サリドマイド関連薬
サリドマイド(又はサリドマイドに類似した化学構造をもつ薬剤)による血管新生抑制などのがん細胞増殖因子抑制作用やがん細胞の自滅誘導・増殖抑制などにより抗腫瘍効果をあらわす薬
サリドマイド関連薬の解説
サリドマイド関連薬の効果と作用機序
サリドマイド関連薬の薬理作用
がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し正常な細胞を障害し、転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖する。
多発性骨髄腫は白血球の一つである形質細胞のがん化によりおこる造血器腫瘍で、本来であれば形質細胞から産生するはずの抗体が細胞のがん化によりパラプロテイン(Mタンパク)という抗体として作用しないタンパク質を産生する。これにより免疫低下などがおこり、感染、貧血、骨折、腎障害など様々な症状があらわれる。
サリドマイド関連薬はサイドマイド及びサリドマイドに類似した化学構造をもつ薬剤であり、血管新生抑制作用、(がん増殖因子となる)炎症性サイトカインの抑制作用、NK(ナチュラルキラー)細胞やT細胞などの免疫系の増強・調節作用、腫瘍細胞の自滅(アポトーシス)誘導及び細胞増殖抑制作用などをあらわすとされるが、詳細には解明されていない。
サリドマイド自体は1950年代に非常に重大な薬害を引き起こした薬剤ではあるが、近年、多発性骨髄腫などへの有効性が確認され使用されることになった。ただし、過去に薬害を引き起こした催奇形性などへのケアは必須であり、基本的には「安全管理手順」に従った厳格な薬剤管理などにより使用される薬剤となる。