ブロダルマブ(ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体)製剤
乾癬を引き起こすシグナル伝達に関わるインターロイキン(IL)-17というサイトカインの受容体(IL-17受容体A)に結合し、IL-17の働きを抑えることで乾癬による皮膚症状や関節炎などを改善する薬

ブロダルマブ(ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体)製剤の解説

ブロダルマブ(ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体)製剤の効果と作用機序

  • 体内で産生されるインターロイキン(IL)-17の働きを抑えることで乾癬による皮膚症状や関節炎などを改善する薬
    • 乾癬紅斑、銀白色の鱗屑(りんせつ)(及び鱗屑がボロボロと剥がれ落ちる落屑)などの皮膚症状があらわれ、場合によっては関節炎などがあらわれることがある
    • 乾癬の原因は詳細には解明されていないが、免疫異常や遺伝的な要因などの他、IL-17という体内物質が関与していると考えられている
    • 本剤はIL-17の働きを抑えることで乾癬の改善作用をあらわす
  • 本剤は特定物質(IL-17受容体A)に結合するモノクローナル抗体の製剤
  • 強直性脊椎炎や体軸性脊椎関節炎などに使われる場合もある

ブロダルマブ(ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体)製剤の薬理作用

乾癬は慢性の炎症疾患で厚い白色(銀白色)の鱗屑を伴う紅斑が特徴で原因の詳細は解明されていないが、免疫異常であったり、乾癬になりやすい遺伝子を持った人がストレスなどにさらされることで起こると考えられている。

乾癬の多くは尋常性乾癬だが、関節に炎症・こわばりなどがあらわれる関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、発熱や皮膚の発赤とともに皮膚に膿がたまった状態があらわれる膿疱性乾癬、皮疹が全身に広がり皮膚全体の8割以上が赤くなった状態の乾癬性紅皮症などがあらわれる場合もある。

乾癬の病態には体内で産生されるサイトカインの一つであるインターロイキン(IL)-17が関与していると考えられている。IL-17にはIL-17A、IL-17Fなどのいくつかのタイプがあり、これらはIL-17ファミリーサイトカインと呼ばれる。IL-17AやIL-17FなどはIL-17受容体Aに結合することで細胞内にシグナルを伝達させ乾癬などの症状を引き起こす要因となる。

本剤はIL-17受容体Aに結合することでIL-17ファミリーサイトカインであるIL-17A、IL-17F、IL-17A/F、IL-17CのIL-17受容体Aを介した活性を阻害し、乾癬による症状を改善する作用をあらわす。また本剤は、IL-17がその病態に深く関わるとされる強直性脊椎炎や体軸性脊椎関節炎などの治療に使われることもある。

なお、本剤は特定物質に結合する抗体として造られたモノクローナル抗体の製剤。

ブロダルマブ(ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体)製剤の主な副作用や注意点

  • 精神神経系症状
    • 頭痛、めまい、不眠などがあらわれる場合がある
  • 皮膚症状
    • 痒み、発疹などがあらわれる場合がある
  • 筋・骨格症状
    • 関節痛、四肢痛、筋肉痛などがあらわれる場合がある
  • 感染症
    • 上気道感染、鼻咽頭炎カンジダ症、気管支炎副鼻腔炎などがあらわれる場合がある
    • 頻度は非常に稀だが、ウイルス細菌真菌などによる重篤な感染症があらわれる可能性もあり観察を十分に行うなど注意する
  • 過敏症
    • 頻度は非常に稀だがアナフィラキシーなどの重篤な過敏症があらわれる可能性もあり観察を十分に行うなど注意する

ブロダルマブ(ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体)製剤の一般的な商品とその特徴

ルミセフ

  • 投与方法などに関して
    • 通常、初回、1週後、2週後に皮下投与し、以降は2週間の間隔で皮下投与する
    • 投与毎に注射部位を変える
      ・原則として、皮膚が敏感な部位や皮膚に異常(傷、発赤、硬化など)がある部位への注射は避ける
      ・投与部位は大腿部、腹部または上腕部が望ましいとされる