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デプロメール錠75
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効果・効能

うつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害。

(効能又は効果に関連する注意)

    1. 〈効能共通〉抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること〔5.4、8.2-8.5、8.7、9.1.2、9.1.3、15.1.1参照〕。
    1. 〈うつ病・うつ状態〉本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること〔9.7.1参照〕。
    1. 〈社会不安障害〉社会不安障害の診断は、DSM*等の適切な診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。

    *DSM:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(精神疾患の診断・統計マニュアル)。

    1. 〈強迫性障害(小児)〉強迫性障害(小児)に本剤を投与する場合は、保護者又はそれに代わる適切な者等に自殺念慮や自殺企図があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.1、8.2-8.5、8.7、9.1.2、9.1.3、15.1.1参照〕。

用法・用量

成人への投与:

〈うつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害〉

通常、成人には、フルボキサミンマレイン酸塩として、1日50mgを初期用量とし、1日150mgまで増量し、1日2回に分割して経口投与する。なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。

小児への投与:

〈強迫性障害〉

通常、8歳以上の小児には、フルボキサミンマレイン酸塩として、1日1回25mgの就寝前経口投与から開始する。その後1週間以上の間隔をあけて1日50mgを1日2回朝及び就寝前に経口投与する。年齢・症状に応じて1日150mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として25mgずつ行うこと。

(用法及び用量に関連する注意)

  1. 1. 〈効能共通〉本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 痙攣(頻度不明)、せん妄、錯乱、幻覚、妄想(各0.1~5%未満)〔9.1.1参照〕。

  2. 1.2. 意識障害(頻度不明):意識レベル低下・意識消失等の意識障害があらわれることがある。

  3. 1.3. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。

  4. 1.4. セロトニン症候群(頻度不明):錯乱、発熱、ミオクロヌス、振戦、協調異常、発汗等が発現した場合は投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。なお、セロトニン作用薬との併用において、昏睡状態となり、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている〔10.2参照〕。

  5. 1.5. 悪性症候群(頻度不明):向精神薬との併用(抗精神病薬との併用、抗うつ薬との併用等)により、無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。

  6. 1.6. 白血球減少、血小板減少(いずれも頻度不明):血液検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  7. 1.7. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいγ-GTP上昇、著しい総ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、肝機能検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  8. 1.8. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、食欲不振、頭痛、嘔気、嘔吐、全身倦怠感等があらわれた場合には電解質の測定を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと〔9.8高齢者の項参照〕。

    1. その他の副作用
    1. 精神神経系:(5%以上)眠気、(0.1~5%未満)めまい・ふらつき・立ちくらみ、振戦・アカシジア様症状・顎不随意運動・開口障害・頬筋痙攣等の錐体外路障害、頭痛、不眠、頭がボーっとする、ぼんやり、集中力低下、記憶減退、動作緩慢、あくび、圧迫感、抑うつ感、神経過敏、焦燥感、不安感、躁転、気分高揚、舌麻痺、言語障害、しびれ、運動失調、知覚異常、異常感覚・冷感、(頻度不明)激越、性欲障害。
    2. 循環器:(0.1~5%未満)頻脈、動悸、血圧上昇、低血圧、起立性低血圧、(頻度不明)徐脈。
    3. 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、蕁麻疹、湿疹、そう痒感、(頻度不明)光線過敏性反応。
    4. 血液:(0.1~5%未満)白血球減少、ヘモグロビン減少、血清鉄上昇あるいは血清鉄低下、(頻度不明)紫斑・胃腸出血・斑状出血等の異常出血、貧血。
    5. 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、Al-P上昇等の肝機能障害。
    6. 消化器:(5%以上)嘔気・悪心、口渇、便秘、(0.1~5%未満)嘔吐、下痢、腹痛、腹部膨満感、食欲不振、消化不良、空腹感、口腔内粘膜腫脹。
    7. 泌尿器:(0.1~5%未満)排尿困難、排尿障害、頻尿、乏尿、BUN上昇、尿蛋白陽性、(頻度不明)尿失禁、尿閉。
    8. 血清電解質:(0.1~5%未満)血清カリウム上昇あるいは血清カリウム低下、血中ナトリウム低下、(頻度不明)低ナトリウム血症。
    9. その他:(0.1~5%未満)倦怠感、脱力感、上肢虚脱、息切れ、胸痛、熱感、ほてり、灼熱感、発汗、視調節障害、眼痛、眼圧迫感、眼がチカチカする、耳鳴、鼻閉、苦味、歯がカチカチする、体重増加、脱毛、CK上昇、(頻度不明)乳汁漏出、高プロラクチン血症、月経異常、勃起障害・射精障害等の性機能異常、関節痛、筋肉痛、浮腫、発熱、しゃっくり、味覚異常、散瞳、緑内障。

使用上の注意

(禁忌)

    1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
    1. モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤投与中あるいは投与中止後2週間以内(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)の患者〔10.1参照〕。
    1. ピモジド投与中、チザニジン塩酸塩投与中、ラメルテオン投与中、メラトニン投与中の患者〔10.1参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. 〈効能共通〉眠気、意識レベルの低下・意識消失等の意識障害が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
    1. 〈効能共通〉うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔5.1、5.4、8.3-8.5、8.7、9.1.2、9.1.3参照〕。
    1. 〈効能共通〉不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと〔5.1、5.4、8.2、8.4、8.5、8.7、9.1.2-9.1.5参照〕。
    1. 〈効能共通〉自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5.1、5.4、8.2、8.3、8.5、8.7、9.1.2、9.1.3参照〕。
    1. 〈効能共通〉家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.1、5.4、8.2-8.4、8.7、9.1.2-9.1.5参照〕。
    1. 〈効能共通〉投与量の急激な減少ないし投与の中止により、頭痛、嘔気、めまい、不安感、不眠、集中力低下等があらわれることが報告されているので、投与を中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行うこと。
    1. 〈強迫性障害(小児)〉本剤投与により自殺念慮、自殺企図があらわれる可能性があるため、本剤投与中は定期的に安全性及び有効性を評価し、漫然と投与しないこと〔5.1、5.4、8.2-8.5、9.1.2、9.1.3、15.1.1参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣を起こすことがある〔11.1.1参照〕。

  2. 1.2. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5.1、5.4、8.2-8.5、8.7、9.1.3参照〕。

  3. 1.3. 躁うつ病患者:躁転、自殺企図があらわれることがある〔5.1、5.4、8.2-8.5、8.7、9.1.2参照〕。

  4. 1.4. 脳器質的障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.5参照〕。

  5. 1.5. 衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.4参照〕。

  6. 1.6. 心疾患のある患者:房室ブロック、心室頻拍等があらわれたとの報告がある〔9.8高齢者の項参照〕。

  7. 1.7. 出血性疾患の既往歴又は出血性素因のある患者:出血傾向が増強するおそれがある〔9.8高齢者の項、10.2参照〕。

  8. 1.8. 緑内障又は眼内圧亢進のある患者:症状を悪化させるおそれがある。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 重度腎機能障害患者:排泄が遅延するおそれがある。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:本剤のAUCが増大又は半減期が延長するおそれがある。

(妊婦)

  1. 5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。また、投与中に妊娠が判明した場合は投与を中止することが望ましい。

  2. 5.2. 妊娠後期(第3三半期)に本剤を投与された妊婦から出生した新生児において、呼吸困難、振戦、筋緊張異常、痙攣、易刺激性、傾眠傾向、意識障害、嘔吐、哺乳困難、持続的な泣き等の症状が発現したとの報告があり、なお、これらの症状は、薬物離脱症状として報告される場合もある。

  3. 5.3. 海外の疫学調査において、妊娠中に他のSSRIを投与された妊婦から出生した新生児において、新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加したとの報告がある。このうち1つの調査では、妊娠34週以降に生まれた新生児における新生児遷延性肺高血圧症発生のリスク比は、妊娠早期の投与では2.4(95%信頼区間1.2-4.3)、妊娠早期及び後期の投与では3.6(95%信頼区間1.2-8.3)であった。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中へ移行することが報告されている)。

(小児等)

  1. 7.1. 〈効能共通〉類薬において、海外で実施された18歳以下の大うつ病性障害(DSM-4における分類)患者を対象としたプラセボ対照の臨床試験において有効性が確認できなかったとの報告がある〔5.2参照〕。

  2. 7.2. 〈うつ病・うつ状態及び社会不安障害〉小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

  3. 7.3. 〈強迫性障害(小児)〉11歳以下の女性では、男性及び12歳以上の女性と比較して本剤のAUC及びCmaxが増大する〔16.6.1参照〕。

  4. 7.4. 〈強迫性障害(小児)〉小児に長期間本剤を服用させる場合には、身長、体重の観察を行うこと。海外で、強迫性障害の小児にSSRIを投与し、食欲低下と体重減少・体重増加が発現したとの報告がある。

  5. 7.5. 〈強迫性障害(小児)〉低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は8歳未満の小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

(高齢者)

高い血中濃度が持続し、出血傾向増強等がおこるおそれがあるので、増量に際しては、用量等に注意して慎重に投与すること(本剤は主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多い)。また、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群は主に高齢者において報告されているので、注意すること。なお、因果関係は不明であるが、心疾患のある高齢者において、房室ブロック、心室頻拍等があらわれたとの報告がある〔9.1.6、9.1.7、10.2、11.1.8参照〕。

(相互作用)

本剤の代謝には肝薬物代謝酵素CYP2D6が関与していると考えられている。また、本剤は肝薬物代謝酵素のうちCYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4を阻害し、特にCYP1A2、CYP2C19の阻害作用は強いと考えられている〔16.4参照〕。

    1. 併用禁忌
    1. モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤(リネゾリド・メチルチオニニウム以外)(セレギリン塩酸塩(エフピー)、ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)、サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ))〔2.2参照〕[両薬剤の作用が増強されることがあるので、MAO阻害剤の中止後、本剤を投与する場合は、2週間以上の間隔をあけること(また、本剤投与後MAO阻害剤に切り替える場合は、少なくとも1週間以上の間隔をあけること)、なお、本剤の類薬とMAO阻害剤との併用によりセロトニン症候群があらわれたとの報告がある(脳内セロトニン濃度が高まるためと考えられる)]。
    2. ピモジド(オーラップ)〔2.3参照〕[ピモジドの血中濃度が上昇又は半減期が延長することにより、QT延長、心室性不整脈(torsade de pointesを含む)等の心血管系の副作用が発現するおそれがある(本剤は、肝臓で酸化的に代謝されるこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    3. チザニジン塩酸塩(テルネリン)〔2.3参照〕[チザニジンの血中濃度が上昇又は半減期が延長することにより、著しい血圧低下等の副作用が発現するおそれがある(本剤は、肝臓で酸化的に代謝されるこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    4. ラメルテオン(ロゼレム)、メラトニン(メラトベル)〔2.3参照〕[これらの薬剤の最高血中濃度・AUCが顕著に上昇するとの報告があり、併用により作用が強くあらわれるおそれがある(本剤は、肝臓で酸化的に代謝されるこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させると考えられる)]。
    1. 併用注意
    1. セロトニン作用を有する薬剤(炭酸リチウム、L-トリプトファン含有製剤(L-トリプトファン含有アミノ酸製剤、L-トリプトファン含有経腸成分栄養剤等)、トリプタン系薬剤(スマトリプタンコハク酸塩等)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、トラマドール塩酸塩、リネゾリド、メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー)等)、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品(St.John’s Wort)〔11.1.4参照〕[セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれるおそれがあるので、減量するなど、観察を十分に行いながら慎重に投与すること(セロトニン作用を相互に増強させるためと考えられる)]。
    2. 抗てんかん剤(フェニトイン、カルバマゼピン)、三環系抗うつ剤(イミプラミン塩酸塩、アミトリプチリン塩酸塩、クロミプラミン塩酸塩)、ベンゾジアゼピン系薬剤(アルプラゾラム、ブロマゼパム、ジアゼパム等)、オランザピン、クロザピン、ロピニロール塩酸塩、メキシレチン塩酸塩、シルデナフィルクエン酸塩[これらの薬剤の血中濃度を上昇させることがあるので、これらの薬剤の用量を減量するなど、注意して投与すること(本剤は、肝臓で酸化的に代謝されるこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇、血中半減期を延長、又はAUCを増加させることがある)]。
    3. β-遮断剤(プロプラノロール塩酸塩)[プロプラノロールの血中濃度上昇によると考えられる徐脈・低血圧等が報告されているので、注意して投与すること(本剤は、肝臓で酸化的に代謝されるこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇、血中半減期を延長、又はAUCを増加させることがある)]。
    4. キサンチン系気管支拡張剤(テオフィリン等)[テオフィリンのクリアランスを1/3に低下させることがあるので、テオフィリンの用量を1/3に減量するなど、注意して投与すること;なお、併用により、めまい、傾眠、不整脈等があらわれたとの報告がある(本剤は、肝臓で酸化的に代謝されるこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇、血中半減期を延長、又はAUCを増加させることがある)]。
    5. シクロスポリン、ゾルピデム酒石酸塩[これらの薬剤の血中濃度上昇が報告されているので、注意して投与すること(本剤は、肝臓で酸化的に代謝されるこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇、血中半減期を延長、又はAUCを増加させることがある)]。
    6. クマリン系抗血液凝固剤(ワルファリンカリウム)[ワルファリンの血中濃度が上昇することが報告されているので、プロトロンビン時間を測定し、ワルファリンの用量を調節するなど、注意して投与すること(本剤は、肝臓で酸化的に代謝されるこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇、血中半減期を延長、又はAUCを増加させることがある)]。
    7. アブロシチニブ[アブロシチニブの作用が増強する可能性があるので、可能な限り併用しないことを考慮し、併用する場合には、アブロシチニブを減量するなど注意して投与すること(本剤は、肝臓で酸化的に代謝されるこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇、血中半減期を延長、又はAUCを増加させることがある)]。
    8. メサドン塩酸塩[メサドンの血中濃度上昇が報告されているので、注意して投与すること(機序不明)]。
    9. 出血傾向が増強する薬剤(非定型抗精神病薬、フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ薬、アスピリン等の非ステロイド系抗炎症剤、ワルファリンカリウム等)〔9.1.7、9.8高齢者の項参照〕[皮膚の異常出血(斑状出血・紫斑等)、出血症状(胃腸出血等)が報告されているので、注意して投与すること(SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、これらの薬剤との併用により出血傾向が増強することがある)]。
    10. アルコール(飲酒)[本剤服用中は、飲酒を避けさせることが望ましい(相互作用は認められていないが、他の抗うつ剤で作用の増強が報告されている)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与時、特徴的な症状は、悪心・嘔吐・下痢等の胃腸症状、眠気及びめまいであり、その他に頻脈・徐脈・低血圧等の循環器症状、肝機能障害、痙攣及び昏睡がみられる。

    1. 処置

    過量投与時、特異的な解毒剤は知られていないので、活性炭の投与が推奨されるが、強制排尿や透析はほとんど無効である。

(適用上の注意)

    1. 薬剤交付時の注意

    PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

    1. 薬剤投与時の注意

    十分な水とともに服用し、かみ砕かないよう指導する(かみ砕くと苦みがあり、舌のしびれ感があらわれることがある)。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報
  1. 1.1. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、本剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5.1、5.4、8.7参照〕。

  2. 1.2. 因果関係は不明であるが、自殺、心筋梗塞、AVブロック、動脈瘤、肺塞栓症・肺炎・出血性胸膜炎等の呼吸器系障害、再生不良性貧血、脳内出血、肺高血圧症、低ナトリウム血症、腫瘍又はがん、膵炎、糖尿病による死亡例が報告されている。

  3. 1.3. 国内の臨床試験における副作用として嘔気・悪心が11.8%に認められたが、その半数は服用の中止又は減量を要さず、服用を継続するうちに消失した(特別の対症療法は定まっていないが、ドンペリドンやメトクロプラミド等嘔気に対して汎用される薬剤により、症状が消失した例も報告されている)。

  4. 1.4. 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。

  5. 1.5. 海外で実施された臨床試験において、他の選択的セロトニン再取り込み阻害剤が精子特性を変化させ、受精率に影響を与える可能性が報告されている。

    1. 非臨床試験に基づく情報

    サルを用いた身体依存性及び精神依存性試験の結果、依存性は認められなかった。しかし、本剤は中枢神経系用剤であることから、誤用、気分転換などの使用を防止するため、本剤の誤用あるいは乱用の徴候についての観察を十分に行うことが望ましい。

(保管上の注意)

室温保存。