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オーラップ錠3mg
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効果・効能

  1. 統合失調症。

  2. 小児の自閉性障害、小児の精神遅滞に伴う次記の症状:動き、情動、意欲、対人関係等にみられる異常行動、睡眠、食事、排泄、言語等にみられる病的症状、常同症等がみられる精神症状。

用法・用量

  1. 統合失調症の場合:ピモジドとして、次の量を1日1回、必要に応じ2~3回に分割し、経口投与する。初期量は1~3mg、症状に応じ4~6mgに漸増する。最高量は9mgまでとする。維持量は6mg以下である。なお、症状に応じ適宜増減する。1日1回の投与の場合は朝の投与が望ましい。

  2. 小児の自閉性障害等の場合:ピモジドとして小児には、1日1回1日量1~3mgを経口投与する。年齢、症状により適宜増減するが、1日量6mgまで増量することができ、場合により1日2回に分割投与することもできる。なお、本剤投与により安定した状態が得られた場合、適当な休薬期間を設け、その後の投薬継続の可否を決める。

(用法・用量に関連する使用上の注意)

小児の自閉性障害等の場合:てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者へ投与する場合は、抗痙攣剤、精神安定剤等を併用するとともに観察を十分に行う[痙攣発作を起こす恐れがある]。

副作用

統合失調症:総症例2,832例中、副作用は583例(20.6%)に認められ、主なものは睡眠障害206件(7.27%)、振戦118件(4.17%)、アカシジア113件(3.99%)等であった(年次報告終了時:1978年2月)。

小児の自閉性障害等:総症例330例中、副作用は89例(27.0%)に認められ、主なものは眠気49件(14.85%)、流涎10件(3.03%)等であった(効能・効果追加時:1982年4月)。

  1. 重大な副作用

    1. 心室頻拍、突然死:心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)(0.1%未満)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。また、心電図異常(QT間隔延長、T波平低化やT波逆転、二峰性T波出現ないし二峰性U波出現等)に続く突然死が報告されているので、特にQT部分の変化があれば中止する。
    2. 悪性症候群(Syndrome malin):悪性症候群(0.1%未満)が現れることがあるので、無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇(血清CPK上昇)がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)、なお、類似化合物(ハロペリドール等)の投与中、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
    3. 痙攣発作:痙攣発作(0.1~5%未満)が現れることがあるので、このような症状が現れた場合には投与を中止する。
    4. 低ナトリウム血症:意識障害、痙攣等を伴う低ナトリウム血症(0.1%未満)を起こすことがあるので、このような症状が現れた場合は、直ちに本剤の投与を中止し、ナトリウム補正等の適切な処置を行う。
    5. 無顆粒球症、白血球減少:無顆粒球症、白血球減少(各0.1%未満)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
    6. 肺塞栓症、深部静脈血栓症:抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症(各0.1%未満)等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行う。
  2. その他の副作用

    1. 錐体外路症状:(5%以上)パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、流涎等)、(0.1~5%未満)アカシジア(静座不能)、ジスキネジー(眼球回転発作、構音障害、嚥下障害等)[このような症状が現れた場合には減量又は抗パーキンソン剤との併用等適切な処置を行う]。
    2. 精神神経系:(5%以上)不眠、眠気、(0.1~5%未満)不穏、興奮、多動、易刺激、幻覚の顕性化・妄想の顕性化[特に前治療剤からオーラップ療法に移行する場合に前治療剤を急激に中止又は減量すると、このような症状が現れやすいので、前治療剤は徐々に減量することが望ましく、また、このような症状が現れた場合には、本剤の減量・休薬や、前治療剤の量をもとに戻すなど適切な処置を行う]。
    3. 循環器:(0.1%未満)低血圧。
    4. 肝臓:(0.1%未満)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)。
    5. :(0.1~5%未満)眼調節障害。
    6. 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、そう痒感[このような症状が現れた場合には投与を中止する]。
    7. 消化器:(0.1~5%未満)悪心・嘔吐、食欲不振、胃部不快感、便秘、腹痛、(0.1%未満)下痢。
    8. 泌尿器:(0.1~5%未満)排尿障害、頻尿、夜尿。
    9. 内分泌:(5%以上)プロラクチン値上昇[本剤はプロラクチン値を上昇させることがあるので、長期投与に際しては乳汁分泌、月経異常等の発現に留意し、このような症状が現れた場合には減量又は休薬等適切な処置を行う]。
    10. その他:(0.1~5%未満)口渇、発汗、頭痛、倦怠感、性欲亢進、頻脈、眩暈・ふらつき、便失禁、肥満、鼻出血、(0.1%未満)顔面浮腫、体温調節障害。

使用上の注意

(禁忌)

  1. 先天性QT延長症候群のある患者、先天性QT延長症候群の家族歴のある患者、不整脈又はその既往歴のある患者[QT延長、心室性不整脈を起こす恐れがある]。

  2. QT延長を起こしやすい患者(QT延長を起こすことが知られている薬剤投与中(スルトプリド等)の患者、低カリウム血症、低マグネシウム血症のある患者、著明な徐脈のある患者)[QT延長、心室性不整脈を起こす恐れがある]。

  3. HIVプロテアーゼ阻害剤投与中(リトナビルを含有する薬剤、ネルフィナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、ダルナビルを含有する薬剤)、アゾール系抗真菌剤(外用剤を除く)投与中(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ポサコナゾール)、クラリスロマイシン投与中、エリスロマイシン投与中、キヌプリスチン・ダルホプリスチン投与中、アプレピタント投与中、ホスアプレピタント投与中、コビシスタット含有薬剤投与中、レテルモビル投与中、パロキセチン投与中、フルボキサミン投与中、セルトラリン投与中、エスシタロプラム投与中の患者。

  4. 昏睡状態の患者、又はバルビツール酸誘導体、麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用を増強させる恐れがある]。

  5. うつ病の患者[症状を悪化させる恐れがある]。

  6. パーキンソン病又はレビー小体型認知症の患者[錐体外路症状が悪化する恐れがある]。

  7. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

(慎重投与)

  1. 心疾患(うっ血性心不全等)のある患者[心電図異常を起こす恐れがある]。

  2. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣発作を起こす恐れがある]。

  3. 肝障害のある患者[肝障害を悪化させる恐れがある]。

  4. 腎障害のある患者[心電図異常を起こす恐れがある]。

  5. 高齢者。

  6. 脱水を伴う身体的疲弊・栄養不良状態を伴う身体的疲弊等のある患者[悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい]。

(重要な基本的注意)

  1. ときに眠気、眩暈、ふらつきが現れることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意する。

  2. 抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意する。

  3. 制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意する。

(相互作用)

本剤の代謝には肝薬物代謝酵素CYP3A4が主に関与し、CYP2D6も関与している。また、CYP1A2が関与している可能性もある。

  1. 併用禁忌

    1. QT延長を起こすことが知られている薬剤(スルトプリド(バルネチール)等)[QT延長・心室性不整脈等の重篤な副作用を起こす恐れがある(本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させる恐れがあるため、併用により作用が増強する恐れがある)]。
    2. HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビルを含有する薬剤(ノービア、カレトラ)、ネルフィナビル(ビラセプト)、アタザナビル(レイアタッツ)、ホスアンプレナビル(レクシヴァ)、ダルナビルを含有する薬剤(プリジスタ、プレジコビックス、シムツーザ))、アゾール系抗真菌剤(外用剤を除く)(イトラコナゾール(外用剤を除く)(イトリゾール)、ボリコナゾール(外用剤を除く)(ブイフェンド)、ミコナゾール(外用剤を除く)(フロリード)、フルコナゾール(外用剤を除く)(ジフルカン)、ホスフルコナゾール(外用剤を除く)(プロジフ)、ポサコナゾール(外用剤を除く)(ノクサフィル))、クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、エリスロマイシン(エリスロシン)、キヌプリスチン・ダルホプリスチン(シナシッド)、アプレピタント(イメンド)、ホスアプレピタント(プロイメンド)、コビシスタットを含有する薬剤(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ)、レテルモビル(プレバイミス)[QT延長・心室性不整脈等の重篤な副作用を起こす恐れがある(これらの薬剤がチトクロムP450(CYP3A4)による薬物代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇する恐れがある)]。
    3. パロキセチン(パキシル)、フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)[QT延長・心室性不整脈等の重篤な副作用を起こす恐れがある(これらの薬剤が本剤の代謝を阻害し血中濃度が上昇する恐れがある)]。
    4. セルトラリン(ジェイゾロフト)[QT延長・心室性不整脈等の重篤な副作用を起こす恐れがある(機序は不明であるが、併用により本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある)]。
    5. エスシタロプラム(レクサプロ)[QT延長・心室性不整脈等の重篤な副作用を起こす恐れがある(機序は不明であるが、エスシタロプラムのラセミ体であるシタロプラムとの併用によりQT延長がみられたとの報告がある)]。
  2. 併用注意

    1. 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体、麻酔剤等)[相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある(本剤及びこれらの薬剤は中枢神経抑制作用を有する)]。
    2. メトクロプラミド、ドンペリドン[内分泌機能異常、錐体外路症状が発現しやすくなる(本剤及びこれらの薬剤は抗ドパミン作用を有する)]。
    3. ドパミン作動薬(レボドパ等)[相互に作用を減弱させることがある(本剤は抗ドパミン作用を有するため、作用が拮抗する)]。
    4. アルコール(飲酒)[相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある(ともに中枢神経抑制作用を有する)]。
    5. グレープフルーツジュース[QT延長・心室性不整脈等の重篤な副作用を起こす恐れがあるので、グレープフルーツジュースとの同時服用をしないように注意する(グレープフルーツジュースがチトクロムP450(CYP3A4)による薬物代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇する恐れがある)]。

(高齢者への投与)

高齢者では錐体外路症状等の副作用が起こりやすいので、患者の状態を観察しながら、慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

妊婦、妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中及び授乳中の投与に関する安全性は確立していない。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状が現れたとの報告がある]。

(過量投与)

  1. 過量投与時の症状:心電図異常、錐体外路症状等を引き起こすことがある。

  2. 過量投与時の処置:特異的な解毒薬はないので、主として対症療法及び維持療法を行う(心電図異常がみられた場合は心電図モニタリングを直ちに開始し正常化するまで継続する)。

(適用上の注意)

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導する(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

(その他の注意)

  1. 本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。また、突然死した症例では、大量投与されていた例が多いとの報告があるので、投与量には十分注意する。

  2. 外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能・効果)を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告があり、また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率上昇に関与するとの報告がある。

  3. 小児の自閉性障害等の場合:本剤の投与により安定した状態が認められた場合、適当な休薬期間を設け、その後の投薬継続の可否を決めるが、小児の自閉性障害等の場合、学齢期の小児では学校の長期休暇に合わせて休薬期間を設けるなどの配慮が望ましい。