処方薬
注射用アイオナール・ナトリウム(0.2)

注射用アイオナール・ナトリウム(0.2)の添付文書

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効果・効能

不眠症、麻酔前投薬、全身麻酔の導入、不安緊張状態の鎮静。

用法・用量

通常、成人にはセコバルビタールナトリウムとして、1回100~200mg(5%溶液2~4mL)を徐々に静脈内注射するか、または筋肉内注射する。

なお、年齢、症状により適宜増減するが、総量500mg(5%溶液10mL)を超えないことが望ましい。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明):発熱、皮膚発疹・粘膜発疹又は皮膚紅斑・粘膜紅斑、壊死性結膜炎等があらわれることがある。

  2. 1.2. チアノーゼ、呼吸抑制(0.1~5%未満)〔9.1.2、9.7小児等の項、9.8.1参照〕。

  3. 1.3. 薬物依存(頻度不明):連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、不安、不眠、痙攣、悪心、幻覚、妄想、興奮、錯乱又は抑うつ状態等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には徐々に減量するなど、慎重に行うこと〔8.2、9.1.2、9.1.4、9.8.2参照〕。

    1. その他の副作用
    1. 過敏症:(0.1~5%未満)発疹等。
    2. 精神神経系:(頻度不明)知覚異常、構音障害、精神機能低下、せん妄、昏迷又は運動失調。
    3. 腎臓:(頻度不明)ヘマトポルフィリン尿、蛋白尿、低カルシウム血症。
    4. 血液:(頻度不明)巨赤芽球性貧血。
    5. 消化器:(0.1~5%未満)悪心・嘔吐。
    6. その他:(0.1~5%未満)眠気、頭重感、めまい、脈拍異常、興奮、腱反射亢進、痙攣、口渇。

使用上の注意

(禁忌)

    1. バルビツール酸系化合物に対し過敏症の患者。
    1. 急性間歇性ポルフィリン症の患者[酵素誘導によりポルフィリン合成を促進し、症状を悪化させるおそれがある]。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤投与中の患者には、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
    1. 連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避ける(本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討する)〔9.1.4、11.1.3参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 次の患者には治療上やむを得ないと判断される場合を除き投与しないこと。 1. 心障害を有する患者:バルビツール酸系化合物を大量投与した場合、血管拡張作用、心拍出量の減少が知られており、血圧下降が増強されるおそれがある〔13.1参照〕。 1. 呼吸機能低下している患者:呼吸中枢抑制作用により、症状を悪化させるおそれがある。

  2. 1.2. 虚弱者:呼吸抑制を起こすことがある(離脱症状に特に注意すること)〔11.1.2、11.1.3参照〕。

  3. 1.3. 頭部外傷後遺症又は進行した動脈硬化症等の脳器質障害のある患者:中枢作用が増強されるおそれがある。

  4. 1.4. アルコール中毒、薬物依存傾向又は薬物依存の既往歴のある患者、重篤な神経症患者:連用により薬物依存が生じやすい〔8.2、11.1.3参照〕。

(腎機能障害患者)

腎機能障害患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き投与しないこと(代謝・排泄の遅延により副作用発現のおそれがある)。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き投与しないこと(代謝・排泄の遅延により副作用発現のおそれがある)。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(新生児の出血傾向、呼吸抑制等を起こすことがある)。

分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状(多動、振戦、反射亢進、過緊張など)があらわれることがある〔16.3.1参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること〔16.3.2参照〕。

(小児等)

呼吸抑制を起こすことがある〔11.1.2参照〕。

(高齢者)

  1. 8.1. 呼吸抑制を起こすことがある〔11.1.2参照〕。

  2. 8.2. 減量するなど注意すること(一般に高齢者では生理機能が低下している。離脱症状に特に注意すること)〔11.1.3参照〕。

(相互作用)

  1. 2. 併用注意
    1. アルコール、抗不安薬、抗精神病薬、催眠鎮静薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、抗パーキンソン薬、解熱鎮痛薬[相互に作用が増強されることがあるので、減量するなど慎重に投与すること(相加的に中枢神経抑制作用が増強される)]。
    2. チアジド系薬物(ヒドロクロロチアジド)[起立性低血圧が増強されることがあるので、減量するなど慎重に投与すること(相互に作用が増強される)]。
    3. クラーレ様物質[相加的な筋弛緩作用が起こることがあるので、減量するなど慎重に投与すること(相互に作用が増強される)]。
    4. ジスルフィラム[中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、減量するなど慎重に投与すること(ジスルフィラムは肝ミクロゾームの薬物代謝酵素系を抑制するため、バルビツール酸系薬剤の代謝が阻害される)]。
    5. クマリン系抗凝血薬(ワルファリンカリウム)[クマリン系抗凝血薬の作用に影響を与えるので、通常より頻回にプロトロンビン値の測定を行い、クマリン系抗凝血薬の用量を調節すること(バルビツール酸系薬剤は肝の代謝酵素を誘導し、クマリン系抗凝血薬の代謝を促進させる)]。
    6. ドキシサイクリン[ドキシサイクリンの血中濃度半減期が短縮することがある(バルビツール酸系薬剤は肝の代謝酵素を誘導し、ドキシサイクリンの代謝を促進させる)]。

(過量投与)

    1. 症状

    過量投与時、バルビツレートの急性中毒症状としては、中枢神経系抑制及び呼吸器系抑制があり、チェーン・ストークス呼吸、瞳孔縮小(過量投与時の重度な中毒時には麻痺性瞳孔拡張)、過量投与時、乏尿、頻脈、低血圧、体温低下、昏睡等の症状があらわれるおそれがある〔9.1.1参照〕。

    1. 処置

    過量投与時、呼吸、循環、バイタルサインのチェック等の全身管理を実施する(血液透析、血液灌流が有効であったとの報告もある)。

(適用上の注意)

    1. 薬剤調製時の注意
  1. 1.1. 本品1バイアルを注射用水等4mLに溶解する。

    1. 薬剤投与時の注意
  2. 2.1. 皮下には決して投与しないこと。

  3. 2.2. 本剤は高アルカリ性であるため、皮下への漏出により壊死を起こすことがあるので皮下に漏出させないよう注意すること。

  4. 2.3. 皮下に漏れた場合はプロカイン注射液等の局所麻酔剤による浸潤、温湿布等の適切な処置を行うこと。

  5. 2.4. 呼吸抑制、血圧降下があらわれることがあるので、注射方法については十分注意し、静脈内投与においては注射速度をできるだけ遅くすること。

  6. 2.5. 筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、次記の点に注意すること。 1. 筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ必要最小限に行うこと。なお、特に筋肉内投与時同一部位への反復注射は行わないこと。

        また小児等には注意すること。
    1.  筋肉内投与時神経走行部位を避けるよう注意すること。
    1.  注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
    

(保管上の注意)

室温保存。