ニューキノロン系抗菌薬
細菌の増殖に必要な酵素を阻害して殺菌的に抗菌作用をあらわす薬

ニューキノロン系抗菌薬の解説

ニューキノロン系抗菌薬の効果と作用機序

  • 細菌の増殖に必要な酵素を阻害して殺菌的に抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌の増殖にはタンパク質合成が必要でそれには遺伝情報をもつDNAという物質が不可欠となる
    • DNAの複製にはいくつかの酵素の働きが必要となる
    • 本剤はDNA複製に必要な酵素を阻害し抗菌作用をあらわす
  • 尿路感染症、腸管感染症、呼吸器感染症など幅広い感染症で有効とされる(薬剤によって抗菌作用の範囲は異なる)

ニューキノロン系抗菌薬の薬理作用

細菌の増殖にはタンパク質の合成が必要であり、タンパク質合成には遺伝情報をもつDNAという物質が必要不可欠である。DNAの複製にはDNAジャイレースやトポイソメラーゼといった酵素が必要となる。

本剤は細菌のDNA複製に必要なDNAジャイレースやトポイソメラーゼIVという酵素を阻害し殺菌的に抗菌作用をあらわす。(薬剤成分によっても差はあるが)本剤は幅広い抗菌スペクトル(抗菌薬がもつ抗菌作用の範囲)をもち、尿路感染症、腸管感染症、呼吸器感染症、皮膚感染症など幅広い感染症に有用とされる。

ニューキノロン系抗菌薬の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 下痢、吐き気、食欲不振などの症状があらわれる場合がある
  • 頻度は非常に稀だが重要な副作用の例
    • 中枢神経障害:けいれんなどがおこる可能性がある
    • 循環器症状:QT延長症候群などがおこる可能性がある
    • 血糖異常:低血糖高血糖などがおこる可能性がある
    • 腱障害:アキレス腱炎などがおこる可能性がある
  • 本剤の内服薬とAl、Mgなどのミネラル含有製剤・食品などとの併用に関する注意
    • 本剤の吸収が阻害され抗菌作用が減弱する場合がある
    • 本剤とミネラル含有製剤・食品などとは摂取の間隔をあける(一般的には2時間以上あけた方がよいとされる)

ニューキノロン系抗菌薬の一般的な商品とその特徴

ジェニナック

  • 肺炎球菌肺炎中耳炎などの原因となる菌)への治療薬としては特に効果が期待できる薬剤の一つとされる

アベロックス

  • 腎機能への負担が比較的少なく、腎機能障害がある患者でも比較的安全に投与できるとされる
  • 副作用に関する注意
    • QT延長症候群などがあらわれる場合があり心血管系疾患をもつ患者は特に注意する
    • 失神、めまいなどがあらわれる場合があるため、本剤の服用中は「自動車の運転など危険を伴う機械の操作はしないこと」とされている

オゼックス

  • 小児用の細粒剤があり小児への投与が可能な数少ないニューキノロン系抗菌薬の一つ

シプロキサン

  • 緑膿菌(呼吸器感染症尿路感染症などの原因となる菌)に対して強い抗菌作用をあらわすとされる

クラビット

  • 臨床現場での長い期間における使用実績から、比較的安全性が確立されている薬剤
    • 長期投与が必要な場合などにおいても適する薬剤とされる
  • 細粒剤もあり、嚥下能力の低下した患者などへのメリットが考えられる