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コンサータ錠18mg
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効果・効能

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)。

(効能又は効果に関連する注意)

    1. 本剤の6歳未満の幼児における有効性及び安全性は確立していない〔9.7小児等の項、17.1.1、17.1.2参照〕。
    1. AD/HDの診断は、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM*)等の標準的で確立した診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。

    *)Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders。

用法・用量

〈18歳未満の患者〉

通常、18歳未満の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量、18~45mgを維持用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は54mgを超えないこと。

〈18歳以上の患者〉

通常、18歳以上の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は72mgを超えないこと。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 本剤は中枢神経刺激作用を有し、その作用は服用後12時間持続するため、就寝時間等を考慮し、午後の服用は避けること。
    1. 初回用量

    本剤投与前に他のメチルフェニデート塩酸塩製剤を服用している場合には、その用法及び用量を考慮し、本剤の初回用量を18歳未満の患者では18~45mg、18歳以上の患者では18~72mgの範囲で決定する。ただし、本剤若しくは他のメチルフェニデート塩酸塩製剤の服用を1ヵ月以上休薬した後に本剤を服用する場合は、18mgを初回用量とすること。

    1. 本剤は徐放性製剤であるため分割して投与することは適切でなく、本剤は18mg錠、27mg錠及び36mg錠の3種類のみで18mgが最小単位であるため、9mg単位の増減量が必要な場合には錠剤の種類を変更して投与すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 剥脱性皮膚炎(頻度不明):広範囲皮膚潮紅、皮膚浸潤、強い皮膚そう痒等の症状があらわれることがある。

  2. 1.2. 狭心症(頻度不明)。

  3. 1.3. 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):発熱、高度筋硬直、CK上昇等があらわれることがあるので、このような場合には体冷却、水分補給等の適切な処置を行うこと。

  4. 1.4. 脳血管障害(血管炎、脳梗塞、脳出血、脳卒中)(頻度不明)。

  5. 1.5. 肝不全、肝機能障害(頻度不明):肝不全(急性肝不全等)、肝機能障害があらわれることがある。

    1. その他の副作用
    1. 感染症:(1%以上)鼻咽頭炎、(1%未満)胃腸炎、鼻炎、ヘルペスウイルス感染、インフルエンザ、麦粒腫、中耳炎、咽頭炎、(頻度不明)上気道感染、副鼻腔炎。
    2. 血液障害:(1%未満)血小板減少症、(頻度不明)白血球減少症、汎血球減少症、血小板減少性紫斑病。
    3. 免疫系障害:(1%未満)季節性アレルギー、(頻度不明)アナフィラキシー反応、過敏症反応、耳介腫脹、水疱形成、表皮剥脱。
    4. 代謝障害:(1%以上)食欲減退(40.8%)、(1%未満)体重増加不良、食欲亢進。
    5. 精神障害:(1%以上)不眠症(18.2%)、チック、不安、睡眠障害、(1%未満)抑うつ気分、過覚醒、気分変動、精神病性障害、激越、妄想、幻聴、緊張、神経過敏、うつ病、抜毛、怒り、無感情、歯ぎしり、リビドー減退、(頻度不明)攻撃性、感情不安定、落ち着きのなさ、幻視、多弁、気分動揺、涙ぐむ、錯乱状態、失見当識、幻覚、躁病、パニック発作、リビドー亢進、自殺念慮又は自殺企図、吃音。
    6. 神経系障害:(1%以上)頭痛、浮動性めまい、振戦、(1%未満)傾眠、体位性めまい、鎮静、ジスキネジー、自律神経失調、錯感覚、緊張性頭痛、(頻度不明)痙攣、精神運動亢進、大発作痙攣、嗜眠。
    7. 眼障害:(1%未満)ドライアイ、アレルギー性結膜炎、結膜充血、近視、眼そう痒症、(頻度不明)霧視、複視、散瞳、視覚障害。
    8. 耳障害:(1%未満)難聴、耳痛、回転性めまい。
    9. 心臓障害:(1%以上)動悸(12.1%)、頻脈、(1%未満)徐脈、上室性期外収縮、(頻度不明)期外収縮、上室性頻脈、心室性期外収縮。
    10. 血管障害:(1%以上)ほてり、(1%未満)高血圧、血圧変動、(頻度不明)レイノー現象。
    11. 呼吸器障害:(1%以上)呼吸困難、(1%未満)咳嗽、アレルギー性鼻炎、上気道炎症、喘息、鼻漏、咽頭紅斑、(頻度不明)咽喉頭疼痛。
    12. 胃腸障害:(1%以上)悪心(11.7%)、口渇、下痢、腹痛、嘔吐、腹部不快感、口内乾燥、口内炎、便秘、上腹部痛、(1%未満)消化不良、腹部膨満、異常便、歯肉腫脹。
    13. 皮膚障害:(1%以上)発疹、(1%未満)蕁麻疹、湿疹、脱毛症、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、多汗症、皮膚そう痒症、接触性皮膚炎、(頻度不明)斑状皮疹、紅斑。
    14. 筋骨格系障害:(1%以上)筋緊張、(1%未満)関節痛、筋痙縮、筋痛、四肢痛、(頻度不明)筋攣縮。
    15. 泌尿器系障害:(1%未満)頻尿。
    16. 生殖系障害:(1%未満)精巣上体炎、陰茎癒着、勃起不全、(頻度不明)持続勃起症。
    17. 全身障害:(1%以上)発熱、倦怠感、易刺激性、胸部不快感、(1%未満)疲労、無力症、悪寒、胸痛、(頻度不明)異常高熱。
    18. 臨床検査:(1%以上)体重減少(16.4%)、蛋白尿、CK増加、尿中ケトン体陽性、QT延長、(1%未満)血圧上昇、拡張期血圧上昇、脈拍異常、異常Q波、白血球数減少、好中球数減少、好酸球数増加、血中アミラーゼ増加、ALT増加、AST増加、肝機能異常、血中ビリルビン増加、トリグリセリド増加、血糖増加、血中尿素増加、血中尿酸増加、尿潜血、(頻度不明)心雑音、ALP増加、肝酵素上昇、血小板数減少、白血球数異常。
    19. 傷害、中毒:(1%未満)足骨折、手骨折。

使用上の注意

(警告)

    1. 本剤の投与は、AD/HDの診断、治療に精通し、かつ薬物依存を含む本剤のリスク等について十分に管理できる、管理システムに登録された医師のいる医療機関及び薬剤師のいる薬局において、登録患者に対してのみ行うこと。また、それら薬局においては、調剤前に当該医師・医療機関・患者が管理システムに登録されていることを確認した上で調剤を行うこと(AD/HD:注意欠陥/多動性障害)。
    1. 本剤の投与にあたっては、患者(小児の場合には患者又は代諾者)に対して、本剤の有効性、安全性、及び目的以外への使用や他人への譲渡をしないことを文書によって説明し、文書で同意を取得すること。

(禁忌)

    1. 過度の不安、緊張、興奮性のある患者[中枢神経刺激作用により症状を悪化させることがある]。
    1. 閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させるおそれがある]。
    1. 甲状腺機能亢進のある患者[循環器系に影響を及ぼすことがある]。
    1. 不整頻拍、狭心症のある患者[症状を悪化させるおそれがある]。
    1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
    1. 運動性チックのある患者、Tourette症候群又はその既往歴・家族歴のある患者[症状を悪化又は誘発させることがある]。
    1. 重症うつ病の患者[抑うつ症状が悪化するおそれがある]。
    1. 褐色細胞腫のある患者[血圧を上昇させるおそれがある]。
    1. モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤投与中又は投与中止後14日以内の患者〔10.1参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤を投与する医師又は医療従事者は、投与前に患者(小児の場合には患者及び保護者又はそれに代わる適切な者)に対して、本剤の治療上の位置づけ、依存性等を含む本剤のリスクについて、十分な情報を提供するとともに、適切な使用法について指導すること。
    1. 小児に本剤を長期投与した場合に体重増加抑制、成長遅延が報告されている(本剤の投与が長期にわたる場合には患児の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくない時は投与を中断すること)。また、成人においても体重減少が報告されているので、観察を十分に行い、体重減少が著しい場合には投与を中断するなど、適切な処置を行うこと。
    1. 本剤を長期間投与する場合には、個々の患者に対して定期的に休薬期間を設定して有用性の再評価を実施すること。また、長期間投与する場合には、定期的に血液学的検査を行うことが望ましい。
    1. 心血管系に対する影響を観察するため、本剤の投与期間中は、定期的に心拍数(脈拍数)及び血圧を測定すること〔9.1.2参照〕。
    1. まれに視覚障害症状(視調節障害、霧視)が報告されているので、視覚障害が認められた場合には、眼の検査を実施し、必要に応じて投与を中断又は中止すること。
    1. めまい、眠気、視覚障害等が発現するおそれがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
    1. 攻撃性はAD/HDにおいてしばしば観察されるが、本剤の投与中にも攻撃性の発現や悪化が報告されているので、投与中は、攻撃的行動の発現又は悪化について観察すること。
    1. 通常量の本剤を服用していた精神病性障害の既往がない患者や通常量の本剤を服用していた躁病の既往がない患者において、幻覚等の精神病性症状又は躁病症状が報告されているので、このような症状の発現を認めたら、本剤との関連の可能性を考慮すること(投与中止が適切な場合もある)。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. てんかん又はその既往歴のある患者:痙攣閾値を低下させ、発作を誘発させるおそれがある。

  2. 1.2. 高血圧、心不全、心筋梗塞を起こしたことのある患者:血圧又は心拍数を上昇させるおそれがある〔8.4参照〕。

  3. 1.3. 患者の心疾患に関する病歴、突然死や重篤な心疾患に関する家族歴等から、心臓に重篤ではないが異常が認められる、若しくはその可能性が示唆される患者:本剤の投与を検討する場合には、投与開始前に心電図検査等により心血管系の状態を評価すること。

  4. 1.4. 脳血管障害(脳動脈瘤、血管炎、脳卒中等)のある患者又はその既往歴のある患者:これらの症状を悪化又は再発させることがある。

  5. 1.5. 精神系疾患(統合失調症、精神病性障害、双極性障害)のある患者:行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化するおそれがある。

  6. 1.6. 薬物依存又はアルコール中毒等の既往歴のある患者:慢性的乱用により過度の耐性及び様々な程度の異常行動を伴う精神的依存を生じる可能性がある。

  7. 1.7. 心臓に構造的異常又は心臓に構造的異常の他の重篤な問題のある患者:因果関係は確立していないが、本剤の投与による突然死の報告がある。

  8. 1.8. 高度消化管狭窄のある患者:本剤は消化管内でほとんど変形しない錠剤であり、本剤の服用により、まれに消化管閉塞症状が報告されている〔14.3参照〕。

  9. 1.9. 開放隅角緑内障の患者:眼圧を上昇させるおそれがある。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(動物実験(ウサギ)において、最大推奨用量の約100倍に相当する200mg/kg/日の投与により催奇形性が報告されている)。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(ヒトでメチルフェニデートが、乳汁中に移行するとの報告がある)。

(小児等)

低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない〔5.1、17.1.1、17.1.2参照〕。

(高齢者)

一般に生理機能が低下している。

(相互作用)

    1. 併用禁忌

    MAO阻害剤(リスデキサンフェタミン以外)(セレギリン(エフピー)、ラサギリン(アジレクト)、サフィナミド(エクフィナ))〔2.9参照〕[高血圧クリーゼ等の重篤な副作用発現のおそれがあるので、MAO阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者には本剤を投与しないこと(脳内モノアミン総量が増加するおそれがある)]。

    1. 併用注意
    1. 昇圧剤[昇圧作用を増強することがある(本剤は交感神経刺激作用を有するため)]。
    2. クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[クマリン系抗凝血剤の作用を増強することがある(クマリン系抗凝血剤の半減期を延長させる)]。
    3. 抗痙攣剤(フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン)[抗痙攣剤の作用を増強することがある(本剤はこれらの薬剤の代謝を阻害すると考えられる)]。
    4. 三環系抗うつ剤(イミプラミン等)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラム)[三環系抗うつ剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤の作用を増強することがある(本剤はこれらの薬剤の代謝を阻害すると考えられる)]。
    5. 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(アトモキセチン)[本剤の作用が増強するおそれがあるため、注意して投与すること(ノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある)]。
    6. クロニジン〔15.1参照〕[メチルフェニデート塩酸塩製剤との併用により、突然死の報告がある(機序不明)]。
    7. アルコール[精神神経系の副作用を増強することがある(アルコールは本剤の精神神経系の作用を増強させる)]。
    8. リスデキサンフェタミン[本剤投与中の患者には投与を避けることが望ましい、リスデキサンフェタミンの作用が増強するおそれがある(相加作用のおそれがある)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与時、主として中枢神経系の過刺激及び過度の交感神経作用に起因する次の徴候及び症状があらわれることがある:嘔吐、激越、振戦、反射亢進、筋攣縮、痙攣(昏睡を続発することがある)、多幸感、錯乱、幻覚、せん妄、発汗、潮紅、頭痛、高熱、頻脈、動悸、不整脈、高血圧、散瞳、粘膜乾燥。

    1. 処置

    過量投与時、自傷行為及び過刺激症状を悪化させる外部刺激を排除するように留意すること。過量投与時、胃洗浄を行う場合、激越や発作があれば、処置の前にコントロールを行い、気道を確保すること。過量投与時、高熱に対しては物理的な解熱処置をとること。過量投与患者の治療に際しては、メチルフェニデートが長時間かけて放出されることを考慮すべきである。

(適用上の注意)

    1. 薬剤調製時の注意

    本剤は浸透圧による薬物放出制御システムを利用した製剤であり、吸湿により薬物放出挙動が影響を受ける可能性があるため、本剤をPTPシートから取り出し一包化調剤することは避けること。

    1. 薬剤交付時の注意
  1. 2.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

  2. 2.2. 服用直前までPTPシートから取り出さないよう指導すること。

  3. 2.3. 本剤は徐放性製剤であるため、噛んだり、割ったり、砕いたり、溶解したりせず、必ず飲み物と一緒にそのまま服用するよう指導すること。

  4. 2.4. 本剤の外皮は内部の不溶性の成分と一緒に糞便中に排泄されるが、正常なことであり心配する必要はないことを説明すること。

    1. 薬剤服用時の注意

    本剤が消化管内に滞留した可能性がある場合には、腹部デジタルX線において可視化できるので、必要に応じて滞留の有無を確認すること〔9.1.8参照〕。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報

    因果関係は確立していないが、メチルフェニデート塩酸塩製剤とクロニジンとの併用により、突然死が報告されている〔10.2参照〕。

    1. 非臨床試験に基づく情報
  1. 2.1. メチルフェニデート塩酸塩の長期発癌性試験の結果、F344/Nラットを用いた試験では癌原性は認められなかった。B6C3F1マウスを用いた試験では、雌雄両性で肝細胞腺腫増加、約60mg/kg/日投与群の雄で肝芽腫の発現がみられている。

  2. 2.2. メチルフェニデート塩酸塩は、Salmonella typhimuriumを用いたAmes試験では突然変異誘発性は認められなかった。チャイニーズハムスターの培養卵細胞を用いた試験では姉妹染色分体変換増加と染色体異常増加がみられ、弱い染色体異常誘発性が認められている。

(保険給付上の注意)

本剤は厚生労働省告示第75号(平成24年3月5日付)に基づき、投薬期間は1回30日間分を限度とされている。

(保管上の注意)

室温保存。