ラコサミド(抗てんかん薬)の解説
ラコサミド(抗てんかん薬)の効果と作用機序
ラコサミド(抗てんかん薬)の薬理作用
てんかんは脳内で神経の過度な興奮がおこることによって痙攣などの発作があらわれ、小児、成人及び高齢者、男女を問わず幅広く発症する。てんかん発作の中でも部分発作は全症例の中でも半数以上を占める高頻度で発現する発作で、脳の局所的障害を伴う。
脳には神経細胞が集積していて、神経伝達物質などの作用により神経細胞が興奮しシグナルが伝わり神経伝達がおこる。神経の興奮伝達に関わる物質としてナトリウムイオン(Na+)、カルシウムイオン(Ca2+)などがあり、その中でもNa+は興奮性のシグナルとして作用し、Naチャネルという通り道から神経細胞内へ入ることで神経細胞の興奮がおこる。
本剤(ラコサミド)は、既存の抗てんかん薬(本剤以前に開発された薬剤)とは異なる作用の仕組みによりNaチャネルを阻害することで、シグナル伝達を抑え、神経細胞の過度な興奮を抑える作用などをあらわす。
Naチャネルは急速な不活性化と緩徐な不活性化の2種類の仕組みで制御されているとされ、緩徐な不活性化は、てんかんのように持続する神経細胞の過度な興奮に関わりが深いとされている。従来のNaチャネル阻害作用をあらわす抗てんかん薬(カルバマゼピン、フェニトイン、ラモトリギン、ゾニサミドなど)はどちらかというとNaチャネルの急速な不活性化に関わるNaチャネル阻害薬(Naチャネルブロッカー)に分類されるが、本剤(ラコサミド)はNaチャネルの緩徐な不活性化に関わる(緩徐な不活性化を促進させる)薬剤と考えられている。緩徐な反応のほうが不活性化からの回復に時間がかかることから、活性化できる(利用可能な)Naチャネルの割合が減少され神経細胞の過剰な興奮を抑えると考えられている。
なお、本剤は主に他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかんに対して、他の抗てんかん薬との併用して用いる場合、併用された抗てんかん薬(カルバマゼピン、バルプロ酸製剤、レベチラセタム、ラモトリギン、トピラマート、フェニトイン製剤(ヒダントイン系抗てんかん薬の一つ)、フェノバルビタール製剤(バルビツール酸系抗てんかん薬の一つ))の種類にかかわらずてんかんの部分発作を抑える作用をあらわすことが確認されている。また、他の抗てんかん薬を使わずに本剤単独で使う場合においてもその効果が期待できる薬となる。
ラコサミド(抗てんかん薬)の主な副作用や注意点
ラコサミド(抗てんかん薬)の一般的な商品とその特徴
ビムパット
- ラコサミド製剤
- 錠剤、散剤(ドライシロップ剤)、注射剤があり用途などに合わせて選択が可能
腎機能 が低下しているなどの場合には投与量の調節が必要となることがある