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アセリオ静注液1000mg
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アセリオ静注液1000mgの添付文書

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効果・効能

経口製剤及び坐剤の投与が困難な場合における疼痛及び発熱。

(効能又は効果に関連する使用上の注意)

経口製剤及び坐剤の投与が困難で、静注剤による緊急の治療が必要である場合等、静注剤の投与が臨床的に妥当である場合に本剤の使用を考慮する。経口製剤又は坐剤の投与が可能になれば速やかに投与を中止し、経口製剤又は坐剤の投与に切り替える。

用法・用量

次記のとおり本剤を15分かけて静脈内投与する。

  1. 成人における疼痛:アセトアミノフェンとして、1回300~1000mgを15分かけて静脈内投与し、投与間隔は4~6時間以上とする。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日総量として4000mgを限度とする。但し、体重50kg未満の成人にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回15mgを上限として静脈内投与し、投与間隔は4~6時間以上とする。1日総量として60mg/kgを限度とする。

  2. 成人における発熱:アセトアミノフェンとして、1回300~500mgを15分かけて静脈内投与し、投与間隔は4~6時間以上とする。なお、年齢、症状により適宜増減するが、原則として1日2回までとし、1日最大1500mgを限度とする。

  3. 2歳以上の幼児及び小児における疼痛及び発熱:2歳以上の幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10~15mgを15分かけて静脈内投与し、投与間隔は4~6時間以上とする。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日総量として60mg/kgを限度とする。但し、成人の用量を超えない。

  4. 乳児及び2歳未満の幼児における疼痛及び発熱:乳児及び2歳未満の幼児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回7.5mgを15分かけて静脈内投与し、投与間隔は4~6時間以上とする。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日総量として30mg/kgを限度とする。

(用法及び用量に関連する使用上の注意)

  1. 本剤の投与に際しては、投与速度を厳守する(本剤の有効性及び安全性は本剤を15分かけて静脈内投与した臨床試験において確認されている)。なお、本剤の投与速度及び投与量により、循環動態に影響を及ぼすことが明らかに予想される患者には投与しない。

  2. 乳児、幼児及び小児の1回投与量の目安は次記のとおり。

    1. 体重5kgの場合:3.75mL。
    2. 体重10kgの場合:7.5~15mL。
    3. 体重20kgの場合:20~30mL。
    4. 体重30kgの場合:30~45mL。
  3. 乳児、幼児及び小児に対する1回あたりの最大用量はアセトアミノフェンとして500mg、1日あたりの最大用量はアセトアミノフェンとして1500mgである。

副作用

国内において、本剤の有効性、安全性を検証する臨床試験は行われていない。

  1. 重大な副作用

    1. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明):ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、全身紅潮、血管浮腫、蕁麻疹等)が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。
    2. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明):中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、急性汎発性発疹性膿疱症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    3. 喘息発作の誘発(頻度不明):喘息発作を誘発することがある。
    4. 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明):劇症肝炎、AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    5. 顆粒球減少症(頻度不明):顆粒球減少症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
    6. 間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎が現れることがあるので、観察を十分に行い、咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音異常等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT、速やかに血清マーカー等の検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行う。
    7. 間質性腎炎(頻度不明)、急性腎不全(頻度不明):間質性腎炎、急性腎不全が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
  2. その他の副作用(頻度不明)

    1. 血液:チアノーゼ、血小板減少、血小板機能低下(出血時間延長)等[このような症状(異常)が現れた場合には、投与を中止する]。
    2. 消化器:悪心・嘔吐、食欲不振等。
    3. その他:過敏症[このような症状(異常)が現れた場合には、投与を中止する]。

使用上の注意

(警告)

  1. 本剤により重篤な肝障害が発現する恐れがあることに注意し、1日総量1500mgを超す高用量で長期投与する場合には、定期的に肝機能等を確認するなど慎重に投与する。

  2. 本剤とアセトアミノフェンを含む他の薬剤(一般用医薬品を含む)との併用により、アセトアミノフェンの過量投与による重篤な肝障害が発現する恐れがあることから、これらの薬剤との併用を避ける。

(禁忌)

  1. 重篤な肝障害のある患者[重篤な転帰をとる恐れがある]。

  2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  3. 消化性潰瘍のある患者[症状が悪化する恐れがある]。

  4. 重篤な血液異常のある患者[重篤な転帰をとる恐れがある]。

  5. 重篤な腎障害のある患者[重篤な転帰をとる恐れがある]。

  6. 重篤な心機能不全のある患者[循環系のバランスが損なわれ、心不全が増悪する恐れがある]。

  7. アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[アスピリン喘息の発症にプロスタグランジン合成阻害作用が関与していると考えられる]。

(慎重投与)

  1. アルコール多量常飲者[肝障害が現れやすくなる]。

  2. 絶食・低栄養状態・摂食障害等によるグルタチオン欠乏、脱水症状のある患者[肝障害が現れやすくなる]。

  3. 肝障害又はその既往歴のある患者[肝機能が悪化する恐れがある]。

  4. 消化性潰瘍の既往歴のある患者[消化性潰瘍の再発を促す恐れがある]。

  5. 血液異常又はその既往歴のある患者[血液障害を起こす恐れがある]。

  6. 出血傾向のある患者[血小板機能異常が起こることがある]。

  7. 腎障害又はその既往歴のある患者[腎機能が悪化する恐れがある]。

  8. 心機能異常のある患者[症状が悪化する恐れがある]。

  9. 過敏症の既往歴のある患者。

  10. 気管支喘息のある患者[症状が悪化する恐れがある]。

  11. 高齢者。

  12. 小児等。

(重要な基本的注意)

  1. 本剤の使用は、発熱、痛みの程度を考慮し、最小限の投与量及び期間にとどめる。

  2. 解熱鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意する。原因療法があればこれを行う。

  3. 投与中は患者の状態を十分観察し、副作用の発現に留意する。本剤の投与直後には経口製剤及び坐剤に比べて血中濃度が高くなることから、過度の体温下降、虚脱、四肢冷却等の発現に特に留意し、特に高熱を伴う高齢者及び高熱を伴う小児等又は消耗性疾患の患者においては、投与後の患者の状態に十分注意する。

  4. 高齢者及び小児等には副作用の発現に特に注意し、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に投与する。

  5. 感染症を不顕性化する恐れがあるので、感染症を合併している患者に対して用いる場合には適切な抗菌剤を併用し、観察を十分行い慎重に投与する。

  6. 他の消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましい。

  7. 本剤とアセトアミノフェンを含む他の薬剤(一般用医薬品を含む)との併用により、アセトアミノフェンの過量投与による重篤な肝障害が発現する恐れがあることから、特に総合感冒剤や解熱鎮痛剤等の配合剤を併用する場合は、アセトアミノフェンが含まれていないか確認し、含まれている場合は併用を避ける。また、アセトアミノフェンを含む他の薬剤と併用しないよう患者に指導する。

  8. アセトアミノフェンの高用量投与により副作用として腹痛・下痢がみられることがあり、本剤においても同様の副作用が現れる恐れがあり、疼痛又は発熱の原疾患に伴う消化器症状と区別できない恐れがあるので、観察を十分行い慎重に投与する。

  9. 重篤な肝障害が発現する恐れがあるので注意し、1日総量1500mgを超す高用量で長期投与する場合には定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察し、高用量でなくとも長期投与する場合にあっては定期的に肝機能検査を行うことが望ましい(また、高用量で投与する場合などは特に患者の状態を十分に観察するとともに、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な措置を講ずる)。

(相互作用)

併用注意:

  1. アルコール(飲酒)[アルコール多量常飲者がアセトアミノフェンを服用したところ肝不全を起こしたとの報告がある(アルコール常飲によるCYP2E1の誘導により、アセトアミノフェンから肝毒性を持つN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進される)]。

  2. クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[クマリン系抗凝血剤の作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与する(作用機序については、ワルファリンの酸化経路又はビタミンK依存性凝固因子合成関連酵素への作用が考えられている)]。

  3. イソニアジド[イソニアジドの長期連用者において、肝薬物代謝酵素が誘導され、肝障害を生じやすくなるとの報告がある(イソニアジドはCYP2E1を誘導するためアセトアミノフェンから肝毒性を持つN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進される)]。

  4. カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、リファンピシン[これらの薬剤の長期連用者において、アセトアミノフェンの血中濃度が低下するとの報告がある(これらの薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により、アセトアミノフェンの代謝が促進され血中濃度が低下する)]。

(高齢者への投与)

高齢者では、副作用が現れやすいので、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。

(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)

  1. 妊娠中及び授乳中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦への本剤の投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとする。

  2. 妊娠後期の婦人への投与により胎児動脈管収縮を起こすことがある。

  3. 妊娠後期のラットに投与した実験で、弱い胎仔動脈管収縮が報告されている。

(小児等への投与)

低出生体重児、新生児及び3カ月未満の乳児に対する使用経験が少なく、安全性は確立していない。

(過量投与)

  1. 過量投与により肝臓壊死・腎臓壊死・心筋壊死が起こったとの報告がある。

  2. 総合感冒剤や解熱鎮痛剤等の配合剤には、アセトアミノフェンを含むものがあり、本剤とこれら配合剤との偶発的な併用により、アセトアミノフェンの過量投与による重篤な肝障害が発現する恐れがある。

  3. アセトアミノフェン過量投与時の解毒(肝障害の軽減等)には、アセチルシステインの投与を考慮する。

(適用上の注意)

投与に際し、本剤への他剤の混注は行わない。

(その他の注意)

  1. 類似化合物(フェナセチン)の長期投与により、血色素異常を起こすことがある。

  2. 腎盂腫瘍及び膀胱腫瘍の患者を調査したところ、類似化合物(フェナセチン)製剤を長期・大量に使用(例:総服用量1.5~27kg、服用期間4~30年)していた人が多いとの報告がある。また、類似化合物(フェナセチン)を長期・大量投与した動物実験で、腫瘍発生が認められたとの報告がある。

  3. 非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的不妊が認められたとの報告がある。

(取扱い上の注意)

  1. 凍結保存しない。

  2. 低温下では、結晶析出の可能性があるので、結晶が析出した場合は、湯煎(60℃以下)にて加温溶解後、放冷して使用する。

  3. 開封後は速やかに使用する。

  4. 残液は使用しない。

  5. ガラス容器に破損がみられる場合や内容液が漏れている場合、あるいは内容液に混濁・浮遊物等の異常が認められるときは使用しない。

  6. 通気針(エア針)・びん針又は注射針は、ゴム栓の刻印部にゆっくり、まっすぐ刺通する[斜めに刺したり、同一箇所に繰り返し刺すと、ゴム栓の削り片が薬液中に混入する原因となる]。

  7. バイアル内部が陰圧になっているため、必ず通気針(エア針)を先に刺通する。