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アモキサンカプセル50mg
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効果・効能

うつ病・うつ状態。

(効能又は効果に関連する注意)

抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること〔8.2-8.5、9.1.5、9.1.6、15.1.1参照〕。

用法・用量

アモキサピンとして、1日25~75mgを1~数回に分割経口投与する。効果不十分と判断される場合には1日量150mg、症状が特に重篤な場合には1日300mgまで増量することもある。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):無動緘黙、強度筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと(本症発症時には、白血球増加や血清CK上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある)。

  2. 1.2. 痙攣(0.32%)、精神錯乱(0.16%)、幻覚(頻度不明)、せん妄(頻度不明)。

  3. 1.3. 無顆粒球症(頻度不明):無顆粒球症、白血球減少等の血液障害があらわれることがある(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合もある)〔8.7参照〕。

  4. 1.4. 麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心、嘔吐、著しい便秘、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心、嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。

  5. 1.5. 遅発性ジスキネジア(頻度不明):長期投与により、遅発性ジスキネジア(口周部不随意運動等の不随意運動)があらわれることがある。

  6. 1.6. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明)。

  7. 1.7. 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいγ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

    1. その他の副作用
    1. 循環器:(1~5%未満)頻脈、(1%未満)血圧降下、動悸、(頻度不明)血圧上昇、不整脈、心ブロック、心発作。
    2. 精神神経系:(5%以上)眠気、不眠、(1~5%未満)振戦等のパーキンソン症状、躁転、頭痛・頭重、構音障害、運動失調、(1%未満)耳鳴、焦躁・不安、四肢知覚異常、知覚異常、アカシジア(静坐不能)等の錐体外路症状、(頻度不明)興奮。
    3. 抗コリン作用:(5%以上)口渇(16.04%)、便秘、(1~5%未満)排尿困難、視調節障害、(頻度不明)乏尿、鼻閉、眼内圧亢進。
    4. 過敏症:(1~5%未満)発疹、(1%未満)顔浮腫・舌部浮腫、紅斑、そう痒。
    5. 消化器:(1~5%未満)悪心、食欲不振、下痢、(1%未満)嘔吐、胃部不快感、味覚異常、口内炎、(頻度不明)口内不快感、胃痛・腹痛。
    6. 内分泌系:(頻度不明)月経異常、高プロラクチン血症、乳汁漏出、女性化乳房。
    7. その他:(5%以上)めまい、(1~5%未満)倦怠感、発汗、(1%未満)脱力感、発熱、性欲減退、頻尿、性欲亢進、顔面違和感や身体違和感、四肢冷感、頸痛、(頻度不明)脱毛、性機能障害。

使用上の注意

(禁忌)

    1. 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある]。
    1. 三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者。
    1. 心筋梗塞の回復初期の患者[循環器系に影響を及ぼすことがあるので、心筋梗塞を増悪させるおそれがある]。
    1. モノアミン酸化酵素阻害剤投与中又は投与中止後2週間以内(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)の患者[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれることがある]〔10.1参照〕。

(重要な基本的注意)

    1. 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
    1. うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.3-8.5、9.1.5、9.1.6、15.1.1参照〕。
    1. 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されているので、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、不安増悪、焦燥増悪、興奮増悪、パニック発作増悪、不眠増悪、易刺激性増悪、敵意増悪、攻撃性増悪、衝動性増悪、アカシジア増悪/精神運動不穏増悪、軽躁増悪、躁病増悪等が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.4、8.5、9.1.5-9.1.8、15.1.1参照〕。
    1. 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2、8.3、8.5、9.1.5、9.1.6、15.1.1参照〕。
    1. 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2-8.4、9.1.5-9.1.8、15.1.1参照〕。
    1. 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、情動不安、悪寒、錯乱、頭痛、睡眠障害、倦怠感、嘔気、発汗等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
    1. 無顆粒球症、白血球減少等の血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.3参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 排尿困難又は眼内圧亢進等のある患者:抗コリン作用によりこれらの症状を増悪させるおそれがある。

  2. 1.2. 開放隅角緑内障の患者:抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。

  3. 1.3. 心不全・心筋梗塞(回復初期を除く)・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患(心筋梗塞の回復初期を除く)のある患者又は甲状腺機能亢進症の患者:循環器系に影響を及ぼすことがあるので、これらの症状を増悪させるおそれがある。

  4. 1.4. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者:痙攣を起こすことがある。

  5. 1.5. 躁うつ病患者:躁転、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2-8.5、9.1.6、15.1.1参照〕。

  6. 1.6. 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者:自殺念慮、自殺企図があらわれることがある〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2-8.5、9.1.5、15.1.1参照〕。

  7. 1.7. 脳器質障害又は統合失調症素因のある患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.8参照〕。

  8. 1.8. 衝動性が高い併存障害を有する患者:精神症状を増悪させることがある〔8.3、8.5、9.1.7参照〕。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠動物(マウス)の器官形成期に経口投与した実験(10、20、40mg/kg/日)では、40mg/kg/日群で口蓋裂の発生、死亡胎仔増加、胎仔体重減少が認められている。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で母乳中への移行がみられている)。

(小児等)

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

(高齢者)

低用量から投与を開始するとともに、患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすい)。

(相互作用)

    1. 併用禁忌

    モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤(リネゾリド・メチルチオニニウム以外)(セレギリン塩酸塩(エフピー)、ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)、サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ))〔2.4参照〕[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれることがある;なお、MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また、本剤からMAO阻害剤に切り替えるときには、2~3日間の間隔をおくことが望ましい(詳細は不明であるが、相加・相乗作用によると考えられている)]。

    1. 併用注意
    1. 抗コリン作働薬(トリヘキシフェニジル塩酸塩等)[口渇、排尿困難・乏尿、眼内圧亢進、視調節障害、便秘、鼻閉等があらわれることがある(相互に抗コリン作用が増強されるためと考えられている)]。
    2. アドレナリン作働薬(エピネフリン、ノルエピネフリン等)[心血管作用(高血圧等)を増強することがある(本剤は交感神経末梢へのノルエピネフリン等の取り込みを抑制し、受容体部位へのエピネフリン作働性を上昇させ、作用を増強させる)]。
    3. 中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)[本剤の作用が増強されることがある(相互に中枢神経抑制作用を増強すると考えられている)]。
    4. 降圧剤(グアネチジン)[降圧剤の作用を減弱することがある(三環系抗うつ剤はアドレナリン作働性ニューロンでのグアネチジンの取り込みを阻害すると考えられている)]。
    5. シメチジン[本剤の作用が増強されることがある(シメチジンにより本剤の代謝が阻害されると考えられている)]。
    6. スルファメトキサゾール・トリメトプリム[本剤の作用が減弱されることがある(機序は明らかでないが、本剤の代謝促進又は、作用部位での両剤の拮抗作用によるものと考えられている)]。
    7. アルコール[中枢神経抑制作用が増強されることがある(相互に中枢神経抑制作用を増強すると考えられている)]。
    8. 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)[本剤の作用が増強されることがある(SSRIにより本剤の代謝が阻害されると考えられている)]。
    9. リネゾリド[セロトニン症候群の徴候及び症状(錯乱、せん妄、情緒不安、振戦、潮紅、発汗、超高熱)があらわれるおそれがあるので、十分に注意し、これらの徴候や症状が認められた場合には、本剤と併用薬の両方あるいはいずれか一方の投与を中止するなど適切な処置を行うこと(リネゾリドは非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する)]。
    10. メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー)[セロトニン症候群があらわれるおそれがある(併用薬剤のMAO阻害作用によりセロトニン作用が増強されると考えられる)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与時、痙攣(てんかん重積状態を含む)、昏睡、膵炎、QT延長及びアシドーシスがあらわれることがある。また、過量投与数日後に横紋筋融解に伴う急性腎尿細管壊死及びミオグロビン尿を合併し急性腎障害があらわれることがある(特に痙攣の発現に注意すること)。

(適用上の注意)

    1. 薬剤交付時の注意

    PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報
  1. 1.1. 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した〔5.効能又は効果に関連する注意の項、8.2-8.5、9.1.5、9.1.6参照〕。

  2. 1.2. 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。

    1. 非臨床試験に基づく情報

    動物実験(ラット)で、本剤により内分泌系に対する影響がみられ、雌性動物で、乳腺小葉-腺房の発達が起こるとの報告がある。

(保管上の注意)

室温保存。