駆虫薬(イベルメクチン)
寄生虫(糞線虫やヒゼンダニなど)を含む無脊椎動物の神経・筋細胞に作用し、麻痺をおこして死にいたらせることで寄生虫による感染症の治療に使用する薬

駆虫薬(イベルメクチン)の解説

駆虫薬(イベルメクチン)の効果と作用機序

  • 糞線虫やヒゼンダニなどの寄生虫に作用し麻痺をおこして死にいたらせ、腸管糞線虫症疥癬などを治療する薬
    • 腸管糞線虫症疥癬は寄生虫によりおこる感染症
    • 本剤は糞線虫やヒゼンダニなどの無脊椎動物の神経・筋細胞に作用し麻痺をおこす
    • 本剤は駆虫薬(寄生虫を殺したり体外へ排出するために用いる薬の一種)となる
  • 本剤はフィラリア(犬糸状虫症)の予防などで使用する場合もある

駆虫薬(イベルメクチン)の薬理作用

腸管糞線虫症は糞線虫による感染症で、無症候性の場合もあるが、腹痛、吐き気などの消化器症状、移行する幼虫に対するアレルギー反応により蕁麻疹などの皮膚症状があらわれる場合もある。また重度の感染においては粘膜からの出血や咳、喘鳴などの肺症状などを引き起こす場合もある。

疥癬は皮膚にダニの一種であるヒゼンダニが寄生しておこる感染症で、場合によっては皮膚に激しい痒みなどがあらわれることがある。

イベルメクチンは無脊椎動物の神経・筋細胞におけるシグナル伝達物質である塩化物イオン(Cl)の通り道であるClチャネルに結合する。これにより神経又は筋細胞の過分極がおこって寄生虫が麻痺をおこし死に至るとされる。本剤は腸管糞線虫症や疥癬、フィラリア予防などに使用する薬剤であり、駆虫薬(寄生虫を殺したり、体外に排出するために用いる薬の一種)となる。また患者の体重によって薬剤の投与量(服用量)が異なったり、感染症の種類などによっては2週間間隔で服用するなど注意が必要となる。

駆虫薬(イベルメクチン)の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 下痢、食欲不振、便秘、腹痛などがあらわれる場合がある
  • 皮膚症状
    • 痒み、発疹などがあらわれる場合がある
    • 頻度は稀だが、そう痒の一過性の増悪、中毒性皮疹などがあらわれる場合があり、異常が認められた場合は医師や薬剤師に連絡するなど適切に対応する
  • 肝機能障害
    • 頻度は稀だがあらわれる場合がある
    • 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、発疹、吐き気などがみられ症状が続く場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する

駆虫薬(イベルメクチン)の一般的な商品とその特徴

ストロメクトール

  • イベルメクチン製剤
  • 患者体重毎の1回当たりの投与量(本剤は通常、体重1kg当たりイベルメクチンとして約200μgを1回の投与量とする)
    • 体重15〜24kgの場合:本剤(3mg/錠)を1錠投与
    • 体重25〜35kgの場合:本剤(3mg/錠)を2錠投与
    • 体重36〜50kgの場合:本剤(3mg/錠)を3錠投与
    • 体重51〜65kgの場合:本剤(3mg/錠)を4錠投与
    • 体重66〜79kgの場合:本剤(3mg/錠)を5錠投与
    • 体重80kg以上の場合:体重1kg当たり(イベルメクチンとして)約200μgで投与量(錠数)を算出