. 本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節する。なお、肝障害及び高度腎障害のある患者では、血中濃度が上昇することがあるので特に注意する。

  2. 外傷後ストレス障害患者においては、症状の経過を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の要否について検討する。

副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

  1. 重大な副作用(頻度不明)

    1. セロトニン症候群:不安、焦燥、興奮、錯乱、幻覚、反射亢進、ミオクロヌス、発汗、戦慄、頻脈、振戦等が現れる恐れがあり、セロトニン作用薬との併用時に発現する可能性が高くなるため、特に注意し、異常が認められた場合には、投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う。
    2. 悪性症候群:無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合があり、抗精神病剤との併用時に現れることが多いため、特に注意し、異常が認められた場合には、抗精神病剤及び本剤の投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う(本症発現時には、白血球増加や血清CK上昇(血清CPK上昇)がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)。
    3. 錯乱、幻覚、譫妄、痙攣:錯乱、幻覚、譫妄、痙攣が現れることがあるので、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止する等適切な処置を行う。
    4. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑:中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    5. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH):主に高齢者において、低ナトリウム血症、痙攣等が現れることが報告されているので、異常が認められた場合には、投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行う。
    6. 重篤な肝機能障害:肝不全、肝壊死、肝炎、黄疸等が現れることがあるので、必要に応じて肝機能検査を行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等適切な処置を行う。
    7. 横紋筋融解症:横紋筋融解症が現れることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等が現れた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意する。
    8. 汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少:汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少が現れることがあるので、血液検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    9. アナフィラキシー:アナフィラキシー(発疹、血管浮腫、呼吸困難等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用(頻度不明)

    1. 全身症状:倦怠(倦怠感)、ほてり、無力症、疲労、発熱、悪寒。
    2. 精神神経系:傾眠、眩暈、頭痛、不眠、振戦、神経過敏、知覚減退、躁病反応、感情鈍麻、錐体外路障害、あくび、*アカシジア[*:内的な落ち着きのなさ、静座困難/起立困難等の精神運動性激越であり、苦痛が伴うことが多く、治療開始後数週間以内に発現しやすい]、味覚異常、異常な夢(悪夢を含む)、激越、健忘、失神、緊張亢進、離人症、レストレスレッグス症候群。
    3. 消化器:嘔気、便秘、食欲不振、腹痛、口渇、嘔吐、下痢、消化不良。
    4. 循環器:心悸亢進、一過性血圧上昇又は一過性血圧低下、起立性低血圧、頻脈。
    5. 過敏症:発疹、そう痒、蕁麻疹、血管浮腫、紅斑性発疹、光線過敏症。
    6. 血液:白血球増多、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値増加又はヘマトクリット値減少、赤血球減少、異常出血(皮下溢血、紫斑、胃腸出血等)。
    7. 肝臓:肝機能検査値異常(ALT上昇(GPT上昇)、AST上昇(GOT上昇)、γ-GTP上昇、LDH上昇、Al-P上昇、総ビリルビン上昇、ウロビリノーゲン陽性等)。
    8. 腎臓・泌尿器:BUN上昇、尿沈渣(赤血球・白血球)、尿蛋白、排尿困難、尿閉、尿失禁。
    9. :霧視、視力異常、散瞳、急性緑内障。
    10. その他:性機能異常(射精遅延、勃起障害等)[強迫性障害患者を対象とした本邦でのパロキセチン製剤の臨床試験において、射精遅延等の性機能異常が認められた]、発汗、総コレステロール上昇、体重増加、血清カリウム上昇、総蛋白減少、乳汁漏出、末梢性浮腫、高プロラクチン血症、月経障害(不正子宮出血、無月経等)。

使用上の注意

(警告)

海外で実施した7~18歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告、また、自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので、本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討する。

(禁忌)

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  2. MAO阻害剤投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者。

  3. ピモジド投与中の患者。

(慎重投与)

  1. 躁うつ病患者[躁転、自殺企図が現れることがある]。

  2. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図が現れることがある]。

  3. 脳器質的障害又は統合失調症素因のある患者[精神症状を増悪させることがある]。

  4. 衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある]。

  5. てんかんの既往歴のある患者[てんかん発作が現れることがある]。

  6. 緑内障のある患者[散瞳が現れることがある]。

  7. 抗精神病剤投与中の患者[悪性症候群が現れる恐れがある]。

  8. 高齢者。

  9. 出血の危険性を高める薬剤を併用している患者、出血傾向又は出血性素因のある患者[皮膚出血及び粘膜出血(胃腸出血等)が報告されている]。

(重要な基本的注意)

  1. 眠気、眩暈等が現れることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させる。眠気、眩暈等は治療開始早期に多くみられている。

  2. うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図の恐れがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察する。なお、うつ病・うつ状態以外で本剤の適応となる精神疾患においても自殺企図の恐れがあり、更にうつ病・うつ状態を伴う場合もあるので、このような患者にも注意深く観察しながら投与する。

  3. 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等が現れることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行う。

  4. 若年成人(特に大うつ病性障害の若年成人)において、パロキセチン製剤投与中に自殺行動(自殺既遂、自殺企図)のリスクが高くなる可能性が報告されているため、これらの患者に投与する場合には注意深く観察する。

  5. 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめる。

  6. 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化が現れるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導する。

  7. 大うつ病エピソードは、双極性障害の初発症状である可能性があり、抗うつ剤単独で治療した場合、躁転や病相の不安定化を招くことが一般的に知られている。従って、双極性障害を適切に鑑別する。

  8. 投与中止(特に突然の中止)又は減量により、眩暈、知覚障害(錯感覚、電気ショック様感覚、耳鳴等)、睡眠障害(悪夢を含む)、不安、焦燥、興奮、意識障害、嘔気、振戦、錯乱、発汗、頭痛、下痢等が現れることがあり、症状の多くは投与中止後数日以内に現れ、軽症から中等症であり、2週間程で軽快するが、患者によっては重症であったり、また、回復までに2、3カ月以上かかる場合もある。これまでに得られた情報からはこれらの症状は薬物依存によるものではないと考えられている。

    本剤の減量又は投与中止に際しては、次の点に注意する。

    1. 突然の投与中止を避ける(投与を中止する際は、患者の状態を見ながら数週間又は数カ月かけて徐々に減量する)。
    2. 減量又は中止する際には5mg錠の使用も考慮する。
    3. 減量後又は投与中止後に耐えられない症状が発現した場合には、減量又は中止前の用量にて投与を再開し、より緩やかに減量することを検討する。
    4. 患者の判断で本剤の服用を中止することのないよう十分な服薬指導をする。また、前記の眩暈、知覚障害等の症状が飲み忘れにより発現することがあるため、患者に必ず指示されたとおりに服用するよう指導する。
  9. パロキセチン製剤を投与された婦人が出産した新生児では先天異常のリスクが増加するとの報告があるので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人では、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合以外には投与しない。

(相互作用)

本剤は、主として肝代謝酵素CYP2D6で代謝される。また、CYP2D6の阻害作用を持つ。

  1. 併用禁忌

    1. MAO阻害剤(リネゾリド・メチルチオニニウム塩化物水和物以外)(セレギリン塩酸塩(エフピー))[セロトニン症候群が現れることがあるので、MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者には投与しない(また、本剤の投与中止後2週間以内にMAO阻害剤の投与を開始しない)(脳内セロトニン濃度が高まると考えられている)]。
    2. ピモジド(オーラップ)[QT延長、心室性不整脈(Torsades de Pointesを含む)等の重篤な心臓血管系の副作用が現れる恐れがある(ピモジド(2mg)とパロキセチン製剤との併用により、ピモジドの血中濃度が上昇したことが報告されている;パロキセチン製剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することによると考えられる)]。
  2. 併用注意

    1. セロトニン作用を有する薬剤(炭酸リチウム、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、トリプタン系薬剤(スマトリプタン等)、セロトニン前駆物質含有製剤(L-トリプトファン含有製剤、5-ヒドロキシトリプトファン含有製剤等)又はセロトニン前駆物質含有食品(L-トリプトファン含有食品、5-ヒドロキシトリプトファン含有食品等)等、トラマドール、フェンタニル、リネゾリド、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)等)[セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状が現れることがあるので、これらの薬物を併用する際には観察を十分に行う(相互にセロトニン作用が増強する恐れがある)]。
    2. メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー)[セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状が現れることがあるので、これらの薬物を併用する際には観察を十分に行う(メチルチオニニウム塩化物水和物はMAO阻害作用を有するため、セロトニン作用が増強される)]。
    3. フェノチアジン系抗精神病剤(ペルフェナジン)[これらの抗精神病剤との併用により悪性症候群が現れる恐れがあり、これらの薬剤の作用が増強され、過鎮静、錐体外路症状等の発現が報告されている(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇する恐れがある;パロキセチン製剤とペルフェナジンとの併用により、ペルフェナジンの血中濃度が約6倍増加したことが報告されている)]。
    4. リスペリドン[これらの抗精神病剤との併用により悪性症候群が現れる恐れがあり、これらの薬剤の作用が増強され、過鎮静、錐体外路症状等の発現が報告されている(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇する恐れがある;パロキセチン製剤とリスペリドンとの併用により、リスペリドン及び活性代謝物の血中濃度が約1.4倍増加したことが報告されている)]。
    5. 三環系抗うつ剤(アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、イミプラミン塩酸塩)[これら薬剤の作用が増強される恐れがある(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇する恐れがある)、イミプラミンとパロキセチン製剤の薬物相互作用試験において、併用投与により鎮静及び抗コリン作用の症状が報告されている(パロキセチン製剤とイミプラミンとの併用により、イミプラミンのAUCが約1.7倍増加したことが報告されている)]。
    6. 抗不整脈剤(プロパフェノン塩酸塩、フレカイニド酢酸塩)、β-遮断剤(チモロールマレイン酸塩)[これら薬剤の作用が増強される恐れがある(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇する恐れがある)]。
    7. β-遮断剤(メトプロロール酒石酸塩)[メトプロロールとパロキセチン製剤の併用投与により、重度の血圧低下が報告されている(パロキセチン製剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、メトプロロールの(S)-体及び(R)-体のT1/2がそれぞれ約2.1及び2.5倍、AUCがそれぞれ約5及び8倍増加したことが報告されている)]。
    8. アトモキセチン[併用によりアトモキセチンの血中濃度が上昇したとの報告がある(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することによると考えられる)]。
    9. タモキシフェン[タモキシフェンの作用が減弱される恐れがあり、併用により乳癌による死亡リスクが増加したとの報告がある(本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、タモキシフェンの活性代謝物の血中濃度が減少する恐れがある)]。
    10. キニジン[本剤の作用が増強する恐れがある(これらの薬剤の肝薬物代謝酵素阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する恐れがある)]。
    11. シメチジン[本剤の作用が増強する恐れがある(これらの薬剤の肝薬物代謝酵素阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する恐れがある;シメチジンとの併用により、パロキセチン製剤の血中濃度が約50%増加したことが報告されている)]。
    12. フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン[本剤の作用が減弱する恐れがある(これらの薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の血中濃度が低下する恐れがある)]。
    13. フェノバルビタール[本剤の作用が減弱する恐れがある(これらの薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の血中濃度が低下する恐れがある;フェノバルビタールとの併用により、パロキセチン製剤のAUC及びT1/2がそれぞれ平均25及び38%減少したことが報告されている)]。
    14. ホスアンプレナビルとリトナビルの併用時[本剤の作用が減弱する恐れがある(作用機序は不明であるが、ホスアンプレナビルとリトナビルとの併用時にパロキセチン製剤の血中濃度が約60%減少したことが報告されている)]。
    15. ワルファリン[ワルファリンの作用が増強される恐れがある(パロキセチン製剤との相互作用は認められていないが、他の抗うつ剤で作用の増強が報告されている)]。
    16. ジゴキシン[ジゴキシンの作用が減弱される恐れがある(健康人において、パロキセチン製剤によるジゴキシンの血中濃度の低下が認められている)]。
    17. 止血・血液凝固を阻害する薬剤(非ステロイド性抗炎症剤、アスピリン、ワルファリン等)、出血症状の報告のある薬剤(フェノチアジン系抗精神病剤、非定型抗精神病剤、三環系抗うつ剤等)[出血傾向が増強する恐れがある(これらの薬剤を併用することにより作用が増強されることが考えられる)]。
    18. アルコール(飲酒)[本剤服用中は、飲酒を避けることが望ましい(パロキセチン製剤との相互作用は認められていないが、他の抗うつ剤で作用の増強が報告されている)]。

(高齢者への投与)

高齢者では血中濃度が上昇する恐れがあるため、十分に注意しながら投与する。また、高齢者において抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、出血の危険性が高くなる恐れがあるので注意する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤の投与を開始する。また、本剤投与中に妊娠が判明した場合には、投与継続が治療上妥当と判断される場合以外は、投与を中止するか、代替治療を実施する[1)海外の疫学調査において、妊娠第1三半期にパロキセチン製剤を投与された婦人が出産した新生児では先天異常、特に心血管系異常(心室中隔欠損又は心房中隔欠損等)のリスクが増加した。このうち1つの調査では、一般集団における新生児の心血管系異常の発生率は約1%であるのに対し、パロキセチン曝露時の発生率は約2%と報告されている。2)妊娠末期にパロキセチン製剤を投与された婦人が出産した新生児において、呼吸抑制、無呼吸、チアノーゼ、多呼吸、てんかん様発作、振戦、筋緊張低下又は筋緊張亢進、反射亢進、ぴくつき、易刺激性、持続的な泣き、嗜眠、傾眠、発熱、低体温、哺乳障害、嘔吐、低血糖等の症状が現れたとの報告があり、これらの多くは出産直後又は出産後24時間までに発現していた(なお、これらの症状は、新生児仮死あるいは薬物離脱症状として報告された場合もある)。3)海外の疫学調査において、妊娠中にパロキセチン製剤を含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤を投与された婦人が出産した新生児において新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加したとの報告がある。このうち1つの調査では、妊娠34週以降に生まれた新生児における新生児遷延性肺高血圧症発生のリスク比は、妊娠早期の投与では2.4(95%信頼区間1.2-4.3)、妊娠早期及び後期の投与では3.6(95%信頼区間1.2-8.3)であった]。

  2. 授乳婦:授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせる[母乳中に移行することが報告されている]。

(小児等への投与)

  1. 小児等に対する安全性は確立していない(また、長期投与による成長への影響については検討されていない)。

  2. 海外で実施した7~18歳の大うつ病性障害患者(DSM-4における分類)を対象としたプラセボ対照の臨床試験においてパロキセチン製剤の有効性が確認できなかったとの報告がある。また、7~18歳の大うつ病性障害、7~18歳の強迫性障害、7~18歳の社会不安障害患者を対象とした臨床試験を集計した結果、2%以上かつプラセボ群の2倍以上の頻度で報告された有害事象は次のとおりであった;パロキセチン製剤投与中:食欲減退、振戦、発汗、運動過多、敵意、激越、情動不安定(泣き、気分変動、自傷、自殺念慮、自殺企図等)なお、自殺念慮、自殺企図は主に12~18歳の大うつ病性障害患者で、また、敵意(攻撃性、敵対的行為、怒り等)は主に7~18歳の強迫性障害又は12歳未満の患者で観察された。パロキセチン製剤減量中又は中止後:神経過敏、眩暈、嘔気、情動不安定(涙ぐむ、気分変動、自殺念慮、自殺企図等)、腹痛(7~18歳の大うつ病性障害、7~18歳の強迫性障害、7~18歳の社会不安障害患者を対象)。

(過量投与)

  1. 症状・徴候:外国において、パロキセチン製剤単独2000mgまでの、また、他剤との併用による過量投与が報告されている。過量投与後にみられる主な症状は、「副作用」の項にあげる症状の他、発熱、不随意筋収縮及び不安等である。過量投与時、飲酒の有無にかかわらず他の精神病用薬と併用した場合に、昏睡、心電図変化が現れることがある。

  2. 処置:過量投与時、特異的な解毒剤は知られていないので、必要に応じて胃洗浄等を行うとともに、活性炭投与等適切な療法を行う。

(適用上の注意)

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

(その他の注意)

  1. 海外において、1日量10mgずつ1週間間隔で減量し20mgで1週間投与継続し中止する漸減法を実施した臨床試験を集計した結果、漸減期又は投与中止後に観察された有害事象の頻度は30%、プラセボ群は20%であった。更に10mgまで減量する漸減法を実施した7~18歳の患者が対象の試験ではパロキセチン製剤32%、プラセボ群24%であった。

  2. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、パロキセチン製剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。

  3. 海外で実施された精神疾患を有する成人患者を対象とした、パロキセチン製剤のプラセボ対照臨床試験の検討結果より、大うつ病性障害の患者において、プラセボ群と比較してパロキセチン製剤投与群での自殺企図の発現頻度が統計学的に有意に高かった(パロキセチン製剤投与群3,455例中11例(0.32%)、プラセボ群1,978例中1例(0.05%))。なお、パロキセチン製剤投与群での報告の多くは18~30歳の患者であった。

  4. 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。

  5. 海外で実施された臨床試験において、パロキセチン製剤を含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤が精子特性を変化させ、受精率に影響を与える可能性が報告されている。

(取扱い上の注意)

安定性試験:最終包装製品を用いた長期保存試験(25℃、60%RH、3年間)の結果、本剤は通常の市場流通下において3年間安定であることが確認された。